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電材基礎ケーブル設計基準

【電線・ケーブルの教科書】全種類を体系的に解説!用途・構造の違いから許容電流・荷姿・重さまで完全ガイド

読了目安: 14分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

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現場で「このケーブル、種類も太さもこれで本当に合っているのか」と手が止まった経験は、電気工事に関わる人なら一度はあるはずだ。VVFで足りると思い込んでいた配線が実は屋外露出のCV案件だった、動力盤の主幹用にCVTを発注したら径を1サイズ間違えて延線当日に入線できなかった——こうした行き違いは、型番の書き間違いよりもずっと頻繁に起こる。

電線・ケーブルは種類ごとに絶縁体の耐熱性、シース(外皮)の有無、芯数、そして納品時の「荷姿」までまったく違う。同じ太さでもVVFとCVでは許容電流も価格も別物で、選定を誤れば発注のやり直しや現場での入線不可、最悪の場合は発熱による被覆の溶損事故につながる。

本ガイドは、VVF・CV・CVT・IV・VVR・VCT/VCTF・EM・6kV-CVTという主要な電線・ケーブルを、用途・構造・標準太さ・荷姿・重さまで一枚で見渡せるように体系化した「ケーブルの教科書」だ。まずは下の早見マップから、自分の現場に合うケーブルを一発で特定してほしい。

1. 【直感ルート】あなたの目的・業種から選ぶケーブル早見マップ

細かい文字や仕様データを読み込まなくても、「自分のやりたいこと・業種」から一発で必要なケーブルと標準的な太さに辿り着ける早見マップです。

graph TD
    Start[あなたのやりたいことは?] --> A[住宅や店舗の屋内配線]
    Start --> B[ビル・工場の大きな電源・幹線]
    Start --> C[機械の可動部・仮設の延長電源]
    Start --> D[電線管に通すアースや盤内配線]
    Start --> E[学校や公共工事・高セキュリティ]

    A --> VVF["● VVFケーブル<br>【標準太さ】1.6mm / 2.0mm<br>【荷姿】100mのビニール巻束"]
    B --> CVT["● CVT / CVケーブル<br>【標準太さ】22sq / 38sq / 60sq以上<br>【荷姿】ドラム巻(カット)"]
    C --> VCT["● VCT / VCTF(キャブタイヤ)<br>【標準太さ】0.75sq / 1.25sq / 2.0sq<br>【荷姿】100m巻 または ドラム"]
    D --> IV["● IV線(絶縁電線)<br>【標準太さ】1.6mm / 2.0mm / 5.5sq / 8sq<br>【荷姿】300m巻束"]
    E --> EM["● EMエコケーブル<br>【標準太さ】通常ケーブルと同等<br>【荷姿】100m巻 または ドラム"]

2. ケーブル種類別・徹底比較マトリクス(総合一覧表)

電気工事の実務や設計で頻繁に使用される主要電線・ケーブルの、構造、用途、標準的な荷姿、および重さ(質量)を比較したマスターデータです。

ケーブル略称正式名称構造特徴主な用途標準的な荷姿100mあたりの重さ(目安)
VVF 2.0-2C600Vビニル絶縁ビニルシース平形単線・偏平2芯住宅・オフィスの照明・コンセント分岐線1巻 100m 束巻 (フィルム包装)約 12.0 kg
VVF 2.0-3C600Vビニル絶縁ビニルシース平形単線・偏平3芯3路スイッチ、接地付分岐線1巻 100m 束巻約 16.5 kg
IV 2.0mm600Vビニル絶縁電線単線・シースなし電線管内通線、盤内配線、アース線1巻 300m 束巻 (または100m)約 3.9 kg
IV 8 mm²600Vビニル絶縁電線より線・シースなし幹線用アース(接地線)1巻 300m 束巻 (またはドラム)約 9.5 kg
CV 8-3C600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースより線・一括シース動力・電灯の幹線用(屈曲部少)1巻 100m 束巻 または ドラム約 38.0 kg
CVT 22 mm²600Vトリプレックス形単心3本撚りビル・工場の動力幹線(曲げやすい)ドラム巻 (必要m数でカット対応)約 93.0 kg
CVT 60 mm²600Vトリプレックス形単心3本撚り商業施設・中規模工場の主幹幹線ドラム巻のみ (要ドラムローラー)約 232.0 kg
CVT 150 mm²600Vトリプレックス形単心3本撚り大型工場の受電引込・メイン幹線ドラム巻のみ (重機・ジャッキ必須)約 535.0 kg
VCTF 1.25-4Cビニルキャブタイヤ丸形コード極細線・柔軟シース移動機器の電源用、制御盤の信号伝送1巻 100m 束巻 (ドラフト巻)約 12.3 kg
VCT 2.0-3C600Vキャブタイヤケーブル細線・頑丈シース工事用ポータブル電源、電動工具の電源線1巻 100m 束巻 または ドラム約 19.5 kg
EM-CET 60 mm²耐燃性ポリエチレンシースエコタイプ3本撚り・ノンハロゲン公共施設、学校、地下街の幹線配線ドラム巻のみ (エコ仕様)約 235.0 kg
6kV-CVT 22 mm²6600V高圧用トリプレックス形高圧シールド層あり高圧受電設備(キュービクル)引込線ドラム巻のみ (カット販売)約 125.0 kg

