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JIS C 8304とは|屋内用小形スイッチ類の規格を種類・極数・定格区分からわかりやすく解説

・ 読了目安: 7分 ・ 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー)

冒頭の場面・会話は、内容の理解を助けるための例示です。特定の現場・企業・案件を指すものではありません。

「壁のスイッチなんて、押せばON/OFFするだけの単純な部品」——そう思われがちだが、住宅やオフィスの壁に付いているタンブラスイッチ・パイロットランプ付きスイッチ・センサスイッチなどは、実はすべて一つのJIS規格が種類・極数・定格・性能要件を定めている。それが「JIS C 8304」(屋内用小形スイッチ類)である(日本規格協会 JSA Group Webdeskによる)。「片切」「3路」「4路」といった呼び方も、この規格が定める極(接点)構成の分類名だ。この記事では、JIS C 8304が何を規定しているのか、スイッチの種類分類、極数の考え方、定格区分、関連規格との関係を、電材を選定・購入する立場から整理する。

なお、電磁開閉器・カバースイッチ・断路器といった産業用の「開閉器」は対象がまったく異なる別分野のため、この記事では扱わない(詳しくは開閉器完全ガイドを参照)。また、3路スイッチの配線方法・結線図については3路スイッチとは?動作原理から配線図・回路の仕組みまでで実務的に解説している。

この記事でわかること

  • JIS C 8304の正式名称と規定範囲
  • スイッチの種類分類(タンブラ・ロータリ・押しボタン・プル・パイロットランプ付き・遅延・センサ・タイマ・電子・ワイドハンドル形・防水形)
  • 極数の区分(片切・3路・4路・両切)の規格上の定義
  • 定格電圧・電流の考え方
  • JIS C 8281-1など関連規格との関係、選定時に確認すべきポイント

JIS C 8304とは何か

JIS C 8304は、正式名称を「屋内用小形スイッチ類」(英題:Small switches for indoor use)といい、現行版はJIS C 8304:2009(2009年5月20日発行、2024年6月20日に確認)である(日本規格協会 JSA Group Webdeskによる)。この2009年版は「1994年に改正されたJIS C 8304を基に、製品規格として内容を見直し、安全に関する規定はJIS C 8281-1から一部を引用して作成した」ものである(日本規格協会 JSA Group Webdesk掲載の規格プレビュー序文による)。原案作成団体は日本規格協会と日本配線システム工業会である。

規定範囲は、周波数50Hzまたは60Hzの交流300V以下・20A以下の電路で、周囲温度40℃以下で使用する、主に屋内・屋側に取り付けて電灯や小形電気機器を負荷とするスイッチとされている(日本規格協会 JSA Group Webdesk掲載の規格プレビュー1 適用範囲による)。壁付けのいわゆる「スイッチ」の大半がこの規格の対象範囲に含まれる。

一方、自動遮断機構付きスイッチ、防爆形スイッチ、電磁式リモコンスイッチ、特定の小形電気機器だけに用いるために特別に設計されたスイッチ、電動機を始動停止する開閉器、照明の明るさを調整する調光器は対象外と明記されている(同 1 適用範囲)。電動機(モータ)を制御する電磁開閉器・電磁接触器は、JIS C 8304ではなく別の規格・分類の話であり、開閉器完全ガイドで扱う産業用の開閉器とは適用対象が異なる点に注意したい。

スイッチの種類分類

JIS C 8304は「3 用語及び定義」の項を置き、操作方式によるスイッチの種類を用語として定義している。以下は各方式の操作の仕方をまとめたもので、規格本文の逐語ではない。

種類規格上の定義(要約)
タンブラスイッチ操作部を相反する2方向に操作することによって接点を開閉するスイッチ
ロータリスイッチ操作部を回すことによって接点を開閉するスイッチ
押しボタンスイッチ押し動作または引き動作によって、ボタンで接点を開閉するスイッチ
プルスイッチ引きひもを操作することによって接点を開閉するスイッチ
遅延スイッチ操作部を操作した後、遅れて接点を開閉するスイッチ
タイマスイッチ設定時間後に接点を開閉するスイッチ
センサスイッチ温度・光などを検知して開閉するスイッチ

このほか、パイロットランプ付きスイッチ、電子スイッチ、ワイドハンドル形スイッチ、屋内配線用合成樹脂線ぴ用スイッチ、防水形スイッチも対象に含まれる(日本規格協会 JSA Group Webdesk掲載の規格プレビュー1 適用範囲による)。壁の一般的な壁スイッチはほぼ「タンブラスイッチ」に分類され、日常的に「タンブラスイッチ」という呼び方自体がJIS用語として規定されている。

極数の区分——片切・3路・4路・両切

「片切」「3路」「4路」「両切」という呼び方は、単なる商品名ではなく極(接点)構成による分類である。JIS C 8304は3路・4路スイッチの端子表示(3路の0・1・3、4路の1・2・3・4)まで定めており、パナソニックの配線器具FAQもその端子表示をJIS C 8304に基づくものとして案内している。以下の整理は、メーカー公式資料が示す製品区分と動作にもとづく。

