法規の勉強を進めていくと、建設業法・電気工事士法・電気事業法・労働安全衛生法・道路法という「よく出る5法」は押さえたつもりになる。ところが過去問を開くと、電気工事業者が営業所に備える器具や標識の話、建築設備・特殊建築物の定義、消防用設備の区分、労働者名簿の記載事項、さらには建築物のエネルギー消費性能を評価する対象設備といった、これまで扱っていない法律の設問に出会う。5法さえ押さえれば十分だと思っていたのに、なぜこうした設問が出てくるのか。
見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、法規科目が扱う法令の全体像と、その中で見落としやすい6つの法律の急所を自分で説明できるようになっている。
法規科目は、建設業法を中心に据えつつ、電気工事士法・電気事業法・労働安全衛生法・道路法など、施工管理の現場に関わる法令を幅広く扱う。過去問を分析すると、これらに加えて電気工事業の業務の適正化に関する法律(電気工事業法)・建築基準法・消防法・労働基準法・建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(建築物省エネ法)・エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)・建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)・騒音規制法・廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)からも、毎回1問前後がコンスタントに出題されている。出題数は1問ずつでも、よく出る法律だけを固めて残りの法律をまったくのノーマークにしておくと、選択できる設問の幅が狭くなる。ここでは、この9つの法律の急所を1つのトピックにまとめて整理する。
電気工事業法 — 「工事する人」ではなく「工事業を営む会社」への規制
電気工事士法が個々の技術者(電気工事士)を規制する法律であるのに対し、電気工事業法は電気工事業を営む会社・個人事業主を規制する法律だ。目的は、電気工事業を営む者の登録等及びその業務の規制を行うことで、一般用電気工作物等及び自家用電気工作物の保安の確保に資することにある(1条)。
電気工事業者には、主に4つの実務上の義務がある。
- 主任電気工事士の設置(19条): 一般用電気工事の業務を行う営業所ごとに、第一種電気工事士等を主任電気工事士として置き、作業を管理させる
- 器具の備付け(24条): 営業所ごとに、絶縁抵抗計その他の器具を備える。ただし必要な器具の種類は、その営業所が自家用電気工事も扱うか、一般用電気工事のみを扱うかで変わる
- 標識の掲示(25条): 営業所及び電気工事の施工場所ごとに、見やすい場所に標識を掲げる
- 帳簿の備付け(26条): 営業所ごとに帳簿を備え、電気工事ごとに注文者・工事内容・施工年月日・作業者氏名・配線図・検査結果を記載し、5年間保存する
標識の記載事項も、条文の細部が問われやすい。登録電気工事業者の標識に記載すべき事項は、電気工事業法施行規則12条1項1号が次の4項目に限定している。
| 記載事項 | 内容 |
|---|---|
| 氏名等 | 氏名又は名称及び法人にあっては、その代表者の氏名 |
| 営業所の情報 | 営業所の名称及び当該営業所の業務に係る電気工事の種類 |
| 登録の情報 | 登録の年月日及び登録番号 |
| 技術者の氏名 | 主任電気工事士等の氏名 |
主任電気工事士そのものに「誰がなれるか」も、条文の細部が問われやすい。電気工事業法19条1項は、主任電気工事士になれる者を、第一種電気工事士、又は第二種電気工事士免状の交付を受けた後電気工事に関し3年以上の実務経験を有する第二種電気工事士(6条1項1号〜4号の欠格事由に該当しない者)に限定している。
建築基準法 — 用語の定義がよく問われる
建築基準法は建築物そのものの基準を定める法律だが、施工管理の現場では2条の用語の定義がよく問われる。
まず「建築設備」(2条3号)。建築設備とは、建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備、又は煙突、昇降機若しくは避雷針をいう。
次に「特殊建築物」(2条2号)。学校・体育館・病院・劇場・観覧場・集会場・共同住宅・寄宿舎・下宿・工場・倉庫・自動車車庫その他これらに類する用途に供する建築物をいう。
避難に関わる用語も押さえておきたい。「避難階」(施行令13条1号)は、直接地上へ通ずる出入口のある階をいう。1階が常に避難階とは限らず、傾斜地の建築物などでは2階や地下階にも直接地上へ通じる出入口があれば、その階も避難階になる。
