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変圧器の効率とV結線・並行運転

読み終えると、こうなる

変圧器の負荷が軽いときと重いときで、なぜ効率の良し悪しが変わるのかを損失の中身から説明でき、キュービクルで複数の変圧器を組み合わせる意味を構造から理解できるようになる

  • 鉄損・銅損・出力から変圧器の効率を計算し、最大効率になる負荷率を求められる。百分率抵抗降下・百分率リアクタンス降下から電圧変動率の近似値も計算できる
  • 単相変圧器2台をV結線したときの三相出力容量を、Δ結線と比較して計算でき、三相三巻線変圧器の三次巻線(調相用コンデンサ等)が一次側の電流・無効電力にどう影響するかも計算できる。三相変圧器の一次・二次の結線方式(Y-Y、Δ-Δ、Y-Δ)の組合せによって、一次電圧に対する二次電圧の位相変位(角変位)が生じるかどうかも判断でき、単相変圧器2台で三相を二相に変換するスコット結線の目的・構成もV結線と区別して説明できる
  • 変圧器を並行運転させるための4条件を挙げ、条件が崩れたときに何が起きるか(巻数比の差による循環電流や、%インピーダンスの差による負荷分担の偏りなど)を、計算を含めて説明できる
  • 負荷率・力率の変化が出力・効率に与える影響を計算でき、規約効率計算のための巻線抵抗の温度換算(235+T:235+t)もできる
考えてみよう

キュービクルの中には、単相変圧器を2台だけ使って三相を作る配線を見かけることがある。 3台使えば済むところを、あえて2台にしている。しかもその2台の出力容量は、単純に 「2台分」にはならないという。

さらに、大きな負荷に対応するために変圧器を2台以上並べて同時に運転する現場もある。 このとき、条件がそろっていないと、片方の変圧器だけが過負荷になって焼けてしまう ことがあるという。変圧器の「効率」「V結線」「並行運転」——このどれもが、 等価回路のどの値が一致しているか・していないかで結果が決まる。

このトピックを読み終えるころには、変圧器の効率が最大になる負荷点を計算し、 V結線の出力容量を求め、並行運転の条件が崩れたときに何が起きるかを説明できるように なっている。

種明かしは、鉄損と銅損という性質の違う2つの損失、そして電圧比と%インピーダンスという 2つの一致条件にある。

効率 — 鉄損と銅損が釣り合う負荷率で最大になる

変圧器の損失は大きく2種類に分けられる。

  • 鉄損(無負荷損) — 鉄心を磁化することで生じる損失(ヒステリシス損・うず電流損)。 一次電圧が一定であれば、負荷の大小に関係なくほぼ一定の値で発生し続ける。
  • 銅損(負荷損) — 巻線の抵抗によるジュール熱。負荷電流の2乗に比例して増減する。

効率は「出力÷(出力+損失の合計)」で求まる。

η=P出力P出力+Pi+Pc\eta = \frac{P_{\text{出力}}}{P_{\text{出力}} + P_i + P_c}

ここで PiP_i は鉄損、PcP_c は銅損。銅損は負荷率 mm(定格に対する負荷の割合)の2乗に 比例して変化するため、Pc=m2×Pc(定格)P_c = m^2 \times P_{c(\text{定格})} と表せる。

例題

出力4000W、鉄損100W、銅損100Wで運転している変圧器の効率は何%か。

η=40004000+100+100=400042000.952495.2%\eta = \frac{4000}{4000+100+100} = \frac{4000}{4200} \approx 0.9524 \rightarrow 95.2\%
効率は負荷率に対して「山型」のカーブを描く。負荷が小さすぎれば、一定でかかり続ける 鉄損の割合が相対的に重くなり効率が下がる。負荷が大きすぎれば、負荷の2乗で増える 銅損が支配的になり効率が下がる。両者がちょうど釣り合う(鉄損=銅損)負荷率のところに 効率最大の山の頂点がある。

定格負荷時の鉄損が PiP_i、定格負荷時の銅損が Pc(定格)P_{c(\text{定格})} であるとき、 効率が最大になる負荷率 mm は、Pi=m2×Pc(定格)P_i = m^2 \times P_{c(\text{定格})} を解いて求まる。

m=PiPc(定格)m = \sqrt{\frac{P_i}{P_{c(\text{定格})}}}

鉄損100W、定格負荷時の銅損400Wの変圧器なら、m=100/400=0.25=0.5m=\sqrt{100/400}=\sqrt{0.25}=0.5、 つまり定格の50%の負荷で運転しているときに効率が最大になる。

力率が変わると、効率も変わる — 損失は一定、出力だけが力率に応じて動く

ここまでは「負荷率mm(定格に対する電流の割合)が変わると効率がどう動くか」を見てきた。 では、負荷率(電流の大きさ)は変えずに、力率だけが変わったらどうなるか。

