制御盤や受変電設備を扱う電材商社に、ある工場から問い合わせが来た。「高圧のキュービクルを新設するのだけれど、主任技術者は誰にすればいいのか」。
隣の工場では、屋根に太陽光パネルを増設しただけなのに、主任技術者の選任は不要だと言われたという。同じ「電気工作物を新設する」という話なのに、片方は主任技術者が要り、もう片方は要らない。この違いは何が分けているのか。
このトピックを読み終えるころには、その工場がどんな義務を背負うのかを、法令の条文構造から自分で言い当てられるようになっている。
種明かしは、電気工作物が電気事業法によって「一般用」か「事業用」かの二分法でまず仕分けられ、事業用電気工作物の中がさらに細かく分かれている、という構造にある。電験三種の主任技術者が守備範囲とするのは、まさにこの事業用電気工作物だ。
一般用電気工作物と、事業用電気工作物 — 裏返しの定義
電気事業法38条は、電気工作物をまず「一般用電気工作物」と「事業用電気工作物」に分ける。一般用電気工作物は、低圧(600V以下)で受電し、かつ小規模な発電設備以外の発電設備と同一構内に設置されていないもの。一般家庭や小規模な店舗の屋内配線は、ほぼここに含まれる。
事業用電気工作物は、この一般用「以外」のすべてを指す裏返しの定義になっている(38条2項)。発電所や変電所はもちろん、高圧で受電するビルや工場の需要設備も、この事業用電気工作物に入る。「事業用」という名前から電力会社の設備だけを思い浮かべやすいが、自社工場の高圧受電設備も同じ枠の中にある。
一般用電気工作物の要件にある「小規模な発電設備」には、太陽光発電設備なら出力50kW未満、風力発電設備なら出力20kW未満といった上限が定められている。ここで見落としやすいのが、同一構内にこの小規模な発電設備に該当する太陽光発電設備等が複数設置されている場合、あるいは既存の発電設備に新たな発電設備を電気的に接続する場合の扱いだ。この場合は、個々の設備の出力をそれぞれ個別に判定するのではなく、合算した出力で小規模な発電設備に該当するかどうかを判定する。合算した出力が50kW以上になれば、その時点で小規模な発電設備の範囲を超え、一般用電気工作物の要件を満たさなくなる(事業用電気工作物として扱われることになる)。
事業用電気工作物の内側 — 電気事業用と、自家用
事業用電気工作物は、さらに2つに分かれる。1つは電気事業(一般送配電事業・送電事業・配電事業・発電事業等)の用に供する電気工作物。もう1つは、それ以外の「自家用電気工作物」だ(38条4項)。高圧6,600Vで受電するビルや工場の需要設備は、実務上ほぼこの自家用電気工作物に入る。電材商社が扱うキュービクル式受電設備は、たいていこの自家用電気工作物として設置されている。
事業用電気工作物の中には、もう1段階、「小規模事業用電気工作物」という区分がある。太陽光発電設備なら出力10kW以上50kW未満、風力発電設備なら出力20kW未満がこれにあたる(風力発電設備は出力20kW以上であれば、小規模事業用電気工作物ではなく通常の事業用電気工作物として扱われる)。小規模事業用電気工作物は法律上は自家用電気工作物の一部だが、次に見る保安規程の届出と主任技術者の選任という2つの義務からは除外されている。
電気工事士法 — 「誰が保安を監督するか」とは別に、「誰が工事の作業をしてよいか」を決める法律
ここまでの話は、事業用電気工作物を持つ者が負う義務(保安規程・主任技術者選任)が中心だった。だが、実際に電気工事の作業を行う人にも、別の法律が資格の網をかけている。それが電気工事士法だ。
電気工事士法は、電気工事の作業を、対象の電気工作物と作業内容に応じて資格ごとに区分する。
| 資格 | 従事できる工事の範囲 |
|---|---|
| 第二種電気工事士 | 一般用電気工作物等の工事に限られる |
| 第一種電気工事士 | 自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備)と一般用電気工作物等の両方 |
