在庫確認・見積は今すぐ フォームで依頼する 写真の添付もOK / 24時間受付
法規 ・ 7 / 12

需要率・不等率・負荷率の計算

読み終えると、こうなる

配電盤や変電設備の容量が、なぜ単純な足し算より小さく設計されているかを、需要率・不等率という2つの数字で説明できるようになる

  • 設備容量と需要率から個々の需要家(または設備群)の最大需要電力を計算し、複数の需要家(設備群)の最大需要電力と不等率から合成最大需要電力を計算できる。また『正時からの30分間平均使用電力』という最大需要電力(デマンド)の定義に基づき、目標値を超えないために必要な負荷抑制量を計算できる
  • 平均需要電力と最大需要電力から負荷率を計算でき、需要率・不等率・負荷率の3つの指標を混同せず、それぞれの分母・分子を正しく使い分けられる
  • 配電線路の抵抗・リアクタンス・負荷電流・力率から、電圧降下の近似式で電圧降下を計算し、力率改善が電圧降下を小さくする方向に働く理由を説明できる
  • 電力需給の均衡を保つために、需要側の使用パターンを変化させるディマンドリスポンス(デマンドレスポンス)の考え方と、アグリゲーターを介した需要家と電気事業者の間のネガワット取引の仕組みを説明できる
考えてみよう

ある工場に、電動機やヒーターなど、定格容量を単純に合計すると500kWにもなる設備が並んでいる。 だが、実際にこの工場が契約している電力は300kWしかない。契約電力を超えたら大問題のはずなのに、 なぜこの工場は何事もなく動き続けていられるのか。

答えの手がかりは「すべての機器が同時にフル稼働することは、実務上ほとんどない」という一点にある。 この「同時には使わない」という事実を、どうやって数値として容量設計に織り込むのか。

このトピックを読み終えるころには、工場や受変電設備の容量が、なぜ単純な足し算より 小さく設計されているかを、需要率・不等率という2つの数字で説明できるようになっている。

種明かしは、電気施設管理で使う3つの指標——需要率・不等率・負荷率——にある。 どれも「実際の使われ方は、カタログスペックより小さく・ムラがある」ことを数値化したものだ。

需要率 — 設備容量のうち、実際にどれだけ使われているか

需要率は、設備容量に対して、実際の最大需要電力がどれだけの割合かを示す。

需要率=最大需要電力設備容量×100 (%)\text{需要率} = \frac{\text{最大需要電力}}{\text{設備容量}} \times 100\ (\%)

工場に設置された機器の定格容量をすべて合計したものが「設備容量」だが、実際にすべての機器が 同時にフル稼働することは考えにくい。だから最大需要電力は、たいてい設備容量より小さくなる。 需要率はこの「割引率」を数値で表したものだ。

例題

設備容量120kW、需要率75%の需要家がある。最大需要電力はいくらか。

120kW×0.75=90kW120\text{kW} \times 0.75 = 90\text{kW}
需要率は通常100%以下になる。計算結果が100%を大きく超えたら、分母(設備容量)と 分子(最大需要電力)を取り違えていないか、まず疑うとよい。

不等率 — 複数の需要のピークは、めったに重ならない

1つの需要家(または設備群)の中の話が需要率なら、不等率は複数の需要家(設備群)をまとめたときの話だ。

不等率=各需要家の最大需要電力の合計合成最大需要電力\text{不等率} = \frac{\text{各需要家の最大需要電力の合計}}{\text{合成最大需要電力}}

A社の電力使用のピークと、B社のピークは、同じ時刻に重なるとは限らない。むしろズレるのが普通だ。 だから複数の需要家をまとめた「合成最大需要電力」は、個々の最大需要電力を単純に足し合わせた値より 小さくなる。この差を表すのが不等率で、通常1以上の値になる。値が大きいほど、各需要家のピークが 分散していることを意味する。

例題

最大需要電力80kWのA社、60kWのB社があり、2社をまとめた合成最大需要電力が112kWだった。不等率はいくらか。

80+60112=140112=1.25\frac{80+60}{112} = \frac{140}{112} = 1.25
不等率を使って合成最大需要電力を求めたいときは、この式を逆算する。 「各最大需要電力の合計 ÷ 不等率 = 合成最大需要電力」。掛け算と間違えると、 実際より大きい容量を見積もってしまう——変圧器を過大に選定する典型的な原因になる。

