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施工管理法(知識) ・ 2 / 8

バーチャート工程表 — 誰でも読めるのに、大規模工事では主役になれない理由

読み終えると、こうなる

バーチャート工程表を見たとき、それが『分かりやすさ』と引き換えに何を捨てている表なのかを言い当てられるようになる。

  • バーチャート工程表の縦軸・横軸が何を表しているかを説明できる
  • ガントチャートとバーチャートを、横軸が示す意味(日付か進捗率か)で区別できる
  • ある作業が遅れたとき、バーチャート単独ではその影響範囲が分からない理由を説明できる
考えてみよう

バーチャート工程表は、電気工事に限らず、ほぼどの現場でも一度は目にする工程表だ。作り方は単純で、読み方も直感的。にもかかわらず、大規模で複雑な工事の現場では、この表「だけ」で工程を管理しているところは少ない。

読みやすいはずの表が、なぜ主役になれないのか。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、バーチャートが得意なことと、苦手なことを説明できるようになっている。

バーチャート工程表は、縦軸に工種(作業項目)を並べ、横軸に暦日(着工日から竣工日までの日付)を取り、各工種がいつからいつまで作業するかを横棒(バー)で示す工程表だ。電気工事であれば、「仮設工事」「電線管配管工事」「電線・ケーブル敷設工事」「盤設置工事」「機器取付工事」「試験・調整」「竣工検査」といった工種を縦に並べ、それぞれの作業期間を横棒で描いていく。

工種\日付1週目2週目3週目4週目
仮設工事■■
電線管配管工事■■■
ケーブル敷設工事■■■
盤・機器取付■■
試験・調整■■

この形の工程表を作るのに、専門的な計算は要らない。各工種の想定作業日数を見積もり、開始日から順番にバーを引いていくだけで完成する。誰が見ても「いつ、何をやっているか」が一目で分かる、というのがバーチャート最大の強みだ。

バーチャートとガントチャート — 横軸の意味が違う

似た名前でよく混同されるのがガントチャートだ。見た目はどちらも横棒を使うグラフだが、横軸が表している意味が違う。

横軸が表すもの主な用途
バーチャート工程表暦日(いつからいつまで作業するか)工事全体の日程計画を示す
ガントチャート進捗率(0〜100%、どこまで進んだか)各作業の進捗状況を管理する

バーチャートは「予定表」としての性格が強く、ガントチャートは「進捗確認表」としての性格が強い、と考えると区別しやすい。現場によっては、1つの表の中に予定バーと実績バーを重ねて描き、両方の役割を兼ねさせている場合もある。ガントチャートの横棒は、あくまで各作業がどこまで進んだかを長さや塗りつぶし具合で示すためのものであり、出来高累計曲線のような折れ線・曲線のグラフではない。「進捗を示す表」という共通点から、両者を同じ描き方のグラフだと混同しないよう注意する。

バーチャートの弱点は、**工種同士の関連(依存関係)を表現できない**ことにある。「ケーブル敷設工事が2日遅れたら、後工程の盤・機器取付にどれだけ影響するか」は、バーチャートの横棒を眺めているだけでは分からない。工種を並べた順番はあくまで見やすさのためのもので、その順番が「厳密な前後関係」を保証しているわけではないからだ。この弱点を補うのが、次のトピックで扱うネットワーク工程表になる。

バーチャートが向く現場、向かない場面

バーチャートは、工種の数が少なく、工種間の関連が単純な小〜中規模の工事に向いている。作成の手間が少なく、現場の職人や関係者に配って「この週は何が動いているか」を共有する用途にも使いやすい。

一方、工種が数十にも及び、複数の工種が並行して進み、しかも「この工種が終わらないと次が始められない」という複雑な依存関係を持つ大規模工事では、バーチャート単独では力不足になる。どの作業が遅れると全体の工期に直結するのか(クリティカルパス)が見えないため、遅延が起きたときに「どこを立て直せば工期に間に合うか」を判断する材料に乏しい。

だからといって、大規模工事でバーチャートがまったく使われないわけではない。実務では、工程の重要度や遅延の影響範囲をネットワーク工程表で把握しつつ、現場での日々の進捗共有にはバーチャートを使う、という役割分担・併用がよく行われる。「分かりやすいが、工程の重要度は見えない」という一長一短を正しく理解していることが、工程表を使い分ける第一歩になる。

