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電気工学等 ・ 6 / 8

関連分野の土木基礎 — コンクリートは「固まる日」と「使える日」が違う

読み終えると、こうなる

キュービクル新設工事の現場で、土木業者から『型枠は外せますが、機器の据え付けはまだ待ってください』と言われたとき、それが単なる慎重さではなく、コンクリートの強度発現という物理的な理由に基づく判断だと理解できるようになる

  • 気温とセメントの種類から、型枠(せき板)を外してよいおおよその日数の考え方を説明できる
  • 『型枠が外れた=コンクリートが完成した』という誤解をせず、養生期間中の作業スケジュールを土木業者と適切に調整できる
  • キュービクル基礎と送電鉄塔の基礎で、基礎形式(直接基礎・杭基礎)がなぜ違いうるのかを、地盤条件から説明できる
  • 山留め支保工の腹起し・切梁・中間杭・火打ち梁を、それぞれの役割から区別して説明できる
考えてみよう

キュービクル新設工事の現場。基礎のコンクリートを打ってから数日後、電気工事側は「もう固まっているし、そろそろ機器を据え付けたい」と思っている。ところが土木業者からは「型枠は外せますが、機器の据え付けはもう少し待ってください」と言われる。

コンクリートは、もう型枠を外せるくらい固まっているはずなのに、なぜ「まだ使えない」と言われるのか。固まることと、使えるようになることは、何が違うのか。

このトピックを読み終えるころには、この土木業者の一言が何を根拠にしているのか、そしてキュービクルや鉄塔の「下」を支える基礎の考え方を、自分の言葉で説明できるようになっている。

種明かしは、コンクリートには「型枠を外してよい強度」と「実際にその上で作業してよい強度」のあいだに段階があり、両者を混同してはいけないという事実にある。電気工事施工管理技士は土木の専門家になる必要はないが、現場で土木業者と工程の話をするために、この段階の考え方だけは知っておく必要がある。

コンクリート工事 — 「固まる」と「強度が出る」は別のこと

コンクリートは、セメント・水・骨材(砂・砂利)・混和材料を練り混ぜて作る。この配合の割合を決めるうえで基本になるのが、水とセメントの重量比である水セメント比だ。水セメント比が小さい(セメントに対して水が少ない)ほど、一般に硬化後の強度は高くなる傾向がある。あわせて、コンクリートの打ち込みやすさ(流動性・軟らかさ)を表す指標としてスランプが使われ、施工方法に応じた標準的な範囲が定められている。

ここで押さえておきたいのは、コンクリートは打設した瞬間に完成するわけではないという点だ。セメントと水が反応する水和反応によって、コンクリートは時間をかけて徐々に硬化し、強度を高めていく。この「打設からの経過時間」を材齢と呼び、強度は材齢とともに右肩上がりに発現していく。表面が固まって見えても、内部の強度発現はまだ途中ということが普通に起こる。

「固まって見える」ことと、「構造物として必要な強度に達したこと」はイコールではない。コンクリートの強度は材齢とともに徐々に発現していくものであり、この時間差を理解しているかどうかが、土木業者との工程調整でかみ合った会話ができるかを左右する。

型枠工事 — 役割と「外してよい日」の考え方

型枠(せき板)は、打設したコンクリートが硬化するまでのあいだ、決められた形を保持し、支保工とあわせてコンクリートの自重や打設時の側圧を支える役割を持つ。型枠を外すタイミングを誤ると、コンクリートがまだ自立できる強度に達していないうちに支えを失い、変形や損傷につながりかねない。

そのため、型枠(せき板)をいつ外してよいかについては、JASS5(建築工事標準仕様書)などで基準が定められている。判断方法は大きく2通りある。

  1. 材齢(日数)による方法 — 打設からの経過日数で判断する。目安の日数は、セメントの種類と平均気温によって変わる。
  2. 圧縮強度による方法 — 実際にコンクリートの圧縮強度を試験で確認し、基準値(短期・標準の場合は5N/mm²以上、長期・超長期の場合は10N/mm²以上が目安)に達していれば外してよいとする。

