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1. コンクリート埋設(スラブ配管)におけるPF管のつぶれ・扁平対策
基礎コンクリートを打設して数日後、型枠を外して通線用の呼び線(フィッシャー)を送り込もうとしたら、途中でピタリと止まって進まなくなる——電気工事の現場では決してめずらしくない光景です。呼び線を無理に押し込んでも進まず、念のため配管ルートを掘り当ててみると、スラブの中でPF管が扁平につぶれ、内部の空間がほぼゼロになっています。原因は生コンクリートの自重と圧送圧力、そして配筋・打設中に作業員が管の上を歩き回ったことによる踏み付けです。ここまで来ると打つ手は一つしかありません。硬化したコンクリートを斫って管を掘り出し、つぶれた区間を新しい管に交換し、再度コンクリートを打ち直す——「はつり直し」です。すでに配筋も型枠も完了した箇所を壊して直すことになるため、工期・コストともに手痛いやり直し工事になります。
電気工事におけるコンクリート打設(コンクリ流し込み)は、配管資材が最も高い物理的圧力を受けるプロセスのひとつです。特にスラブ(床)や基礎のコンクリート内部に埋設されるPF管(合成樹脂製可とう電線管)は、打設時の圧力や作業員の踏み付けによって「つぶれ(扁平)」を起こしやすく、打設後に中の電線が通らなくなる通線不能トラブルが多発します。「PF管は曲がるから多少無理をしても大丈夫」という現場感覚が、このトラブルを後を絶たないものにしています。
① 配管固定と鉄筋アタリの回避
- PF管をコンクリート内に埋設する際は、鉄筋に沿って配管し、「結束線」を用いて鉄筋に結束固定します。合成樹脂製可とう電線管工業会は、スラブでは1.0m以下、接続箇所が近くにある場合は0.3m以下の間隔で結束し、立ち上がり部分は必ず結束するよう案内しています。また、上筋と下筋が重なる間で管と管を交差させないことも求めています。
- コンクリート流し込み時にホースの先端(圧送ホース)から出る衝撃や、バイブレーター(コンクリートを密着させる振動機)が直接PF管に接触しないよう、鉄筋の影や内側に配管を隠す工夫が必要です。
② PFD管(複層管)とPFS管(単層管)の違い
- 合成樹脂製可とう電線管工業会の解説では、PF管には、ポリエチレン・ポリプロピレン等の内管に自己消火性材料の外管を重ねて耐燃性を持たせた複層管(PFD)と、自己消火性材料だけで作った単層管(PFS)の2種類があります。複層か単層かの違いは耐燃性の持たせ方の違いであり、つぶれにくさの指標ではありません。強度はメーカーカタログの仕様で確認します。
③ 「つぶれにくさ」は規格の圧縮復元性能で決まっている
同工業会によれば、PF管・CD管は電気用品の技術基準およびJIS C 8411(合成樹脂製可とう電線管)に圧縮復元性能の規定があり、これを満たしています。足で踏みつけたり生コンのノズルで押さえつけられたりする程度なら、一時へこんでもほぼ元の状態に戻ります。ただし、鉄筋などで押さえつけた状態のままコンクリートを打ち込むと通線性能が阻害されることがあるため、打ち込み前に管が鉄筋に挟まれていないかを点検します。冒頭の「はつり直し」を防ぐ最後の関門はこの打設前点検です。
2. 内線規程に定めるPF管・CD管の「曲げ半径制限」
通線時の引っ掛かりや、ケーブル被覆の損傷を防ぐため、可とう管の曲げ角度と曲げ半径には厳格な基準が存在します。
| 配管の曲げ設計 | 基準 |
|---|---|
| 曲げ半径R | 内側の半径が管内径の6倍以上(呼び22以下で構造上やむを得ない場合の緩和あり) |
| ボックス間の配管長 | 原則としてボックスなしで30mを超えて配管しない |
① 曲げ半径(R)の基準
内線規程では、可とう電線管(PF・CD)の曲げ半径は「内側の半径が管内径の6倍以上」と定められています(合成樹脂製可とう電線管工業会は参考条文として内線規程3115-5・3110-8を挙げています)。なお内線規程は日本電気協会が発行する民間規格で、電気設備の技術基準の解釈にはこの曲げ半径を定めた条文がありません。法令ではなく業界と発注者が守っている数字、という位置づけです。呼び22以下で建造物の構造上やむを得ない場合は、管の内断面が著しく変形せずひび割れが生じない程度まで半径を小さくできる緩和も置かれています。