さらに、劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂又は集会場における客席からの出口の戸、及びこれらの用途の建築物の客用に供する屋外への出口の戸は、内開きとしてはならない(施行令118条・125条2項)。
最後に「大規模の修繕」(2条14号)。建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいう(大規模の模様替は15号で同様に定義される)。主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段)のうち、1種類でもその過半を修繕すれば、この定義に当てはまる。
その「主要構造部」(2条5号)自体の定義も、単独で問われることがある。主要構造部とは、壁・柱・床・はり・屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁・間柱・付け柱・揚げ床・最下階の床・小ばり・ひさし・局部的な小階段・屋外階段その他これらに類する部分は、明文で除外されている。
用語の定義とは別に、建築設備の一種である排煙設備そのものの構造基準(施行令126条の3)も、細部が問われることがある。排煙口には手動開放装置を設けなければならない(同条1項4号)。加えて排煙口には、この手動開放装置又は煙感知器と連動する自動開放装置若しくは遠隔操作方式による開放装置により開放された場合を除き閉鎖状態を保持する戸を設ける(同項6号)。
消防法 — 消防用設備等は5つに区分される
消防法施行令7条は、消防用設備等を次のように区分している。
| 区分 | 根拠 | 代表例 |
|---|---|---|
| 消火設備 | 施行令7条2項 | 消火器、屋内外消火栓設備、スプリンクラー設備、動力消防ポンプ設備など |
| 警報設備 | 施行令7条3項 | 自動火災報知設備、漏電火災警報器、非常ベルなど |
| 避難設備 | 施行令7条4項 | 避難はしご、救助袋、誘導灯、誘導標識 |
| 消防用水 | 施行令7条5項 | 防火水槽、これに代わる貯水池 |
| 消火活動上必要な施設 | 施行令7条6項 | 排煙設備、連結送水管、非常コンセント設備など |
警報設備(表の3項)も、列挙されている品目は5類型に限られる。自動火災報知設備・ガス漏れ火災警報設備・漏電火災警報器・消防機関へ通報する火災報知設備、そして警鐘・携帯用拡声器・手動式サイレンその他の非常警報器具及び非常警報設備(非常ベル・自動式サイレン・放送設備)だ。
非常警報設備(表の警報設備に含まれる非常ベル・自動式サイレン・放送設備)にも、具体的な設置基準がある。消防法施行規則25条の2第2項1号ハは、非常ベル又は自動式サイレンの音響装置について、各階ごとに、その階の各部分から一の音響装置までの水平距離が25m以下となるように設けることと定めている。
設備の区分とは別に、「誰がその工事をしてよいか」という論点もある。消防用設備等の設置に係る工事のうち、消防設備士(甲種又は乙種の免状を有する者)でなければ行ってはならない工事は、消防法施行令36条の2第1項が電源・水源・配管の部分等を除いて限定列挙している。屋内外消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン化物・粉末の各消火設備、自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備、金属製避難はしご(固定式)、救助袋、緩降機がこれに当たる。
「非常用」だからといって消防法の設備とは限らない — 非常用の照明装置の位置づけ
紛らわしいのが、非常用の照明装置の扱いだ。「非常用」という言葉から消防法上の設備だと思いがちだが、非常用の照明装置は建築基準法2条3号が定める建築設備(電気設備の一種)であり、その構造基準は建築基準法施行令126条の5に定められている。消防法施行令7条が区分する消防用設備等(消火設備・警報設備・避難設備・消防用水・消火活動上必要な施設)には含まれない。
非常用の照明装置の予備電源については、火災等で停電した場合に自動的に点灯し、充電を行うことなく30分間継続して点灯させることができるものでなければならない(建築基準法施行令126条の5、これに基づく国土交通大臣が定めた構造方法=昭和45年建設省告示第1830号)。
労働基準法 — 労働者名簿と賃金台帳は別の帳簿
労働安全衛生法とは別に、労働基準法にも施工管理者が押さえておくべき規定がある。代表的なものが労働者名簿だ。使用者は各事業場ごとに労働者名簿を調製し、氏名・生年月日・履歴のほか、性別・住所・従事する業務の種類・雇入の年月日・退職の年月日及びその事由・死亡の年月日及びその原因を記入しなければならない(107条、施行規則53条)。