負荷率 — 設備は「ムラなく」使われているか

需要率・不等率が「容量に対する割引」を扱うのに対し、負荷率は時間の中での需要の変動を扱う。

負荷率=平均需要電力最大需要電力×100 (%)\text{負荷率} = \frac{\text{平均需要電力}}{\text{最大需要電力}} \times 100\ (\%)

一日のうちピーク時しか電力を使わない需要家より、昼夜を通じて満遍なく電力を使う需要家の方が、 設備を効率よく使えている。負荷率はこの「稼働のムラのなさ」を表す指標で、値が高いほど良い。

例題

平均需要電力40kW、最大需要電力80kWの需要家の負荷率はいくらか。

4080×100=50%\frac{40}{80} \times 100 = 50\%

電圧降下 — 配電線路の「抵抗とリアクタンス」から電圧の目減りを計算する

需要率・不等率・負荷率が「どれだけの電力を使うか」を扱う指標だったのに対し、電圧降下は「その電力を送るとき、線路のどこでどれだけ電圧が目減りするか」を扱う、また別の計算だ。変電所や配電用変電所から需要家まで電気を送る配電線路には、電線自体の抵抗Rとリアクタンス(誘導性のインピーダンス成分)Xがあり、電流が流れるとこの2つの成分でそれぞれ電圧が消費される。

三相3線式配電線路の電圧降下ΔVは、線路1条あたりの抵抗R・リアクタンスX、負荷電流I、力率cosθ(遅れ)を使って、次の近似式で概算できる。

ΔV3×I×(Rcosθ+Xsinθ)\Delta V \approx \sqrt{3} \times I \times (R\cos\theta + X\sin\theta)

例題

三相3線式配電線路(電線1条あたり抵抗2Ω、リアクタンス3Ω)で、負荷電流40A、力率0.8(遅れ、sinθ=0.6)のときの電圧降下を求める。

ΔV=3×40×(2×0.8+3×0.6)=1.732×40×3.4236V\Delta V = \sqrt{3} \times 40 \times (2\times0.8 + 3\times0.6) = 1.732 \times 40 \times 3.4 \approx 236\text{V}
式の中でRにかかるのはcosθ、Xにかかるのはsinθだ。「抵抗は有効電力を生む側の成分だからcosθ、リアクタンスは無効電力に関わる側の成分だからsinθ」と対応づけて覚えると、取り違えにくい。cosθが分かればsinθ=√(1-cos²θ)で求められることも、あわせて確認しておく。

力率改善は、電圧降下も小さくする

高圧受電設備にコンデンサ(進相コンデンサ)を設置して力率を改善する目的は、力率そのものを良くすることだけではない。同じ有効電力を送るのに必要な線路電流Iは、力率が改善するほど小さくなる。電圧降下の式ΔV=√3×I×(Rcosθ+Xsinθ)において、電流Iが減ることに加え、sinθも小さくなるためリアクタンス分(Xsinθ)の寄与も縮み、電圧降下は小さくなる方向に働く。

需要率・不等率が「変圧器や配電盤の容量をどう決めるか」という設計の入口だったのに対し、電圧降下は「実際に送った電気が、末端でどれだけの電圧で届くか」という出口側の話になる。力率改善は、この入口(容量設計)と出口(電圧降下)の両方に効いてくる、電気施設管理でよく登場する共通の打ち手だ。

最大需要電力(デマンド)は「瞬間値」ではなく「30分間の平均」

需要率・不等率・負荷率の式にはいずれも「最大需要電力」という言葉が登場した。ここまでは、この値をあらかじめ与えられた数値として扱ってきたが、実務でこの値がどう決まるかを知っておくと、電力管理の現場で起きていることの見え方が変わる。

「最大需要電力」と聞くと、グラフの一番高い一瞬のピーク値を思い浮かべやすい。だが実務上のデマンド管理でいう最大需要電力は、そうではない。正時(0分・30分)から30分間の平均使用電力のうち、最大のものを指す。

なぜ瞬間値ではなく30分間の平均なのか。契約電力を超えたかどうかで課金や設備容量の判断が行われる以上、一瞬だけ跳ね上がった電力ではなく、変圧器や配電設備に継続的にかかる負荷の大きさを見る必要がある。30分間という区切りは、瞬間的な突入電流やノイズに引きずられず、実質的な負荷の大きさを捉えるための「ならし」の時間だと理解すればよい。