同じ電流が流れている限り、鉄損も銅損もほぼ変わらない——損失は電流の大きさで決まり、 力率にはほぼ関係しないからだ。一方で、変圧器が実際に送り出す出力(有効電力)は 皮相電力に力率cosφ\cos\varphiをかけた値であり、力率が下がれば出力もそのまま比例して 下がる。つまり効率の式η=P出力/(P出力+Pi+Pc)\eta = P_{\text{出力}}/(P_{\text{出力}}+P_i+P_c)のうち、 分母(損失)は据え置きのまま、分子(出力)だけが力率に応じて小さくなるため、 力率が下がると効率も下がる。

「負荷率が変わる」ときと「力率が変わる」ときでは、効率が変化する理由がまったく違う。 負荷率が変わると銅損(分母側)が負荷率の2乗で動くのに対し、力率が変わると損失は 据え置きのまま出力(分子側)だけが動く。どちらの場合も効率は下がったり上がったり するが、「何が動いて効率を変えているのか」を区別しておかないと、力率の問題に 負荷率の理屈をそのまま当てはめて計算を誤る。

例題(自作の数値例)

ある変圧器の全負荷力率100%における全負荷効率は96%である。全負荷力率75%における 全負荷効率を求める。

全負荷力率100%のとき、出力を基準値100とすると、

η=100100+Ploss=0.96Ploss=1000.961004.17\eta = \frac{100}{100+P_{\text{loss}}} = 0.96 \quad\Rightarrow\quad P_{\text{loss}} = \frac{100}{0.96}-100 \approx 4.17

全負荷力率75%でも、流れる電流の大きさ(=全負荷)は変わらないため損失は同じ4.17の まま。出力だけが力率に比例して75に変わる。

η=7575+4.17=7579.170.94794.7%\eta' = \frac{75}{75+4.17} = \frac{75}{79.17} \approx 0.947 \rightarrow 94.7\%

巻線抵抗の温度換算 — 規約効率を「同じ土俵」で比較するために

変圧器の巻線抵抗は、測定した瞬間の温度によって値が変わる。抵抗体(銅)は温度が上がるほど抵抗値が大きくなる性質を持つため、真夏に測った抵抗値と真冬に測った抵抗値は、同じ変圧器でも異なる値になってしまう。これでは異なる変圧器どうしの効率を公平に比較できないため、規約効率を計算する際は、巻線抵抗の値を基準温度(銅巻線の場合は75℃)に補正してから使うと定められている。

温度TT[℃]における抵抗値と、温度tt[℃]における抵抗値の比は、次の式で表される(銅導体の場合)。

RT:Rt=(235+T):(235+t)R_T : R_t = (235+T) : (235+t)
235という定数を忘れて、単純な比例(温度の比そのもの)だと勘違いしないこと。銅の抵抗値は、理論上およそ−235℃でゼロに近づくという性質があり、235+Tという形は「その理論上のゼロ点から、今の温度までどれだけ離れているか」を表していると考えると、定数235を思い出しやすい。

例題(自作の数値例)

ある変圧器の巻線の温度と抵抗値を測ったところ、20℃のとき2.0Ωであった。この巻線を規約効率計算の基準温度である75℃に補正した抵抗値を求める。

R75=R20×235+75235+20=2.0×3102552.43ΩR_{75} = R_{20} \times \frac{235+75}{235+20} = 2.0 \times \frac{310}{255} \approx 2.43\,\Omega

補正の向き(分子・分母のどちらに75、どちらに20を置くか)を迷ったら、「温度が上がれば抵抗値も大きくなるはず」という不等号の向きで検算する。20℃から75℃(高温側)へ補正するのだから、答えは元の2.0Ωより大きくなっていなければならない。

電圧変動率 — 無負荷時と全負荷時で、電圧はどれだけ変わるか

変圧器に負荷をかけると、巻線の抵抗・漏れリアクタンスによる電圧降下のぶんだけ、二次側の 端子電圧は無負荷時よりわずかに低下する(力率によっては上昇することもある)。この 変化の割合を電圧変動率ε\varepsilonという。

厳密な計算には等価回路の抵抗・リアクタンスと負荷電流の位相関係を追う必要があるが、 実務では次の近似式で済ませることが多い。

εpcosφ+qsinφ\varepsilon \approx p\cos\varphi + q\sin\varphi
  • pp百分率抵抗降下。定格電流を流したときの巻線抵抗による電圧降下を、定格電圧に対する 割合[%]で表したもの。全負荷時の銅損PcP_cと定格容量PnP_nから p=(Pc/Pn)×100p=(P_c/P_n)\times100 で求まる
  • qq百分率リアクタンス降下。漏れリアクタンスによる電圧降下を、同じく定格電圧に 対する割合[%]で表したもの
  • φ\varphi:負荷の力率角(力率cosφ\cos\varphiに対応する角度)
力率1.0($\cos\varphi=1$、$\sin\varphi=0$)の全負荷では、$q\sin\varphi$の項がそのまま ゼロになるため、電圧変動率は$\varepsilon\approx p$だけで求まる——リアクタンス分$q$の値が 分からなくても、銅損と定格容量さえ分かれば近似計算できる、という点がこの近似式の 実務上の使い勝手のよさだ。