雇入れの入口の場面にも、押さえておくべき規定がある。使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金・労働時間その他の労働条件を明示しなければならない(15条1項)。そして、この明示された労働条件が実際の労働条件と相違していた場合、労働者は即時に労働契約を解除することができる(同条2項)。
労働基準法には、休憩時間に関する基本的なルールもある。使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を、労働時間の途中に与えなければならない(34条1項)。休憩時間は原則として一斉に与えなければならないが、労使協定があれば例外が認められ(同条2項)、与えた休憩時間は労働者に自由に利用させなければならない(同条3項)。
年少者の保護規定 — 「働かせてよい時期」と「働かせても禁止される業務」は別の条文
労働基準法は、年少者(未成年の労働者)を保護するために複数の規定を置いている。まず押さえておきたいのが最低年齢(56条1項)だ。使用者は、児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない。義務教育(中学校)の課程を終える時期に合わせて、就労が許される時期そのものの下限を定めた規定になる。
満18歳未満の年少者が就いてはならない業務 — 「補助作業」は除外される
56条の最低年齢とは別に、労働基準法62条は、使用者が満18歳に満たない者(年少者)を、厚生労働省令で定める危険有害業務に就かせてはならないと定めている。具体的な業務の範囲は年少者労働基準規則8条に列挙されており、建設現場に関わるものとして次のようなものがある。
- クレーン、デリック又は揚貨装置の運転の業務(3号)
- 直流750V、交流300Vを超える電圧の充電電路又はその支持物の点検・修理・操作の業務(8号)
- クレーン、デリック又は揚貨装置の玉掛けの業務(2人以上の者によって行う玉掛けの業務における補助作業の業務を除く。10号)
- 土砂が崩壊するおそれのある場所又は深さが5m以上の地穴における業務(23号)
- 高さが5m以上の場所で、墜落により危害を受けるおそれのあるところにおける業務(24号)
- 足場の組立、解体又は変更の業務(地上又は床上における補助作業の業務を除く。25号)
業務上の負傷による解雇制限と打切補償 — 「3年経過」だけでは解雇できない
労働基準法には、業務上の傷病で療養している労働者を守るための規定もある。19条1項は、使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間(産前産後の女性が65条の規定によって休業する期間及びその後30日間も同様)は、解雇してはならないと定めている(解雇制限)。
この解雇制限には例外があるが、条件は限定されている。19条1項ただし書は、使用者が81条の規定によって打切補償を支払う場合、又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合に限り、解雇制限が及ばないと定めている。そして81条は、療養補償(75条)を受けている労働者が、療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合、使用者は平均賃金の1,200日分の打切補償を行い、その後はこの法律の規定による補償を行わなくてもよいと定める。
建築物省エネ法 — 「エネルギー消費性能」の評価対象は4種の建築設備に限られる
ここで取り上げるのが、建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(建築物省エネ法)だ。この法律は、建築物の省エネ性能の確保を目的とし、一定規模以上の建築物の新築等について、エネルギー消費性能基準への適合を求める仕組みを持つ。
同法2条1項2号は「エネルギー消費性能」を、建築物の一定の条件での使用に際し消費されるエネルギーのうち、空気調和設備等(建築物に設ける空気調和設備その他の政令で定める建築設備)において消費されるものの量を基礎として評価される性能と定義する。そして、この「空気調和設備等」の具体的な範囲は、同法施行令1条が次の4種に限定している。
| 号 | 対象となる建築設備 |
|---|---|
| 1号 | 空気調和設備その他の機械換気設備 |
| 2号 | 照明設備 |
| 3号 | 給湯設備 |
| 4号 | 昇降機 |
省エネ法 — 建築物省エネ法とは別の法律が定める「トップランナー制度」
