現場から「幅300mmの金属ダクトと、内径16mmのCD管(合成樹脂製可とう電線管)、どちらも電気用品安全法の対象ですよね」と聞かれた。感覚的には、どちらも電線を収める配管材料で、似たような扱いに思える。だが実際には、片方は電気用品に該当し、もう片方は該当しない。
見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、資材が電気用品に該当するかどうかを、政令の別表に沿って自分で判断できるようになっている。
法規科目のうち、建設業法・電気工事士法・電気事業法・労働安全衛生法・道路法という「よく出る5法」、そして電気工事業法・建築基準法・消防法・労働基準法という周辺4法はすでに扱ってきた。ここではもう1つ、電材を扱う実務と特に関わりが深い電気用品安全法を取り上げる。
電気用品安全法は何を規制しているか
電気用品安全法は、電気用品の製造、販売等を規制するとともに、電気用品の安全性の確保につき民間事業者の自主的な活動を促進することにより、電気用品による危険及び障害の発生を防止することを目的とする(1条)。電気工事士法が「誰が工事してよいか」を、電気工事業法が「工事業をどう営むか」を規制するのに対し、電気用品安全法は製品そのもの(電線・配線器具・電気機械器具等)の安全性を規制する法律になる。
「電気用品」とは何か — 政令の別表に品目が列挙されている
電気用品安全法2条1項は、「電気用品」を3つの号に分けて定義している。一号は一般用電気工作物等(一般用電気工作物及び小規模事業用電気工作物)の部分となり、又はこれに接続して用いられる機械、器具又は材料であって政令で定めるもの、二号は携帯発電機であって政令で定めるもの、三号は蓄電池であって政令で定めるものだ。この「政令で定めるもの」の具体的な中身は、電気用品安全法施行令1条が定め、別表第一(特定電気用品)・別表第二(その他の電気用品)に品目ごとに列挙されている。
電気用品かどうかを判断するときは、「電気に関わる資材かどうか」という漠然とした基準ではなく、施行令の別表に、その品目・寸法基準が列挙されているかどうかで判断する。この後に見る電線管類の線引きは、まさにこの点が問われる代表例だ。なお、電材商社が日常的に扱う電線管・電線・配線器具は一号(一般用電気工作物等の部分・接続品)に当たる。二号の携帯発電機、三号の蓄電池は、それぞれ独立した号として定義されており、一号の「機械、器具又は材料」に読み替えられるわけではない点も押さえておきたい。
電線管類の線引き — 寸法基準を超えると対象外になる
施行令別表第二2号は、電線管類及びその附属品並びにケーブル配線用スイッチボックスのうち、次のものを電気用品として列挙している。
| 品目 | 電気用品に該当する範囲 |
|---|---|
| 電線管(可とう電線管を含む) | 内径120mm以下 |
| フロアダクト | 幅100mm以下 |
| 線ぴ | 幅50mm以下 |
| 電線管類の附属品 | 上記を接続する目的のもの |
| ケーブル配線用スイッチボックス | — |
ここで見落としやすいのが、一般的な「金属ダクト」という品目自体が、この別表には列挙されていないという点だ。列挙されているのは「フロアダクト」(幅100mm以下)や「線ぴ」(幅50mm以下)であって、幅が広い金属ダクトはこの寸法基準にも収まらない。したがって、幅300mm・高さ200mmのような大型の金属ダクトは電気用品には該当しない。一方、内径16mmの合成樹脂製可とう電線管(CD管)は「電線管(可とう電線管を含み内径120mm以下)」に該当し、電気用品となる。「配管材料だから一律に電気用品」ではなく、品目と寸法の両方を別表に照らして確認する必要がある。
ケーブルにも寸法の線引きがある — 断面積100mm²が上限
電線管類だけでなく、電線そのもの(ケーブル)にも該当・非該当の線引きがある。施行令別表第一1号(二)・別表第二1号(二)は、ケーブルが電気用品に該当する範囲を、導体の公称断面積100mm²以下のものに限っている。このうち22mm²以下のものは特定電気用品、22mm²を超え100mm²以下のものはそれ以外の電気用品に区分される。
