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AE・HP・FPケーブル完全ガイド|警報・耐熱・耐火の違いと使い分け

・ 読了目安: 11分 ・ 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー)

この記事の結論

AE・HP・FPは消防設備で使う電線の区分で、求められる性能が違う。AE(警報用ポリエチレン絶縁ケーブル、JCS 4396)は耐熱・耐火の指定がない60V以下の警報回路用、HP(耐熱電線)は15分で380℃に達する加熱に耐える60V以下の弱電回路用、FP・FP-C(耐火電線)は30分で840℃に達する加熱に耐え、非常電源の回路などに使う。FPは露出配線のみ、FP-Cは電線管・ダクト内の配線にも使える。

耐火ケーブル・耐熱ケーブルとは

火災のとき、避難と消火を支える設備——スプリンクラー・非常放送・火災報知器——への配線が真っ先に燃え落ちては意味がありません。そこで消防庁の告示基準に適合した専用の電線が使われます。

  • 耐火電線(FP・FP-C): 消防庁告示第10号の基準に適合。30分で840℃に達する加熱曲線で加熱されても回路を維持。導体上にマイカ(雲母)テープの耐火層を持つ。非常電源の電源供給用
  • 耐熱電線(HP): 消防庁告示第11号の基準(15分で380℃に達する加熱曲線)に適合。60V以下の弱電回路用(非常放送のスピーカー回路、非常ベルの起動装置など)

出典はいずれも電線の技術専門機関・電線総合技術センター(JECTEC)の解説です(ページ末尾参照)。

AE・HP・FP-Cの違いを断面図で比較

AE・HP・FP-Cの断面と使用区分比較

3種類は、似た細いケーブルに見えても要求性能が異なります。AEは一般警報用、HPは耐熱、FP・FP-Cは耐火です。価格や在庫だけで置き換えず、消防設備の設計図書、使用電圧、認定表示を先に確認します。

区分代表的な呼称主な要求性能使用電圧の目安代表用途
一般警報用AE、FA、AEV、AEE/F耐熱・耐火指定なし60V以下自動火災報知設備の感知器の信号伝送回路など
耐熱HP、HFA、EM-HFA380℃・15分の耐熱試験60V以下非常放送のスピーカー回路、非常ベルの起動装置などの耐熱指定回路
耐火FP、FP-C、EM-SH-C840℃・30分の耐火試験60V・600Vの対応品あり非常電源、消火設備、防排煙設備など

AE・FAは冨士電線の資料でJCS 4396の警報用ポリエチレン絶縁ケーブルとして整理されています。同社カタログの使用区分表では、FP-Cは低圧回路(600V)・弱電回路(60V)の耐火配線と耐熱配線に使え、HPは弱電回路(60V)の耐熱配線だけ、AEV・AEE/Fは耐火・耐熱配線には使えない区分です。HP・FPの試験条件や適用区分は、JECTECの耐火・耐熱電線解説と冨士電線の消防用ケーブルカタログを確認してください。

HFAは別規格ではありません。 HFAはメーカーの商品名で、統一記号はHPです。構造、認定、EM品・LAP品の違いはHFA(HP)ケーブル完全ガイドで詳しく解説しています。

【選定マップ】FPかFP-CかHPかを最短で決める

回路の種類布設方法選ぶ電線
非常電源の供給(ポンプ・非常放送電源等)露出配線のみFP(耐火電線・露出限定)
非常電源の供給(ポンプ・非常放送電源等)電線管・ダクトに入れるFP-C(耐火電線・管内OK)
60V以下の弱電回路で耐熱配線の指定がある区間(非常放送のスピーカー回路など)—HP(耐熱電線)
耐熱・耐火の指定がない警報回路(感知器の信号回路など)—AE(警報用ケーブル)
一般の電源回路(消防指定なし)—CV・VVF等の一般品(各ガイドへ)

一般回路はCVケーブルガイド・VVFガイドを参照してください。

一段深い理解:なぜマイカテープが「840℃30分」に耐えられるのか

有機材料では燃え尽きる温度で、無機材料は形を保つ

一般的な電線の絶縁体(ビニルやポリエチレンなど)は有機材料であり、高温にさらされると炭化・溶融して絶縁性能を失う。耐火電線(FP・FP-C)が高温下でも回路を維持できるのは、導体の上に耐火層を設けているからだ。JECTECの解説では、この耐火層に高温でも絶縁性に優れたマイカテープ(雲母とプラスチックまたはガラスクロスを貼り合わせたテープ)が使われている。外側の絶縁体・シースが熱で損なわれても、導体上の耐火層が導体間の絶縁を受け持つことで、加熱中も通電を続けられる構造になっている。

なぜ電源用(FP系)と信号用(HP)で基準温度が違うのか

JECTECによると、消防庁は昭和45年に弱電回路用の耐熱電線の基準、昭和46年に強電回路用の耐火電線の基準を定めた。現在は、耐火電線が消防庁告示第10号(30分で840℃に達する加熱温度曲線)、耐熱電線が告示第11号(15分で380℃に達する加熱温度曲線)に基づいて認定される。用途も分かれており、耐火電線は非常電源の回路等、耐熱電線は非常放送用スピーカや非常ベル起動装置等の弱電回路に使うと説明されている。同じ「火に強い電線」でも加熱の温度と時間が違うため、設計図書の「耐火配線」「耐熱配線」の指定を、そのまま電線の区分に対応させて選ぶ。なお冨士電線のカタログは、耐熱配線を低圧回路として使う場合には耐火ケーブルを勧めている。