| 認定電気工事従事者 | 自家用電気工作物のうち600V以下で使用する部分(簡易電気工事)に限る |
| 特種電気工事資格者 | ネオン工事、非常用予備発電装置工事など、それぞれの特殊分野に限る |
見落としやすいのが、第一種電気工事士でも従事できない工事がある点だ。ネオン工事と非常用予備発電装置工事は、特殊な技術を要するため、それぞれ特種電気工事資格者の認定を受けた者でなければ従事できない。自家用電気工作物の工事全般に従事できるはずの第一種電気工事士でも、この2分野だけは別枠の認定が必要になる。
主任技術者(電気事業法)が「保安の監督」を担うのに対し、電気工事士(電気工事士法)が担うのは「工事の作業そのもの」だ。同じキュービクルの新設工事でも、主任技術者は工事が技術基準どおりに施工されているかを監督する立場、電気工事士は実際に配線・機器の設置作業を行う立場——この役割の違いを押さえておくと、現場での資格確認の場面で迷わない。
電気工事業法 — 「誰が作業してよいか」とは別に、「業として営む会社」を規律する法律
電気工事士法が「個人が電気工事の作業をしてよいか」を資格ごとに区分する法律だったのに対し、もう1つ別の法律が、電気工事を「業として営む会社・個人事業主」を規律している。それが電気工事業の業務の適正化に関する法律(電気工事業法)だ。
電気工事業法は、電気工事業を営もうとする者に、次のいずれかの手続きを求めている。
- 登録電気工事業者 — 経済産業大臣又は都道府県知事の登録を受けて、電気工事業を営む者
- 通知電気工事業者 — 自家用電気工作物のみに係る電気工事業を営む旨を、経済産業大臣又は都道府県知事に通知して営む者
窓口は、営業所が2以上の都道府県にまたがる場合は経済産業大臣、1つの都道府県内にとどまる場合は都道府県知事になる(具体的な要件は最新の電気工事業法及び関連規則で確認すること)。
電気用品安全法 — 「誰が」ではなく「製品そのもの」を規律する法律
電気工事士法・電気工事業法・電気事業法が、いずれも「人」や「事業者」を規律する法律だったのに対し、もう1つ別の切り口から電気の安全を支えている法律がある。電気用品安全法だ。この法律が規律するのは人ではなく、コンセント・スイッチ・電線・コード・家電製品といった「電気用品」そのものである。
電気用品安全法は、電気用品を2つに区分する。
- 特定電気用品 — 構造又は使用方法その他の使用状況からみて、特に危険又は障害が発生するおそれが多い電気用品であって、具体的な品目は政令で個別に指定される
- 特定電気用品以外の電気用品 — 特定電気用品ほどの危険性はないものの、なお電気用品安全法の規制対象となる電気用品
電気用品の製造・輸入を行う事業者は、経済産業省への届出、電気用品が満たすべき技術基準への適合の確認、そして技術基準に適合したことを示す表示(マーク)の付与という手続きを経なければ、その電気用品を販売してはならない。表示されるマークは、電気用品の区分によって形が違う。
- 特定電気用品 → 菱形の
E マーク - 特定電気用品以外の電気用品 → 丸形の (PS)E マーク
電気工事士にとって、このマークは単なる製品ラベルではない。電気工事士は、電気工作物の設置又は変更の工事に電気用品を使用する場合、経済産業省令で定める方式による記号(このPSEマーク等)が表示されたものでなければ使用してはならない。無表示・無認証の電線やコードをキュービクルの改修工事に持ち込むことは、電気工事士法・電気用品安全法の両方に抵触するおそれがある。
電材商社の実務でも、扱う電線・ケーブル・配線器具がこの表示を適切に備えているかどうかは、単なる仕入れの確認事項ではなく、顧客先の電気工事士が安心して使用できるかどうかに直結する。仕入れ先・メーカーが電気用品安全法の届出事業者として適切に手続きを経ているかどうかは、取扱商品を選定するうえでの基本的な確認ポイントになる。
事業用電気工作物を持つ者に課される2つの義務
事業用電気工作物を設置する者には、電気事業法42条・43条により、原則として次の2つの義務が課される。