例題 — 後半をどこまで絞れば間に合うか

ある工場が、正時からの30分間平均使用電力を250kW未満に抑える運用をしている。9時00分から9時15分までの15分間、使用電力は260kWで推移した。このまま何もしなければ、9時00分からの30分間平均が250kWを超えてしまう。9時15分から9時30分までの15分間、使用電力をいくらまで抑えれば、30分間平均を250kW未満に収められるか。

260kW×15+P×1530<250kW\frac{260\text{kW}\times15\text{分} + P\times15\text{分}}{30\text{分}} < 250\text{kW} 260+P2<250P<240kW\frac{260+P}{2} < 250 \quad\Rightarrow\quad P < 240\text{kW}

9時15分以降の使用電力を240kW未満まで引き下げれば、30分間平均は目標を下回る。この工場では、換気用の冷却ファン(1台あたり4kW)を最大6台まで停止できる運用にしていたとすると、260kWから240kW未満まで下げるには20kWを超える削減が必要になる。ファン5台の停止では20kWちょうどの削減にとどまり、ぎりぎり足りない(260-20=240kWは「240kW未満」を満たさない)。6台停止(24kW削減)で236kWまで下げて、初めて条件を満たす。

このタイプの計算で見落としやすいのは、「削減量がちょうど目標との差に届けばよい」と考えて、不等号の『未満』を見落とすことだ。ちょうど届く削減量では、平均が目標値と同じになるだけで、目標を『下回る』条件は満たさない。境界値ぎりぎりの選択肢が並ぶ設問では、削減量を目標との差より少し多めに確保する必要がある、という点を意識しておくと取りこぼしにくい。

需要率・不等率が「容量設計の入口」で使う指標だったのに対し、この30分間デマンド管理は「日々の運用」で効いてくる考え方だ。契約電力を超えそうになったとき、どの負荷を、いつ、どれだけ絞れば間に合うかを判断する場面は、電力会社との契約電力の管理を任されている需要家では日常的に発生する。

需要側から需給バランスを調整する — ディマンドリスポンスとネガワット取引

ここまで見てきた需要率・不等率・負荷率・30分間デマンドは、いずれも「決まった需要のパターンを、どう数値化して容量設計や運用に活かすか」という話だった。だが電力システム全体で見ると、需要のパターン自体を意図的に変化させることで、需給バランスそのものを調整するという、もう1つのアプローチがある。

電力システムでは、需要と供給の間に不均衡が生じると周波数が変動する。これを防ぐには、需要と供給の均衡を常に確保しなければならない。従来、この調整は主に供給側(発電)を需要にあわせて動かすことで行われてきたが、近年はスマートメーター等の普及もあり、需要側の状況に応じて電力の使用パターンを変化させる取組みの重要性が強く認識されるようになっている。これがディマンドリスポンス(デマンドレスポンス)だ。

「デマンド(需要)」という言葉は、この章のここまでの計算(30分間デマンド管理)でも登場したが、意味合いが少し異なる。30分間デマンド管理は「決まった目標値を超えないよう、需要家が自分の設備を絞る」という単独の運用だったのに対し、ディマンドリスポンスは「電力システム全体の需給状況に応じて、需要家(または需要家を束ねた事業者)が電気事業者と連携しながら使用パターンを変化させる」という、より広い枠組みの話になる。

この取組みの中で実務上重要になるのがアグリゲーターの存在だ。個々の需要家が単独で電気事業者と調整力の取引をするのは現実的ではないため、複数の需要家を束ねて、まとまった削減量・容量として電気事業者と取引する事業者(アグリゲーター)が間に入る。電気事業者(小売電気事業者や系統運用者)とアグリゲーターの間の契約、アグリゲーターと需要家の間の契約という、二段階の契約構造で成り立っている。

ネガワット取引 — 「削減した電力」を取引する

アグリゲーターが需要家との契約に基づき、電力の削減の量や容量を電気事業者と取引する仕組みは、いわゆるネガワット取引と呼ばれる。「発電した電力(ワット)」を売るのではなく、「使わなかった電力(ネガワット)」を、あたかも発電したのと同じ価値のあるものとして取引する、という発想の転換がこの名称に表れている。

要請による削減量に応じて、需要家がアグリゲーターを介して電気事業者から報酬を得る、というのが対価の流れになる。需要家から見れば、電力使用量を我慢して減らすだけでなく、その削減という行為そのものが経済的な価値を持つようになる、と捉えると理解しやすい。

