新築店舗の天井裏で、電気工事士が照明用の配線を通した。使ったのはオレンジ色の電線管。工事は無事終わり、天井板も張られた。
ところが数か月後の定期点検で、この配管がやり直しを指摘された。管の種類も、接続方法も、見た目には何も問題がなさそうに見える。実際、同じ形をした電線管の中には、まったく同じ使い方をしても問題ないものもある。
何が違ったのか。このトピックを読み終えるころには、管の種類と使う場所の組合せから、正しいかどうかを判断できるようになっている。
このページの読み方 — 先に押さえる言葉
このページは、配線を収める「管」の種類ごとに、使える場所と守るルールを整理する。次の順で読むと、言葉の抜けがない。
このページに出てくる言葉を、先に1行ずつ定義しておく。
| 言葉 | 一行定義 |
|---|---|
| 金属管 | 鉄でできた電線管の総称。厚鋼電線管・薄鋼電線管(どちらも管端にねじを切って接続する)と、ねじなし電線管(止めネジで接続する)がある |
| VE管 | 硬質ポリ塩化ビニル電線管。灰色の硬い樹脂の管で、受け口に差し込んで接着剤で接続する |
| PF管・CD管 | 合成樹脂製可とう電線管。蛇腹状で曲げられる樹脂の管。PF管は自己消火性があり、CD管(オレンジ色)は自己消火性がない |
| プリカチューブ | 2種金属製可とう電線管。金属の帯を巻いて蛇腹にした、曲げられる金属の管 |
| FEP | 波付硬質合成樹脂管。地面に埋めてケーブルを通す管 |
| 造営材 | 壁・天井・柱・梁など、配線を取り付ける建物側の部材 |
| サドル | 管を造営材に留める、アーチ形の金具 |
| 傍記(ぼうき) | 配線図の線に添えて書く、管や電線の種類と太さの記号(E19・VE16・FEPなど) |
| D種接地工事 | 漏電したときに電気を地面へ逃がす工事。300V以下の機械器具や金属管が対象 |
| 対地電圧 | 電線と大地とのあいだの電圧。単相3線式100/200Vの電線は100V、三相200Vの電線は200V |
| 展開した場所 | 配線が見える所。次の2つの隠ぺい場所のどちらでもない場所 |
| 点検できる隠ぺい場所 | 点検口のある天井裏、戸棚、押入れなど、壊さずに点検できる隠れた所 |
| 点検できない隠ぺい場所 | 天井ふところ、壁の中、コンクリート床の中など、壊さなければ点検できない所 |
| 湿気の多い場所/水気のある場所 | 水蒸気が充満する所・湿度が著しく高い所/水を扱う所、雨露にさらされる所など。この2つ以外が「乾燥した場所」 |
場所の言葉は、電気設備の技術基準の解釈(以下「電技解釈」)の第1条にある定義だ。
第二種電気工事士が扱う一般用電気工作物の低圧屋内配線では、主に次の工事方法が使われる。
- 金属管工事(厚鋼電線管・薄鋼電線管・ねじなし電線管)
- 合成樹脂管工事(硬質ポリ塩化ビニル電線管=VE管、合成樹脂製可とう電線管=PF管・CD管)
- 金属可とう電線管工事(2種金属製可とう電線管=プリカチューブ等)
- ケーブル工事(VVFケーブル等。別トピックで扱う)
| 工事の種類 | 主な管材 | 接地工事 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|---|
| 金属管工事 | 厚鋼・薄鋼・ねじなし電線管 | 原則必要(D種、300V超はC種)。長さによる省略あり(後の表) | 機械的強度が高く露出・隠ぺいとも使用可 |
| 合成樹脂管(硬質) | VE管 | 管は不要(絶縁物)。金属製ボックスに接続するときはボックスにD種 | 屋内外とも使用可。重量物の圧力や著しい機械的衝撃を受けないように施設する(耐衝撃形の管はHIVE) |
| 合成樹脂製可とう電線管 | PF管 | 管は不要。金属製ボックスに接続するときはボックスにD種 | 自己消火性があり、露出配線にも使用できる |
| 合成樹脂製可とう電線管 | CD管(オレンジ色) | 管は不要。金属製ボックスに接続するときはボックスにD種 | 自己消火性がなく、直接コンクリート埋込みか、専用の不燃性・自消性のある難燃性の管・ダクト内に限る |
