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電材基礎規格・法令分電盤保護機器

JIS C 8201-2-1とは|配線用遮断器(MCCB)の規格をIEC 60947-2との関係から解説

読了目安: 9分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

分電盤や制御盤に収まっている配線用遮断器(MCCB)——その一台一台に、実は「JIS C 8201-2-1」という共通の規格が背後にあることをご存じだろうか。結論から言えば、現行の産業用配線用遮断器の規格は「JIS C 8201-2-1」(低圧開閉装置及び制御装置-第2-1部:回路遮断器(配線用遮断器及びその他の遮断器))であり、これは国際規格IEC 60947-2を日本向けに調整した翻訳規格である(日本規格協会 JSA Group Webdeskによる)。かつては「JIS C 8370」という規格が使われていたが、IEC整合化の流れの中で区分・体系が大きく変わった。この記事では、規格そのものの位置づけ・改正の経緯・定格遮断容量(Icu・Ics)の考え方といった「制度としてのJIS C 8201-2-1」を、購入・選定の実務経験を交えず整理する。実際にどの品種・容量を選ぶかという実務選定は、当サイトのブレーカーの種類と選び方で解説しているので、あわせて参照してほしい。

この記事でわかること

  • JIS C 8201-2-1の正式名称・適用範囲・制定と改正の経緯
  • 旧JIS C 8370からの区分変更(産業用/住宅用、附属書1・2の考え方)
  • IEC 60947-2との対応関係(翻訳・修正規格としての位置づけ)
  • 定格遮断容量Icu・Ics・Icmの違いと試験責務の考え方
  • 使用区分(選択度種別)など規格が定める分類の考え方
  • 「JIS適合」表示にまつわるよくある誤解

JIS C 8201-2-1とは何か

JIS C 8201-2-1は、正式名称を「低圧開閉装置及び制御装置-第2-1部:回路遮断器(配線用遮断器及びその他の遮断器)」といい、定格使用電圧が交流1,000V以下または直流1,500V以下の回路遮断器を対象とする規格である(日本規格協会 JSA Group Webdeskによる)。専門の教育を受けた人・熟練者による設置・操作を前提とした「産業用」の配線用遮断器を対象としており、一般の人が操作することを前提とする住宅用の配線用遮断器は別規格のJIS C 8211として規定されている(jis.eomec.com掲載情報による)。

制定は2004年12月20日で、その後2011年9月20日・2021年9月21日に改正が行われている(jis.eomec.com掲載情報による)。なお「JIS C 8201」という番号自体は、低圧開閉装置・制御装置全般を扱うシリーズ規格の総称であり、配線用遮断器(第2-1部)以外にも漏電遮断器(第2-2部)・端子台(第7-1部)・接触器(第4-1部)など多数のパート(部・節)に分かれている。

旧JIS C 8370からの改正経緯——産業用と住宅用の分離

かつて配線用遮断器は「JIS C 8370」という単一の規格で扱われていた(漏電遮断器は「JIS C 8371」)。IEC規格体系への整合化にあたり、この旧規格は区分・再編され、現在は以下の体系になっている(テンパール工業カタログによる)。

区分配線用遮断器漏電遮断器
産業用JIS C 8201-2-1JIS C 8201-2-2
住宅用JIS C 8211JIS C 8221(OCなし)/JIS C 8222(OC付)

IEC規格の考え方では、「産業用」は熟練者・技能者による操作を前提とし、「住宅用」は一般の人による操作を前提としている。ただし従来の日本の工事(内線規程に基づく在来工事)では、特に指定のない限り産業用・住宅用の使い分け規定はなく、どちらも使用できる(同カタログによる)。

さらに、それぞれの規格には附属書1(IEC工事対応)附属書2(在来工事対応)があり、日本国内の電気設備規定が「IEC工事規定(JIS C 0364シリーズ等)」と「在来工事規定(内線規程等)」の2本立てになっていることに対応している。附属書1(Ann1)はIEC規格に整合した工事方法向け、附属書2(Ann2)は従来からの内線規程に基づく工事向けの規定であり、同一の電気使用場所で両者を混用することはできない(電技解釈第272条に規定、同カタログによる)。国内メーカーの多くの製品は附属書2(在来工事対応)に適合する形で流通している。

あわせて、2004年6月9日の工業標準化法改正により、経過措置期間が終了する2008年10月1日以降の生産分からは製品にJISマークを表示できなくなった。現在はメーカーが適合するJIS規格番号を銘板に表記した上で、JIS Q 1000に基づく「自己適合宣言」を行う方式になっている(同カタログによる)。