「ディマンドリスポンス=節電のお願い」という漠然とした理解に留まると、ネガワット取引が契約と対価に基づく仕組みであることを見落としやすい。整理すると、①電力システム全体の需給均衡を保つための需要側の取組みがディマンドリスポンス、②その中でもアグリゲーターを介した需要家と電気事業者の間の削減量・容量の取引がネガワット取引、という包含関係になる。

太陽光発電の普及で出力が天候に左右されやすくなった電力システムでは、需要側を柔軟に動かせる仕組みの価値が今後さらに高まっていく。制御盤・受変電設備の更新提案でも、単純な省エネだけでなく、こうした需要側の調整力そのものが顧客にとっての新しい価値になりうる、という視点を持っておくと提案の幅が広がる。

自家用発電所の需給計算 — 発電と消費の大小関係が、時間帯ごとに入れ替わる

ここまで見てきた需要率・不等率・負荷率・デマンド管理は、いずれも「需要側(電気を使う側)」の数字だけを扱ってきた。だが自家用の発電設備を持ち、電力系統と常時系統連系している工場では、需要(消費電力)と供給(発電電力)の両方の推移を突き合わせて、電力系統との間で電気を「送る(逆潮流)」時間帯と「受ける」時間帯を見分ける計算が出てくる。

考え方はシンプルだ。ある時刻において、

  • 発電電力 > 消費電力 の時間帯は、超過分が電力系統への送電(逆潮流)に回る
  • 消費電力 > 発電電力 の時間帯は、不足分を電力系統からの受電でまかなう

1日のうちで、この大小関係は一定ではなく、時間帯によって入れ替わることが多い。ある時間帯の電力量[kWh]は、その時間帯の電力[kW]に継続時間[h]を掛けて求め、1日の送電電力量・受電電力量は、それぞれの向きが生じている時間帯の電力量を積み上げて合計する。

この計算で最も起きやすい誤りは、1日の総発電電力量と総消費電力量を先に求めてから、その差だけで送電・受電電力量を求めようとすることだ。だが実際には、ある時間帯は送電、別の時間帯は受電というように、同じ1日の中で向きが入れ替わっている。総量の差ではなく、時間帯ごとに発電と消費の大小を比べ、それぞれの超過分・不足分を別々に積み上げる、という手順を踏む必要がある。

例題

自家用発電所を持ち、電力系統と常時系統連系している工場がある。ある日の消費電力は0時〜8時が300kW一定、8時〜16時が900kW一定、16時〜24時が300kW一定で推移した。同じ日の発電電力は0時〜6時が100kW一定、6時〜20時が600kW一定、20時〜24時が100kW一定で推移した(所内電力は無視できるものとする)。

消費電力・発電電力それぞれの区切り(6時・8時・16時・20時)をすべて合わせた時間帯ごとに、大小関係を比べる。

時間帯消費電力発電電力大小関係電力量
0〜6時(6h)300kW100kW消費>発電受電 200kW×6h=1,200kWh
6〜8時(2h)300kW600kW発電>消費送電 300kW×2h=600kWh
8〜16時(8h)900kW600kW消費>発電受電 300kW×8h=2,400kWh
16〜20時(4h)300kW600kW発電>消費送電 300kW×4h=1,200kWh
20〜24時(4h)300kW100kW消費>発電受電 200kW×4h=800kWh

送電電力量の合計は600+1,200=1,800kWh(1.8MWh)、受電電力量の合計は1,200+2,400+800=4,400kWh(4.4MWh)になる。

時間帯を区切るときの基準は、消費電力側・発電電力側の両方の区切り時刻をすべて拾い出すことだ。この例では消費電力の区切り(8時・16時)と発電電力の区切り(6時・20時)が異なるため、4つの時刻をすべて合わせた5つの区間(0〜6、6〜8、8〜16、16〜20、20〜24時)に分けて、区間ごとに大小関係を判定する必要がある。片方の区切りだけで区間を分けると、区間の途中で大小関係が入れ替わっていることを見落とす。

この日、発電所が発電した電力量のうち、工場内で消費された(自家消費された)電力量の比率も求めてみる。1日の総発電電力量は、0〜6時(600kWh)・6〜20時(600kW×14h=8,400kWh)・20〜24時(400kWh)の合計で9,400kWh(9.4MWh)。このうち送電に回った1.8MWhを差し引いた残りが、工場内で消費された電力量になる。