材齢による方法の目安は、たとえば基礎・柱・壁など垂直部材で、計画供用期間が短期・標準の場合、次のような傾向になる。

セメントの種類平均気温20℃以上平均気温10℃以上20℃未満
早強ポルトランドセメント2日3日
普通ポルトランドセメント・高炉セメントA種等4日6日
高炉セメントB種等5日8日

早強セメントほど短く、高炉セメントなどの混合セメント系ほど長くなる傾向がある点、そして同じセメントでも気温が低いほど長くかかる点を押さえておきたい。数値はあくまで目安であり、実際の現場では気象条件や構造物の重要度に応じて土木側がより厳しい管理値を設定することもある。

型枠を外せる基準に達したことは、「型枠なしでも構造物として自立できる最低限の強度」に達したことを意味するにすぎない。コンクリートの強度発現そのものは、型枠を外したあともしばらく続く。「型枠が外れた=もう何をしてもよい」ではなく、「機器の据え付けなど、荷重をかける作業をしてよいか」は別途、養生計画で確認する必要がある。

地業工事 — 基礎の「下」を固める作業

地業工事とは、構造物の基礎を支える地盤そのものを固める作業の総称だ。根切り(掘削)をしたあと、砕石を敷き詰めてランマーなどで締め固め、その上に薄く捨てコンクリートを打って型枠や配筋の位置決めをしやすくする。この地業のあとに、配筋→型枠設置→コンクリート打設→養生という基礎工事の工程が続く。

基礎の形式には、大きく分けて2種類ある。

  • 直接基礎 — 比較的浅い位置に十分固い支持地盤がある場合に、基礎スラブから地盤へ直接荷重を伝える方式。ベタ基礎・布基礎などが含まれる。
  • 杭基礎 — 浅い位置に十分な支持地盤がない場合に、杭を深い支持層まで到達させ、その先端支持力や側面の摩擦力で荷重を伝える方式。杭先端を支持層に到達させて支える支持杭と、杭側面と地盤の摩擦力で支える摩擦杭があり、実務では支持杭が主流とされる。また作り方によって、工場で製造した杭を打ち込む・埋め込む既製杭と、現場で孔をあけて鉄筋かごを建て込みコンクリートを打設する場所打ち杭に分かれる。

どちらを選ぶかを決める最大の要因は、設置する設備の重さそのものよりも、その土地の支持地盤の深さ・強さである。同じ重さの設備でも、地盤条件が変われば必要な基礎形式は変わる。

キュービクル基礎・鉄塔基礎への当てはめ

この直接基礎・杭基礎の考え方は、電気設備の基礎にもそのまま当てはまる。

キュービクル(高圧受電設備)の基礎は、地震や強風による転倒防止、地面との絶縁距離の確保、雨水・浸水対策などの目的で設けられる。工事の流れは、砂利地業→捨てコンクリート打設→基礎本体の配筋(ケーブル用の配管立ち上げを含む)→型枠設置・コンクリート打設→養生→脱型、という順序になる。多くの現場では設備自体がそれほど重くなく、地盤も一定の強さを持つ敷地に設置されるため、直接基礎が中心になりやすい。

一方、送電鉄塔の基礎は、山間部や軟弱地盤など、キュービクルとは比較にならないほど多様な地盤条件の場所に建てられる。そのため、逆T字基礎・ベタ(マット)基礎・深礎基礎・杭基礎など、複数の基礎形式が地盤条件に応じて使い分けられる。浅い位置に十分な支持地盤があれば逆T字基礎のような直接基礎系で済むが、軟弱地盤や急峻な地形では、地下深くの硬い地盤まで掘り下げる深礎基礎や、杭を組み合わせた基礎が採用される。

「同じ電気設備の基礎」でも、キュービクルと鉄塔とでは求められる基礎形式が大きく違う。その違いを生んでいるのは設備の種類そのものではなく、それぞれが建てられる場所の支持地盤の条件だ、という視点を持っておくと、なぜ現場ごとに土木業者の対応が違うのかにも納得がいく。

なお、山間部の送電鉄塔は、基礎が完成したあとの鉄塔本体の組立工法も現場条件によって選ばれる。クレーン車が進入できる現場では移動式クレーン工法、高層鉄塔や狭い場所では鉄塔内部にクレーンを設置し高さに合わせて上昇させるクライミングクレーン工法、クレーンが使えない山間部では台棒・ウインチ・ワイヤロープを組み合わせた台棒工法(鉄塔用ワイヤーロープ工法)が使われるなど、基礎形式と同じく地形条件に応じた使い分けがある。

