在庫確認・見積は今すぐ フォームで依頼する 写真の添付もOK / 24時間受付
機械 ・ 16 / 16

サーボモータとメカトロニクス基礎

読み終えると、こうなる

制御盤や設備の中にあるサーボモータ・ステッピングモータの配線を見て、エンコーダケーブルの有無から制御の性質(クローズドループかオープンループか)を見分けられるようになる

  • サーボモータ・ステッピングモータ・ブラシレスDCモータの違いを、フィードバックの有無や機械的接点(ブラシ・整流子)の有無という観点で説明でき、エンコーダ(検出器)故障時に制御系がどう異常動作しうるかも説明できる。小形直流モータの整流子片・電機子の構造や、希土類磁石の保磁力を活かしたコアレス構造、SPMSM・IPMSM・SynRMという小形同期モータの分類も説明できる
  • パルス数・パルス周波数とステップ角から、ステッピングモータの回転角度・回転速度を計算できる
  • 減速機の減速比Nと効率ηから負荷側の回転速度・トルク・動力を計算でき、巻上機やポンプのように直線運動・流体の汲み上げを伴う負荷でも、質量(または流量・揚程)・速度・重力加速度・効率から電動機の所要出力[kW]を計算できる
  • 回転速度・角速度・出力からトルクを求め、はずみ車(フライホイール)の慣性モーメントと角速度から蓄えられる運動エネルギーを計算できる
考えてみよう

設備の搬送機や工作機械の制御盤を開けると、モータへの配線とは別に、細いシールド線が 何本もモータ側から制御盤へ戻ってきている。これはエンコーダケーブル——モータの回転位置を 制御盤側へ「報告」するための配線だ。

一方、同じように精密に位置決めするモータでも、この報告用の配線が一切ないものもある。 両方とも「指令した位置に正確に動く」という結果は同じに見えるのに、なぜ片方だけ わざわざ配線を増やしてまで位置を報告させているのか。

このトピックを読み終えるころには、モータへの配線を見ただけで、それがクローズドループ (自分の状態を見ながら動く)なのか、オープンループ(指令を信じて動くだけ)なのかを 見分けられるようになっている。

種明かしは、フィードバック——自分が今どこにいるかを常に測り、目標とのズレを 打ち消し続ける仕組みがあるかどうかにある。

フィードバック制御の基本 — 偏差を打ち消し続ける

サーボモータを含む多くの制御系は、次のようなループで動いている。

  1. 目標値(どこまで動かしたいか)を与える
  2. 検出器(エンコーダ等)で、実際の出力(現在位置・速度)を測る
  3. 目標値と検出値の差=偏差を計算する
  4. 偏差を打ち消す向きに、モータへの操作量を出す
  5. 1〜4を繰り返す
e=rce = r - c

ee が偏差、rr が目標値、cc が検出値(実際の出力)だ。このループが絶え間なく回り続けることで、 モータは目標値へ向かって自らを修正し続ける。これがフィードバック制御であり、 サーボモータの「サーボ(servo)」という語自体が、この追従動作を意味している。

サーボモータ — クローズドループで「見ながら」動く

サーボモータは、モータ本体にエンコーダ(回転角を検出する装置)やレゾルバなどの検出器を 内蔵し、常に自分の実際の位置・速度を制御器(サーボアンプ)へ送り返している。制御器は その検出値と目標値を比較し、偏差がゼロに近づくように電流・電圧を調整し続ける。

この、検出器からの信号が制御器へ戻ってくる経路があることを指して「クローズドループ (閉ループ)制御」と呼ぶ。ループが閉じているからこそ、負荷変動や外乱があっても、 サーボモータは実際の位置を確認しながら自分で修正できる。

ステッピングモータ — オープンループで「指令を信じて」動く

これに対してステッピングモータは、位置を検出する仕組みを持たない。制御器から送られる パルス信号1つにつき、決まった角度(ステップ角)だけ回転するという構造で動作する。

1回転に必要なステップ数=360°ステップ角\text{1回転に必要なステップ数} = \frac{360°}{\text{ステップ角}}

ステップ角0.72°のモータなら 360÷0.72=500360 \div 0.72 = 500 ステップで1回転する。パルス数をそのまま 数えれば「今どれだけ回転したはず」かが分かるため、検出器がなくても位置決めができる—— というのがステッピングモータの発想だ。

ここで大事なのは、ステッピングモータの位置決めは「実際に測って合わせている」のではなく、 「指令どおりに動いているはずだ、という前提の上に成り立っている」という点だ。負荷が 急に重くなるなどしてモータがパルスに追従できなくなると、脱調(指令した角度どおりに 回転できず、実際の角度がずれる現象)が起きる。検出器を持たないオープンループのため、 このずれをモータ自身も制御器も検知できず、気づかないまま次の指令を送り続けてしまう。

回転「角度」がパルスの数で決まるのと同じ発想で、回転「速度」はパルスを送る周波数 (1秒間に何パルス送るか)で決まる。パルスの間隔が短くなる=周波数が高くなるほど、 モータは短い時間で多くのステップを刻むので、回転速度は速くなる——つまり回転速度は パルス周波数に比例する。