タクト工程表 — バーチャートとネットワークの中間

バーチャートやガントチャートと並んで、大規模な繰り返し工事でよく使われるのがタクト工程表だ。フロア(階層)や区画ごとに同じ作業が繰り返される工事で、バーチャートに、ネットワーク工程表が持つ「区画間のつながり」の表現を一部取り入れた形式になる。基準階の内装・設備工事を各階で繰り返す高層マンションのような現場に向いている。

タクト工程表は、同じ作業が区画ごとに繰り返される性質上、**各区画に投入する稼働人員は把握しやすい**。一方で、区画間の複雑な依存関係までは表現しないため、**全工程のクリティカルパスの把握はネットワーク工程表に劣る**。「稼働人員の把握はしやすいが、クリティカルパスの把握は苦手」という、得意・不得意が入れ替わりやすい組み合わせで覚えておく。基準階の繰り返しが多い高層ビルの工程管理には適するが、「全工程の依存関係を細かく分析したい」という目的にはタクト工程表ではなくネットワーク工程表を選ぶ。

タクト工程表には、もう1つ見落としやすい限界がある。タクト工程表が表しているのは、あくまで「この区画の作業を、この期間に行う」という計画であって、実際にどこまで工事が進んだかという出来高(進捗の実績データ)を記録・集計する仕組みではない。「繰り返し工程の管理に向いている」「工期の遅れなど状況の把握が容易」という長所から連想を広げて、「出来高の管理も容易なはずだ」と考えると足をすくわれる。出来高を計画と実績で数値として比較したいときは、タクト工程表ではなく、この後に説明する出来高累計曲線(Sカーブ)のような別の図表を使う。

工程表の階層 — 総合工程表が先、週間工程表はそこから切り出す

工程表には、扱う期間の長さが異なる階層がある。着工前にまず作成するのが、工事全体を最初から最後まで俯瞰する総合工程表(全体工程表)だ。ここに、主要な工種の大まかな開始・終了時期が示される。実際の現場運営では、この総合工程表から1〜2週間程度の期間を切り出し、その期間にやるべき作業をより具体的に示した週間工程表を、毎週作成していく。

この2つの作成順序は、**必ず総合工程表が先、週間工程表が後**だ。「週間工程表を毎週積み上げていけば、それがそのまま総合工程表になる」という逆の発想は成立しない。総合工程表は着工前に工事全体の骨格を決める土台であり、週間工程表はその骨格の一部を、直近の期間についてだけ具体化したものにすぎない。骨格がないまま週間ごとの表を積み上げても、工事全体の整合性は保証されない。

総合工程表を作るときに押さえる4つの実務ポイント

総合工程表は、ただ工種を並べて着工日から日数を積み上げれば完成する表ではない。特に電気工事の総合工程表では、次の4点を意識して組み立てる。

  1. 受電日からの逆算:受変電設備や幹線の工事は、電力会社からの受電(送電開始)が完了しなければ、機器の動作試験のような後工程に進めない。だからこそ、着工日からの積み上げだけでなく、受電予定日というゴールから逆算して工事期間を計画する
  2. 動かせない作業を中心に据える:検査日や設備の搬入日のように、日程を動かせない作業がある場合は、それを軸に他の作業との関連性を踏まえて計画する
  3. 届出書類の提出予定時期も記入する:諸官庁への届出書類は、提出が遅れれば検査や引渡しといった後工程に直結する。総合工程表とは切り離して管理するのではなく、提出予定時期を工程表に記入し、工事全体の進行とあわせて管理する
  4. 作業種別ごとの労務の稼働人員も記入する:作業の進捗計画とあわせて、その作業に必要な労務の稼働人員を記入しておくことで、人員配置の過不足を早い段階で把握できる
着工日からの積み上げだけで工程表を組むと、「受電予定日に間に合うかどうか」という後工程側の制約を見落としやすい。受電日のように後ろに固定されたゴールがある工程は、そこから逆算して各作業の開始・終了時期を決める、という発想の切り替えが必要になる。

所要日数はどう決まるか — 全工事量÷1日当たりの平均施工量

バーチャートやネットワーク工程表に記載する各作業の日数は、感覚で「だいたいこれくらい」と決めるものではない。原則となる計算式がある。

**所要日数=全工事量÷1日当たりの平均施工量**。例えば配管延長240mの工種を、1日当たり20mずつ施工できるとすれば、所要日数は240m÷20m/日=12日と求まる。工程表の1本1本の横棒の長さは、この計算にもとづいて決められている、という前提を押さえておくと、能力問題で日数の妥当性を検算する場面にも対応しやすい。