例題(自作の数値例)

定格容量300kV・Aの単相変圧器があり、力率1.0の全負荷における全負荷銅損が4.5kWだった。

p=4500300000×100=1.5%p = \frac{4500}{300000}\times100 = 1.5\%

力率1.0なのでsinφ=0\sin\varphi=0、電圧変動率はεp=1.5%\varepsilon\approx p=1.5\%

力率が1.0でない場合は、qsinφq\sin\varphiの項も足し合わせる必要がある。百分率抵抗降下 p=2%p=2\%、百分率リアクタンス降下q=4%q=4\%の変圧器に、力率0.8(遅れ、cosφ=0.8\cos\varphi=0.8sinφ=0.6\sin\varphi=0.6)の定格負荷を接続したときは、

ε2×0.8+4×0.6=1.6+2.4=4.0%\varepsilon \approx 2\times0.8 + 4\times0.6 = 1.6+2.4 = 4.0\%
力率1.0のときだけ$q$の項が消える特別なケースだと覚えておく。力率が1.0でない負荷 (遅れ力率・進み力率)を扱う設問では、$q\sin\varphi$の項を忘れずに足し合わせること。 迷ったら、まず力率角の$\cos\varphi$・$\sin\varphi$の具体的な数値を先に書き出してから 近似式に代入すると、項の消し忘れを防げる。

V結線 — 単相変圧器2台で三相を作ると、出力は「2台分」にはならない

単相変圧器を3台使ってΔ(デルタ)結線にすれば、三相の出力容量は単純に「1台の容量×3」 になる。ところが、Δ結線の1台が故障・保守などで使えないとき、残った2台をV字型に つなぐだけで、電圧・位相が正しい三相電源を作り続けることができる——これがV結線だ。

ただしV結線の出力容量は、2台の合計容量(1台の容量×2)にはならない。電圧・電流の 位相関係から、実際に取り出せる三相出力は次の式になる。

PV=3×P1P_V = \sqrt{3} \times P_1

P1P_1 は単相変圧器1台の容量。2台の合計容量 2P12P_1 に対する比率(利用率)は 3/20.866\sqrt{3}/2 \approx 0.866、つまり2台の設備を持ちながら、その86.6%しか 実際には使い切れない。

例題

定格容量50kVAの単相変圧器2台をV結線したときの三相出力容量は何kVAか。

PV=3×5086.6kVAP_V = \sqrt{3} \times 50 \approx 86.6\text{kVA}
V結線の出力を「2台分=100kVA」と早合点しないこと。Δ結線(3台)の出力($3P_1$)と 比べると、V結線の出力は $\sqrt{3}P_1 / 3P_1 = 1/\sqrt{3} \approx 0.577$ 倍、 つまり57.7%にしかならない。1台故障時の応急運転(V結線)は容量が目減りする、 という前提を押さえておく必要がある。

V結線の負荷率から負荷損を逆算する — 分母は「V結線全体の定格容量」

効率の節で見た「銅損(負荷損)は負荷率の2乗に比例する」という考え方は、V結線にも そのまま当てはまる。ただし負荷率を計算するときの分母を、2台の合計容量2P12P_1と 取り違えないことが重要だ。V結線が実際に出せる定格容量は前節で見たPV=3P1P_V=\sqrt3 P_1 なので、負荷率mmはこれを分母にして求める。

m=S3P1m = \frac{S}{\sqrt3 P_1}

SSは実際にV結線にかかっている三相負荷。負荷率が求まれば、通常の効率計算と同じく、 負荷損(銅損)は負荷率の2乗に比例する。

Pc=m2×Pc(full)P_c = m^2 \times P_{c(\text{full})}

Pc(full)P_{c(\text{full})}は、V結線がちょうど定格容量3P1\sqrt3 P_1を負担したとき——言い換えれば 各変圧器がそれぞれ自身の定格電流で運転しているとき——の銅損の合計(2台分)を指す。

例題(自作の数値例)

定格容量50kVAの単相変圧器2台をV結線している。各変圧器は、自身の定格電流で運転した ときの銅損(全負荷銅損)が800Wである。この2台のV結線に、実際に70kVAの三相負荷が かかっているとき、負荷損(銅損の合計)を求める。

まず、V結線全体の定格容量を求める。

PV=3×5086.6kVAP_V = \sqrt3 \times 50 \approx 86.6\text{kVA}

これを分母にして負荷率を求める。

m=7086.60.808m = \frac{70}{86.6} \approx 0.808

各変圧器の全負荷銅損800Wが2台分でPc(full)=1600P_{c(\text{full})}=1600W。負荷率の2乗をかけると、

Pc=m2×Pc(full)0.8082×16000.653×16001045WP_c = m^2 \times P_{c(\text{full})} \approx 0.808^2 \times 1600 \approx 0.653\times1600 \approx 1045\text{W}
この計算でつまずきやすいのは、$m$の分母を「2台の合計容量$2P_1=100$kVA」にしてしまう ことだ。V結線はそもそも2台の設備を持ちながら出力は$\sqrt3 P_1\approx86.6$kVAにしか ならない(利用率86.6%)という前節の結論を思い出せば、負荷率の基準もこの86.6kVAに 揃えるのが自然だと確認できる。分母を100kVAで計算すると、$m=70/100=0.7$となり、 負荷率も負荷損も本来より小さく見積もってしまう。