地盤改良工法 — 軟弱地盤を「固める」いくつかの方法

送電鉄塔や大規模な受変電設備を軟弱地盤に建てる場合、杭基礎や深礎基礎で支持層まで到達させる方法のほかに、地盤そのものを改良して強くするという選択肢もある。代表的な地盤改良工法には、次のようなものがある。

  • サンドコンパクションパイル工法(SCP工法):振動する中空管を地盤に打ち込み、砂を注入しながら締め固めて、地中によく締まった砂の杭(砂杭)を多数造成する工法。ゆるい砂質地盤では液状化対策として、粘性土地盤では支持力の向上・沈下量の低減を目的として使われる。
  • 薬液注入工法:地盤に注入管を挿入し、薬液を注入して地盤の土粒子間を固結させる工法。比較的小型の機械で施工でき、振動・騒音が少ないため、狭小地や既設構造物に近接した箇所での地盤補強に向く。
  • 深層混合処理工法(柱状改良工法):地盤の土とセメント系固化材を現地で混合し、地中に柱状の改良体を築造する工法。地表からある程度の深さ(目安として2m以深)にある軟弱層の改良に使われる。
地盤改良工法は「何を使ってどう固めるか」で見分ける。サンドコンパクションパイル工法は『砂を締め固めた杭』、薬液注入工法は『薬液で土粒子を固結』、深層混合処理工法は『セメント系固化材と土を混ぜた柱状改良体』と、使用材料と改良の仕組みをセットで覚えておく。杭基礎・深礎基礎が『地盤の下にある支持層まで到達する』発想であるのに対し、地盤改良工法は『地盤そのものを強くする』発想である点も対比しておくと理解しやすい。

山留め(土留め)支保工 — 掘削した穴の壁を支える部材

キュービクルの基礎や地中送電線の管路など、地面を掘り下げて工事する場面では、周囲の土が崩れてこないように山留め(土留め)壁を設け、その壁を内側から支える山留め支保工を組む。支保工にはいくつかの部材があり、それぞれ役割が異なる。

  • 腹起し:山留め壁の内側に沿って水平に取り付け、壁面全体からの土圧を受け止める部材
  • 切梁:対面する山留め壁どうしを水平に突っ張り、腹起しが受けた土圧を支える部材
  • 中間杭:切梁が長くなる場合に、その座屈(横方向へのたわみ)を防ぎ、切梁自身の自重を支える柱状の部材
  • 火打ち梁:腹起しと切梁を、掘削範囲の隅角部(コーナー)で斜めに接合し、構造を補強する部材
「壁に沿って水平に張るのが腹起し、壁どうしを突っ張るのが切梁、切梁を下から支える柱が中間杭、隅角部を斜めに固めるのが火打ち梁」と、位置ではなく役割で対応づけて覚える。断面図の見た目だけで覚えると、配置が似た部材どうしを取り違えやすい。

建設作業と建設機械の組合せ

土木工事の各作業には、それぞれ適した建設機械がある。電気工事施工管理技士が自ら機械を操作することはなくても、土木業者との工程調整で「その作業にその機械は適切か」を見当づけられると役立つ。

建設作業代表的な建設機械備考
掘削クラムシェル垂直掘削や水中掘削など、狭く深い掘削に向く
整地(敷均し・法面整形)ブルドーザ、モータグレーダ地面の形を平らに・所定の勾配に整える
削岩・破砕ブレーカ硬い岩盤やコンクリートを砕く
締固めロードローラー、振動ローラー、タンピングローラー土を押し固めて密度を高める
「整地(平らにならす)」と「締固め(押し固めて密度を高める)」は、どちらも土を扱う作業として混同しやすいが目的が異なる。モータグレーダは整地用の機械であり、締固め用の機械ではない点に注意する。