| 金属可とう電線管 | プリカチューブ(2種) | 原則必要(D種。管の長さ4m以下は省略可) | 2種は特殊場所を除き場所を問わず使える(1種は乾燥した展開した場所・点検できる隠ぺい場所だけ)。振動する機器まわりの配線などに使用 |
冒頭のCD管とPF管は、色以外の外観がよく似ている。だがこの2つには決定的な違いがある。
CD管は自己消火性を持たない。火災が起きたとき、管そのものが燃え広がるリスクがあるということだ。だからこそ電技解釈第158条第3項第七号は、CD管の施設方法を「イ 直接コンクリートに埋め込んで施設する」「ロ 専用の不燃性又は自消性のある難燃性の管又はダクトに収めて施設する」の2つに限っている。周りが燃えないものに囲まれていれば使ってよい、という条件付きの資材で、管をそのままむき出しにした露出配線には使用できない。
これに対してPF管は自己消火性があるため、天井裏の露出配線や二重天井内の配線にも使うことができる。「可とう性のある合成樹脂管」という点では同じ2つの資材が、施工できる場所ではまったく違う扱いになるのは、この性質の違いによる。
また、管を使った工事に共通するルールとして、管(金属管・合成樹脂管・金属可とう電線管)の中では電線を接続してはならない。電線同士の接続は必ずアウトレットボックスやジョイントボックスの中で行い、管との接続部は堅ろうかつ電気的に完全に接続する必要がある。ダクトには、分岐の接続を点検できる条件で中での接続を認めるものがある(別のページで扱う)が、管の中は不可だ。
覚えるルール — 管ごとに「条件 → 結論」で引く
学科試験では、この節の内容がほぼ毎回出ている。令和6年度上期から令和8年度上期までの5回分を確かめると、金属管・合成樹脂管・金属可とう電線管・D種接地の省略条件のいずれかを直接問う設問が、毎回1問以上ある。令和6年度上期の問21と令和7年度下期の問21は、どちらも「湿気の多い場所に1種金属製可とう電線管を使った」を誤りとする、同じ型だった。
以下は電技解釈(令和7年11月20日改正版)の条文を、条件と結論の形に整理した表だ。覚えるのは、右側の「結論」の列にある。
金属管工事(第159条)
| 項目 | 結論(条文) |
|---|---|
| 使える電線 | 絶縁電線。屋外用ビニル絶縁電線(OW)は使えない。より線か、直径3.2mm以下の単線(第1項) |
| 管の中の接続 | 電線を接続しない(接続はボックスの中で行う)(第1項第三号) |
| 管のつなぎ方 | 管相互・管とボックスは、ねじ接続など同等以上の方法で堅ろうに、電気的に完全に接続する。管の端口にはブッシングを付ける(第3項第一号・第二号) |
| 湿気の多い場所・水気のある場所 | 防湿装置を施す(第3項第三号) |
| 接地(使用電圧300V以下) | D種接地工事。省略できる条件は、次の「D種接地の省略」で判定する(第3項第四号) |
| 接地(使用電圧300V超) | C種接地工事。ただし接触防護措置を施せばD種でよい(第3項第五号) |
| 支持点間の距離 | 条文に規定なし(国交省の公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版は2m以下)(前の節を参照) |
| 管の太さと電線の本数、屈曲の回数 | 条文に数値なし。分岐回路の配管1区間(ボックスとボックスの間)の屈曲は4箇所以下・合計270度以下(国交省の公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版による数字)。太さと本数は内線規程の表で決まるが、原文は確認できていないため数値は載せない(次の「管の太さ・屈曲・曲げ半径」の節を参照) |
合成樹脂管工事(第158条)
| 項目 | 結論(条文) |
|---|---|
| 使える電線 | 絶縁電線。屋外用ビニル絶縁電線(OW)は使えない。より線か、直径3.2mm以下の単線(第1項) |
| 管の中の接続 | 電線を接続しない(第1項第三号) |
| 差込み接続 | 管の差込み深さは外径の1.2倍以上(接着剤を使う場合は0.8倍以上)。差し込んで堅ろうに接続する(第3項第二号) |
| 支持点間の距離 | 1.5m以下。支持点は管端、管とボックスの接続点、管相互の接続点のそれぞれの近くに置く(第3項第三号) |