スコット結線 — 三相を「二相」に変えて、単相負荷の不平衡を抑える

V結線は「単相変圧器2台で三相をそのまま出力する」結線だったが、同じく単相変圧器2台を 使いながら、まったく別の目的を持つ結線がスコット結線だ。スコット結線は、三相3線式の 電源を、位相が90°ずれた2つの単相(二相)電源に変換する。

スコット結線は、役割の異なる2台の単相変圧器で構成される。

  • 主座変圧器:一次巻線の中点にタップを持ち、三相のうち2相間に接続される
  • T座変圧器:一次巻線の3/2\sqrt3/2(約86.6%)の位置にタップを持ち、主座変圧器の 中点タップと、残り1相の間に接続される

この構成により、二次側には位相が90°ずれた2つの単相電圧が現れる。

V結線とスコット結線は「単相変圧器2台を使う特殊結線」という共通点だけを見ると混同しやすい。 だが出力の形態がまったく違う——V結線の出力は**三相のまま**(3台構成の代わりに2台で 間に合わせる)、スコット結線の出力は**二相**(90°位相差の2つの単相)に変換される。 出力が三相のままか、相数そのものが変わるかで区別する。

スコット結線の代表的な用途は、電気鉄道のき電用変圧器だ。新幹線や在来線の電車は 単相交流で駆動されるが、これに電力を供給する変電所は三相電源から受電している。 三相のうち1相だけから大容量の単相負荷(電車)を直接取り出すと、その相にだけ電流が 集中し、三相電源側に大きな不平衡が生じてしまう。

そこでスコット結線を使い、三相電源をいったん二相(90°位相差の2つの単相)に変換したうえで、 2つの単相負荷(例えば上り線用・下り線用の饋電区間)にできるだけ均等に振り分ける。 二相側の2つの負荷の大きさがそろっていれば、三相電源側から見た負荷の偏りが打ち消し合い、 三相電源に生じる不平衡を緩和できる。

「三相の1相だけから単相負荷を取ると不平衡になる」という問題そのものは、スコット結線を 使っても完全にはなくならない。だが二相に変換したうえで**二相側の負荷を平衡させる**という 1手間を挟むことで、三相電源側に現れる不平衡の度合いを小さく抑えられる——これがスコット 結線が「相数変換」の手段としてだけでなく、「不平衡対策」としても使われる理由だ。

結線方式の組合せと位相変位 — Y-Y・Δ-Δ・Y-Δで何が変わるか

単相変圧器を3台使って三相結線を作るとき、一次側・二次側それぞれをY結線にするかΔ結線に するかで、いくつかの組合せ(Y-Y、Δ-Δ、Y-Δ、Δ-Y)ができる。この組合せによって、電圧の 大きさの変換比だけでなく、一次電圧に対する二次電圧の位相のズレ(位相変位・角変位)が 生じるかどうかも変わる。

  • 一次・二次が同じ結線方式(Y-Y、Δ-Δ):相電圧と線間電圧の対応関係が一次・二次で 変わらないため、位相変位は生じない(0)。
  • 一次・二次が異なる結線方式(Y-Δ、Δ-Y):Y結線では線間電圧が相電圧の√3倍になるのに 対し、Δ結線では線間電圧=相電圧のまま。この対応関係の違いから、電圧の大きさの変換 (√3倍)に加えて、30°(π/6 rad)の位相変位が生じる。
Y-Δ変換というと、真っ先に思い浮かぶのは相電圧・線間電圧の「大きさ」の変換(√3倍)だ。 だがそれだけで満足すると、結線が変わることで同時に生じる「位相(角度)」のズレを 見落としやすい。一次・二次の結線方式が異なるかどうかをまず確認し、異なっていれば 大きさの変換と位相変位(30°)の両方をセットで扱う、という手順を固定しておく。進みに なるか遅れになるかは、巻線の巻き方向・結線の取り方(極性)によって決まるため、実際の 向きは結線図の極性表示で確認する必要がある。
実務上、変圧器を並行運転させる条件(このあとの節で見る4条件)にも、この位相変位が 関わってくる。三相変圧器のJIS規格には、角変位を「0号」「6号(180°)」「11号(±30°)」 のような記号で表す表示があり、並行運転させる2台の変圧器は、電圧比や%インピーダンスだけ でなく、この角変位の号数(結線の組合せ)もそろっている必要がある。

三相三巻線変圧器 — 三次巻線で無効電力を肩代わりする

これまで見てきた変圧器は一次・二次の2つの巻線だけを持つ構造だったが、三相三巻線変圧器は これに加えて三次巻線(多くは△結線)を持つ。三次巻線には、調相設備(進相コンデンサや 分路リアクトル)や所内の低圧負荷などを接続できる。