区分極(接点)構成主な用途
片切スイッチ1極を入切する標準形。接点は開くか閉じるかの2状態一般的な壁スイッチ
3路スイッチ1極を2方向へ切り換える。2個1組で使う階段・廊下の2箇所点滅
4路スイッチ3路スイッチ2個の間に入れる中継用。入れた数だけ操作箇所が増える3箇所以上の点滅
両切スイッチ2極を同時に入切する。両極を切り離せる200V回路など両極遮断が必要な箇所

3路・4路スイッチの内部構造と実際の配線方法(端子番号の意味、結線図、施工上の注意点)は、3路スイッチとは?動作原理から配線図・回路の仕組みまでで詳しく解説している。この記事で押さえておきたいのは、「3路」「4路」が単なる商品名ではなく、JIS C 8304が端子表示まで定めた規格上の区分だという点だ。器具に刻印された0・1・3という数字も、この規格に由来する。

定格電圧・電流の考え方

JIS C 8304が定める適用範囲は、交流300V以下・20A以下という上限であり、実際の製品はこの範囲内で品種ごとに定格電圧・電流が設定される(日本規格協会 JSA Group Webdesk掲載の規格プレビュー1 適用範囲による)。一般家庭用のタンブラスイッチは100V・15A程度のものが主流だが、動力回路や大容量負荷向けには200V・20A対応の製品もラインナップされている。

実際の製品が対応する定格は、必ずメーカーカタログの記載値で個別に確認する必要がある。パナソニックのコスモシリーズワイド21や明工社のME・MKシリーズなど、シリーズごとに定格・対応極数・プレートとの適合が整理されているため、選定時はシリーズ内でのラインナップ確認が実務的だ。

防水形スイッチの等級

屋外や水回りに設置するスイッチは、JIS C 8304の適用範囲に防水形のスイッチとして明示的に含まれており、規格は性能の項に「5.11 防水性」、試験方法の項に「7.14 防水性試験」を置いている(日本規格協会 JSA Group Webdesk掲載の規格プレビューによる)。ただし水の浸入に対する保護等級そのものは、この規格が独自に定めるのではなく、引用規格のJIS C 0920(電気機械器具の外郭による保護等級=IPコード)に従う。「防滴」「防雨」「防噴流」といった呼び方は、このIPコードが表す保護の程度に対応する。屋外設置のスイッチを選ぶ際は、設置場所で想定される水の当たり方(雨だれ程度なのか、洗浄用ホースの水流を直接受けるのかなど)に対して、製品カタログの保護等級が足りているかを確認することが重要になる。

JIS C 8281-1など関連規格との関係

JIS C 8304は、屋内用小形スイッチという製品群に固有の規定(種類・極数・定格など)を持つ製品規格である一方、絶縁・耐電圧・機構といったスイッチ全般に共通する一般要求事項は、別の規格であるJIS C 8281-1(家庭用及びこれに類する用途の固定電気設備用スイッチ―第1部:一般要求事項)が担っている。日本規格協会 JSA Group Webdesk掲載の規格プレビューの引用規格一覧によれば、JIS C 8304はJIS C 8281-1のほか、JIS C 0920(外郭による保護等級)、JIS C 3307・JIS C 3342・JIS C 3612(電線・ケーブル関連)、JIS C 8303(配線用差込接続器)、JIS C 8306(配線器具の試験方法)、JIS C 8340(電線管用金属製ボックス及びボックスカバー)、JIS C 8375(大角形連用配線器具の取付枠)、JIS H 3100・JIS H 3110(銅及び銅合金、りん青銅・洋白の板並びに条)を引用規格として参照している。なお引用されているのはJIS C 8281-1の2003年版(当時の標題は「第1部:通則」)で、現行版は2019年版・標題は「第1部:一般要求事項」である。なお、ここで引用されているJIS C 0920は2026年1月20日付で廃止され、現在は同じ標題のJIS C 60529へ引き継がれている。

つまり、屋内用小形スイッチという製品は、JIS C 8304が定める「製品固有の規定」と、JIS C 8281-1が定める「スイッチ全般の一般要求事項」の両方に関わってくる、という関係になる。これはコンセント・プラグにおけるJIS C 8303(形状・定格)とJIS C 8300(配線器具全般の安全性)の関係と同じ構図で、JIS C 8303の解説記事もあわせて参照すると理解が深まる。

実務でよくある誤解

「3路」「4路」は規格上の用語であり、商品グレードの違いではない

3路・4路スイッチは、片切スイッチより高機能・高級な製品というわけではなく、極(接点)構成が異なる別種のスイッチである。片切用のプレート・取付枠に3路スイッチを取り付けても機能上は問題ないが、回路として3路として結線するには2台のスイッチが必要になる。選定・発注時は「片切」「3路」「4路」を明確に伝えることが第一だ。

