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【現場のやらかし】電線管に電線を「ギチギチに詰め込んで配線」したら発熱で被覆がドロドロに溶損!許容電流の減少係数と電線占有率の盲点

・ 読了目安: 10分 ・ 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー)

この記事の結論

合成樹脂管・金属管などに絶縁電線を収めるときは、電線の許容電流に同一管内の電線数に応じた電流減少係数を掛ける。電技解釈146-4表では3本以下0.70、4本0.63、5〜6本0.56、7〜15本0.49で、直径2.0mmの軟銅線(基準35A)は7〜15本で約17Aまで下がる。電線の断面積の総和を管の内断面積の32%以下(条件がそろえば48%以下)に収める占有率とは別のルールなので、両方を確認する。

本記事の場面・会話・数値は、理解を助ける仮想事例です。実際の事故・取引実績を示すものではありません。製品の適合性は個別の仕様で確認してください。

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1. 【現場のやらかし事例】「通線できたからOK」と、細いPF管に電源線を何本も詰め込んで引き渡したら、数ヶ月後に漏電ショートした話

ある工場内の機械増設に伴う配線追加工事でのことです。 電気工事担当者は、追加の動力配線(三相200V)を通す際、「配管を新設するのは面倒だしスペースもない。既存のPF管(合成樹脂製可とう電線管)の中にまだ隙間があるから、ここに一緒に通してしまおう」と考えました。

呼び径22のPF管の中に、すでに通っていたIV電線に加え、新設の電線をさらに4本通しました。 ワイヤーを使って「かなりギチギチだが、力いっぱい引っ張ったらなんとか通線できた。これで配管の手間が浮いた」と、作業を完了させました。

しかし、増設された機械が本格稼働し始めてから3ヶ月後、突如その系統の漏電遮断器が動作し、機械が停止しました。 配管の点検口を開けて驚きました。PF管の内部で電線の塩化ビニル被覆がドロドロに溶けてくっつき合い、中の銅線同士が直接接触して、激しい短絡(ショート)と地絡(漏電)を起こしていたのです。

原因は「電線管内の詰め込みすぎによる熱のこもりと、電流減少係数の無視」でした。 通常、IV電線 2.0mmの許容電流は空気中であれば35Aですが、電線管に複数の電線(今回は計8本)を詰め込むと、電流減少係数(低減率:今回の本数では0.49)がかかり、1本当たりの実質的な許容電流は17Aまで激減します。

これを知らずに「通ったから大丈夫」と設計電流の25Aを流し続けたため、管内で電線が異常発熱し、熱の逃げ場がなくなって被覆が溶けてしまったのです。一歩間違えれば、PF管自体が溶けて火災に至る危険なやらかしでした。


2. 内線規程における「電流減少係数」の重要データ

絶縁電線を合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・金属線ぴに収める場合、同一管内の本数に応じて以下の電流減少係数を、電線の基本許容電流に掛け算しなければなりません(電気設備の技術基準の解釈 第146条 146-4表。内線規程にも同じ考え方の表があります)。

電線管内の電線数と電流減少係数の一覧

  • 1〜3本: 係数 0.70 (許容電流が30%ダウン)
  • 4本: 係数 0.63 (許容電流が37%ダウン)
  • 5〜6本: 係数 0.56 (許容電流が44%ダウン)
  • 7〜15本: 係数 0.49 (許容電流が51%ダウン)
  • 16〜40本: 係数 0.43 (許容電流が57%ダウン)

例えば直径2.0mmの絶縁電線は基準の許容電流が35Aですが、金属管やプラスチック管の中に他の配線と一緒に通す本数が増えると、7〜15本で係数0.49がかかり17A程度まで小さくなります(よく見る24Aという値は、すでに3本以下の係数0.70を掛けたあとの数字です)。


3. もう一段深く:なぜこの数字なのか、PF管以外の管でも起きるのか

ジュール熱と「熱の逃げ場」の話

電線に電流が流れると、導体の電気抵抗によって必ず熱(ジュール熱)が発生します。空気中に一本だけ配線されている電線は、周囲の空気にその熱を逃がしながら温度が落ち着きますが、電線管の中に複数本を束ねて詰め込むと、隣り合う電線同士がお互いの発する熱で温め合ってしまい、管内の温度が下がりにくくなります。内線規程の電流減少係数は、この「電線同士の相互加熱」と「放熱経路が狭くなること」を、本数という分かりやすい指標に置き換えて数値化したものです。本数が増えるほど1本あたりが逃がせる熱の余地が小さくなるため、係数が段階的に下がっていきます。

金属管なら安全か——材質による放熱性の違い

電流減少係数の表自体は、金属管でも樹脂管でも同じ数字が適用されます。本数だけを基準にしているためです。ただし物理的な放熱性には材質による差があります。金属は一般に樹脂よりはるかに熱を伝えやすく、銅で約403W/(m・K)、アルミニウムで約236W/(m・K)であるのに対し、一般的な樹脂は0.1〜0.4W/(m・K)程度しかありません。つまり同じ本数・同じ占有率であっても、鋼製の金属管に比べてPF管・CD管・VE管などの樹脂管のほうが管自体を通じた放熱が弱く、熱がこもりやすい側にあります。