三次巻線に進相コンデンサを接続すると、二次側の誘導性負荷が必要とする遅れ無効電力の 一部を、三次側のコンデンサが供給する進み無効電力で肩代わりできる。二次側と三次側の 無効電力が打ち消し合う結果、一次側から見た無効電力・電流が小さくなる——これは、 前のトピックで見た「同期調相機(過励磁の同期電動機)」が力率改善に使われるのと同じ発想が、 変圧器の三次巻線という形で実現されているものだ。

漏れインピーダンス・励磁電流・損失を無視できる場合、一次電流は次の手順で求める。

  1. 二次側の負荷から、有効電力P2P_2と無効電力Q2Q_2を求める
  2. 三次側のコンデンサが供給する無効電力Q3Q_3を、Q2Q_2から差し引く(三次側は進み=符号が逆)
  3. 一次側の皮相電力 S1=P22+(Q2Q3)2S_1=\sqrt{P_2^2+(Q_2-Q_3)^2}(損失がないので有効電力はP1=P2のまま)
  4. 一次電流 I1=S1/(3×V1)I_1 = S_1/(\sqrt3 \times V_1)(三相・線間電圧の場合)
三次巻線を「独立した別回路」だと考えると、二次側の負荷だけで一次電流を計算してしまい、 三次側のコンデンサの効果を見落としやすい。三巻線変圧器は「一次・二次の変圧器」と 「一次・三次の変圧器」が同じ鉄心を共有していると考え、二次側・三次側それぞれの無効電力を 必ず合成してから一次側の皮相電力を求める、という2段階の手順を省略しないこと。

例題(自作の数値例)

一次線間電圧66kVの三相三巻線変圧器の二次巻線に、力率0.6(遅れ)、5000kV・Aの三相誘導性 負荷を接続し、三次巻線に2000kvarの三相コンデンサ(進み無効電力を供給)を接続した。 漏れインピーダンス・励磁電流・損失を無視できるとき、一次電流を求める。

P2=5000×0.6=3000kW,Q2=5000×0.8=4000kvarP_2 = 5000\times0.6 = 3000\text{kW}, \qquad Q_2 = 5000\times0.8 = 4000\text{kvar} Q1=Q22000=2000kvar,S1=30002+200023605.6kV・AQ_1 = Q_2 - 2000 = 2000\text{kvar}, \qquad S_1 = \sqrt{3000^2+2000^2} \approx 3605.6\text{kV・A} I1=S13×6631.6AI_1 = \frac{S_1}{\sqrt3 \times 66} \approx 31.6\text{A}

三次側のコンデンサが遅れ無効電力の一部を肩代わりした分、一次側の無効電力(したがって 一次電流)が小さく抑えられていることが、この計算からも確認できる。

並行運転 — 4つの条件がそろわないと、片方だけが過負荷になる

変圧器の容量が足りないとき、複数台を並列につないで容量を増やす(並行運転)ことがある。 ただし、どんな変圧器同士でも並べればよいわけではなく、次の条件がそろっている必要がある。

  1. 極性が一致していること — 逆に接続すると、大きな循環電流(横流)が流れてしまう
  2. 巻数比(電圧比)が等しいこと — 一致していないと、電圧差によって循環電流が流れる
  3. %インピーダンスが等しいこと — 一致していないと、負荷が容量に比例した形で分担されない
  4. (三相の場合)相回転と位相が一致していること

このうち特に見落とされやすいのが3番目だ。電圧比が完全に一致していても、 %インピーダンスが異なると、%インピーダンスの小さい変圧器のほうに電流が集中しやすく、 その変圧器だけが先に過負荷になってしまう。容量の異なる変圧器同士を並行運転させる場合は、 「容量比」ではなく「%インピーダンスが等しいこと」を優先して確認する必要がある。

巻数比のわずかな差が生む循環電流 — 無負荷でも流れ続ける横流を計算する

条件2(巻数比の一致)が「崩れたときに何が起きるか」を、実際に計算できるところまで 掘り下げておこう。2台の変圧器の巻数比が完全に一致していれば、二次側を無負荷にした とき、両者の起電力は等しく、電位差はゼロになる。だが実際の変圧器には製造上のわずかな 誤差があり、巻数比がほんの少しだけ違うことがある。

このとき、二次側を無負荷にしても、2台の変圧器の起電力には差ΔEが生まれる。2台の 二次巻線どうしをつなぐと、このΔEを打ち消す向きに、2台の巻線間を貫く閉じたループの 中を電流が流れ続ける。これが循環電流(横流)だ。ΔEは、2台の変圧器の二次側換算 インピーダンスZ1Z_1Z2Z_2が直列に並んだ、この閉じたループ全体に加わっている。