- 例:内径22mmの管の場合: 以上の曲げ半径(R)を確保して施工する必要があります。これ以下の急激な角度で曲げると、コンクリート圧で曲がり部が押し潰され、通線用ワイヤー(フィッシャー)すら通らなくなります。
② 配管長と屈曲の管理
合成樹脂製可とう電線管工業会は、原則としてボックスなしで30mを超えて配管しないよう求めています。曲がりが多いルートや長いルートは、中間にジャンクションボックス(中継ボックス)を設けて区間を切り分けます。1区間あたりの屈曲箇所数の上限は、工業会が参考条文に挙げる内線規程3110-8(管の屈曲)の本文で確認してください。
③ なぜ「6倍」なのか——通線時にケーブルへかかる側圧という物理
曲げ半径6倍以上という基準は、見た目の「割れないための余裕」だけを意味しているわけではありません。通線時にケーブルへかかる側圧(ケーブルが管の内壁に押し付けられる圧力)を管理するための基準でもあります。ケーブルを引っ張って通線するとき、曲がった箇所ではケーブルは管の内壁に押し付けられながら滑っていきます。このとき内壁にかかる圧力は、引張張力を曲げ半径で割った値にほぼ比例して大きくなります。つまり曲げ半径が小さいほど、同じ引張力でもケーブル被覆への圧迫は急激に強くなるということです。呼び22以下の細物PF管で太いCVTケーブルを急な角度で曲げてしまうと、コンクリートの拘束圧でつぶれかけた管壁とケーブル自体の側圧が重なり、通線ワイヤーごと動かなくなる——これが「はつり直し」に至る典型的な発生メカニズムです。
3. PF管とFEP管(地中埋設管)の施工使い分けマトリクス
建物の「内部・構造体内」と「屋外・地中」では、土圧や水分の浸入経路が異なるため、使用する配管材を完全に使い分けます。
| 比較項目 | PF管(合成樹脂製可とう電線管) | FEP管(波付硬質合成樹脂管) |
|---|---|---|
| 主な呼び径展開 | 14, 16, 22, 28, 36, 42, 54 | 30, 40, 50, 65, 80, 100, 125, 150以上 |
| 主な用途 | 建物の壁内、天井裏、スラブ・基礎コンクリート埋設 | 屋外の地中埋設(高圧引込、屋外灯、ハンドホール間接続) |
| 物理的強度 | コンクリート打設圧力に対する耐扁平性(二重管) | 重車両の通過(輪荷重)や土圧による不等沈下に耐える柔軟性と強度 |
| 防水・止水対策 | 適合するカップリング・コネクタによる接続 | 専用の接続継手、ベルマウス・止水コンパウンドによる浸水防止 |
| 適合ケーブル | VVF、IV線、細物CVケーブルなど | 太物の電力幹線ケーブル、光ファイバーケーブル |
4. 地中引き込み部におけるFEP管施工の重要実務
屋外から建物内、あるいはキュービクル(受電設備)の基礎へFEP管を立ち上げてケーブルを引き込む際、浸水や害獣の侵入を防ぐために必須となる施工要領です。
- 地中FEP管
- 基礎立ち上がり部
- ベルマウスの取り付け
- パテ・止水コンパウンド充填
- 引き込みケーブル
① ベルマウスの取り付け
FEP管の管端(ケーブルが飛び出す口)には、必ずラッパ状の樹脂製保護具「ベルマウス」を取り付けます。これがないと、重量のある太物CVTケーブルを引っ張った際に、管の鋭利なエッジで高価なケーブルのビニル被覆(シース)が削れ、将来的な地絡(漏電)事故の引き金になります。
② 止水パテ・難燃粘土の充填
地中の水や湿気、ネズミなどの害獣が管を伝って建物内の盤や受変電設備に侵入するのを防ぐため、ケーブルを通線した後に、ベルマウスの内隙に「止水パテ(不乾性密着パテ)」または「耐火パテ」をギチギチに詰め込んで密閉します。
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