3. 主要ケーブル9種の図解・直感的解説

各ケーブルの特徴、標準的なサイズ(太さ)、および荷姿の早見カードです。

① VVFケーブル(ビニル絶縁ビニルシースケーブル平形)

  • 用途: 住宅・店舗の屋内天井裏・壁裏の100V/200V分岐配線用
  • 標準の太さ: 1.6mm または 2.0mm (芯数は2芯・3芯が主)
  • 納品形態(荷姿): 100m巻きの束(シュリンク包装)
  • 特徴: 平らなグレーのケーブル。電気工事士の技能試験でも使われる屋内固定配線の定番。軽いため作業者が肩に担いで這わせることができます。

② CVケーブル(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)

  • 用途: 商業ビル・工場の動力線・小〜中容量幹線配線用
  • 標準の太さ: 3.5sq / 5.5sq / 8sq / 14sq (多芯)
  • 納品形態(荷姿): 100mの束 または ドラム巻き
  • 特徴: 丸い黒のケーブル。絶縁体に耐熱性に優れた「架橋ポリエチレン」を使用しているため、VVFよりもはるかに大きい許容電流(電気の量)を流すことができます。

③ CVTケーブル(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル トリプレックス形)

  • 用途: 受電設備(キュービクル)からの引き込み、ビルの主幹幹線用
  • 標準の太さ: 22sq / 38sq / 60sq / 100sq / 150sq / 250sq以上
  • 納品形態(荷姿): ドラム巻きのみ(必要な長さにカットして納品)
  • 特徴: 単心のCVケーブルを3本撚り合わせた構造。一括シース型のCVに比べて非常に柔らかく曲げやすいため、配線が容易です。端末処理が非常に楽で、熱が逃げやすいため許容電流も高く取れます。

④ IV線(600Vビニル絶縁電線)

  • 用途: 金属管・PF管内の通線、制御盤内の渡り配線、アース線(接地線)
  • 標準の太さ: 1.6mm / 2.0mm / 5.5sq / 8sq / 14sq
  • 納品形態(荷姿): 300m巻きの束(一部100m)
  • 特徴: 緑や黒、赤などのカラー被覆線。外皮(シース)がないため、造営材に直接固定して配線することはできず、電線管・線ぴ・ダクトに収めるか、がいし引き工事(電技解釈第157条)として施設します。緑色はアース線として現場の定番です。

⑤ VVRケーブル(ビニル絶縁ビニルシースケーブル丸形)

  • 用途: 古い建物の改修工事、電気工事士試験用
  • 標準の太さ: 1.6mm / 2.0mm / 5.5sq / 8sq
  • 納品形態(荷姿): 100m巻きの束
  • 特徴: VVFの丸型版。現在、一般工事ではCVやVVFに移行しており、新築工事で新たに設計採用されることはほとんどありません。

⑥ VCTF / VCT(キャブタイヤケーブル・丸形コード)

  • 用途: 電動工具の電源線、仮設電源、工場の可動アーム、制御盤の信号線
  • 標準の太さ: 0.75sq / 1.25sq / 2.0sq
  • 納品形態(荷姿): 100m巻きの束(ドラフト巻) または ドラム巻き
  • 特徴: 細い銅線をより合わせた柔軟な構造。引きずったり、頻繁に曲げ伸ばししたりする「可動部」に最適です。VCTは600V用でシースが非常に分厚く頑丈、VCTFは300V用の細くしなやかなコードです。

⑦ EMケーブル(エコケーブル / 耐燃性ポリエチレンシースケーブル)

  • 用途: 公共施設、学校、地下街、超高層ビル等の防災指定箇所
  • 標準の太さ: 通常のVVF・CV・CVTと同等のサイズ展開
  • 納品形態(荷姿): 100m巻きの束 または ドラム巻き
  • 特徴: 燃えても有毒な塩素ガスや黒煙を発生しない、耐燃性ポリエチレンを被覆に使用した環境・防災配慮型ケーブル。公共物件の設計指定で必須となります。