回転速度[min1]=パルス周波数[pps]1回転に必要なステップ数×60\text{回転速度[min}^{-1}\text{]} = \frac{\text{パルス周波数[pps]}}{\text{1回転に必要なステップ数}} \times 60

たとえばステップ角0.72°(1回転500ステップ)のモータに、毎秒2000パルスを送り続けると、 2000÷500=42000 \div 500 = 4 回転/秒、1分に換算すると 4×60=2404 \times 60 = 240 min⁻¹ で回転する。制御器側は パルス数で「どこまで回すか」を、パルス周波数で「どれくらいの速さで回すか」を、それぞれ 指令していることになる。

もう一つ、ステッピングモータ、特に永久磁石形(ロータに永久磁石を使うタイプ)に 特有の性質がある。励磁電流を止めて無通電状態にしても、ロータの永久磁石とステータの 磁極の間には磁気的な吸引力が働き続けるため、ある程度の外力までなら位置がずれずに 留まろうとする力——保持力(ディテントトルク)——が働く。これはエンコーダによる フィードバックとは無関係の、磁石の構造そのものが持つ性質であり、電源を切った瞬間に 完全に自由回転するわけではない、という点はサーボモータとの比較でも押さえておきたい。

減速機を介した動力伝達 — 回転速度・トルク・動力の関係

電動機は一般に、負荷が必要とするトルクよりずっと小さいトルクしか出せない代わりに、 高い回転速度で回る方が効率よく作れる。そこで電動機の出力軸と負荷の間に減速機 (歯車の組み合わせ)を挟み、回転速度を落とす代わりにトルクを高めて負荷を駆動する 構成が広く使われる。

減速機の減速比N(電動機側の回転速度÷負荷側の回転速度)を使うと、負荷側の 回転速度・トルクは次のように変換される。

N2=N1N,T2=T1×N×ηN_2 = \frac{N_1}{N}, \qquad T_2 = T_1 \times N \times \eta

N1,T1N_1, T_1 は電動機側(減速機の入力側)の回転速度とトルク、N2,T2N_2, T_2 は負荷側 (減速機の出力側)の回転速度とトルク、η\eta は減速機の効率(1未満)だ。回転速度は 減速比Nの逆数(1/N)に落ち、トルクはN倍に高まる——ちょうど自転車の変速機で、 軽いギアにすると足の回転は速いがペダルは軽く、重いギアにすると回転は遅いが力強く 踏み込めるのと同じ関係にある。

ここで動力(仕事率)P=トルクT×角速度ωの関係を思い出すと、回転速度が1/N、 トルクがN倍という2つの変化は、掛け算すると打ち消し合う。つまり理想的(効率 100%)には、減速機を通しても動力は変わらない。実際には、歯車のかみ合いや軸受の 摩擦などによる損失があるため、効率η(1未満)の分だけ動力は目減りする。

自作の数値例で確認してみよう。電動機の出力P₁=3.7kW、回転速度N₁=1500 min⁻¹、 減速比N=10、減速機効率η=0.95とする。

まず角速度に直すと ω1=2πN1/60157.1\omega_1 = 2\pi N_1/60 \approx 157.1 rad/s なので、電動機トルクは T1=P1/ω123.6T_1 = P_1/\omega_1 \approx 23.6 N・m。負荷側の回転速度は N2=N1/N=150N_2 = N_1/N = 150 min⁻¹ (ω215.7\omega_2 \approx 15.7 rad/s)、負荷側トルクは T2=T1×N×η224T_2 = T_1 \times N \times \eta \approx 224 N・m。

負荷側の動力を計算すると P2=T2×ω23.51P_2 = T_2 \times \omega_2 \approx 3.51 kW となり、これは η×P1=0.95×3.73.51\eta \times P_1 = 0.95 \times 3.7 \approx 3.51 kW と一致する。回転速度とトルクは 大きく変化しても、動力は効率η分だけ小さくなるだけ——という構造が数値で確認できる。

巻上機の所要動力 — 直線運動の仕事率を電動機出力に変換する

ここまでの減速機は回転運動どうしの動力伝達だったが、巻上機(ホイスト・クレーンなど) のように、ロープでおもりを直線的に持ち上げる負荷では考え方が少し変わる。

一定速度でおもりを持ち上げるとき、電動機が支えなければならない力は、おもりに働く 重力とつり合う力だ。質量mm、重力加速度ggとすると、必要な力は、

F=mgF = mg

この力で、速度vvで持ち上げ続けるのに必要な仕事率(動力)は、力×速度で求まる。

P=Fv=mgvP = Fv = mgv

電動機はこの負荷側の仕事率をそのまま出せばよいわけではない。ロープや滑車、減速機構の 摩擦損失がある分、電動機はそれを補うだけ余分に出力しなければならない。機械効率を η\etaとすると、電動機の所要出力は、

Pmotor=mgvηP_{\text{motor}} = \frac{mgv}{\eta}
効率ηを「掛ける」のか「割る」のか迷ったら、「損失がある以上、入力側(電動機の出力)は 出力側(負荷が実際に必要とする仕事率)より必ず大きくなるはず」という不等号の向きを 先に確認する。負荷側の仕事率mgvをη(1未満)で割れば、それより大きい値になる—— 掛けてしまうと逆に小さい値になり、向きが合わないとすぐ気づける。