JIS C 8304の対象と、開閉器(産業用)は別分野

「スイッチ」という言葉は、住宅・オフィスの壁スイッチ(JIS C 8304の対象)と、工場のモータを入切する電磁開閉器・カバースイッチ・断路器(JIS C 8304の対象外)の両方に使われる。両者は規格も設計思想もまったく異なる製品群であり、混同すると選定を誤る。産業用の開閉器については開閉器完全ガイドを参照してほしい。

JIS適合は電気用品安全法(PSE)の代わりにはならない

住宅・オフィス用の配線器具の多くは、電気用品安全法上の届出対象品目にも該当する。JIS C 8304は製品の種類・極数・定格・性能を定める工業規格であり、電気用品安全法は市場に出す前に満たすべき法的な安全基準という、目的の異なる別々の枠組みである。実際に流通する製品を選定する際は、両方の要件を満たしたものを選ぶ必要がある。


どう注文するか——失敗しない発注のしかた

例: 「パナソニック コスモシリーズワイド21 片切スイッチ を 10個」
    「明工社 MKシリーズ 3路スイッチ(既設の写真から選定して)を 5個」
  • 「片切/3路/4路/両切」の極数と、シリーズ名(デザイン・色)の2点セットで伝われば確実です
  • 既設スイッチの写真があれば、シリーズ・色・埋込穴寸法の照合に役立ちます。プレート・取付枠など周辺材も一式でどうぞ
  • 屋内配線の施工には電気工事士の資格が必要です

屋内用小形スイッチの購入・見積りについて

電設資材専門商社・松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)でお見積り・ご購入いただけます。

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よくある質問

JIS C 8304は何を規定した規格ですか?

正式名称は「屋内用小形スイッチ類」で、周波数50Hzまたは60Hzの交流300V以下・20A以下の電路において、周囲温度40℃以下で使用する、主に屋内・屋側に取り付けて電灯や小形電気機器を負荷とするスイッチの種類・極数・定格・性能要件を規定した規格です(日本規格協会 JSA Group Webdesk掲載の規格プレビューによる)。一般的なタンブラスイッチのほか、パイロットランプ付き・遅延・センサ・タイマ・電子・ワイドハンドル形・防水形スイッチも対象に含みます。自動遮断機構付きスイッチ、防爆形スイッチ、電磁式リモコンスイッチ、特定の小形電気機器だけに用いるために特別に設計されたスイッチ、電動機を始動停止する開閉器、照明の明るさを調整する調光器は対象外と明記されています。

片切・3路・4路スイッチはJIS C 8304上どう定義されていますか?

いずれも形状の呼び名ではなく、内部の極(接点)構成による区分です。片切は1極を入切するだけの標準形、両切は2極を同時に入切する形で、パナソニックは両切(スイッチD)を200V機器向けとして案内しています。3路は接点が2方向に切り換わる構造で、2個1組にして2か所から1つの負荷を入切します。4路は3路スイッチと組み合わせて使うもので、3路2個の間に必要数を入れることで3か所以上からの入切ができます。JIS C 8304はこれらの端子表示も定めており、3路の「0」は電源または負荷へ接続する端子、「1」「3」はスイッチ間配線に接続する端子、4路の「1・2・3・4」はすべてスイッチ間配線に接続する端子とされています(パナソニック 配線器具FAQによる)。

JIS C 8304とJIS C 8281-1はどう違いますか?

JIS C 8304は屋内用小形スイッチという製品群を対象にした製品規格で、種類・極数・定格・性能要件などスイッチ固有の規定を持ちます。一方JIS C 8281-1(家庭用及びこれに類する用途の固定電気設備用スイッチ―第1部:一般要求事項)は、より広い「固定電気設備用スイッチ」全般に共通する絶縁・耐電圧・機構などの一般要求事項を定めた規格です。日本規格協会 JSA Group Webdesk掲載の規格プレビューの引用規格一覧によれば、JIS C 8304はJIS C 8281-1を引用規格として参照する関係にあり、屋内用小形スイッチはこの両方の規定に関わってきます。

防水形スイッチの「防滴」「噴流形」とはどういう意味ですか?

JIS C 8304は適用範囲に防水形のスイッチを含み、性能の項に防水性、試験方法の項に防水性試験を置いています。水の浸入に対する保護等級そのものはこの規格が独自に定めるのではなく、引用規格のJIS C 0920(電気機械器具の外郭による保護等級=IPコード)に従います(日本規格協会 JSA Group Webdesk掲載の規格プレビューによる)。「防滴」「防雨」「防噴流」といった呼び方はこのIPコードに対応する保護の程度を表すもので、屋外や水回りに設置するスイッチを選ぶときは、設置場所で想定される水の当たり方(雨だれ程度か、ホースの水流を受けるかなど)に対して、製品カタログに記載された保護等級が足りているかを確認してください。

屋内用小形スイッチはどこで購入できますか?

松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)の見積フォームからご購入いただけます。片切・3路・4路・両切などの極数区分と、パナソニックのコスモシリーズワイド21・明工社のME/MKシリーズなど希望のシリーズをお伝えいただくと選定がスムーズです。既設スイッチの写真からの選定も承ります。

参考文献・出典

型番不明でもOK

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