Ic=ΔEZ1+Z2I_c = \frac{\Delta E}{Z_1+Z_2}
循環電流は「負荷をかけたときだけ流れる電流」ではない。ΔEは巻数比という変圧器そのものの 性質の差から生まれるため、二次側が無負荷であっても常に流れ続ける。負荷電流に上乗せされる 形で巻線を流れるため、余分な発熱・損失の原因になる——並行運転させる変圧器は、巻数比が できるだけそろっているものを選ぶ必要がある理由がここにある。

例題(自作の数値例)

巻数比がわずかに異なる単相変圧器A・Bを並列接続し、二次側を無負荷として一次側に 定格電圧を加えたところ、二次側換算で0.60Vの起電力差が生じた。変圧器A・Bの二次側換算 インピーダンスがそれぞれ0.04Ω、0.02Ωのとき、二次巻線間を循環して流れる電流は、

Ic=0.600.04+0.02=0.600.06=10AI_c = \frac{0.60}{0.04+0.02} = \frac{0.60}{0.06} = 10\text{A}
分母をZ1だけ、あるいはZ2だけにしてしまうと、答えは15Aや30Aのような誤った値になる。 循環電流は2台のインピーダンスが直列につながった1つの閉回路を流れているのだから、 分母は必ずZ1とZ2の**和**でなければならない、と回路のつながり方から確認する。

受変電設備での実務的な意味

小規模な需要家では単相変圧器1台の運用が基本だが、負荷が大きい設備や、故障時にも 三相電源を止められない設備では、V結線での応急運転や、複数台の並行運転が実際に 検討される。このとき「容量が足りるか」だけでなく、「V結線なら容量は√3倍にしかならない」 「並行運転させるなら%インピーダンスの銘板値を確認する」という、このトピックで見た 数字の裏付けが必要になる。

冒頭のキュービクルで見た2台構成の変圧器——答え合わせは理解度チェックの最後の問題で してみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 『負荷が大きいほど効率が良い』『負荷が小さいほど効率が良い』と一方向に思い込む

    なぜ引っかかる銅損は負荷の2乗に比例して増えるため、負荷を上げすぎると銅損が支配的になって効率は下がる。逆に負荷が小さすぎると、一定でかかり続ける鉄損の割合が相対的に大きくなり、これも効率を下げる。効率は負荷率に対して山型(最大点を持つ)カーブになるのに、単調に増加・減少すると誤解しやすい。

    見破り方『鉄損は一定、銅損は負荷の2乗で増える』という性質を思い出し、両者が釣り合う負荷率(山の頂点)がどこかにあるはずだと考える。極端な負荷率(0に近い、または定格をはるかに超える)で効率を考えると、どちらも効率が下がることに気づける。

  2. V結線の出力を『2台分そのまま』(Δ結線と同じ3台分の2/3ではなく、単純に2台×1台の容量)と計算してしまう

    なぜ引っかかるV結線は変圧器2台で三相を作るため、直感的には『2台の合計容量がそのまま出力』と思いがちだが、実際には各変圧器にかかる電圧・電流の位相関係により、出力は2台の合計容量の√3/2倍(利用率86.6%)にしかならない。2台の設備を持ちながら、その全容量を使い切れない点が誤解のもとになる。

    見破り方V結線の出力は必ず『単相変圧器1台の容量×√3』という式で計算する。2台の合計容量(1台の容量×2)と比較すると、√3/2≒0.866倍になっていることを確認すれば、単純な2台分ではないことに気づける。

  3. V結線の負荷率を計算するとき、分母に2台の合計容量2P1(例:単相変圧器1台50kVAなら100kVA)を使ってしまい、V結線全体の定格容量√3×P1(86.6kVA)を使うべきところを取り違える

    なぜ引っかかる『変圧器を2台使っているのだから、負荷率の基準(定格容量)も2台分の合計だろう』という発想は、単純にΔ結線3台や単独運転の変圧器で負荷率を考えるときの感覚をそのまま持ち込んでしまっている。V結線ではそもそも出力容量自体が2台の合計にはならず√3倍にしかならないため、負荷率の分母も同じ√3P1に揃える必要がある。

    見破り方負荷率は『実際の負荷÷その結線方式が実際に出せる定格容量』で定義される、という原則に立ち返る。V結線が実際に出せる定格容量はP_V=√3×P1(前節で確認済み)なので、負荷率の分母も必ずこの√3P1を使う。2P1を分母にすると、負荷率も負荷損の計算結果も小さく見積もりすぎてしまう。

  4. 並行運転の条件のうち、%インピーダンスの一致を巻数比の一致と混同する

    なぜ引っかかる並行運転の条件は『巻数比(電圧比)の一致』と『%インピーダンスの一致』の両方が必要だが、前者は循環電流の有無に、後者は負荷分担の適切さにそれぞれ別々に関わる。片方だけを覚えて『条件は電圧が同じであればよい』と思い込むと、%インピーダンスが違う変圧器を組み合わせたときに起きる過負荷を見落とす。

    見破り方『電圧比が違う→循環電流が流れる』『%インピーダンスが違う→負荷が容量比どおりに分担されない(一方が過負荷になりうる)』と、条件ごとに『崩れたときに何が起きるか』を紐づけて覚える。問題文が循環電流の話か過負荷の話かで、問われている条件を切り分けられる。