例題(自作の数値例)

質量800kgの物体を0.5m/sの一定速度で巻き上げる巻上機があり、機械効率は95%、 重力加速度は9.8m/s²とする。

F=mg=800×9.8=7840NF = mg = 800 \times 9.8 = 7840\text{N} P=Fv=7840×0.5=3920W=3.92kWP = Fv = 7840 \times 0.5 = 3920\text{W} = 3.92\text{kW} Pmotor=Pη=3.920.954.13kWP_{\text{motor}} = \frac{P}{\eta} = \frac{3.92}{0.95} \approx 4.13\text{kW}

減速機の回転運動どうしの動力伝達(P=Tω)と、巻上機の直線運動を含む動力計算 (P=Fv=mgv)は式の形こそ違うが、「効率η分だけ入力側が大きくなる」という 考え方そのものは共通している。

エレベータの釣合いおもり — 電動機が支えるのは「差分」だけ

巻上機のなかでも、ロープ式エレベータには特有の工夫がある。かご(人や荷物を乗せる部分)の 反対側に、ロープを介して釣合いおもり(カウンターウェイト)をつなぎ、かごが上がれば おもりが下がる、かごが下がればおもりが上がる、という構造になっている。

もし釣合いおもりがなければ、電動機はかご質量と積載質量の合計をまるごと持ち上げなければ ならない。だが釣合いおもりが反対側で常に引っ張り返してくれるため、電動機が実際に支える 必要があるのは、かご側の質量と釣合いおもり側の質量の差(不釣合い質量)だけで済む。

かご質量mcm_c、定格積載質量mLm_L、釣合いおもり質量McwM_{cw}とすると、定格積載時に 電動機が支える正味質量Δm\Delta mは、

Δm=(mc+mL)Mcw\Delta m = (m_c + m_L) - M_{cw}

あとは、このΔm\Delta mを通常の巻上機の式にそのまま当てはめればよい。

Pmotor=Δm×g×vηP_{\text{motor}} = \frac{\Delta m \times g \times v}{\eta}
釣合いおもりの質量は、多くの場合「かご質量に、定格積載質量のある割合(40〜50%程度)を 加えた値」として設計される。積載量が少ないとき・多いときの両方で不釣合い質量が 極端に大きくならないよう、平均的な積載状態を想定してバランスを取っているためだ。 問題文に釣合いおもりの記載があれば、まずその質量を計算し、(かご質量+積載質量)から 差し引いて$\Delta m$を求める、という1段階を巻上機の式の前に必ず挟む。

例題(自作の数値例)

かごの質量300kg、定格積載質量1200kgのロープ式エレベータで、釣合いおもりの質量は、 かごの質量に定格積載質量の50%を加えた値とする。定格積載質量を搭載したかごを 一定速度90m/min(=1.5m/s)で上昇させるときの電動機出力を求める。機械効率は80%とする。

Mcw=300+1200×0.5=900kgM_{cw} = 300 + 1200\times0.5 = 900\text{kg} Δm=(300+1200)900=600kg\Delta m = (300+1200) - 900 = 600\text{kg} Pmotor=600×9.8×1.50.8=88200.811.0kWP_{\text{motor}} = \frac{600\times9.8\times1.5}{0.8} = \frac{8820}{0.8} \approx 11.0\text{kW}

釣合いおもりを考慮せず、かご質量と積載質量の合計1500kgをそのまま使ってしまうと、 所要出力は1500×9.8×1.5/0.827.61500\times9.8\times1.5/0.8\approx27.6kWと、実際の2倍以上に過大評価してしまう。

ポンプの所要動力 — 巻上機と同じ発想で、揚水にも使う

巻上機がロープでおもりを持ち上げる負荷だったのに対し、ポンプは水を高いところへ 汲み上げる負荷だ。持ち上げる対象がおもりから水に変わるだけで、「重力に逆らって 仕事をする」という発想そのものは巻上機とまったく同じになる。

毎分の揚水量QQ[m³/min]、水を持ち上げる高さ(全揚程)HH[m]、ポンプの効率η\etaを 使うと、電動機の所要出力は次の式で求まる。

Pmotor=9.8×Q×H60×η[kW]P_{\text{motor}} = \frac{9.8 \times Q \times H}{60 \times \eta} \quad [\text{kW}]

9.89.8は重力加速度、6060は「毎分」の流量を「毎秒」の流量に直すための換算だ。巻上機の 式Pmotor=mgv/ηP_{\text{motor}}=mgv/\etaと見比べると、質量mmが単位時間あたりに持ち上げる 水の質量(1000×Q/601000\times Q/60[kg/s]、水の密度を10001000kg/m³とした場合)に、速度vvが 「単位時間に高さHHだけ持ち上げる」という動作にそれぞれ置き換わっているだけで、 根っこの考え方は変わらない。

巻上機の式に慣れていると、速度vが最初から[m/s]で与えられる感覚のまま計算しがちだが、 ポンプの流量Qはカタログや問題文で[m³/min](毎分)の単位で与えられることが多い。 9.8QH/ηの式に入れる前に、必ず60で割って[m³/s]相当に換算する——この1手順を 忘れると、答えが60倍もずれてしまう。