移動式クレーンの安全装置 — 過負荷と巻きすぎを機械で止める

重量物の吊り上げ作業に使う移動式クレーンには、クレーン等安全規則・移動式クレーン構造規格により、次のような安全装置の装備が義務付けられている。

  • 過負荷防止装置(AML):吊り上げ荷重が定格を超えそうになると、警報を発するとともに、それ以上の巻き上げ・ジブの起伏など危険な方向への動作を自動的に停止させる装置。つり上げ荷重3トン未満の小型移動式クレーン等、一部の例外を除き装備が義務付けられている。
  • 巻過防止装置:フックなどの吊具を巻き上げすぎて、ワイヤロープが巻胴やジブ先端の滑車に接触する(巻き過ぎる)事故を防ぐため、吊具が一定の高さに達すると自動的に巻き上げを停止させる装置。
  • 外れ止め装置:フックに掛けたワイヤロープや玉掛用具が、作業中に振動などでフックから外れて落下するのを防ぐ装置。
過負荷防止装置は『重さ(荷重)』を、巻過防止装置は『高さ(巻き上げすぎ)』を監視する装置だと役割を分けて覚える。どちらも人の判断ミスを機械的に補う安全装置であり、クレーンの吊り上げ能力そのものを高める装置ではない点に注意する。

盛土工事 — 締固めで何が変わるか

キュービクル基礎の周りや、送電鉄塔・地中送電線の敷地を造成するとき、土を盛って地盤の高さを整える盛土工事が行われる。盛土は積み上げただけでは使い物にならず、ロードローラーなどで締固めを行って初めて構造物の土台として機能する。締固めによって土に起きる変化は、次の3つに整理できる。

  • 透水性の低下:土の粒子間のすき間が減ることで、水が浸透しにくくなる。
  • 支持力の増加:土の密度が高まることで、上に載る構造物の荷重を支える力が増す。
  • せん断強度の増加:土がずれ動こうとする力に対する抵抗力が増す。

これに対して圧縮性(荷重をかけたときにどれだけ沈み込みやすいかを表す性質)は、締固めによって低下(小さく)なる。支持力・せん断強度が「増加する」方向であるのに対し、圧縮性だけは「低下する」方向という、向きの違いに注意が必要だ。

「締固めの効果はすべて数値が増える方向」だと単純化して覚えると、圧縮性についても「大きくなる」と誤って答えてしまいやすい。圧縮性は「沈み込みやすさ」という、構造物にとって望ましくない性質を表す指標であり、締固めによって土をより密に・より沈みにくくするのだから、圧縮性はむしろ小さくなる、と性質の意味から向きを確認する。

水準測量 — 高さの基準をどう正確に測るか

キュービクルの基礎天端や、地中送電線の管路の勾配を検討するとき、土木業者は水準測量によって地盤や構造物の高さ(標高)を確認する。水準測量は、レベル(水準器を内蔵した測量機械)と標尺(目盛りの付いた棒)を使い、既知の高さの点(既知点)から測りたい点まで高低差を積み上げていく測量方法だ。日本の高さの基準そのものは、東京都千代田区にある水準原点によって定められている。

前視・後視・中間点 — 誰の高さを、どう読むか

水準測量では、標尺を立てる点の性格によって呼び方が変わる。

  • 既知点:標高がすでに分かっている点。
  • 未知点:これから標高を求めようとする点。
  • 後視:既知点に立てた標尺の読み。「すでに知っている高さ」を確認する読み。
  • 前視:未知点に立てた標尺の読み。「これから求めたい高さ」の読み。
  • 中間点:必要な点の標高を求めるため、前視だけを読み取る点(通過点)。
  • もりかえ点(移器点):前視・後視の両方を読み取り、レベルを次の位置へ移す基準にする点。
「前視」という文字の並びから、「最初に(前に)読む点=既知点」と誤解しやすいが、実際には前視は「これから前へ進んで求める未知点」の読みであり、後視が「すでに知っている既知点」の読みを指す。「後視で今の高さを確認してから、前視で次の高さを求める」という測量の進行順で覚えておく。