現場でよく使う600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CVTケーブル)は、太い幹線用になると公称断面積150mm²のような大サイズになる。この100mm²という上限を超えると、電線管類の寸法基準(内径120mm以下の電線管、幅100mm以下のフロアダクトなど)と同じように、電気用品には該当しなくなる。「電線・ケーブル類は一律に電気用品」という思い込みではなく、電線管類と同じく公称断面積という寸法基準で該当・非該当が分かれると理解しておく。
特定電気用品と、それ以外の電気用品 — 違いは「規制の有無」ではなく「厳しさの段階」
電気用品には2つの区分がある。施行令別表第一に掲げる特定電気用品(配線器具・電線・ヒューズ等の一部が該当)と、それ以外の電気用品(別表第二に掲げるもの)だ(法2条2項)。
「特定」という言葉から、特定電気用品だけが規制対象で、それ以外は野放しだと誤解しやすいが、これは誤りだ。どちらの区分も、技術基準への適合義務(8条)と表示制度(10条)の対象になる。違うのは、特定電気用品にはさらに、登録を受けた機関による適合性検査(9条)という、より厳格な確認手続きが上乗せされる点にある。「特定=規制が重い方」「それ以外=規制が軽い方」という段階の違いであって、規制の有無の違いではない。
表示制度と販売の制限 — 電材商社にとっての実務上のチェックポイント
電気用品の製造・輸入事業者(届出事業者)は、技術基準への適合義務を果たしたうえで、経済産業省令で定める方式による表示(いわゆるPSE表示)を電気用品に付することができる(10条)。そして、電気用品の製造、輸入又は販売の事業を行う者は、この表示が付されているものでなければ、電気用品を販売し、又は販売の目的で陳列してはならない(27条1項)。
27条1項の名宛人には「販売の事業を行う者」も含まれている点を見落とさないようにしたい。表示制度を製造・輸入事業者だけの義務だと捉えると、電材商社は無関係だと誤解しやすいが、実際には仕入れて販売する側にも、表示のない電気用品を売らない義務がかかっている。電気用品に該当する資材を扱う以上、その資材にPSE表示があるかどうかは、電材商社にとっても法令遵守の実務上のチェックポイントになる。
表示の記号 — ひし形と丸形で区分が分かれる
10条1項の表示(PSE表示)は、経済産業省令で定める方式によることとされており、この方式の中身は電気用品安全法施行規則17条が定めている。表示すべき事項は区分ごとに異なり、特定電気用品には別表第六に規定する記号を、それ以外の電気用品には別表第七に規定する記号を用いる。
特定電気用品に表示する記号(別表第六)はひし形の図形で、電線・ヒューズ・配線器具等の部品材料であって構造上表示スペースを確保することが困難なものには、この図形に代えて文字表記「<PS>E」を用いることができる。これに対して特定電気用品以外の電気用品に表示する記号(別表第七)は丸形の図形で、同様にスペースが確保できない場合は文字表記「(PS)E」で代替できる。「規制がより厳しい特定電気用品には、角のあるひし形の記号」「それ以外には、角のない丸形の記号」という対応で覚えておくと、図で出題されても文字で出題されても取り違えにくい。
電材商社の現場で、この線引きがどう効いてくるか
取引先から「この配管材料は電気用品ですか」と聞かれたとき、品目の名前だけで即答するのではなく、施行令別表の寸法基準まで踏まえて答えられると、提案の信頼度が変わってくる。特に、電線管・フロアダクト・線ぴのように寸法によって該当・非該当が分かれる品目では、「この製品は該当する範囲に入っています」と具体的な根拠を示せることが、専門商社としての価値になる。
この資格を取ったあと、現場で何が変わるか
この資格を取ったあと、現場から「この電線管は電気用品ですか」と聞かれたとき、あなたは「内径が120mm以下かどうか」という具体的な基準を示して答えられるようになる。感覚的な「配管材料だから対象」「配管材料だから対象外」という判断ではなく、施行令の別表に品目と寸法基準を照らして判断する側に回る。
電材商社との取引でも、仕入れる資材にPSE表示があるかどうかを確認する視点を持てるようになる。27条1項が「販売の事業を行う者」にも表示のない電気用品を売らない義務を課していると理解しているからこそ、取引先が扱う資材の表示の有無を、単なる形式確認ではなく法令遵守の一部として捉えられる。
冒頭の疑問、金属ダクトとCD管でなぜ扱いが分かれるのか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。