自家消費比率=9.41.89.4×10080.9%\text{自家消費比率} = \frac{9.4-1.8}{9.4}\times100 \approx 80.9\%
「発電した電力量のうち送電に回った比率」と「自家消費された比率」は、足すと100%になる裏表の関係だ。この例では送電比率が1.8÷9.4×100≈19.1%なので、自家消費比率はその残り、100−19.1≈80.9%になる。どちらを聞かれているかを問題文で必ず確認し、送電比率と自家消費比率を取り違えないようにする。

制御盤・受変電設備の容量設計にどうつながるか

これら3つの指標は、単独では出題対象の計算問題にすぎないが、実務では変圧器容量や配電盤の ブレーカー容量を決めるときの出発点になる。設備容量をそのまま足し合わせて機器を選ぶと、 実際にはまず起こらない「全負荷同時使用」を前提にした、無駄に大きく高価な設備になってしまう。 需要率で個々の需要家(設備群)の実態を絞り込み、不等率で複数の需要をまとめたときのピークのズレを 織り込む——この2段階の計算が、電材を扱う実務で変圧器の更新提案をする際の容量算定の土台になる。

冒頭で挙げた「定格容量500kW、契約電力300kW」という工場の謎——答え合わせは 理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 合成最大需要電力を求めるときに、不等率を掛けてしまう(割るべきところを掛ける)

    なぜ引っかかる需要率も不等率も「率」という言葉でひとくくりにして覚えると、需要率は掛ける、不等率は割るという逆方向の演算だということを意識しづらくなる。

    見破り方不等率は必ず1以上になる値であることを確認する。「各最大需要電力の合計 ÷ 合成最大需要電力 = 不等率」という定義に立ち返り、合成最大需要電力を求めるときはこの式を逆算する(合計を不等率で割る)。

  2. 需要率の分母を「最大需要電力」、分子を「設備容量」と逆にしてしまう

    なぜ引っかかる需要率は「設備容量のうち、どれだけが実際に使われているか」を表す指標なのに、両者の位置を覚え違えると、計算結果が100%を大きく超えても違和感を持てなくなる。

    見破り方需要率は通常100%以下(実務上はおおむね50〜80%程度)になるのが自然。計算結果が100%を大きく超えたら、分母・分子を取り違えていないか疑う。

  3. 負荷率の「平均需要電力」を「設備容量」と取り違える

    なぜ引っかかる需要率・負荷率のどちらも設備容量が絡む文脈で一緒に出題されるため、分母に何を置くべきかが混同しやすい。

    見破り方負荷率は「時間軸での需要の変動」を表す指標であり、設備容量ではなく必ず最大需要電力を分母に置く。「平均 ÷ 最大」という言葉の並びで覚える。

  4. 電圧降下の近似式で、リアクタンス分にかける係数をcosθのまま使ってしまう(sinθと取り違える)

    なぜ引っかかるΔV=√3×I×(Rcosθ+Xsinθ)という式は、RにもXにも同じ『力率っぽい係数』が掛かっているように見えるため、両方にcosθを使ってしまいやすい。

    見破り方抵抗分(有効電力を生む側)にはcosθ、リアクタンス分(無効電力に関わる側)にはsinθが対応すると覚える。cos²θ+sin²θ=1という関係を使って、力率が分かればsinθ=√(1-cos²θ)で求められることも合わせて確認する。

  5. 最大需要電力(デマンド)を『ある瞬間のピーク値』だと思い込み、30分間の平均値であることを見落とす

    なぜ引っかかる『最大需要電力』という言葉の響きから、グラフの一番高い一瞬の値をそのまま指すと直感的に考えやすい

    見破り方最大需要電力は、正時(0分・30分)から30分間の平均使用電力のうち最大のものを指す、と定義に立ち返る。前半が高い値で推移していても、後半をどれだけ絞れば30分間の平均が目標値未満に収まるかを、平均の式(合計÷30分)から逆算する必要がある

  6. ディマンドリスポンスを、需要家が自主的に節電するだけの活動だと捉え、電気事業者・アグリゲーターとの契約に基づく取引としての側面を見落とす

    なぜ引っかかる『デマンドレスポンス=省エネ・節電』という漠然としたイメージが先に立ちやすく、電気事業者やアグリゲーターと需要家の間で結ばれる契約に基づき、削減量や容量を対価とともにやり取りする『取引』であることを見落としやすい