測量には必ず誤差が伴うため、実務では誤差を減らす工夫が積み重ねられている。代表的なものを整理しておく。

  • 往復測量:同じ区間を往路・復路の両方で測定し、往復差が許容範囲を超えていないかを確認する。超えていれば再測定する。
  • 標尺を鉛直に立てる:標尺が傾いていると実際より短い(高い)目盛りを読んでしまう誤差が生じるため、水準器で鉛直を確認してから読み取る。
  • 前視と後視の視準距離をそろえる:レベルから前方(前視)と後方(後視)までの距離に差があると、レベル自体の器械誤差(視準線が完全に水平でない誤差)が打ち消されずに蓄積してしまう。前視・後視の距離をできるだけ等しくすることで、この器械誤差を相殺できる。
  • 直射日光を避けて器械を設置する:レベル本体が直射日光で局所的に温まると、内部の気泡管や光学系にゆがみが生じ、読み取り誤差の原因になる。
水準測量の誤差軽減策のうち、特に間違えやすいのが「前視・後視の視準距離をそろえる」という項目だ。『前視より後視を長くする』のように、あえて距離に差を付けることが正しいと誤解しやすいが、実際には前視・後視の距離をできるだけ等しくそろえることで、レベル自体の器械誤差を打ち消すのが正しい考え方になる。

なお、鉄道の軌道構造にはカント(曲線部での左右レールの高低差)のほかにも、地下鉄などで採用される第三軌条方式(サードレール方式)がある。走行用のレールとは別に、集電専用の第三のレール(サードレール)を線路脇に敷設し、車両の集電靴(コレクターシュー)を接触させて集電する方式で、架空電車線(トロリ線)が不要な分トンネル断面を小さくでき建設費を抑えられるが、人が容易に立ち入れない地下鉄・高架専用軌道など限られた区間でのみ採用される。電車の集電方式は、この第三軌条方式と、ちょう架線からトロリ線を吊って集電する架空単線式(直接ちょう架式・シンプルカテナリ式・コンパウンドカテナリ式など。発電・変電のトピックで扱う)の2系統に大別される。

現場で土木業者とやり取りするために

電気工事施工管理技士が土木の専門家になる必要はない。配合設計を自分で行ったり、地盤調査の数値を自分で判定したりする場面は基本的にない。ただし、現場で工程調整をするときに、次の視点だけは持っておきたい。

  • 型枠が外れた直後でも、コンクリートの強度発現は完了していない。機器の据え付けなど荷重をかける作業のタイミングは、土木側の養生計画を確認してから決める。
  • 「型枠を外せる日数」の目安は、気温やセメントの種類で変わる。冬場の工事で土木業者が「もう少し待ってほしい」と言うのは、多くの場合この温度依存の性質が理由になっている。
  • 基礎形式(直接基礎か杭基礎か)が現場によって違うのは、設備の大小ではなく地盤条件の違いによるものだと理解しておけば、見積もりや工程が現場ごとに変わる理由にも納得しやすい。

この資格を取ったあと、現場で何が変わるか

この資格を取ったあと、キュービクル基礎の工事日程で土木業者と衝突しかけたとき、あなたは「早く据え付けたい」という電気工事側の都合と、「まだ養生期間が必要だ」という土木業者側の言い分の、どちらが正しいかを自分で判断できる立場になる。気温10℃台の冬場の現場で「もう4日経ったから外していいはずだ」と言われたとき、それが普通ポルトランドセメントの20℃以上の目安であって、この気温ではまだ足りないと即座に指摘できるかどうかが、手戻りを防げるかどうかを分ける。

送電鉄塔やキュービクルの新設案件で基礎形式を検討する場面でも、「この地盤なら直接基礎で済むのか、杭基礎が必要なのか」を、設備の大小ではなく地盤条件から考える視点を持てる。土木業者の提案をそのまま受け入れるのではなく、「なぜその基礎形式を選んだのか」を尋ね、答えの妥当性を判断できる立場に変わる。

電材商社との関係では、キュービクルの納期を決める際に、単なる搬入日の希望ではなく「基礎の養生期間を踏まえるとこの日程が現実的です」という根拠を持った調整ができるようになる。土木・電気の両方の工程を頭の中でつなげて話せる相手として、取引先からの信頼のされ方も変わってくる。

冒頭の「型枠は外せるが、機器の据え付けはまだ待ってほしい」という一言の答え合わせは、理解度チェックの問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 『型枠を外せる=コンクリートが完成した』と誤解する