紛らわしいことに、建築物省エネ法とは別に、機器そのものの省エネ性能を規制する法律がもう1つある。エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(通称:省エネ法)だ。この法律は、自動車その他我が国で大量に使用され、かつエネルギー消費性能の向上が特に必要な機器を特定エネルギー消費機器として政令で定め、その機器を製造する事業者等が目指すべきエネルギー消費性能向上の判断基準を経済産業大臣が定めて公表する仕組みを持つ(149条)。これがいわゆるトップランナー制度だ。
省エネ法施行令18条は、特定エネルギー消費機器として乗用自動車・エアコンディショナー・照明器具・電気冷蔵庫・変圧器(定格一次電圧が600Vを超え7,000V以下で交流の電路に使用されるもの)・交流電動機(籠形三相誘導電動機)・電気温水機器など29品目を列挙している。
建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法) — 特定建設資材は4種類だけ
次に、解体工事や新築工事に関わる法律をもう1つ取り上げる。建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)は、建築物等の解体工事等について、建設資材廃棄物の分別解体等及び再資源化等を促進するための法律だ。
この法律が定める「特定建設資材」(2条5項)は、コンクリート、木材その他建設資材のうち、再資源化が特に必要で、かつ経済性の面で制約が著しくないものとして政令で定めるものをいう。具体的な範囲は同法施行令1条が次の4種に限定している。
| 号 | 特定建設資材 |
|---|---|
| 1号 | コンクリート |
| 2号 | コンクリート及び鉄から成る建設資材 |
| 3号 | 木材 |
| 4号 | アスファルト・コンクリート |
騒音規制法 — 「7日前までの届出」と「敷地境界線で85デシベル」
最後に、電気工事の現場で発電機やコンクリートカッターなどを使う場面で関わってくる騒音規制法を取り上げる。この法律は、工場・事業場における事業活動や建設工事に伴って発生する騒音について必要な規制を行うことなどにより、生活環境を保全することを目的とする。建設工事との関係では、第3章の「特定建設作業に関する規制」が実務上のポイントになる。
指定地域内において特定建設作業(さく岩機・くい打機・びょう打機・空気圧縮機・コンクリートプラント等を使用する作業のうち、政令(騒音規制法施行令2条・別表第二)で定めるもの)を伴う建設工事を施工しようとする者は、当該作業の開始の日の7日前までに、氏名又は名称・工事の種類・作業の場所及び実施の期間・騒音の防止の方法等を市町村長に届け出なければならない(14条1項)。ただし、災害その他非常の事態の発生により特定建設作業を緊急に行う必要がある場合はこの限りでなく、その場合は速やかに事後の届出を行う(同項ただし書・2項)。
届出だけでなく、実際の騒音の大きさにも基準がある。市町村長は、指定地域内の特定建設作業に伴う騒音が、環境大臣の定める基準に適合しないことにより周辺の生活環境が著しく損なわれると認めるときは、施工者に対し騒音の防止方法の改善又は作業時間の変更を勧告・命令できる(15条)。この環境大臣の定める基準(特定建設作業に伴つて発生する騒音の規制に関する基準)は、特定建設作業の騒音が、その作業の場所の敷地の境界線において85デシベルを超える大きさのものでないことを定めている。
廃棄物処理法 — 解体工事で出るごみは、品目ごとに産業廃棄物かどうかが分かれる
最後にもう1つ、解体工事や改修工事に必ず関わってくる廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)を取り上げる。この法律は、廃棄物を事業活動に伴って生じたもののうち法令で指定されたもの(産業廃棄物)と、それ以外の一般廃棄物に大別する(2条2項・4項)。工作物の除去(解体工事)に伴って生じる廃棄物は、この区分が実務上のポイントになる。
廃棄物処理法施行令2条は、産業廃棄物の種類を品目ごとに列挙しているが、品目によって「建設業由来のものに限る」という限定が付くかどうかが異なる。
| 品目 | 産業廃棄物になる条件 |
|---|---|
| 紙くず(1号) | 建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものに限る)等 |
| 木くず(2号) | 建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものに限る)等 |