| 湿気の多い場所・水気のある場所 | 防湿装置を施す(第3項第四号) |
| 金属製ボックスに接続するとき | ボックスにD種接地工事(300V超はC種。接触防護措置を施せばD種でよい)。省略できるのは、乾燥した場所に施設する場合、または対地電圧150V以下(直流は300V以下)で簡易接触防護措置を施す場合(第3項第五号) |
| CD管 | 直接コンクリートに埋め込むか、専用の不燃性・自消性のある難燃性の管・ダクトに収める。むき出しの露出配線は不可(第3項第七号) |
| PF管・CD管の接続 | 可とう管相互、CD管相互、可とう管とCD管は直接つながず、適合するカップリングを介して接続する(第3項第八号) |
| 重量物・衝撃 | 重量物の圧力や著しい機械的衝撃を受けるおそれがないように施設する(耐衝撃形の管はHIVE)(第3項第一号) |
金属可とう電線管工事(第160条)— 1種と2種の使い分け
| 種別 | 使える場所 |
|---|---|
| 2種金属製可とう電線管(プリカチューブ) | 使える場所:場所を問わず(可燃性ガスや粉じんのある特殊場所を除く) 湿気の多い場所・水気のある場所:使える(防湿装置を施す) |
| 1種金属製可とう電線管 | 使える場所:展開した場所、または点検できる隠ぺい場所の乾燥した場所だけ 湿気の多い場所・水気のある場所・点検できない隠ぺい場所(天井ふところ・壁の中):使えない |
- 原則は2種。1種を使えるのは、上の場所で、管の厚さ0.8mm以上のとき。使用電圧が300Vを超える場合は、電動機に接続する部分の、可とう性が要る部分に限る(第2項第二号)
- 管の中は接続しない。電線は絶縁電線で、屋外用ビニル絶縁電線(OW)は使えない(第1項)
- 接地は、使用電圧300V以下ならD種。管の長さ4m以下なら省略できる(第3項第六号)。300V超はC種(接触防護措置を施せばD種)
- 1種には、直径1.6mm以上の裸軟銅線を全長に添え、両端で管と電気的に接続する。管の長さ4m以下なら不要(第3項第五号)
「1種は乾燥した展開した場所・点検できる隠ぺい場所だけ、2種はどこでも」と覚える。1種と2種を入れ替えた選択肢が、5回のうち2回の問21に出ている。
D種接地の省略 — 対地電圧を先に読み、物差しを決める
金属管のD種接地工事は、省略の条件が2段構えになっている。長さを見る前に対地電圧を読み、4mだけを使うのか、8mも使えるのかを決める。
| 条件 | D種接地の省略 |
|---|---|
| 三相200Vの動力(対地電圧200V)、長さ3m、乾燥した場所 | できる(4m以下+乾燥) |
| 三相200Vの動力(対地電圧200V)、長さ6m、乾燥した場所 | できない(物差しは4mだけ) |
| 単相3線式の100V回路(対地電圧100V)、長さ7m、乾燥した場所 | できる(8m以下+乾燥) |
| 単相3線式の100V回路(対地電圧100V)、長さ7m、湿気の多い場所で、簡易接触防護措置なし | できない(どちらも満たさない) |
| 単相3線式の100V回路(対地電圧100V)、長さ7m、湿気の多い場所で、簡易接触防護措置あり | できる(8m以下+簡易接触防護措置) |
| 単相3線式の100V回路(対地電圧100V)、長さ9m、乾燥した場所 | できない(8mを超える) |
金属可とう電線管には、8mの物差しがない。長さ4m以下だけが省略の条件だ。「金属管と同じ」と思い込むと外す。
2本以上の管をつないで使うときは、全長で長さを数える(第159条第3項第四号イ)。簡易接触防護措置とは、屋内なら床上1.8m以上の、人が通る場所から容易に触れない範囲に施設するか、さくを設ける・金属管に収めるなどの防護措置を施すことだ(電技解釈第1条)。
往きだけを通した金属管は、電気ストーブになる
金属管ならではの大原則が、もうひとつある。交流回路の電線を金属管に収めるときは、往きと帰り——1回路の電線全部——を必ず同じ管の中に収める、というルールだ。単相2線式なら2本とも、単相3線式・三相3線式なら3本とも。電線を金属製の箱や鉄板に貫通させるときも同じで、1回路の電線は同じ穴にまとめて通す。