    なぜ引っかかる型枠が外れても、コンクリートの強度発現(水和反応による硬化)はその後も続いている。存置期間の基準は『型枠を外しても自重や施工中の外力で変形・破損しない最低限の強度』を確認するためのものであり、最終的な強度発現の完了を意味するものではない。

    見破り方『型枠を外せる日数・強度』と『コンクリートが設計基準強度に達するまでの期間』は別物として切り分ける。設問が『型枠を外した=強度発現も完了した』という前提にすり替えていないか確認する。

  2. 気温が高いほどコンクリートに一方的に有利だと考える

    なぜ引っかかる気温が高いと初期の強度発現は早まり、存置期間の目安は短くなる。しかし逆に低温では発現が遅れて存置期間は長くなるため、『気温が高い方が存置期間は短くて済む』という傾向自体は正しいが、そこから『高温なら何も問題ない』とまで飛躍すると誤り。急激な乾燥などは別の管理課題になる。

    見破り方設問が『気温と存置期間の一般的な傾向』を聞いているのか、『高温だから無条件に有利』という言い過ぎの結論に誘導しようとしているのかを見分ける。

  3. 直接基礎と杭基礎の使い分けを、設備の大きさだけで判断してしまう

    なぜ引っかかる基礎形式を決める最大の要因は、設備の重量そのものよりも、その土地の支持地盤の深さ・強さ(地盤条件)である。浅い位置に十分固い支持地盤があれば大きな設備でも直接基礎で済むことがあり、逆に軽い設備でも軟弱地盤なら杭基礎が必要になることもある。

    見破り方基礎形式を選ぶ設問では、必ず『支持地盤(支持層)の深さ・強さ』に着目する。設備の重さや種類だけを根拠にしている選択肢は疑ってかかる。

  4. 山留め支保工の部材名を、位置関係だけで(『上にあるから○○』のように)覚えて混同する

    なぜ引っかかる腹起し・切梁・中間杭・火打ち梁はいずれも山留め壁の内側に組まれる部材で、断面図の位置関係だけを頼りに覚えると、似た配置の部材どうしを取り違えやすい

    見破り方部材の役割で覚える。『壁に沿って水平に張るのが腹起し』『対面する壁どうしを突っ張るのが切梁』『切梁を下から支える柱が中間杭』『隅角部を斜めに固めるのが火打ち梁』と、役割と位置をセットにして区別する

  5. 整地用の機械(モータグレーダ・ブルドーザ)を締固め用の機械と取り違える

    なぜ引っかかる整地(地面を平らにならす)と締固め(土を押し固めて密度を高める)は、どちらも土をならす作業という漠然としたイメージが重なり、使う機械の違いを意識せずに済ませてしまいやすい

    見破り方『地面の形を整える(平らにする)』のが整地、『土の密度を高めて締め固める』のが締固めと、作業の目的を区別する。整地にはブルドーザ・モータグレーダ、締固めにはロードローラー・振動ローラー・タンピングローラーなど、重量で押し固める機械が使われると対応づける

  6. 水準測量で、前視より後視の視準距離をあえて長くするのが誤差軽減策だと思い込む

    なぜ引っかかる『距離に差を付けて調整する』という操作のイメージから、前視・後視の距離を意図的に変えることが誤差対策になると連想しやすいが、実際に器械誤差を打ち消すのは前視・後視の距離を『そろえる(等しくする)』ことである

    見破り方レベルの器械誤差は視準線が完全に水平でないことから生じ、前視・後視の距離が等しければこの誤差が両方向で同じだけ影響し、高低差を求める計算の中で打ち消し合う、という原理から考える。『長さを変える』のではなく『長さをそろえる』が正しい方向だと確認する

  7. 鉄道のカントを、運行速度が同じ条件で『曲線半径が大きいほど大きくなる』と逆に覚えてしまう

    なぜ引っかかる『半径が大きい=規模が大きい=カントも大きい』という漠然とした比例のイメージにとらわれ、遠心力と曲線半径の関係(半径が大きいほど遠心力は小さくなる)を見落としやすい

    見破り方カントは遠心力を打ち消すために設ける。運行速度が同じなら、曲線半径が大きい(緩やかな曲線)ほど遠心力は小さくなるためカントは小さくてよく、曲線半径が小さい(急な曲線)ほど大きなカントが必要になる、と遠心力の大小から向きを導く