| 繊維くず(3号) | 建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものに限る)等 |
| 金属くず(6号) | 発生源を問わず産業廃棄物 |
| ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず(7号) | 発生源を問わず産業廃棄物 |
ここで見落としやすいのが、建設発生土(残土)の扱いだ。廃棄物処理法2条1項は「廃棄物」を、ごみ・粗大ごみ・燃え殻・汚泥・ふん尿・廃油・廃酸・廃アルカリ・動物の死体その他の汚物又は不要物であって固形状又は液状のものと定義しており、この列挙に「土砂」は含まれていない。
産業廃棄物の中には、さらに規制の厳しい特別管理産業廃棄物という区分がある。産業廃棄物のうち、爆発性・毒性・感染性その他人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものが、これに指定される(2条5項)。廃油については、引火点が70度未満のものが特別管理産業廃棄物(廃油)に当たる(施行令2条の4第1号)。灯油の引火点は70度を大きく下回るため、灯油類の廃油はこの基準に当てはまり、特別管理産業廃棄物として扱われる。
環境基本法 — 「公害」は7種類に限定列挙されている
最後にもう1つ、個別の規制法ではなく環境政策全体の基本理念を定める環境基本法を取り上げる。この法律1条は、環境の保全について基本理念を定め、国・地方公共団体・事業者・国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることを目的とする。法規科目で問われるのは、もっぱら2条3項が定める「公害」の定義だ。
環境基本法2条3項は「公害」を、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染・水質の汚濁・土壌の汚染・騒音・振動・地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く)・悪臭の7種類によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることと定義する。この7種類はいわゆる「典型七公害」と呼ばれ、限定列挙になっている。
電材商社の現場で、この10法がどう効いてくるか
電気工事業者と取引するとき、その業者が自家用電気工事まで扱う登録なのか、一般用電気工事のみの登録なのかによって、現場で扱える工事の範囲や、営業所に備えているべき測定器具の水準が変わってくる。また、消防用設備や建築設備に関わる資材を提案する場面では、「これは建築基準法上の建築設備か、消防法上の消防用設備等か」を意識しておくと、提案先の担当部署や必要な手続きの見当がつけやすくなる。省エネ改修の相談を受けた場面でも、提案する設備が建築物省エネ法の評価対象(空気調和設備等)に当たるのか、それとも省エネ法のトップランナー制度の対象品目(変圧器・交流電動機など)に当たるのかを区別しておくと、発注者への説明に具体性が出る。解体・改修工事に立ち会う場面では、発生する廃材が建設リサイクル法の特定建設資材(コンクリート・木材など)に当たるかどうか、そして解体で生じる紙くず・木くずのような廃棄物が廃棄物処理法上の産業廃棄物に当たるかどうかも、分別解体・産業廃棄物の処理計画を理解するうえでの視点になる。
この資格を取ったあと、現場で何が変わるか
この資格を取ったあと、現場で扱う法令が建設業法・電気工事士法・電気事業法だけではないと分かっているからこそ、消防検査の立ち会いで「これは消火設備ですか、それとも消防用水の扱いですか」と、防火水槽を消火設備に紛れ込ませるような誤解を自分で正せるようになる。5法だけを固めた同僚が見落とす論点を、あなたは拾える立場に変わる。
取引先の電気工事業者と話すときも、「その営業所は自家用電気工事も扱う登録ですか」と一歩踏み込んで確認できるようになる。営業所が備えるべき器具の水準は自家用電気工事を扱うかどうかで変わると知っているからこそ、その業者が対応できる工事の範囲を、許可証を見るだけでなく、備えている測定器具の水準からも見当づけられる。
労働基準監督署の調査が入るような場面でも、労働者名簿と賃金台帳が別の帳簿であることを理解しているので、「この記載事項はどちらの帳簿の話か」を整理して現場の担当者に説明できる。電材商社の立場からも、建築設備と消防用設備等のどちらに該当する資材かを意識して提案できるようになり、提案先の担当部署を見誤るような手戻りが減っていく。
冒頭の疑問、5法だけでは足りない理由。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。