例題(自作の数値例)

毎分12m³の水を全揚程6mで汲み上げる排水ポンプがある。ポンプの効率を75%とすると、 必要な電動機出力は、

Pmotor=9.8×12×660×0.75=705.64515.7kWP_{\text{motor}} = \frac{9.8\times12\times6}{60\times0.75} = \frac{705.6}{45} \approx 15.7\text{kW}

現場では、複数台のポンプで同じ排水量を分担させたい場面も多い。設計上の余裕係数 kk(1より大きい値)を見込んだうえで、1台あたりの出力で割れば、必要な台数(端数は 切り上げ)が求まる。

例題(自作の数値例)

毎分20m³の水を全揚程8mで汲み上げる設備がある。1台あたり出力15kW・効率80%の 同一仕様ポンプを、設計製作上の余裕係数1.2を見込んで使用する。

P合計=1.2×9.8×20×860×0.8=1.2×32.6739.2kWP_{\text{合計}} = 1.2\times\frac{9.8\times20\times8}{60\times0.8} = 1.2\times32.67 \approx 39.2\text{kW} 必要台数=39.2152.613\text{必要台数} = \frac{39.2}{15} \approx 2.61 \rightarrow 3\text{台}

巻上機の式と同じく、効率η(<1)で割ることで負荷側の仕事率より大きい値になる、 余裕係数kは1より大きい値をさらに掛ける、端数は切り上げる——という3つの検算ポイントは、 これまで見てきた計算パターンの延長線上にある。

スイッチトリラクタンスモータ(SRM)— 磁石を使わず、鉄の形だけで回る

サーボモータやステッピングモータの多くは、永久磁石を使って高いトルク密度を実現している。 だが近年、ネオジムなど希土類磁石の価格変動・供給リスクを避けるため、磁石を一切使わない 特殊なモータが注目されている——それがスイッチトリラクタンスモータ(SRM)だ。

SRMの固定子巻線は集中巻(各磁極に単純に巻線を集中して巻く方式)で、回転子は 永久磁石も導体巻線も持たない、突極形(凸凹のある形状)の鉄心だけでできている。 固定子の巻線に流す電流をスイッチで順番に切り替えると、回転子の鉄心の突極が、 磁気抵抗(リラクタンス)が最小になる位置——つまり最も近い固定子磁極——に向かって 引き寄せられる。これを連続して繰り返すことで、回転子は回り続ける。

SRMの動作原理は、永久磁石の吸引力でも、誘導電流による力でもなく、「磁気抵抗が 最小になろうとする力」だけで説明できる。回転子に磁石や巻線を持たせる必要が そもそもない、という点がSRMの構造をシンプルにしている理由だ。

回転子が鉄の塊に近い単純な構造のため、機械的に頑丈で高速回転に適しており、また 希土類磁石や(かご形誘導機のような)回転子側の導体を使わずに、鉄心と巻線だけで 磁気回路を構成できるという特長がある。一方で、磁気抵抗の急な変化を利用した動作原理上、 トルクリプル(脈動)は永久磁石形のモータより大きくなりやすいという弱点も持つ。

ブラシレスDCモータ — ブラシを無くし、センサで巻線を切り換える

直流電動機は本来、整流子とブラシによって電機子巻線への接続を機械的に切り替えることで、 回転が進んでも一定方向のトルクを保っていた(前のトピックで見た直流電動機の原理)。 だが整流子とブラシは機械的に接触する部品であるため、摩耗や火花(電気雑音の原因)が 避けられない。ブラシレスDCモータは、この機械的接触部分をまるごと取り除いた構造だ。

ブラシレスDCモータでは、固定子側に巻線を、回転子側に永久磁石を配置する。固定子巻線に 流す電流の向き・タイミングを外部の駆動回路(インバータに近い構成)で切り替えることで、 永久磁石とのあいだにトルクを発生させ続ける。整流子・ブラシが担っていた「接続の切り替え」 という役割を、電子回路が肩代わりしている、と考えるとイメージしやすい。

ただし、この切り替えを正しいタイミングで行うには、回転子が今どの位置にあるかを 知る必要がある。そこでブラシレスDCモータの多くは、ホール素子などの位置センサを内蔵し、 回転子の位置を検出して駆動回路に伝えている。

ブラシレスDCモータのメリットとデメリットは、この「ブラシを無くした代わりに、センサと 制御回路を足した」というトレードオフに集約される。メリットは、機械的接触部分が ないことによる電気雑音の低減とモータの長寿命化。デメリットは、位置センサの信号処理や 駆動用の制御回路が必要になり、周辺回路がブラシ付き直流モータより複雑になる点だ。

ブラシレスDCモータは、この構造上の特徴から効率がよく、エアコンの圧縮機や冷蔵庫の コンプレッサなど、省エネ性能が求められる大型家電製品にも広く利用されている。 「ブラシがない=簡易的な小型モータ」という思い込みで用途を狭く考えないことが大切だ。

