官公庁の学校改修工事を受注した電気工事店で、こんな見落としがあった。図面の配線仕様欄に小さく「EM表記のこと」と注記されていたのを見落とし、通常のVVFケーブルで屋内配線を進めてしまったのだ。竣工検査の直前、監理者から「仕様書の指定はEM-EEFのはず」と指摘され、施工済みの一部区間をやり直すことになった。VVFとEM-EEFは太さ・芯数の考え方も外観もよく似ているため、仕様書の「EM」の3文字を見落とすと発注段階で気づかず、施工後の手戻りという最も高くつくミスにつながる。官公庁案件・環境配慮仕様の物件では、着工前に仕様書の材料欄を1行ずつ確認する習慣が欠かせない。
EM-EEF(エコケーブル)とは
EM-EEFは、屋内固定配線用の平形ケーブルのエコ材料版です。JIS C 3605(600Vポリエチレンケーブル)に規定される耐燃性ポリエチレンシースタイプ(EE/F・EEF/F系)にあたり、一般に「エコ電線」「EM-EEF」の名で流通しています。
- EM = エコマテリアル。燃焼時にハロゲン系ガス・有毒ガスの発生が少ない材料
- 役割はVVFと同じ: 住宅・ビルの屋内固定配線(コンセント・照明・スイッチ回路)
- 違いは材料: PVC(VVF)→ ポリエチレン絶縁+耐燃性ポリエチレンシース(EM-EEF)
【選定マップ】VVFかEM-EEFかを最短で決める
graph TD
Start([屋内の固定配線をしたい]) --> Q1{仕様書・図面に<br>エコ指定はある?}
Q1 -->|あり<br>官公庁・環境配慮案件| EM[EM-EEF<br>エコケーブル]
Q1 -->|なし<br>一般案件| VVF[VVF<br>→VVF完全ガイドへ]
EM --> Q2{太さ・芯数は?}
VVF --> Q2
Q2 -->|15A回路| S16[1.6mm 2C/3C]
Q2 -->|20A・200V回路| S20[2.0mm 2C/3C]
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class EM main
class VVF,S16,S20 alt
class Q1,Q2 branch
太さ・芯数の選び方(許容電流)はVVFと同じ考え方です。詳しくはVVFケーブル完全ガイドを参照してください。
どこでどう使われているか——現場別の使いどころ
| 現場 | 使う品種 | ポイント |
|---|---|---|
| 官公庁の庁舎・学校・病院の屋内配線 | EM-EEF | 公共建築工事標準仕様書ベースでエコ指定 |
| 環境配慮仕様の民間ビル・工場 | EM-EEF | 図面の「EM」表記を確認 |
| 一般住宅・一般案件の屋内配線 | VVF | 指定がなければ流通量の多いVVFが標準 |
| 制御回路のエコ指定 | EM-CEE等 | 制御ケーブルのエコ版(CVVガイド参照) |
一段深い理解:なぜ「ハロゲンフリー」が官公庁工事で求められるのか
燃焼時に何が起きているのか
VVFのシース・絶縁体に使われる塩化ビニル(PVC)は、燃焼すると塩素を含むハロゲン系ガス(塩化水素ガス等)を発生させる。このガスは水分と結びつくと酸性の物質になり、人体の呼吸器を刺激するだけでなく、金属部品を腐食させたり、建物のコンクリート内の鉄筋にまでダメージを与えたりすることが知られている。火災現場では有毒ガス自体が避難行動を妨げる要因にもなりうる。EM-EEFのようなポリエチレン系のエコ電線は、この塩素を含まない材料で作られているため、燃焼時にハロゲン系ガスがほとんど発生せず、発煙量も抑えられる。「エコ」という言葉から環境配慮のイメージだけを連想しがちだが、実際には火災時の人体・建物への二次被害を抑えるという安全上の意味合いが強い品種だ。
なぜ官公庁工事で優先的に指定されるのか
環境負荷の低い製品・資材の調達を促す社会的な要請の高まりを背景に、官公庁の建築工事では公共建築工事標準仕様書などをベースに、電線・ケーブル類についてもハロゲンフリー材料(EM表記品)の使用が指定されることが一般化してきている。民間工事でも、環境認証を重視するオフィスビルや、ESG経営を掲げる企業の施設では同様の指定が入るケースが増えている。図面や仕様書に具体的な品名指定がなくても「環境配慮形」「エコ電線」といった表現がある場合は、EM表記のある製品を選ぶ必要がある点に注意したい。
現場で間違いやすい点:見た目・太さの感覚がVVFと同じでも中身は別材料
EM-EEFはVVFと外観・サイズ表記の考え方がよく似ているため、現場では「太さが同じだから同じように扱える」と思われがちだが、シース材料がポリエチレン系のためPVCのVVFとは被覆の硬さ・滑りの感触が異なり、ストリップ(被覆剥き)時の刃の入れ方に慣れが必要とされる。また、VVFとEM-EEFが混在する現場では、結束・配線の際に品名表示(EM表記)を確認しないまま作業を進めると、取り違えたまま気づかずに配線してしまうリスクがある。特に改修工事で既設のVVF配線にEM-EEFで増設をつなぎ込むような案件では、端末に品名を明記したラベルを貼るなど、施工中の取り違え防止策を徹底したい。
どう注文するか——失敗しない発注のしかた
注文は「品名+太さ−芯数+長さ」で伝われば間違いがありません。
例: 「EM-EEF 1.6-2C を 100m巻で 3巻」
「EM-EEF 2.0-3C を 50m 切断で」
- 荷姿: 標準は100m巻。切断販売にも対応しています
- VVFとの取り違え注意: 混在現場では品名(EM表記)を必ず明記してください
- 価格: VVFよりやや高めが相場で、銅建値(銅の月次相場)にも連動します。見積りは発注直前に取り直すのが鉄則です
- 納期: 汎用サイズは流通在庫がありますが、VVFほど厚くないため数量が多い場合は早めの引き合いが安全です
EM-EEFの購入・見積りについて
電設資材専門商社・松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)でお見積り・ご購入いただけます。太さ・芯数・数量をお伝えいただければ、法人・施工業者様向けに迅速に回答します。
- Web: 見積フォーム(24時間受付)
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- CVV制御ケーブル完全ガイド(制御回路のエコ指定EM-CEEにも触れています)
- 配電盤・分電盤の製作・更新に必要な電材一式
- 電線・ケーブル完全体系的総合ガイド(ケーブル大百科)
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