人工山積表 — 「いつ、何人必要か」を可視化する表

工程表が「いつ、何をやるか」を示す表だとすれば、人工山積表(労務山積表)は「いつ、何人必要か」を示す表だ。横軸に日付、縦軸にその日必要な作業員数(人工)を、工種ごとに積み上げて示す。

人工山積表を作る目的は、単に必要人数を集計することではなく、**日ごとの稼働人数の偏りを見つけて平準化する**ことにある。複数の工種の作業が同じ時期に重なると、その日だけ極端に多くの作業員が必要になる「山」ができる。この山が見えたら、可能な作業を前後にずらして山を崩し(山崩し)、稼働人数の波をできるだけ平らにならしていく。人員配置に無理のある工程表は、日数の合計だけを見ていては気づけず、人工山積表を作って初めて見えてくる。

施工速度と品質はトレードオフ — 「速い」は「良い」と同じではない

工程表を使いこなす目的は、単に工期を短くすることではない。工程管理と品質管理は、常にセットで考える必要がある。

**施工速度を上げるほど、一般に品質は低下しやすい**。人員・機械を集中投入して作業を急げば、1つ1つの作業にかけられる確認や養生の時間が削られ、施工ミスや手戻りのリスクが高まる。工期短縮と品質確保はトレードオフの関係にあり、「工程を早く進められている=現場管理が優秀」と単純に評価するのは早計だ。工程表を渡されたとき、進みの速さだけでなく、その速さが品質にしわ寄せを及ぼしていないかも合わせて見る視点が要る。

バーチャートを読むとき、何を見ればいいか

バーチャート工程表を渡されたとき、ただ「いつからいつまで」を眺めるだけでなく、工種の並びから「この工種は、前の工種が終わってから始まっているのか、それとも独立して並行しているのか」を意識して読むと、表からもう一段深い情報を引き出せる。バーが重なっている期間があれば、そこは複数の工種が同時進行している週だと分かるし、バーとバーの間に隙間があれば、そこには表には現れていない待ち時間(前工程の養生期間や検査待ちなど)が隠れている可能性がある。

今日試せることとして、身近な工事の掲示物や見積書に添付された工程表があれば、それがバーチャートかガントチャートかを、横軸の意味(暦日か進捗率か)で確認してみるといい。名前だけでなく軸の意味で見分けられるようになると、現場で工程表を渡されたときの理解の速さが変わってくる。

この資格を取ったあと、現場で何が変わるか

取引先から「来週このケーブルを納品してほしい」と週間のバーチャート工程表を渡されたとき、これまでは日付だけを見て納期を確認していたのが、合格後は「この作業、後工程の盤据付が詰まっていませんか。前後関係が分かる工程表はありますか」と一歩踏み込んで聞けるようになる。バーチャートが示せていない依存関係を、こちらから補って確認する側に回れる。

現場に掲示された工程表を見たとき、それがバーチャートなのかガントチャートなのかを横軸の意味で瞬時に見分けられると、現場監督との会話の質が変わる。「この表は予定を示しているのか、進捗を示しているのか」を正確に踏まえた質問ができる担当者は、資材の納品時期を単に確認するだけの相手ではなく、工程そのものを理解している相手として扱われるようになる。

総合工程表が先、週間工程表はそこから切り出したものだという順序を知っていれば、直前になって「来週の分だけ」で発注の相談が来たときも、その週の裏にある工事全体の骨格を意識した提案ができる。目先の週間予定だけでなく全体の見通しを踏まえた納品計画を提示できることは、価格だけで比較される取引先から、工程を任せられる取引先への立場の転換につながる。

冒頭の問い、分かりやすいはずのバーチャートが、なぜ大規模工事の主役になれないのか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. バーチャートとガントチャートを同じ表だと思わせる、あるいは横軸の意味を入れ替えさせる

    なぜ引っかかるどちらも横棒(バー)を使う見た目が似ており、名前も紛らわしいため区別せず覚えてしまいやすい

    見破り方横軸が何を表しているかで見分ける。バーチャートの横軸は暦日(いつからいつまで)、ガントチャートの横軸は進捗率(0〜100%、どこまで進んだか)

  2. バーチャート工程表からクリティカルパス(工期を左右する経路)を読み取れると思わせる

    なぜ引っかかるバーチャートも各工種の期間を横棒で示すため、一見すると工程の重要度まで分かりそうに見える

    見破り方バーチャートは各工種の期間は分かっても、工種同士の前後関係(依存関係)を表現していない。どの作業の遅れが全体の工期に直結するかは、作業間の関連を明示するネットワーク工程表でなければ分からない