  5. 巻数比の差による循環電流の計算で、分母に片方の変圧器のインピーダンスだけを使ってしまう

    なぜ引っかかる起電力の差ΔEを、どちらか一方の変圧器のインピーダンスだけで割ってしまうと、実際より大きい(または小さい)値になる。循環電流は2台の二次巻線をつなぐ閉じたループの中を流れており、そのループにはZ1とZ2が直列に入っている。

    見破り方循環電流の経路を回路図でたどる。2台の変圧器の二次巻線どうしが輪のようにつながっており、起電力差ΔEはこの輪全体(Z1とZ2の直列)に加わっている、と確認してからIc=ΔE/(Z1+Z2)を立てる。

  6. 力率が下がると、損失も比例して減る(あるいは増える)と誤解する

    なぜ引っかかる効率が下がる=どこかで損なわれていると考え、力率が下がった分だけ損失も一緒に変化していると直感的に結びつけやすい。実際に変化するのは出力(分子)のほうであり、損失(鉄損・銅損)は電流の大きさで決まるため、力率が変わっても損失そのものはほぼ変化しない。

    見破り方効率の式η=出力/(出力+損失)で、力率が変わったときに動くのは分子の出力(=皮相電力×cosφ)だけであり、分母の損失は同じ電流が流れている限り変わらない、と分けて考える。負荷率(電流)が変わる場合の効率変化(銅損がm²で変わる)と、力率が変わる場合の効率変化(損失は一定、出力だけが変わる)を混同しないこと。

  7. 巻線抵抗の温度補正の比 (235+T):(235+t) を、温度差だけの比(T:t)や、単純な直線比例だと誤解する

    なぜ引っかかる『温度が上がれば抵抗も上がる』という定性的な関係は正しいが、比例定数を掛けるだけの単純な式(R∝T)だと誤解しやすい。実際には235という定数が加わった (235+T):(235+t) という比であり、T=0℃でも抵抗値はゼロにならない。

    見破り方235という定数を忘れずに書き加える。銅導体の抵抗値は絶対零度に近い理論上の温度(およそ−235℃)でゼロに近づくという物理的な背景があり、235+Tという形は『その理論温度からどれだけ離れているか』を表している、とイメージすると数値を忘れにくい。

  8. 電圧変動率の近似式ε≈p cosφ+q sinφで、力率1(cosφ=1、sinφ=0)の場合にもqが効いてくると考え、q側の項を計算に含めてしまう

    なぜ引っかかる近似式に2つの項(pとq)があるのを見ると、条件にかかわらず両方とも必ず足し合わせるものだと思い込みやすい。だがsinφ=0のときはq×sinφの項がそのままゼロになるため、実質的にはpだけで決まる。

    見破り方力率1はcosφ=1・sinφ=0という具体的な数値をまず式に代入してから計算する。sinφ=0を確認すればq×sinφの項が自動的に消え、ε≈pだけで答えが求まると気づける。

  9. 三次巻線に接続したコンデンサの容量を、そのまま一次電流の計算から除外してしまう(二次側の負荷だけで一次電流を計算してしまう)

    なぜ引っかかる三次巻線は二次巻線とは別の独立した巻線に見えるため、二次側の負荷だけで一次側の電流が決まると誤解しやすい。だが三次巻線に流れる電流も、共通の鉄心を通じて一次側に反映される。

    見破り方三巻線変圧器を『一次・二次の変圧器』と『一次・三次の変圧器』が鉄心を共有して重なっている、とイメージする。二次側の有効・無効電力と、三次側のコンデンサが供給する無効電力を、それぞれ足し合わせる(無効電力は打ち消し合う向き)してから一次側の皮相電力を求める、という2段階の手順を省略しない。

  10. スコット結線をV結線と混同し、どちらも単相変圧器2台で三相をそのまま出力する結線方式だと思い込む

    なぜ引っかかるスコット結線もV結線も『単相変圧器2台を使う特殊結線』という共通点があるため、出力の形態まで同じだと思い込みやすい。だがV結線は3台目の代わりに2台で三相出力を維持する結線であるのに対し、スコット結線は三相を位相90°ずれた二相へ相数変換する、まったく別の目的の結線である。

    見破り方『出力が三相のままか、二相(90°位相差)に変わるか』を確認する。V結線は出力も三相のまま(1台故障時の応急運転など)、スコット結線は三相を二相に変換する(大容量の単相負荷に、三相電源側の不平衡を抑えながら電力を供給する)——この出力の相数の違いで区別する。

  11. Y-Δ結線の変圧器の違いを、電圧の大きさ(√3倍)だけの問題だと考え、位相(角度)のズレがあることを見落とす

    なぜ引っかかるY-Δ変換というと真っ先に思い浮かぶのが相電圧・線間電圧の大きさの変換(√3倍)であるため、電圧の『大きさ』だけに気を取られ、結線が変わることで生じる『位相(角度)』のズレを見落としやすい。