- 保安規程の届出(42条) — 自主的な保安体制のルールを文書化し、経済産業大臣(実務上は産業保安監督部)に届け出る
- 主任技術者の選任(43条) — 電気工作物の工事・維持・運用に関する保安の監督を行わせるため、有資格者を選任する
電験三種(第三種電気主任技術者)は、この主任技術者になるために必要な国家資格の1つだ。「法規」科目でこの2つの条文が土台になるのは、電験三種という資格そのものが、この43条の主任技術者制度の中に位置づけられているからにほかならない。
使用を始めた後もずっと続く義務 — 技術基準適合の維持と是正命令(39条・40条)
ここまで見てきた48条(工事計画届出)や51条(使用前自主検査)は、いずれも「設置・変更工事をするとき」に一度だけ通過する手続きだった。だが事業用電気工作物を設置する者の義務は、使用を開始した瞬間に終わるわけではない。
電気事業法39条1項は、事業用電気工作物を設置する者に対し、その事業用電気工作物を主務省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならないと定めている。技術基準が求める内容には、人体への危害・物件への損傷を与えないこと、他の電気的設備に電気的又は磁気的な障害を与えないこと、一般送配電事業者・配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないことなどが含まれる。「設置したときに一度適合していればよい」のではなく、経年劣化や周囲の環境変化があっても、使用している限りずっと適合し続けていなければならない、という継続的な義務がここにある。
もし主務大臣が、ある事業用電気工作物が技術基準に適合していないと認めたときは、どうなるか。電気事業法40条は、主務大臣が設置者に対し、その技術基準に適合するように事業用電気工作物を修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を制限することができると定めている。「廃止」のような不可逆の措置ではなく、あくまで是正のための一時的な措置である点が特徴だ。
電材商社の実務でも、老朽化した高圧受電設備の相談を受けたとき、「設置したときは基準を満たしていたはずだから今も問題ない」という発想は危うい。39条の維持義務は現在進行形の義務であり、経年劣化した機器を放置すれば、技術基準への不適合と判断される可能性がある。更新提案の根拠として、この継続的な義務の存在を説明できると、顧客への説得力が増す。
主任技術者は、必ず社員でなければならないのか
冒頭の工場の例に戻る。高圧のキュービクルを新設すれば、その工場は自家用電気工作物を持つことになり、43条の主任技術者選任義務を負う。ここで実務上よく誤解されるのが、「主任技術者=有資格者を正社員として雇わなければならない」という思い込みだ。
実際には、一定の要件を満たせば、外部の電気管理技術者等に委託する形(外部委託承認)で、専任の主任技術者を社内に置かずに運用することが認められている。中小規模の工場や店舗のキュービクルで、専任の主任技術者を1人雇うのは負担が大きい。外部委託承認の制度は、そうした現場の実情に合わせて設けられている。どこまでの規模・電圧なら外部委託が認められるかという具体的な要件は細かく定められているため、詳細は経済産業省が示す最新の運用基準を確認する必要がある。
太陽光30kWの工場が主任技術者の選任を必要としなかったのは、その設備が小規模事業用電気工作物にあたり、43条の除外規定に入っていたからだ。一方、高圧のキュービクルを新設する工場は、この除外規定に入らない自家用電気工作物として、主任技術者の選任義務を負うことになる。
V2H(Vehicle to Home)— EVからの給電設備は、なぜ「一般用」のままでいられるのか
ここまでの話は、いずれも「発電設備が同一構内にあるかどうか」で一般用電気工作物と事業用電気工作物を分ける前提に立っている。ところが近年、電気自動車(EV)に蓄えた電気を、専用のパワーコンディショナ(V2H機器)を介して住宅側へ供給するV2H(Vehicle to Home)というシステムが広がり始めている。