小形モータの構造と分類 — 整流子片から、磁石を使わないSynRMまで

サーボモータ・ステッピングモータ・SRM・ブラシレスDCモータと見てきたが、身近な 小形モータの構造をもう一段掘り下げておこう。

小形直流モータの構造 — 永久磁石・電機子・整流子片

電池だけで動く小形直流モータを分解すると、大きく3つの部品からできている。

  • 永久磁石:N極・S極の2個で、回転子(電機子)を取り囲むように配置される
  • 電機子:回転子の溝(スロット)に収められたコイル
  • 整流子片:ブラシと接触しながら回転し、コイルへ流れる電流の向きを切り替える部品
一般に、電機子の溝の数を減らすと、エアギャップの磁束が脈動しやすくなり、トルクの 脈動(リプル)が増える。溝という構造そのものが、磁束の通りやすさに周期的なムラを 生む原因になるためだ。

そこで、希土類系永久磁石(ネオジム磁石など)を使う小形モータでは、溝という 構造そのものをなくしてしまう設計も採られている。希土類磁石は保磁力(外部からの 減磁作用に対する強さ)が大きいため、鉄心のスロットで磁束を無理に集中させなくても、 エアギャップに直接コイルを設けるだけで十分な磁束を確保できる。このコアレス構造 (鉄心の溝を持たない構造)にすると、溝が原因で生じていた磁束の脈動そのものがなくなり、 トルク脈動の低減につながる。

小形同期モータの分類 — SPMSM・IPMSM・SynRM

小形直流モータの発展形として、永久磁石を使った小形の同期モータにも、磁石の 配置によっていくつかの種類がある。

  • SPMSM(Surface Permanent Magnet Synchronous Motor):永久磁石を回転子の 表面に貼り付けた構造
  • IPMSM(Interior Permanent Magnet Synchronous Motor):永久磁石を回転子の 内部に埋め込んだ構造
  • SynRM(Synchronous Reluctance Motor):永久磁石をまったく使わず、 突極性(磁気抵抗の方向による違い)を大きくした鉄心だけで動く構造。原理は 前に見たSRM(スイッチトリラクタンスモータ)と同じ「磁気抵抗最小の位置へ 引き寄せられる力」だが、SynRMは同期電動機として滑らかな回転磁界の中で動く
SPMSM・IPMSM・SynRMの違いは、「永久磁石を回転子の表面に貼るか、内部に埋め込むか、 そもそも磁石を使わないか」という回転子構造の違い1つで整理できる。『同期モータ= 必ず永久磁石を使う』という思い込みがあると、磁石を使わないSynRMの存在を見落として しまう。

小形直流モータは整流子とブラシによって、電池(直流電源)につなぐだけで自動的に 回転方向を切り替えながら回り続けられる。だが小形同期モータ(SPMSM・IPMSM・SynRM)は、 整流子のような機械的な仕組みを持たないため、円滑な始動が難しい——固定周波数の 交流電源にそのままつないでも、回転子が同期速度に追従できず自力で始動できないことが 多い。そのため小形同期モータは、始動から運転まで周波数と電圧を自在に制御できる インバータによって駆動されるのが一般的だ。

はずみ車(フライホイール)— 回転運動にエネルギーを蓄える

プレス機や圧延機のように、瞬間的に大きなトルクを必要とする一方で、平均的な負荷はそれほど大きくない設備では、電動機と負荷の間にはずみ車(フライホイール)と呼ばれる、重い円盤状の部品を組み込むことがある。電動機が比較的小さな出力でゆっくり加速しながらはずみ車を回し続け、そこに蓄えたエネルギーを、負荷が瞬間的に必要とするタイミングでまとめて放出させる、という使い方だ。

この仕組みを式で追うには、まず回転速度・角速度・トルクの関係を整理しておく必要がある。回転速度NN[min⁻¹](毎分の回転数)は、まず毎秒の回転数nn[s⁻¹]に直し、そこから角速度ω\omega[rad/s]に変換する。

n=N60,ω=2πnn = \frac{N}{60}, \qquad \omega = 2\pi n

電動機が出力PP[W]を出しているとき、そのときのトルクTT[N・m]は、出力を角速度で割って求まる。

T=PωT = \frac{P}{\omega}

例題

回転速度3000min⁻¹で回転している軸の角速度は何rad/sか。

n=300060=50s1,ω=2π×50314rad/sn = \frac{3000}{60} = 50\text{s}^{-1}, \qquad \omega = 2\pi \times 50 \approx 314\text{rad/s}
回転速度[min⁻¹]をそのまま角速度[rad/s]として式に代入しないこと。必ず「毎秒の回転数に直す(÷60)→角速度に変換する(×2π)」という2段階の変換を経てから使う。

電動機がはずみ車を加速し続け、慣性モーメントII[kg・m²]のはずみ車が角速度ω0\omega_0[rad/s]に達したとき、はずみ車に蓄えられている運動エネルギーEE[J]は、次の式で求まる。

E=12Iω02E = \frac{1}{2}I\omega_0^2

直線運動の運動エネルギーの式12mv2\frac{1}{2}mv^2と形はそっくりで、質量mmが慣性モーメントIIに、速度vvが角速度ω\omegaに置き換わっているだけだ。

例題(自作の数値例)