現場で間違いやすい点:「認定品」でなければ意味がない

耐火・耐熱電線は、外観だけでは一般ケーブルと区別がつきにくい場合がある。しかし性能の根拠は構造の見た目ではなく、消防庁告示の基準に基づいて認定された製品であることだ。JECTECは消防庁の登録認定機関として耐火・耐熱電線の適合性検査を行い、認定された電線の表面には「トウロクニンテイキカン JCT FP-C」のような認定表示が印字される。認定を受けていない類似構造の電線を代用すると、加熱試験の基準を満たす保証がない。設計図書に「耐火電線」「FP-C」等の指定がある場合は、納品時にケーブル表面の認定表示と記号を確認しておく。


どこでどう使われているか——現場別の使いどころ

設備・回路使う品種ポイント
スプリンクラー・消火栓ポンプの電源FP-C(露出配線のみならFPも可)非常電源の回路。電線管・ダクトに入れる区間はFP-C
非常放送設備の電源回路FP-C増幅器への電源供給
自動火災報知設備の感知器回路AE(警報用)JECTECは警報用ケーブルを感知器の信号伝送回路用と説明。耐熱・耐火の指定がある区間は図面に従う
非常放送のスピーカー回路HPJECTECの耐熱電線解説で、非常放送用スピーカの配線に使うとされる
排煙機・防火シャッター制御の電源FP-C設計図書の指定記号を確認
エレベーターの防災関連配線耐火ケーブルエレベーターケーブルガイド参照

大原則: 消防設備の配線仕様は設計図書(消防設備士の設計)と所轄消防の指導が最優先です。品種・サイズは図面の指定を確認したうえで手配してください。

どう注文するか——失敗しない発注のしかた

注文は「品種+サイズ−心数+長さ」で伝われば進められます。

例: 「FP-C 2sq-3C を 200m」
    「HP 1.2mm-2C を 300m」
  • 認定品であること: 耐火・耐熱電線は基準に適合した認定品を使います。ケーブル表面の認定表示と記号を確認します
  • サイズ・心数: 設計図書の指定どおりに。見積依頼では図面の指定記号も添えます
  • 納期: 品種・サイズ・心数によって納期が異なるため、工程が決まったら早めに問い合わせます
  • 価格: 電線の価格は銅価格の変動を受けるため、見積の有効期限を確認します

耐火・耐熱ケーブルの購入・見積りについて

電設資材専門商社・松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)の見積フォームから見積を依頼できます。品種・サイズ・心数・数量と、設計図書の指定記号をお知らせください。

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よくある質問

耐火ケーブル(FP)と耐熱ケーブル(HP)の違いは何ですか?

求められる性能と用途が違います。耐火電線(FP・FP-C)は消防庁告示第10号の基準(30分で840℃に達する加熱曲線に耐える)に適合し、非常電源回路など電源供給の配線に使います。耐熱電線(HP)は消防庁告示第11号の基準(15分で380℃に達する加熱曲線に耐える)に適合し、非常放送用スピーカーや非常ベルの起動装置など60V以下の弱電回路に使われます。

FPとFP-Cの違いは何ですか?

布設方法の違いです。FPは露出配線に限って使用できるタイプ、FP-Cは露出配線に加えて電線管内・ダクト内などの密閉配線にも使用できるタイプです。電線管に入れる設計ならFP-Cを選びます。

耐火ケーブルはどんな設備に必要ですか?

消防法・建築基準法で定める非常用設備(屋内消火栓設備、排煙設備、非常用エレベーターなど)の非常電源回路が代表です。どの区間に耐火電線(FP-C等)を使うかは、設計図書の指定に従います。

耐火・耐熱ケーブルはどこで購入できますか?

松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)の見積フォームから見積を依頼できます。品種(FP-C/HP)・サイズ・心数・数量と、設計図書の指定記号を添えてください。

参考文献・出典

確認・変更の記録

出典照合日: (AIによる照合補助)

出典6件すべてに到達(2026-10-13、JECTECの耐熱電線・警報用ケーブル解説を追加)。JECTECで耐火電線の告示第10号・30分840℃・非常電源の回路等・FP(露出のみ)とFP-C(露出・管内・ダクト内)・マイカテープの説明、耐熱電線の告示第11号・15分380℃・非常放送用スピーカと非常ベル起動装置等の弱電回路、警報用ケーブルのJCS 4396と感知器の信号伝送回路用途、昭和45年・46年の基準制定と認定表示例を確認。冨士電線(tokyo-fuji.co.jp)でFAのJCS 4396・定格電圧60V・統一記号AEV、カタログ使用区分表(FP-C・HP・AEV/AEE/Fの電圧区分と耐火・耐熱配線の可否)、JFP-Cを確認。旧版で耐熱電線HPの用途とした『感知器回路』はJECTECの説明(感知器の信号伝送回路は主に警報用ケーブル)と合わないため本文を修正。図版(/ae-hp-fp-comparison.svg)のHP欄も本文に合わせて修正。

個別設備の適合判定・技術者による承認を示すものではありません。

型番不明でもOK

この記事の内容で、製品選定から相談できます

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