IEC 60947-2との対応関係

JIS C 8201-2-1は、国際電気標準会議(IEC)が定めるIEC 60947-2(Low-voltage switchgear and controlgear – Part 2: Circuit-breakers)を翻訳し、技術的内容を修正して作成された規格である(三菱電機FA よくある質問による)。現行版はIEC 60947-2:2016および同Amendment 1:2019に対応しており、対応区分はISO/IEC Guide 21-1に基づく「MOD」(修正)とされている(jis.eomec.com掲載情報による)。国内の配電電圧(電気設備技術基準の省令では交流600V以下・直流750V以下)や国内で流通する製品仕様を反映させるために技術的な変更が加えられており、輸入品と国産品を同じ評価軸で扱えるよう調整されている点が特徴だ。

定格遮断容量の考え方——Icu・Ics・Icmの違い

配線用遮断器のカタログや銘板には「Icu」「Ics」「Icm」といった記号が並ぶ。これらはいずれもJIS C 8201-2-1(およびIEC 60947-2)が定める短絡遮断性能に関する定格であり、意味と試験条件が異なる(三菱電機FA よくある質問による)。

記号名称試験責務(動作の流れ)位置づけ
Icu定格限界短絡遮断容量O(投入状態からの遮断)-3分以上の間隔-CO(投入後遮断)旧JISの遮断容量Icnに相当。通常の選定で基準にする値
Ics定格使用短絡遮断容量O-3分以上-CO-3分以上-COIcuよりも厳しい試験責務。多くの場合Icuに対する百分率で示される
Icm定格短絡投入容量短絡状態の回路へ投入する際に耐えられる電流値交流回路遮断器では力率との関係が規格の表で規定される

O(Open)は遮断器がON状態のまま短絡が起きて遮断する動作、CO(Close-Open)はOFF状態から短絡している回路へ投入し、その直後に遮断する動作を指す。Icuは1回のO-CO責務、Icsはこれをもう一度繰り返す2回のO-CO責務で評価されるため、Icsの方が「繰り返しの遮断性能」を厳しく問う定格といえる(三菱電機FA よくある質問による)。実務での基本選定はIcuを基準に行い、設置点の短絡電流に対して十分な値を持つ品種を選ぶ。なぜ設置場所によって必要なIcuが変わるのか、実際の選定手順についてはブレーカーの種類と選び方で解説している。

使用区分(選択度種別)など規格が定める分類

JIS C 8201-2-1は、遮断容量以外にも複数の観点から回路遮断器を分類している。代表的なものが、上位側の遮断器との間で短絡時の選択遮断(上位のブレーカーがトリップせず、事故が起きた回路の直下のブレーカーだけがトリップする協調)を意図するかどうかによる選択度種別(使用区分)A類・B類の区分だ(kikakurui.com掲載情報を参考に整理)。これ以外にも、遮断媒体(気中・真空・ガスなど)、構造(開放形・モールドケース形)、操作方式(手動・動力操作)、取付方式(固定形・引出形など)といった軸で分類が定められている。実際にどの区分の製品を選ぶかは設備の重要度や上位設備との協調設計によって決まるため、選定段階ではメーカーの技術資料で確認するのが実務的な進め方になる。

規格が支える性能要求——開閉耐久性能と標準使用状態

JIS C 8201-2-1は遮断容量だけでなく、機械的・電気的な耐久性能も規定している。例えば、定格電流帯ごとに規定される開閉耐久試験の回数(無通電・通電時それぞれの開閉回数)や、過負荷開閉試験の条件が規格の表で定められており、遮断器の設計・評価の基準になっている(一般社団法人日本電機工業会「産業用配線用遮断器・漏電遮断器 更新ガイダンス」による)。また、この規格に基づく性能が発揮される前提となる「標準使用状態」(周囲温度・湿度・振動・通電電流などの条件)はJIS C 8201-1(低圧開閉装置及び制御装置-第1部:通則)で定められている。長期間・高温多湿・高負荷率といった標準使用状態を外れる環境では、規格上の性能どおりの寿命が期待できないため、同ガイダンスは使用開始後15年を更新推奨時期の目安として示している。日常の点検・更新判断の実務については、規格そのものではなくメーカーの点検・更新指針(JEM-TR 119・JEM-TR 142等)を参照するのが基本になる。

実務でよくある誤解

「JIS適合」=「どんな回路にも使える」ではない

JIS C 8201-2-1に適合しているという表示は、その製品が規格の定める試験方法・評価軸で検証されたことを示すものであり、定格電流・遮断容量(Icu・Ics)・極数といった個々の仕様の大小まで保証するものではない。同じJIS適合品でも、メーカー・シリーズによってIcuの値や対応電流帯は大きく異なる。設置点の短絡電流に対して十分な遮断容量を持つ品種かどうかは、必ず製品カタログの定格値で個別に確認する必要がある。