素朴に考えると、蓄電池から電気を「発生」させて供給する設備は発電設備に近い性格を持つ。一般用電気工作物の定義は「小規模な発電設備以外の発電設備と同一構内に設置されていないこと」を条件の一つとしているため、EVからの給電もこの条件に抵触し、無条件で事業用電気工作物として扱われてもおかしくないように見える。
しかし実際には、一定の技術的な条件を満たせば、V2H設備は例外的に一般用電気工作物の範囲内で扱われる仕組みが整えられている(電気設備技術基準の解釈第199条の2)。整理すると、次のような条件が組み合わさることで、感電・火災のリスクを抑える構造になっている。
- 電気自動車等の出力を10kW未満に制限し、かつ低圧幹線の許容電流以下とする
- EVと供給設備をつなぐ電路の対地電圧を、原則150V以下に制限する
- 直流側の電路を非接地とする
- 交流側に絶縁変圧器を施設する
- 地絡が起きたとき、あるいは電線が切断されたときに、自動的に電路を遮断する装置を設ける
電材商社の立場から見ても、EV充電・給電設備は今後伸びていく分野だ。V2H用のパワーコンディショナや専用分電盤、絶縁変圧器といった機器の取り扱いは、住宅設備の脱炭素化・レジリエンス強化のニーズと結びついて需要が増えていくと見込まれる。制御盤・受変電設備を扱ってきた知見は、こうした新しい給電設備の技術基準を理解するうえでも土台になる。
電気設備技術基準の解釈が定める場所の定義 — 需要場所・電気使用場所・引込線・工作物・造営物
ここまでは電気事業法が定める「電気工作物」の区分(一般用・事業用・自家用)を見てきた。これとは別に、電気設備技術基準の解釈という条文には、電気工作物がどこに施設されているかを表す、もう1系統の基本用語がある。「需要場所」「電気使用場所」「引込線」といった言葉は、避雷器の施設義務や低圧幹線の施設基準など、他のトピックの条文にも繰り返し登場するため、先にここで定義を押さえておく。
- 工作物 — 人により加工された全ての物体。もっとも広い言葉で、建物はもちろん電柱・電線路・看板なども含まれる
- 造営物 — 工作物のうち、土地に定着するものであって、屋根及び柱又は壁を有するもの。住宅・工場・倉庫のような「建物」がこれにあたる
- 電気使用場所 — 電気を使用するための電気設備を施設した、1の建物又は1の単位をなす場所
- 需要場所 — 電気使用場所を含む1の構内又はこれに準ずる区域であって、発電所、変電所及び開閉所以外のもの
- 引込線 — 架空引込線及び需要場所の造営物の側面等に施設する電線であって、当該需要場所の引込口に至るもの
需要場所の定義に「発電所、変電所及び開閉所以外のもの」という除外がついているのは、避雷器の施設義務のところで見た「発電所・変電所側」と「需要場所側」という2つの区分と対応している。発電所・変電所自体は、電気を使う場所ではなく電気をつくる・送る場所なので、需要場所には含まれない、と整理すると覚えやすい。
一般用電気工作物の調査義務 — 電線路維持運用者が定期的に見に来る仕組み
ここまでは事業用電気工作物側の義務(保安規程・主任技術者・技術基準適合維持)を見てきた。では、一般家庭や小規模店舗の一般用電気工作物には、誰も安全を確認する仕組みがないのかというと、そうではない。
一般用電気工作物と直接電気的に接続する電線路を維持し、運用する者(電線路維持運用者。実務上は一般送配電事業者等が典型)は、その一般用電気工作物が経済産業省令で定める技術基準に適合しているかどうかを調査しなければならない(電気事業法57条)。ただし、その一般用電気工作物の設置場所に立ち入ることにつき、その所有者又は使用者の承諾を得ることができないときは、この限りでない。
電線路維持運用者は、この調査を自ら行うほか、委託を受けた登録調査機関に行わせることもできる。調査の結果、電気工作物が技術基準に適合していないと認めるときは、遅滞なく、その技術基準に適合するようにするためとるべき措置及びその措置をとらなかった場合に生ずべき結果を、その所有者又は使用者に通知しなければならない。