    見破り方一次・二次の結線方式が異なる(Y-Δ、Δ-Y)かどうかをまず確認する。異なっていれば、大きさの変換に加えて必ず30°の位相変位が生じる、とセットで思い出す。同じ結線方式どうし(Y-Y、Δ-Δ)なら位相変位は生じない。

参考文献・出典

理解度チェック(21問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、21問で確認しよう。 内訳は基本9問・応用7問・ひっかけ5問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 21 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 変圧器の損失は、負荷に関係なく一定の無負荷損(鉄損)と、負荷電流の2乗に比例する負荷損(銅損)の2種類だけ
  2. 効率が最大になるのは、鉄損=銅損(そのときの負荷での銅損)となる負荷点。軽負荷側でも重負荷側でもない、途中のどこかに最大効率点がある
  3. V結線の三相出力は、単相変圧器1台の容量の√3倍。同じ2台をΔ結線に使ったときの2/3倍にしかならない(利用率は√3/2 ≒ 86.6%)
  4. 三相変圧器の一次・二次が同じ結線方式どうし(Y-Y、Δ-Δ)なら、一次電圧に対する二次電圧の位相変位(角変位)は0。結線方式が異なる(Y-Δ、Δ-Y)なら、Y側とΔ側で相電圧と線間電圧の対応関係が変わるため30°(π/6 rad)の位相変位が生じる。進み・遅れのどちらになるかは巻線の巻き方向・結線の取り方(極性)で決まる
  5. 並行運転には、極性の一致・巻数比(電圧比)の一致・%インピーダンスの一致・(三相の場合)相回転と位相の一致という4条件がそろう必要がある
  6. %インピーダンスが一致していない状態で並行運転すると、容量に比例した負荷分担にならず、一方の変圧器だけが過負荷になりうる
  7. 2台の変圧器の巻数比(電圧比)にわずかな差があると、二次側を無負荷にしても両者の起電力に差ΔEが生じ、これを打ち消す向きに2台の二次巻線間で循環電流(横流)Ic=ΔE/(Z1+Z2)が流れ続ける(Z1・Z2は各変圧器の二次側換算インピーダンス)。負荷の有無にかかわらず流れ続けるため、余分な発熱・損失の原因になる
  8. 負荷率(電流の大きさ)が同じでも、力率が変わると出力(有効電力)はcosφに比例して変わる一方、損失(鉄損・銅損)は電流の大きさで決まりほぼ一定。力率が下がると効率は下がる
  9. 変圧器の規約効率を計算する際、巻線抵抗値は基準温度(銅巻線では75℃)に補正して用いる。異なる温度T[℃]とt[℃]での抵抗値の比は (235+T):(235+t) で表される(銅導体の場合)
  10. 電圧変動率ε[%]は、百分率抵抗降下p[%]・百分率リアクタンス降下q[%]・負荷の力率角φを使った近似式 ε ≈ p cosφ + q sinφ で求められる。力率1(cosφ=1、sinφ=0)の全負荷ならsinφの項が消えてε≈pだけで求まる。pは全負荷銅損Pc[W]と定格容量Pn[V・A]から p=(Pc/Pn)×100 で計算できる
  11. V結線の負荷率は、2台の合計容量(2P1)ではなく、V結線全体の定格容量(√3×P1)を分母にして m=S/(√3P1)(Sは実際の三相負荷)で求める。銅損(負荷損)は負荷率の2乗に比例するため、V結線全体の負荷損はPc=m²×Pc_full(Pc_fullは、V結線が定格容量√3P1ちょうどを負担した=各変圧器がそれぞれ自身の定格電流で運転したときの銅損の合計)で逆算できる
  12. 三相三巻線変圧器は、一次・二次の主巻線に加えて三次巻線(△結線とすることが多い)を持つ。三次巻線には調相設備(進相コンデンサなど)を接続でき、二次側の遅れ無効電力の一部を三次側のコンデンサに肩代わりさせることで、一次側から見た無効電力・電流を減らせる
  13. スコット結線は、単相変圧器2台(主座変圧器・T座変圧器)を使い、三相3線式の電源を、位相が90°ずれた2つの単相(二相)電源に変換する特殊結線。V結線(2台で三相のまま出力する)とは目的が異なり、大容量の単相負荷(電気鉄道のき電用変圧器などが代表例)に電力を供給する際に用いられる。三相の1相だけから単相負荷を取り出すと三相電源側に不平衡が生じやすいが、いったん二相に変換したうえで二相側の負荷(例:上り線・下り線)をできるだけ平衡させると、三相電源側から見た不平衡を緩和できる
  14. 漏れインピーダンス・励磁電流・損失を無視できる三巻線変圧器の一次電流は、二次側負荷の有効電力P2・無効電力Q2と、三次側コンデンサが供給する無効電力Q3を、有効・無効に分けて合成してから一次側の皮相電力S1=√(P2²+(Q2−Q3)²)を求め、一次線間電圧V1で割って求める(三相:I1=S1/(√3×V1))
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