⑧ 6kV-CVTケーブル(高圧受電用トリプレックスケーブル)

  • 用途: 電力会社電柱からキュービクル(高圧受電盤)への一次側引込用
  • 標準の太さ: 22sq / 38sq / 60sq / 100sq
  • 納品形態(荷姿): 100%ドラム巻き・カット販売
  • 特徴: 6,600Vの高圧に対応するため、導体の周りに銅テープの遮蔽シールド層などを設けた超強固な高圧ケーブル。非常に重く硬いため、延線には重機やドラムジャッキなどの専用機材が必要です。規格そのもの(低圧CV=JIS C 3605との違い、遮蔽層・半導電層の考え方)はJIS C 3606(高圧CVケーブル)の規格解説記事で詳しく解説しています。

⑨ AE線・CPEV線(通信・警報・コントロール用ケーブル)

  • 用途: インターホン配線、火災報知器の信号線、弱電制御回路
  • 標準の太さ: 0.9mm / 1.2mm(単線芯数タイプ)
  • 納品形態(荷姿): 1巻200m巻きの束
  • 特徴: 電圧・電流が非常に小さい信号回路用の細くしなやかな電線です(※LANケーブルや細線のAWGサイズと日本のSQ(スケア)断面積の正確な対応については、こちらのAWG-SQサイズ相互換算対応表ガイドを参照してください)。

4. 荷姿と重さ(質量)に関する実務の知恵

配線設計や現場の施工管理において、電線の「重さ」と「納品状態(荷姿)」を把握しておくことは、工期や人員配置を決定する上で極めて重要です。

① 「ドラム巻」と「束巻」の境界線

電線は太さ(sq数・呼び径)によって荷姿が切り替わります。

  • 束巻(コイル巻): VVFやIV、細いCV(8sq以下)などは、1巻100m〜300mがシュリンクプラスチックで丸く束ねられた状態で納品されます。開梱時に電線が絡まないよう、中心部から引き出せる「ターンテーブル(リール台)」を使うと施工がスムーズです。
  • ドラム巻: CV/CVT 14sq以上、または長さが100mを超える太物電線は、木製(または鉄製)の大型ドラムに巻かれて納品されます。ドラムは重量が数百kgに及ぶため、トラックからの荷下ろしにはユニック車やフォークリフトが必要です。

② 延線人員と重さの計算式

現場で電線をラック上や管内に引っ張る(延線する)際、必要な人員は「電線の総重量」と「引張荷重」から割り出します。

  • 重量の計算例(CVT 150sq を 50m 延線する場合): CVT 150sq の質量は 5.35 kg/m です。 5.35 kg/m×50 m=267.5 kg5.35 \text{ kg/m} \times 50 \text{ m} = 267.5 \text{ kg} 約270kgの重量物を、摩擦抵抗のある配管やラックの上を引っ張ることになります。ドラムローラーでドラムを浮かせるのはもちろん、コーナー部に「コーナー金車(プーリー)」を適切に配置し、最低でも3〜4名の人員、またはウィンチなどの機械的けん引力が必要になることが事前に計算できます。

5. ケーブル選定の3大基本ステップ

現場の仕様に合致した正しいケーブルの太さ(導体断面積)を選定するための、基本のステップです。

ステップ①:回路の負荷電流から「許容電流」を照合する

接続する機器の消費電力(kW)と電圧(V)から、流れる最大電流(A)を算出します。 その電流値に対して、内線規程に定められた各電線サイズごとの「許容電流」を照合します。 ※同じ管に複数本を通す場合は、前述の「電流減少係数」を掛け算して補正した許容電流値を使用します。

ステップ②:配線長から「電圧降下」を計算する

配線距離が長い(30m〜50m以上など)場合、電線自体の抵抗によって末端の電圧が下がってしまいます(電圧降下)。 電圧降下が内線規程1310-1の基準(原則は幹線・分岐それぞれ2%以下、構内変圧器から供給する場合の幹線は3%以下。こう長が60mを超える場合の緩和は、電気事業者から低圧受電なら120m以下4%・200m以下5%・200m超6%、構内変圧器から供給する場合は5%・6%・7%)に収まるよう、必要に応じて電線を1〜2サイズ太く(サイズアップ)して設計します。