電材商社の立場では、一般家庭向けの分電盤・漏電遮断器の更新提案の場面で、この調査の存在を知っていると説明の説得力が増す。「電力会社側が定期的にチェックしている設備だからこそ、老朽化した機器は指摘を受ける前に更新しておいたほうがよい」という提案は、この57条の仕組みを根拠にできる。
電気の需給がひっ迫したとき — OCCTOと経済産業大臣、それぞれの出番
ここまでは、個々の設置者が負う保安体制の義務(保安規程・主任技術者)を見てきた。視点を変えて、電力システム全体で電気の需給バランスが崩れそうになったとき、電気事業法はどのような仕組みを用意しているのか。
電力広域的運営推進機関(OCCTO)は、電気事業法に基づいて設立された認可法人で、一般送配電事業者・送電事業者・配電事業者・特定送配電事業者・小売電気事業者等が会員として加入している。電力の広域的な運用を調整する、いわば電気事業者の連合組織にあたる。
会員である事業者の電気の需給状況が悪化し、又は悪化するおそれがある場合において、OCCTOが必要と認めるときは、OCCTOの業務規程で定めるところにより、会員に対し、相互に電気の供給をすることや電気工作物を共有することなど、需給状況を改善するための措置をとるよう指示できる。猛暑・厳寒による需要の急増や、特定エリアの発電設備の計画外停止といった場面で、エリアをまたいだ電気の融通を促す役割を担っている。
一方、経済産業大臣にも別の権限が用意されている。災害等により電気の安定供給の確保に支障が生じ、又は生じるおそれがある場合において、公共の利益を確保するために特に必要かつ適切であると認めるときは、経済産業大臣は電気事業者に対し、電気の供給を他のエリアに行うことなど、電気の安定供給の確保を図るために必要な措置をとることを命じることができる。
台風や大規模地震で発電・送電設備が損壊し、特定のエリアで電気が不足する——というニュースを見たとき、その裏側でOCCTOの会員間調整や、場合によっては経済産業大臣の命令という仕組みが動いている、という理解を持っておくと、電力インフラ全体の保安体制を立体的に捉えられるようになる。
電気の使用制限等(電気事業法27条)— 需要家側に直接命じる、第3の柱
ここまで見てきたOCCTOの会員間調整と、経済産業大臣による電気事業者への安定供給確保命令は、いずれも電気事業者(供給側)を名宛人にする制度だった。ところが電気事業法には、需給ひっ迫時の対応としてもう1つ、需要家側(電気を使う側)を直接の名宛人にする制度がある。それが27条「電気の使用制限等」だ。
経済産業大臣は、電気の需給の調整を行わなければ電気の供給不足が国民経済及び国民生活に悪影響を及ぼし、公共の利益を阻害するおそれがあると認めるときは、使用電力量の限度、使用最大電力の限度、用途若しくは使用を停止すべき日時を定めて、電気事業者から電気の供給を受ける者(需要家)に対し、直接その電気の使用を制限すべきことを命ずることができる。
27条が実際に発動された代表例が、2011年(平成23年)の東日本大震災後の対応だ。東北地方太平洋沖地震で多くの発電所が運転を停止し、東京電力・東北電力管内で電力供給力が大幅に低下したことを受け、同年5月、両社の受持区域における契約電力500kW以上の大口需要家を対象に、電力使用制限令が発動された。使用最大電力を前年同期比で一定割合削減することが義務づけられ、違反した場合には罰則(罰金)も定められている。1973年の石油危機以来、実に38年ぶりの発動だった。
制御盤や受変電設備を扱う電材商社の立場でも、需要家側が使用制限の直接の名宛人になりうるという理解を持っておくと、非常時のデマンド監視装置や自家発電設備の提案が、単なる省エネ商材ではなく、法令上の使用制限に備えるための実務的な備えでもある、という説明ができるようになる。
冒頭の「なぜ片方は主任技術者が必要で、もう片方は不要だったのか」——答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。