電動機ではずみ車を加速し、慣性モーメント4kg・m²のはずみ車の角速度が100rad/sに達した。このときはずみ車に蓄えられている運動エネルギーを求める。

E=12×4×1002=2×10000=20000J=20kJE = \frac{1}{2}\times4\times100^2 = 2\times10000 = 20000\text{J} = 20\text{kJ}
運動エネルギーの式で角速度ωを2乗し忘れる誤りは、直線運動の(1/2)mv²と同じ形だと意識していれば防ぎやすい。速度vを2乗するのと同じように、角速度ωも必ず2乗してから慣性モーメントIと掛け合わせる。

実務との接点 — エンコーダ配線とノイズ対策

サーボモータを使う設備では、動力用の配線(モータへ電流を送る主回路)とは別に、 エンコーダからの信号線を制御盤側まで引き回す必要がある。この信号線は電圧・電流が 小さく、動力線からのノイズの影響を受けやすいため、シールド付きケーブルを使い、 シールドを片端で確実に接地するといった配慮が実務上欠かせない。エンコーダ配線の シールド処理が甘いと、ノイズによって検出値が乱れ、フィードバック制御そのものが 不安定になる——検出器の重要性は、配線材料の選定という電材業界の実務にも直結している。

メカトロニクスとは、この「検出器(センサ)」「制御器(コントローラ)」「駆動源 (アクチュエータ)」という3要素が組み合わさって、機械を電気的に精密に動かす技術分野 全体を指す言葉だ。サーボモータとステッピングモータの違いは、その中でも検出器の 有無という最も基本的な分岐点にある。

冒頭のエンコーダケーブルの正体、答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. ステッピングモータとサーボモータの違いを、単に『モータの構造の違い』だと思い込み、フィードバックの有無という制御方式の違いだと理解しない

    なぜ引っかかるどちらも『指令通りに正確に位置決めできるモータ』という結果だけを見ると、内部で検出器を使っているかどうかの違いに気づきにくい。名前も似ているため、混同したまま覚えてしまいやすい。

    見破り方『検出器(エンコーダ)を持つか、持たないか』を必ず最初に確認する。持つ=クローズドループ=サーボモータ、持たない=オープンループ=ステッピングモータ、という対応で整理する。

  2. 検出器(エンコーダ)の役割を『回転数を数えるだけの部品』と誤解し、フィードバック制御全体の中での位置づけを見落とす

    なぜ引っかかるエンコーダ単体の機能(回転角・回転数を検出する)だけに注目すると、その検出値が制御器に戻され、目標値との差(偏差)を作るために使われているという、制御ループ全体の中での役割を見失う。

    見破り方エンコーダの検出値が、どこへ戻され、何と比較されているか(制御器で目標値と比較され、偏差が作られている)まで、信号の流れを線でたどって確認する。

  3. 『ステッピングモータは検出器がないから、脱調のような異常も起こらないはずだ』と誤解する

    なぜ引っかかる検出器がないことを『単純だから壊れにくい』という安全のイメージと結びつけてしまうと、実際には検出器がないからこそ異常(脱調)に自ら気づけないという逆の事実を見落とす。

    見破り方オープンループ(ステッピング)かクローズドループ(サーボ)かを先に見極め、『検出器がない=異常を検知する手段がない』という関係で挙動を判断する。

  4. 減速機を通すと『回転速度もトルクも両方とも変わる』ことは覚えていても、動力(仕事率)まで減速比Nの分だけ大きくなる、あるいは変わらないまま保存されると誤解する

    なぜ引っかかる回転速度が1/N、トルクがN倍という2つの変化を暗記すると、掛け算した動力P=Tωも何らかの形でN倍になりそうだと直感的に感じてしまう。実際には1/NとNが打ち消し合って動力はほぼ一定になる、という掛け算の構造まで意識が及ばない。

    見破り方回転速度とトルクの変化を別々に覚えず、必ずP=Tωの式に数値を代入して確認する。理想的には動力は変わらず、実際には効率η(<1)の分だけ小さくなる、という一段階だけの変化であることを式で検算する。

  5. 巻上機の電動機出力を計算するとき、機械効率ηを『掛ける』のか『割る』のか迷い、負荷側の仕事率にηをそのまま掛けてしまう

    なぜ引っかかる『効率が悪いほど値が小さくなる』というイメージから、常に効率を掛け算すればよいと思い込みやすい。だが電動機(入力側)は、摩擦などの損失を補うために、負荷側で必要な仕事率よりも大きな出力を出さなければならない。

    見破り方『損失がある以上、入力側の出力は負荷側の仕事率より必ず大きくなるはず』という不等号の向きを先に確認する。負荷側の仕事率(mgv)を効率η(<1)で割ると、それより大きい電動機出力が求まる——この向きで検算すれば取り違えない。

  6. エレベータの電動機出力を計算するとき、釣合いおもりの存在を忘れ、かごの質量と積載質量の合計をそのまま巻上機の式P=mgv/ηに代入してしまう

    なぜ引っかかる巻上機の基本式に慣れていると、エレベータもただの巻上機の一種として、かごと積載物の全質量をそのまま使ってしまいやすい。だが実際のロープ式エレベータには反対側に釣合いおもりが常についており、電動機が支えるのはかご側と釣合いおもり側の質量差(不釣合い質量)だけである。