  8. 土留め壁の鋼矢板工法に関する設問で、地下水位を下げる排水工法(ウェルポイント工法)を、鋼矢板の施工方法の1つとして選んでしまう

    なぜ引っかかるどちらも掘削工事の準備段階で使われる工法という共通点があり、『地面に何かを打ち込む・挿入する』という作業のイメージが重なるため、鋼矢板そのものを設置する工法と、地下水を排水する工法を同じグループだと錯覚しやすい

    見破り方『何をしている工法か』を確認する。振動工法・圧入工法・プレボーリング工法は、いずれも鋼矢板という『資材』を地中に設置するための施工方法。ウェルポイント工法は資材の設置ではなく、地下水という『水』をくみ上げて水位を下げる別目的の工法だと区別する

  9. 盛土の締固めによって、圧縮性が『大きくなる』と逆に覚えてしまう

    なぜ引っかかる締固めで土の密度が上がり支持力・せん断強度が『大きくなる』ことは正しく覚えやすい一方、『大きくなる』という言葉の並びに引きずられて、圧縮性についても同じ方向(大きくなる)で覚えてしまいやすい

    見破り方圧縮性は『荷重をかけたときにどれだけ沈み込みやすいか』を表す性質であり、良い性質ではない。締固めは土をより密に・より沈みにくくする作業なので、圧縮性は『小さくなる』のが正しい方向だと、支持力・せん断強度(大きくなる)とは逆向きになる点をセットで覚える

  10. 水準測量の前視を『既知点に立てた標尺の読み』だと取り違える

    なぜ引っかかる『前』という文字から、測量の最初に読む点(=すでに分かっている既知点)を指すと連想しやすいが、実際には前視は『これから高さを求めたい未知点』の読みであり、後視が既知点の読みを指す

    見破り方『後視で高さの分かっている既知点を確認してから、前視で未知点の高さを求める』という測量の手順の順序で覚える。後視(こうし)が『既に知っている高さ』、前視(ぜんし)が『これから前へ進んで求める高さ』と、測量の進行方向で区別する

  11. 軟弱地盤の対策を、杭基礎や深礎基礎のような『支持層まで到達させる』方法だけだと思い込み、地盤改良工法の存在を見落とす

    なぜ引っかかる『軟弱地盤=杭を打つ』という組み合わせが印象に残りやすく、地盤そのものを固めて改良するという別の発想(サンドコンパクションパイル工法・薬液注入工法等)が選択肢に挙がることを見落としやすい

    見破り方軟弱地盤への対策を『支持層まで到達させる(杭基礎・深礎基礎)』と『地盤そのものを強くする(地盤改良工法)』の2つのアプローチに分けて整理する。地盤改良工法の中でも、砂を締め固めるサンドコンパクションパイル工法、薬液で固結させる薬液注入工法、セメント系固化材で柱状に固める深層混合処理工法と、使用材料ごとに区別する

  12. 移動式クレーンの過負荷防止装置と巻過防止装置を、どちらも『重さ』を監視する同じ装置だと混同する

    なぜ引っかかるどちらも『クレーンの危険を防ぐ安全装置』という共通点があるため、監視している対象(荷重の大きさか、吊具の高さか)の違いを見落としやすい

    見破り方過負荷防止装置は『定格荷重を超えていないか(重さ)』、巻過防止装置は『吊具を巻き上げすぎていないか(高さ)』を監視する装置だと、監視対象で区別する。名前の『過負荷』『巻過』という言葉が、それぞれ何を指しているかに注目すると取り違えにくい

参考文献・出典

理解度チェック(18問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、18問で確認しよう。 内訳は基本6問・応用3問・ひっかけ9問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 18 問正解