今回のやらかし事例がPF管で起きたのは偶然ではなく、樹脂管という条件が被覆溶損に至るハードルを一段下げていたと考えられます。だからといって金属管なら本数を無視してよいわけではありません。電流減少係数はどちらの管種にも同じ数字で適用されるため、金属管配線でも詰め込みすぎれば同様の発熱リスクはあります。実際、電気設備の技術基準の解釈第146条の電流減少係数は、合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・金属線ぴに同じ表を適用しています。

「占有率」と「電流減少係数」は別のルール

電線管の選定方法で解説している「管内断面積の32%(例外48%)以下」という占有率の基準と、本記事の電流減少係数は、どちらも「電線を管に詰め込みすぎない」ためのルールですが、守っている対象が違います。占有率は電線の太さ(断面積)の総和に対する制限で、通線のしやすさと物理的な放熱余地を確保するための基準です。一方、電流減少係数は電線の本数に応じて許容電流そのものを引き下げる基準で、細い電線を多数本まとめて占有率的には余裕があっても、本数が多ければ電流減少係数は下がります。

今回の事例のように「呼び径22のPF管にまだ隙間があった」=占有率としては収まっていたとしても、電流減少係数の適用が漏れていれば発熱事故は起こり得ます。占有率と電流減少係数は、どちらか一方ではなく両方をセットで確認する必要があります。


4. 管路設計でやらかさないための防止策

現場での通線発熱トラブルを防ぐための、設計・施工上の3つの鉄則です。

① 電線占有率の厳守(32%ルール)

電線サイズの外径から「断面積」を計算し、管の断面積に対して32%以下(同一サイズの電線で、屈曲が少なく、引き入れ・引き替えが容易な場合に限り48%以下)に収まっているかを確認します。これにより、物理的な放熱スペースと通線時の遊びが確保されます。

② 計算シミュレーションの実施

電流・配線長・電線サイズから電圧降下や許容電流の余裕値を事前に必ず計算します。特に熱がこもりやすい盤内配線や管内配線では、ギリギリの電線サイズを選定せず、余裕を持った(1ランク太い)sq数を選定することが現場トラブルを防ぐ基本です。

③ 高耐候・高放熱な電線管・保護具の選定

屋外配線や過酷な環境では、熱を伝えやすい金属製の配管や、内部の結露を防ぐ防雨キャビネット、保護カバーを適切に選定します。

現場での安全な配管設計・施工には、規格に合致した正しいサイズ選定が不可欠です。 PF管・VE管・樹脂製電線管(Amazon) — 占有率に余裕を持った太さの電線管・配管部材を確認できます。 通線ワイヤー・スチール(Amazon) — 狭い管内でも摩擦を抑えて安全に通線するためのプロ用ワイヤー工具です。


5. 電線・配管資材の見積もり依頼

見積もりを依頼するときは、電線の品種と太さ・心数・長さ、同一管内に収める本数、電線管の種類(PF管・VE管・金属管など)と呼び径・長さ、付属品(コネクタ・カップリング等)、メーカー指定の有無、希望納期をそろえると、条件の確認が進めやすくなります。

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よくある質問

電線管の中に何本も電線を通すと、なぜ流せる電流(許容電流)が小さくなるのですか?

電線に電流が流れると、導体の抵抗によって必ず『ジュール熱』と呼ばれる熱が発生します。電線を空気中に単体で配線している場合は熱が逃げやすいですが、電線管の中に複数本束ねて押し込むと熱の逃げ場がなくなり、管の内部が非常に高温になります。電線の被覆(ビニル等)が熱で溶けるのを防ぐため、束ねる本数に応じて安全に流せる電流量を減らす(電流減少係数をかける)必要があります。

電線管内の電線占有率(JIS・内線規程基準)はどのくらいですか?

電線を同じ管内に通す場合、電線の仕上り外径の断面積総和が、電線管の内断面積の『32%以下』に収めるのが原則で、同一サイズの電線を収容し、屈曲が少なく、引き入れ・引き替えが容易な条件がそろう場合に限って『48%以下』まで緩和できます(内線規程)。

参考文献・出典

確認・変更の記録

出典照合日: (AIによる照合補助)

URL付き出典(荒川技研)は到達し、樹脂0.1〜0.4W/m·K・銅403・アルミ236W/m·Kを確認。内線規程はURL無し・有償のため未照合で、代わりに公開資料の経済産業省『電気設備の技術基準の解釈』146-1表(2.0mm軟銅線35A)と146-4表(3以下0.70・4は0.63・5又は6は0.56・7〜15は0.49・16〜40は0.43)、農水省指針の32%・48%の記述を出典に追加し、本文の係数・17A・24A・占有率と一致を確認。電流減少係数の適用対象を電技解釈どおり『合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・金属線ぴ』に直し(従来は配線ダクトを含めていた)、『電技解釈の金属管工事の規定に占有率の考え方が組み込まれている』という記述は解釈に該当規定が無いため第146条の表の適用範囲の説明に置換。『波付金属管』の推奨を金属製配管の一般表現にし、5章の調達・配送の自社主張を中立な見積依頼案内に置換。事例は caseBasis: hypothetical

個別設備の適合判定・技術者による承認を示すものではありません。

この内容は、第二種電気工事士ではこう問われる

管に何本入れると何%に減るのか——この電流減少係数は、試験でも実務と同じ表がそのまま問われます。管種ごとの施設できる場所とあわせて確認しておくと、現場の判断が試験の答えとつながります。

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