    見破り方問題文に『釣合いおもり』の記載があるかを必ず確認する。あれば、まず釣合いおもりの質量を求め、Δm=(かご質量+積載質量)-釣合いおもり質量で正味質量を先に計算してから、通常の巻上機の式Δm×g×v/ηに当てはめる、という1段階を追加する。

  7. ポンプの所要動力計算で、毎分の揚水量Q[m³/min]をそのまま9.8QH/ηの式に代入し、分→秒の単位換算(÷60)を忘れてしまう

    なぜ引っかかる巻上機の式P=mgv/ηでは速度vが最初から[m/s]で与えられることが多いため、その感覚のままポンプの式に取り組むと、カタログや問題文でよく使われる『毎分の流量Q[m³/min]』という単位をそのまま使ってしまい、÷60の換算を忘れやすい。

    見破り方式に代入する前に、流量Qの単位が[m³/min]か[m³/s]かを必ず確認する。[m³/min]で与えられていれば、9.8QH/ηの前に必ず60で割って秒あたりに直してから代入する、という1手順を固定の型として持っておく。

  8. 希土類磁石の保磁力が大きいこととコアレス構造の関係を逆に考え、保磁力が小さいほどスロットが不要になると誤解する、あるいはSPMSM・IPMSM・SynRMの違いを永久磁石の有無だけで判断し、SynRMにも磁石があると思い込む

    なぜ引っかかる『保磁力』という言葉になじみが薄いと、大小の効き方を逆に覚えやすい。また『同期モータ=永久磁石を使う』という思い込みがあると、永久磁石を使わないSynRM(シンクロナスリラクタンスモータ)の存在を見落とし、回転子の構造(表面か内部か埋込か)による分類だと誤解しやすい。

    見破り方保磁力が大きい(外部からの減磁作用に強い)希土類磁石だからこそ、鉄心のスロットで磁束を集中させなくても十分な磁束を確保でき、コアレス構造が成立する、という順番で理屈をたどる。SPMSM・IPMSM・SynRMの3つは『永久磁石を回転子の表面に貼るか(SPMSM)、内部に埋め込むか(IPMSM)、そもそも磁石を使わず鉄心の突極性だけで動くか(SynRM)』という回転子構造の違いで区別する。

  9. SRMの回転子にも、永久磁石や導体巻線があると誤解する

    なぜ引っかかる『モータ=回転子にも何らかの電気的な仕掛けがある』という一般的なモータのイメージから、SRMの回転子にも永久磁石か巻線があるはずだと思い込みやすい。実際には回転子は鉄心の形(突極)だけで機能する、非常にシンプルな構造である。

    見破り方SRMの原理は『磁気抵抗(リラクタンス)が最小になろうとする力』だけで説明できることを思い出す。永久磁石による吸引力や、誘導電流による力ではなく、鉄心の形状そのものが磁束の通りやすさを変えることで力を生む——この一点だけで、回転子に磁石や巻線が不要な理由が説明できる。

  10. ブラシレスDCモータは効率がよくないという印象から、エアコンや冷蔵庫のような省エネ性能が求められる大型家電製品には使われていないと誤解する

    なぜ引っかかる『ブラシがない=簡易的な小型モータ』という漠然としたイメージから、効率や適用範囲を過小評価しやすい。実際にはブラシ付き直流モータの機械的接触による損失(ブラシの摩擦・電気的接触抵抗)がないぶん、むしろ高効率な部類のモータである。

    見破り方ブラシレスDCモータの実際の採用例を思い出す。エアコンの圧縮機や冷蔵庫のコンプレッサなど、省エネ性能が特に重視される大型家電製品でこそ、ブラシレスDCモータが広く採用されている——効率の良し悪しは、モータの大きさや構造の単純さではなく、機械的な接触損失の有無で判断する。

  11. はずみ車の運動エネルギーE=(1/2)Iω²で、角速度ωを2乗し忘れる、または回転速度N[min⁻¹]をそのままωに代入してしまう

    なぜ引っかかる運動エネルギーの式の形(1/2 × 質量 × 速度²)を直線運動の公式(1/2)mv²から類推すると角速度ωの2乗はイメージしやすいが、実際の計算では回転速度N[min⁻¹]を角速度ω[rad/s]に変換する手順(N→n=N/60→ω=2πn)を1段飛ばしてNをそのままωとして2乗してしまいやすい。

    見破り方式を立てる前に、与えられた回転速度の単位が min⁻¹(毎分の回転数)か rad/s(角速度)かを必ず確認する。min⁻¹であれば、n=N/60で毎秒の回転数に直し、さらにω=2πnで角速度に変換してから2乗する、という2段階の変換を省略しない。

参考文献・出典

理解度チェック(22問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、22問で確認しよう。 内訳は基本11問・応用7問・ひっかけ4問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 22 問正解