覚えておきたいポイント

  1. コンクリートの強度は打設直後ではなく、材齢(打設からの時間)とともに徐々に発現していく。『固まって見える』ことと『必要な強度に達したこと』は別物
  2. 型枠(せき板)を外してよいタイミングは、材齢(日数)で判断する方法と、実際の圧縮強度を確認する方法の2通りがあり、どちらか一方の基準を満たせばよい。日数の目安はセメントの種類・気温によって変わる
  3. 地業工事は、構造物の基礎を支える地盤を砕石敷き・締固めなどで固める作業。捨てコンクリート・配筋・型枠・打設・養生という一連の基礎工事の土台になる
  4. 直接基礎は浅い位置の支持地盤に直接荷重を伝える方式、杭基礎は杭を使って深い支持層まで荷重を伝える方式。どちらを選ぶかは設備の大きさだけでなく、その土地の地盤条件で決まる
  5. キュービクル基礎は直接基礎が中心になりやすいが、送電鉄塔の基礎は地盤条件に応じて直接基礎・杭基礎・深礎基礎などを使い分ける
  6. 掘削工事で山留め壁を支える山留め支保工には、山留め壁に沿って水平に取り付ける腹起し、対面する山留め壁どうしを支える切梁、切梁の座屈防止と自重を支える中間杭、腹起しと切梁を隅角部で斜めに接合する火打ち梁がある
  7. 建設作業には、それぞれに適した建設機械がある。掘削にはクラムシェル(垂直掘削・水中掘削向き)、整地にはブルドーザやモータグレーダ、削岩にはブレーカ、締固めにはロードローラーや振動ローラーが使われる。モータグレーダは整地(敷均し・法面整形)用の機械であり、締固め用の機械ではない
  8. 水準測量の誤差を減らす方法には、往復測定で往復差を確認する、標尺を鉛直に立てる、前視と後視の視準距離をそろえる(あえて長さを変えるのではなく等しくする)、器械を直射日光を避けて設置する、などがある
  9. 鉄道の曲線区間では、列車が遠心力で外方向へ転倒(転覆)するのを防ぐため、曲線外側のレールを内側のレールより高くするカントが設けられる。カントは左右レールの高低差で表され、運行速度が速いほど、また曲線半径が小さいほど、必要なカントは大きくなる
  10. 土留め壁に用いる鋼矢板(シートパイル)の施工方法には、振動工法(バイブロハンマで振動を与えて打ち込む)・圧入工法(油圧等で静的に押し込む、低騒音・低振動)・プレボーリング工法(あらかじめ削孔してから挿入する)などがある。一方、ウェルポイント工法は、掘削箇所周辺の地下水を強制的にくみ上げて水位を下げる排水工法であり、鋼矢板を地中に設置する施工方法ではない
  11. 盛土工事における締固めの効果は、透水性の低下・支持力の増加・せん断強度の増加の3つが基本になる。圧縮性(荷重をかけたときに沈み込みやすい性質)は締固めによって『小さくなる(低下する)』のが正しく、『大きくなる(増加する)』という記述は逆であり誤り
  12. 水準測量では、標高がすでに分かっている点を既知点、これから標高を求めたい点を未知点と呼ぶ。既知点に立てた標尺の読みを後視、未知点に立てた標尺の読みを前視という。前視だけを読み取る点(通過点)は中間点、前視・後視の両方を読み取る点はもりかえ点(移器点)と呼ばれる。日本の高さの基準となる原点は水準原点(東京都千代田区)で、ある点の高さを表す基準となる水準面を基準面と呼ぶ
  13. 軟弱地盤の改良工法には、振動する中空管で砂を締め固めて砂杭を造成するサンドコンパクションパイル工法(液状化対策・支持力向上)、注入管で薬液を注入し地盤を固結させる薬液注入工法(狭小地向き・低振動)、セメント系固化材と土を混合し柱状の改良体を築造する深層混合処理工法(柱状改良工法)などがある。杭基礎・深礎基礎が支持層まで到達する発想であるのに対し、地盤改良工法は地盤そのものを強くする発想である点が異なる
  14. 移動式クレーンには、クレーン等安全規則等により安全装置の装備が義務付けられている。過負荷防止装置(AML)は定格荷重超過時に警報を発し危険方向への動作を自動停止させる装置(つり上げ荷重3トン未満等の一部例外を除き義務)、巻過防止装置は吊具の巻き上げすぎを防ぐ装置、外れ止め装置はフックからワイヤロープ等が外れて落下するのを防ぐ装置で、それぞれ監視する対象(荷重か、高さか、外れの有無か)が異なる
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