「AT(トリップ電流)が同じなら同等品」ではない

規格の枠組みの中でも、同じ定格電流(AT)・フレームサイズ(AF)であっても、遮断容量(Icu・Ics)や選択度種別(A類・B類)が異なる品種は存在する。既設更新の際にATとAFだけを合わせて発注し、遮断容量の確認を省いてしまうと、短絡事故時にブレーカー自体が遮断能力を超えて破損するおそれがある。更新時の具体的な照合手順はブレーカーの種類と選び方で解説している。

規格が定めるのは「製品の性能」であり「施工方法」ではない

JIS C 8201-2-1は配線用遮断器という製品が満たすべき性能基準(構造・遮断容量・開閉耐久性など)を定めた規格であり、現場での結線作業・端子の締付トルク管理・設置環境の管理といった施工手順は、内線規程やメーカーの取扱説明書、各現場の施工基準に基づいて別途管理する必要がある。

原文を確認したい場合

JIS規格票の本文(条文そのもの)は日本規格協会(JSA)の著作物であり、本記事では要約・解説にとどめている。正式な条文を確認したい場合は、日本規格協会のJSA Group Webdesk(webdesk.jsa.or.jp)で閲覧・購入するか、日本産業標準調査会(JISC、jisc.go.jp)の規格検索で該当規格の基本情報を確認してほしい。


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よくある質問

JIS C 8201-2-1は何を規定した規格ですか?

正式名称は「低圧開閉装置及び制御装置-第2-1部:回路遮断器(配線用遮断器及びその他の遮断器)」で、定格使用電圧が交流1,000V以下または直流1,500V以下の回路遮断器を対象とした規格です(日本規格協会 JSA Group Webdeskによる)。専門の教育を受けた人・熟練者による設置と操作を前提とした「産業用」の配線用遮断器を対象とし、一般の人が操作する住宅用の配線用遮断器はJIS C 8211として別に規定されています(jis.eomec.com掲載情報による)。2004年12月20日に制定され、2011年・2021年に改正されています(jis.eomec.com掲載情報による)。

旧JIS C 8370とはどう違いますか、もう使われていないのですか?

JIS C 8370は配線用遮断器全般を対象とした旧規格でしたが、IEC規格体系への移行に伴い、産業用の配線用遮断器はJIS C 8201-2-1へ、住宅用はJIS C 8211へと区分されました(テンパール工業カタログによる)。あわせて2004年6月の工業標準化法改正により、経過措置期間が終了する2008年10月1日以降の生産分からはJISマークを製品に表示できなくなり、メーカーがJIS Q 1000に基づいて自ら適合を宣言する「自己適合宣言」の方式に変わっています(同カタログによる)。したがって現行の産業用配線用遮断器の規格としてはJIS C 8201-2-1が該当します。

IEC 60947-2とはどのような関係ですか?

JIS C 8201-2-1は、国際電気標準会議(IEC)が定めるIEC 60947-2を基に、日本国内の実情に合わせて技術的内容を修正(MOD)した翻訳規格です。現行版はIEC 60947-2:2016および同Amendment 1:2019に対応しており、対応区分はISO/IEC Guide 21-1に基づく「MOD」(修正)です(jis.eomec.com掲載情報による)。国内の配電電圧や製品仕様を反映させるための技術的な変更が加えられており、輸入品と国産品を同じ土俵で評価できるよう調整されています。

定格遮断容量のIcuとIcsは何が違いますか?

どちらも短絡電流を安全に遮断できる限界値を示す定格ですが、試験条件の厳しさが異なります。Icu(定格限界短絡遮断容量)は「開放(O)-3分以上の間隔-投入後開放(CO)」という一連の動作(試験責務)で規定され、旧JISの遮断容量Icnに相当する、通常の選定で使う基準値です。Ics(定格使用短絡遮断容量)はこれに「3分以上の間隔-CO」をもう一度加えた、より厳しい試験責務で規定され、多くの場合Icuに対する百分率(規格の表で規定)で示されます(三菱電機FA よくある質問による)。実務上はIcuを基準に選定し、繰り返しの遮断性能まで重視する箇所ではIcsも確認します。

「JIS適合」と書かれていれば、どんな回路にも安心して使えますか?

いいえ、JIS適合表示は当該製品が規格の定める試験方法・評価軸で検証されたことを示すものであり、定格電流・極数・遮断容量(Icu・Ics)といった個々の仕様の大小まで保証するものではありません。同じJIS C 8201-2-1適合品でも、メーカー・シリーズによって遮断容量や対応電流帯は大きく異なります。実際の選定では、設置点の短絡電流に対して十分なIcuを持つ品種かどうかをカタログ値で個別に確認する必要があります(具体的な容量計算や品種選定の手順は当サイトのブレーカーの種類と選び方で解説しています)。

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参考文献・出典

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