簡易的な電圧降下計算には、当サイトのシミュレーターツールを活用してください。 電線の電圧降下・サイズ簡易計算シミュレーター

ステップ③:環境に適したシース・配管を選定する

敷設する場所が屋内か屋外か、地中埋設か、あるいは防火対象施設かによって、ケーブルの構造を選択します。

  • 屋外露出 = CVケーブル または 耐候性PF管+VVF
  • コンクリート直埋 = 直埋用CEケーブル または FEP管(波付ポリエチレン管)+CV
  • 公共・防火施設 = EM(エコ)仕様ケーブル

6. なぜその構造が選ばれるのか?一段深い理解(絶縁材の耐熱性とCVT構造の意味)

仕様表の数字を丸暗記するだけでは、現場で「なぜここはCVTなのか」「このVVFを外に出して大丈夫か」という判断を誤ります。構造の裏にある理屈を押さえておくと、応用が利くようになります。

① なぜCVは「ビニル」ではなく「架橋ポリエチレン」を絶縁体に使うのか

VVFの絶縁体・シースに使われるビニル(塩化ビニル樹脂)は、JIS C 3342で導体の最高許容温度が60℃と定められています。一方、CV・CVTの絶縁体に使われる架橋ポリエチレンは、JIS C 3605で90℃まで連続使用が認められています。架橋ポリエチレンは分子構造を化学的・電子線照射で「架橋」させることで、熱を加えても溶けにくい性質(熱可塑性の消失)を持たせた材料です。 許容温度が高いということは、同じ太さの導体でも「電流が流れて発生する熱」に対する余裕(熱的マージン)が大きいということです。だからこそ、電流値が大きくなる動力幹線・主幹幹線ではCV・CVTが標準となり、電流値の小さい住宅の分岐回路ではコストと施工性に優れるVVFで十分、という住み分けが生まれています。

② 現場でVVFとCVを取り違えると何が起きるか

最も典型的なミスは、VVFを屋外に露出配線してしまうケースです。ビニルシースは紫外線に当たり続けると数年で硬化・ひび割れを起こし、そこから雨水が浸入して絶縁劣化が進みます。最終的には漏電・感電・火災につながるため、屋外露出配線は原則として避け、通す場合は耐候性のPF管・VE管などに納めて紫外線と雨水から保護しなければなりません。屋外の幹線・動力線には、最初から屋外使用を前提としたCV・CVTを選ぶのが基本です。 逆方向のミス、つまり「太さ(許容電流)だけ合わせてVVFのまま動力機器や高負荷の回路に流用する」パターンも危険です。許容電流表の数字上は足りていても、ビニルの許容温度は60℃しかないため、CVを使う設計より熱的な余裕が薄く、連続的な高負荷や周囲温度の高い環境では被覆の早期劣化・軟化を招きます。「許容電流の数字が合っているか」だけでなく「その絶縁材の耐熱区分(60℃系か90℃系か)が用途に見合っているか」まで見るのが、プロの選定の基本です。

③ なぜCVTはCV(3心一括シース)より多くの電流を流せるのか

CVTは単心のCVケーブルを3本より合わせただけの構造で、CV-3Cのように心線同士の隙間を埋める「介在物(充填材)」がありません。各心線が個別にシース・外気へ接しているぶん熱を逃がしやすく、同じ導体サイズでもCV-3Cよりおおむね1割程度、許容電流を大きく取れます。加えて単心を撚っただけの構造は柔らかく曲げやすいため、ドラムから引き出して盤やキュービクルへ引き込む端末処理の施工性でも有利です。太物幹線でCVTが主流になっているのは、この「放熱性」と「施工性」の両方が理由です。


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参考文献・出典

  • 内線規程 JEAC 8001(電線・ケーブルの許容電流、電圧降下の基準) (許容電流・電圧降下の考え方(ステップ①②))
  • JIS C 3342(VVFケーブル)・JIS C 3606(高圧CVケーブル) (各ケーブルの構造・規格区分)
  • JIS C 3342(VVFケーブル:導体最高許容温度60℃)・JIS C 3605(低圧CV/CVTケーブル:導体最高許容温度90℃) (一段深い理解:なぜCVはビニルでなく架橋ポリエチレンを使うのか)
  • ビニル絶縁材の紫外線劣化特性、およびCVT(トリプレックス形)の放熱性に関する電線メーカー・電気設備技術解説サイトの一般的な技術知見 (一段深い理解:VVFとCVを取り違えるとどうなるか/CVTがCVより許容電流が大きい理由)

この内容は、第二種電気工事士ではこう問われる

ケーブルの種類を体系で覚えたいなら、試験の切り口が近道になります。記号の読み解き方と許容電流表を、出題される形に絞って整理してあります。

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