  3. バーチャート工程表を『大規模・複雑な工事には絶対使えない』と言い切らせる

    なぜ引っかかるデメリットの説明を強く覚えると、極端な言い切りの選択肢に飛びつきやすい

    見破り方大規模工事でも、全体の進捗管理や関係者への配布用としてバーチャートが併用されることは多い。『単独では工程の重要度を把握しにくい』のであって、『使ってはいけない』わけではない、という程度の違いで判断する

  4. 週間工程表を積み上げていけば総合工程表(全体工程表)になる、と作成の順序を逆に考えさせる

    なぜ引っかかる『細かい表を集めれば全体になる』というボトムアップの発想は自然に思えるため、実際の作成順序(全体が先)と逆に錯覚しやすい

    見破り方総合工程表は着工前に工事全体の流れを俯瞰して最初に作る土台の工程表であり、週間工程表はそこから1〜2週間分を切り出して具体化した工程表だ。作成の順序は必ず『全体→週間』であって、週間工程表を後から積み上げて全体を組み立てる、という逆の順序では運用できない

  5. 電気工事の総合工程表を、着工日から日数を積み上げるだけで作らせ、受電日という後工程を左右する固定点からの逆算を見落とさせる

    なぜ引っかかる工程表は着工日を起点に前から組み立てるものだという素朴な発想が根強く、後ろの固定点(受電日)から逆算する発想には気づきにくい

    見破り方受変電設備・幹線工事は、受電が完了しなければ機器の動作試験などの後工程に進めない。だからこそ、受電予定日をゴールとして、そこから逆算して工事期間を組む。着工日からの積み上げだけで計画すると、受電予定日に間に合わない工程を『問題ない』と見誤る

  6. タクト工程表は稼働人員の把握が難しい、あるいはクリティカルパスの把握が得意だと、得意・不得意を逆に思わせる

    なぜ引っかかる『タクト工程表はバーチャートの発展形』という理解だけでは、稼働人員の把握しやすさとクリティカルパスの把握しにくさという、実際の組み合わせを正しく思い出せない

    見破り方タクト工程表は、同じ作業が繰り返される区画(フロア等)ごとに並べる性質上、各区画の稼働人員は把握しやすい。一方で、区画間の複雑な依存関係までは表現しないため、全工程のクリティカルパスの把握はネットワーク工程表に劣る、という逆転した組み合わせで覚え直す

  7. タクト工程表の特徴として『出来高の管理が容易』だと思わせる

    なぜ引っかかるタクト工程表は工程の進み具合を視覚的に示す表なので、実際の工事の進み具合(出来高)まで管理できる表だと拡大解釈しやすい

    見破り方タクト工程表が示すのは、区画ごとの作業をどの期間に計画しているかという予定であって、実際にどれだけ工事が進んだかという出来高の実績データを記録する仕組みではない。出来高を計画と実績で比較するには出来高累計曲線(Sカーブ)のような別の図表を用いる。『繰り返し工程の管理・状況把握が容易』という正しい長所と、『出来高の管理が容易』という誤った長所を混同しない

  8. ガントチャートの表現形式を『進捗を折れ線グラフで示す図表』だと思わせる

    なぜ引っかかる出来高累計曲線(Sカーブ)のような『曲線で進捗を示す』グラフのイメージに引きずられ、ガントチャートも同じ折れ線・曲線のグラフだと錯覚しやすい

    見破り方ガントチャートは、各作業ごとに横棒(バー)を使い、その塗りつぶし具合や長さで進捗率を示す表現形式であって、折れ線グラフではない。『横軸が進捗率』という軸の意味と、『棒で表現する』という見た目は別の情報であり、両方正しく覚える

  9. 人工山積表を、バーチャートやガントチャートと同じ『作業の進み具合を示す表』だと混同させる

    なぜ引っかかるどちらも横軸に日付をとる図表のため、縦軸が示すものの違い(作業の期間か、必要な人数か)を意識せずに同じ用途の表だと錯覚しやすい

    見破り方人工山積表の縦軸は、作業の進捗率ではなく『その日に必要な作業員数(人工)』だ。工程表が『いつ、何をやるか』を示すのに対し、人工山積表は『いつ、何人必要か』を示す、目的の異なる図表だと区別する