覚えておきたいポイント

  1. サーボモータは、位置・速度などの出力を検出器(エンコーダ等)でフィードバックし、目標値との偏差をゼロに近づける「クローズドループ制御」で動く
  2. フィードバック制御の基本は「偏差=目標値-検出値」を作り、それを打ち消す向きに操作量を出す仕組みの繰り返し
  3. ステッピングモータは検出器を持たない「オープンループ制御」。指令パルス数どおりに回転する前提で動くため、過負荷などで脱調しても自ら気づけない
  4. エンコーダ故障などでフィードバック信号が失われると、偏差が実際より大きく計算され続け、暴走的な動作につながる恐れがある
  5. メカトロニクスは、検出器(センサ)・制御器(コントローラ)・駆動源(アクチュエータ)の3要素が組み合わさって初めて成立する
  6. ステッピングモータの回転速度はパルスの周波数に比例する。回転角度がパルス数で決まるのと同様に、単位時間あたりのパルス数(周波数)が回転速度を決める
  7. 永久磁石形ステッピングモータは、電源を切った無通電状態でも、永久磁石の磁極とステータ磁極の間に働く磁気的な力(保持力)によって、ある程度回転子の位置を保持できる
  8. 電動機の出力軸に減速機(歯車)を入れると、回転速度は減速比Nの逆数(1/N)になり、トルクはN倍になる。動力(仕事率)は理想的には変わらないが、実際には減速機の効率η分だけ目減りする
  9. 動力Pはトルクと角速度の積 P=Tω で表され、減速機を通しても入力側と出力側で(効率分を除けば)動力は保存される——回転速度とトルクが逆比例の関係でトレードオフしているだけだ
  10. 巻上機のように直線運動でおもりを持ち上げる負荷では、必要な力はF=mg(質量×重力加速度)、仕事率はP=Fv(力×速度)で求まる。電動機側は機械効率ηの分だけ余分に出力する必要があるため、電動機の所要出力はP_motor = mgv/η
  11. ロープ式エレベータには、かごと反対側に釣合いおもり(カウンターウェイト)がつながっており、電動機が実際に支える正味質量はΔm=(かご質量+積載質量)-釣合いおもり質量に軽減される。所要動力はこの正味質量を使ってP_motor=Δm×g×v/ηで求める
  12. ポンプで水を汲み上げる所要動力も、巻上機と同じ『重力に逆らって仕事をする』発想で計算できる。毎分の揚水量Q[m³/min]・全揚程H[m]・ポンプ効率ηを使うと、電動機の所要出力はP[kW]=9.8QH/(60η)で求まる(9.8は重力加速度、60は分→秒の換算)。設計上の余裕を見込む場合は、この値にさらに余裕係数k(1より大きい値)を掛ける
  13. SRM(スイッチトリラクタンスモータ)は、固定子が集中巻、回転子が永久磁石も巻線も持たない突極形の鉄心のみの構造。固定子の電流をスイッチで切り替え、回転子の突極を磁気抵抗最小の位置へ順番に引き寄せて回転する。回転子が単純で頑丈なため高速回転に向き、ネオジムなどの希土類磁石を使わずに済む
  14. ブラシレスDCモータは、固定子巻線に流す電流と回転子に取り付けた永久磁石とでトルクを発生させる。ブラシ付き直流モータのような整流子・ブラシによる機械的接触部分がないため、火花による電気雑音が低減しモータの寿命も長くなる一方、回転子の位置に応じて通電する巻線を切り換える必要があり、ホール素子などのセンサで回転子位置を検出する仕組みと、位置センサの信号処理・駆動用の制御回路が別途必要になる(周辺回路はブラシ付き直流モータより複雑になる)
  15. ブラシレスDCモータは効率がよく、エアコンの圧縮機や冷蔵庫のコンプレッサなど、省エネ性能が求められる大型家電製品にも広く利用されている
  16. 小形直流モータは、N極・S極の永久磁石、電機子(回転子の溝に収めたコイル)、整流子片(ブラシと接触してコイルへの通電方向を切り替える部品)で構成される。溝(スロット)の数を減らすとエアギャップの磁束が脈動しやすくなりトルク脈動が増えるが、希土類系永久磁石は保磁力が大きく外部の減磁作用に強いため、鉄心のスロットで磁束を集中させなくても十分な磁束を確保でき、溝そのものをなくしてエアギャップに直接コイルを設ける(コアレス構造にする)ことでトルク脈動を低減した小形モータも作られている
  17. 永久磁石の配置による小形同期モータの分類:永久磁石を回転子の表面に貼り付けたSPMSM(表面磁石形同期モータ)、永久磁石を回転子内部に埋め込んだIPMSM(埋込磁石形同期モータ)、永久磁石を使わず突極性を大きくした鉄心だけで動くSynRM(シンクロナスリラクタンスモータ)の3種類がある。小形直流モータは電池だけで運転できるが、小形同期モータ(SPMSM・IPMSM・SynRM)は円滑な始動が難しいため、インバータによって運転される
  18. 回転速度N[min⁻¹]は毎秒の回転数n=N/60[s⁻¹]に、角速度はω=2πn[rad/s]に変換できる。電動機の出力P[W]とトルクT[N・m]の関係はT=P/ω。はずみ車(フライホイール)に蓄えられる運動エネルギーE[J]は、慣性モーメントI[kg・m²]と角速度ω[rad/s]を使ってE=(1/2)Iω²で求まる
Xでシェア
打ち合わせを予約 見積依頼