「SC-05を10個」――そう発注書に書いて満足していたら、現場に届いたのはコイル電圧DC24Vの品。制御回路はAC200Vで組んであり、そのままでは1個も使えない。慌てて再発注し、工程が半日遅れる。電磁接触器を扱ったことのある電気工事店なら、一度は覚えのある展開ではないだろうか。SC-05という型番だけではコイル電圧が確定しないという、富士電機の型番体系そのものに起因するミスだ。
富士電機とは——盤の主回路を支える定番メーカー
富士電機は、受配電機器とパワーエレクトロニクスに強い総合電機メーカーです。制御盤・動力盤の主回路——配線用遮断器(ブレーカ)と電磁接触器——では三菱電機と並ぶ2大定番で、「主回路は富士」という盤屋さん・工場は全国に無数にあります。
製品体系——初心者向けの見取り図
| カテゴリ | シリーズ | ざっくり言うと |
|---|---|---|
| 配線用遮断器(MCCB) | BW形 | 回路の過電流保護。盤の主役 |
| 漏電遮断器(ELCB) | BB形・EW系 | 漏電保護つきブレーカ |
| 電磁接触器 | SC形(SC-05〜) | モータ・負荷の入切スイッチ |
| 電磁開閉器 | SW形 | SC形+サーマルリレー(過負荷保護)のセット |
| インバータ | FRENIC-Mini/MEGA | モータの回転数制御 |
| UPS(無停電電源) | UPSシリーズ | 停電時のバックアップ電源 |
ブレーカ選定の入り口
AF(フレーム)・AT(定格電流)・極数(2P/3P)・漏電保護の有無の4点で型番が決まります。詳しくはブレーカ選定ガイドへ。
電磁接触器・開閉器の入り口
負荷(モータ)の容量から本体を選び、コイル電圧を制御回路に合わせます。過負荷保護が必要ならサーマルリレー付きのSW形(開閉器)を。三菱MSO/S-T形との使い分けは「客先・既設がどちらか」で決まるのが実情です(比較記事参照)。
どこでどう使われているか
| 現場 | 使う製品 | ポイント |
|---|---|---|
| 制御盤・動力盤の主回路 | BW形+SC/SW形 | 配電盤ソリューション参照 |
| ポンプ・ファン・コンプレッサ | SC/SW形+FRENIC | 入切+回転数制御 |
| 既設盤の更新・改修 | 後継・相当品照合 | 廃番世代からの置き換え相談が多い分野 |
| サーバー室・重要負荷 | UPS | 容量とバックアップ時間で選定 |
どう注文するか——失敗しない発注のしかた
例: 「BW50AAG 3P 30A を 2個」
「SC-05 コイルAC200V 補助1a を 10個」
「(銘板写真から)この漏電ブレーカの後継品を照合してほしい」
- 接触器はコイル電圧を必ず明記(最多の発注ミスです)
- ブレーカはAF/AT・極数・漏電の有無・感度電流まで書くと一発で通ります
- 型番がわかれば型番検索から見積リストへ追加できます
一段深い理解——なぜ発注ミスが起きるのか、プロは何を見ているか
コイル電圧はなぜ「後から選ぶ部品」なのか
電磁接触器は、本体(主回路の接点部)とコイル(電磁石で接点を動かす駆動部)が構造上分かれている。同じSC-05という「容量区分」の中に、コイル電圧違いの品番がぶら下がる形になるため、型番だけを見てもコイル電圧は特定できない。これは富士電機に限らず、三菱電機の電磁接触器でも同じ構造だ。カタログ上「コイル電圧はご指定ください」と注記されているのはこのためで、発注書に容量だけを書いて満足してしまうのが、最も多い手戻りの原因になっている。制御回路の電源(トランス二次側がAC100Vなのか200Vなのか、PLC出力がDC24Vなのか)を必ず確認してから型番を確定させるのが実務の鉄則だ。
BW形とBB形、SC形とSW形――「セット売り」の理由
配線用遮断器のBW形に対して漏電遮断器がBB形・EW系と別立てになっているのは、単純に「漏電検出機能(零相変流器と引き外し回路)」を内蔵するかどうかの違いだ。同様に、電磁接触器のSC形に対してサーマルリレー(熱動継電器)を組み合わせたものがSW形と呼ばれる。サーマルリレーはモータの定格電流に整定電流を合わせて初めて過負荷保護として機能するため、SC形単体で購入した場合は現場で保護協調(整定値の設定)を別途行う必要がある。「モータを回すだけ」ならSC形、「モータを保護しながら回す」ならSW形、という使い分けが実務上の判断基準になる。
廃番品の後継照合が難しい理由
古い制御盤の更新では、銘板の型番が現行品と一致しないことがほとんどだ。これは型番が変わっただけでなく、フレームサイズ・遮断容量(kA)・補助接点の配列といった仕様が世代交代のたびに見直されているためで、「型番が似ているから互換」とは限らない。特に漏電遮断器は感度電流(30mA/100mA/200mA等)の違いが安全性に直結するため、銘板写真だけでなく、可能であれば設置環境(分電盤の系統・負荷の種類)も添えて照合を依頼すると、精度の高い代替品提案を受けやすい。
富士電機製品の購入・見積りについて
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