  10. 施工速度を上げることを、工期短縮と品質確保の両方が同時に達成できる『いいことずくめ』の判断だと思わせる

    なぜ引っかかる『速く終わらせる=優秀な現場管理』という現場の実感から、速度を上げることに品質面のマイナスがあると気づきにくい

    見破り方施工速度を上げるほど、一般に品質は低下しやすい。工期の短縮と品質の確保はトレードオフの関係にあり、どちらか一方を優先すれば、もう一方にしわ寄せが及ぶ。『速い=良い』という単純な図式ではなく、工程管理は品質管理とセットで判断する必要がある

参考文献・出典

理解度チェック(13問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、13問で確認しよう。 内訳は基本4問・応用4問・ひっかけ5問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 13 問正解

覚えておきたいポイント

  1. バーチャート工程表は、縦軸に工種(作業項目)、横軸に暦日(日付)を置き、各工種の作業期間を横棒(バー)で示す工程表
  2. メリットは作成が容易で、工事全体の日程が視覚的に分かりやすいこと。小〜中規模で工種間の関連が単純な工事に向く
  3. デメリットは、作業間の前後関係(依存関係)が表現しにくく、どの作業が遅れると全体の工期に直結するか(クリティカルパス)が分からないこと
  4. ガントチャートは横軸に進捗率(0〜100%)を置き、各作業が『どこまで進んでいるか』を示す表。バーチャートの横軸(暦日)と役割が違う
  5. 出来高累計曲線(Sカーブ)は縦軸に進捗率、横軸に日程を置き、工事全体の進み具合を計画と実績で比較する表で、バーチャートを補う形で併用されることがある
  6. 工程表には規模の異なる階層があり、着工前に工事全体を俯瞰する総合工程表(全体工程表)をまず作成し、そこから1〜2週間程度を切り出して具体化した週間工程表を作る、という順序で運用する。週間工程表を積み上げて総合工程表を作るという逆の順序は成立しない
  7. 電気工事の総合工程表は、受変電設備・幹線のように受電(電力会社からの送電開始)が完了しないと動作試験などの後工程に進めない作業について、受電予定日から逆算して工事期間を計画する。あわせて、工程上動かせない作業を中心に他の作業との関連性を踏まえて計画し、諸官庁への届出書類の提出予定時期や、作業種別ごとに必要な労務の稼働人員も記入する
  8. タクト工程表は、バーチャートにネットワーク工程表の表現を一部取り入れた工程表で、フロア(階層)や区画ごとに繰り返される同じ作業をタクト(区切り)ごとに並べて示す。ネットワーク工程表に比べて全体の稼働人員を把握しやすい一方、区画間の複雑な依存関係までは表現しないため、全工程のクリティカルパスの把握には向かない。基準階の繰り返し作業が多い高層ビルなどの工程管理に適する
  9. タクト工程表は、区画ごとの作業をどの期間に計画しているかを示す計画表であり、実際にどれだけ工事が進んだかという出来高(進捗の実績データ)を記載・記録する仕組みは備えていない。そのため『出来高の管理が容易』という説明は誤りで、出来高を計画と実績で比較したいときは出来高累計曲線(Sカーブ)のような別の図表を用いる。繰り返し工程の管理のしやすさ、工期の遅れなど状況把握のしやすさ、全体工程表としての活用は、いずれもタクト工程表の適切な特徴
  10. ガントチャートは、各作業ごとに横棒(バー)を並べ、その長さや塗りつぶし具合で進捗率(0〜100%)を示す表現形式であって、折れ線グラフで進捗を示す図表ではない
  11. 各作業の所要日数は、原則として『全工事量÷1日当たりの平均施工量』で求める。工程表に記載する日数は感覚で決めるものではなく、この計算にもとづいて見積もる
  12. 人工山積表(労務山積表)は、横軸に日付、縦軸に必要な作業員数(人工)を積み上げて示す図表で、日ごとの稼働人数の波を可視化し、特定の日に人員が集中していないかを確認して、稼働人数を平準化するために用いる
  13. 工程管理では、施工完了予定日から所要期間を逆算して各工事の開始日を設定する。総合工程表は検査を除く工事全体を大局的に把握するために作成する表であり、細部の検査工程まで詰め込む表ではない。人工山積表を用いた工程管理は稼働人数を平準化し、効率的な労務管理を可能にする。そして施工速度を上げるほど、一般に品質は低下しやすい――工期短縮と品質確保はトレードオフの関係にあり、速度を優先すれば品質面のリスクが高まる
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