    見破り方ネガワット取引の当事者を整理する。需要家が要請に応じて電力使用を削減した量を、アグリゲーターを介して電気事業者と取引し、需要家がその対価(報酬)を受け取る、という『誰が・何を・誰と取引しているか』の向きを確認する癖をつける

  7. 自家用発電所の1日の送電電力量・受電電力量を、消費電力・発電電力それぞれの1日の合計電力量をそのまま比べて求めてしまう

    なぜ引っかかる『1日を通じた合計』という感覚が先に立つと、時間帯によって発電が消費を上回ったり下回ったりが入れ替わっている(送電と受電が同じ1日の中に混在する)ことを見落とし、1日の総発電量と総消費量の差だけで送電・受電電力量を求めようとしやすい

    見破り方送電(逆潮流)と受電は、同じ日の中でも時間帯によって向きが入れ替わる別々の事象だと確認する。まず時間帯ごとに発電電力と消費電力の大小を比べ、発電が上回る時間帯の超過分だけを合計して送電電力量、消費が上回る時間帯の不足分だけを合計して受電電力量とする、という時間帯ごとの積み上げが必要になる

参考文献・出典

理解度チェック(13問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、13問で確認しよう。 内訳は基本6問・応用4問・ひっかけ3問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 13 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 需要率 = 最大需要電力 ÷ 設備容量 × 100(%)。設備をどれだけ余裕を持たせて使っているかの指標で、通常100%以下になる
  2. 不等率 = 各負荷の最大需要電力の合計 ÷ 合成最大需要電力。通常1以上になり、値が大きいほどピークが分散している
  3. 負荷率 = 平均需要電力 ÷ 最大需要電力 × 100(%)。値が高いほど設備が時間的にムラなく稼働している
  4. 需要率で個々の最大需要電力を求め、不等率でそれらをまとめた合成最大需要電力を求める——という2段階の計算が典型パターン
  5. 実務上『最大需要電力(デマンド)』は、瞬間値ではなく『正時(0分・30分)からの30分間の平均使用電力』のうち最大のものを指す。契約電力を超えないよう管理する場合、この30分間平均の値を目標値未満に抑える必要があり、前半の実績が高いときは後半の使用電力をどこまで絞れば間に合うかを、平均の式から逆算する
  6. 三相3線式配電線路の電圧降下ΔVは、線路1条あたりの抵抗R・リアクタンスX、負荷電流I、力率cosθ(遅れ)から、近似式 ΔV=√3×I×(Rcosθ+Xsinθ) で概算できる。力率を改善する(コンデンサ設置等でcosθを1に近づける)と、同じ有効電力を送るのに必要な電流Iが減り、sinθも小さくなるため、電圧降下は小さくなる方向に働く
  7. 電力システムでは、需要と供給の均衡が崩れると周波数が変動するため、この均衡を常に確保する必要がある。従来は電力需要に合わせて供給側(発電)を調整してきたが、近年は電力需要の状況に応じて需要側(消費側)の使用パターンを変化させる取組み——ディマンドリスポンス(デマンドレスポンス)——の重要性が高まっている。小売電気事業者や系統運用者(電気事業者)、複数の需要家を束ねるアグリゲーターが、需要家との契約に基づき、要請に応じた電力使用量の削減量や容量を取引する取組みは、いわゆるネガワット取引と呼ばれる。要請による削減量に応じて、需要家がアグリゲーターを介して電気事業者から報酬を得る、という対価の流れになる
  8. 常時系統連系している自家用発電所を持つ工場では、1日の消費電力と発電電力の推移をそれぞれ時間帯ごとに比べ、発電電力が消費電力を上回る時間帯は超過分が電力系統への送電(逆潮流)に、消費電力が発電電力を上回る時間帯は不足分が電力系統からの受電に、それぞれ回る。ある時間帯の電力量[kWh]は、その時間帯の電力[kW]に時間[h]を掛けて求め、1日の送電電力量・受電電力量は、時間帯ごとの超過分・不足分の電力量を積み上げて合計する。発電した電力量のうち工場内で自家消費された比率は、(1日の総発電電力量−送電電力量)÷1日の総発電電力量×100(%)で求められる
Xでシェア
打ち合わせを予約 見積依頼