なぜ分けてはいけないのか。交流の電流は、まわりに向きが入れ替わり続ける磁界を作る。変圧器で見たとおり、変化する磁界の中に置かれた鉄には、電磁誘導で電流が湧く。鉄の管に往きの1本だけを通すと、管そのものが鉄心のようにふるまい、内部に渦電流が流れてジュール熱を出す。IHクッキングヒーターが鍋底を発熱させるのと同じ現象が、天井裏の配管で起きるということだ。管が熱を持ち、うなり音を出し、放っておけば中の電線の被覆を傷める。
往きと帰りが同じ管にいれば、2本の電流は大きさが同じで向きが逆だから、作る磁界は互いに打ち消し合ってほぼ消える。この状態を電磁的平衡と呼び、崩れた状態が「電磁的不平衡」だ。学科試験では、複数の金属管に電線をどう振り分けるかを図で示して「電磁的不平衡を生じない入れ方はどれか」と問う形が定番で、判定はいたって単純——1本しか通っていない金属管が図の中にあれば、その時点で誤りである。
なお、VE管やPF管のような樹脂の管は磁性体ではないので、この発熱は起きない。接地が要るのも、往復同管が効いてくるのも金属管だから。管の材料が、施工ルールを2つとも決めている。
その「25」は外側の寸法 — 管の呼び方は2系統ある
薄鋼電線管の「C25」とねじなし電線管の「E25」。この25は、管の外径(約25.4mm)にほぼ等しい数字だ。ところが硬質ポリ塩化ビニル電線管の「VE22」やPF管の「PF16」の数字は、管の内径にほぼ等しい。同じような2桁の数字なのに、測っている場所が外側と内側で違う。
| 管の種類 | 呼びの基準 | 数字の並び |
|---|---|---|
| 薄鋼電線管(C) | 外径に近い値 | 奇数系(C19・C25・C31・C39…) |
| ねじなし電線管(E) | 外径に近い値 | 薄鋼と同じ並び(E19・E25・E31…) |
| 厚鋼電線管(G) | 内径に近い値 | 偶数系(G16・G22・G28・G36…) |
| VE管・PF管・CD管 | 内径に近い値 | VE14・VE16・VE22/PF14・PF16・PF22… |
樹脂管の呼びが内径なのは、この管の存在理由が「中に電線を何本通せるか」だからだ。通線能力を、内径の数字がそのまま表す。一方、鋼製電線管の呼びはねじや継手の寸法体系とともに歴史的に決まってきたもので、薄鋼・ねじなしは外径、厚鋼だけは内径の基準になっている。整理するなら「薄鋼・ねじなし=外径・奇数系、厚鋼と樹脂系=内径」。学科試験では「呼び方が内径に近い値で示される管はどれか」という形で出るし、実務でも電線管サイズの計算で通線本数を検討するとき、この基準を取り違えると結論が変わってしまう。
管の太さ・屈曲・曲げ半径 — 数字は法令ではなく仕様書にある
金属管工事の問題には、管の太さと電線の本数、屈曲の回数、曲げ半径が出てくる。ところが、第159条の条文にはこれらの数値がない。確認できた範囲を、出どころ別に分けて並べる。
| 項目 | わかったこと | 出どころ |
|---|---|---|
| 分岐回路の配管1区間(ボックスとボックスの間)の屈曲箇所 | 4箇所以下。曲げ角度の合計は270度以下(直角なら3箇所まで) | 国交省 公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版 第2編 2.2.3(4) |
| 曲げ半径(内側) | 管内径の6倍以上。1箇所の曲げ角度は90度以下。25mm以下の管で工事上やむを得ない場合は、管内断面が著しく変形せずひび割れのおそれがない程度まで小さくできる | 同 2.2.3(5) |
| 支持の間隔 | 2m以下。管とボックス等との接続点と管端に近い箇所も固定する | 同 2.2.3(6) |
| 管の太さと電線の本数 | 電線の断面積の合計が管の内断面積に対して一定の割合以下になるように、内線規程などの表で選ぶ(この割合を占積率という)。具体の%は、原文を確認できていないため載せない | 内線規程の表(原文は未確認) |
| 屈曲が多い・長い配管 | 途中にプルボックスを設けて、通線しやすくする | 過去問の解説(令和6年度下期ほか)。数値は未確認 |
仕様書の数字は、公共建築工事で発注者が求める施工の基準で、法令ではない。「1区間」は、ボックスとボックスの間の配管をいう(過去問は「ボックス間の配管」と書く)。試験問題の正誤の判断も、この数字に沿っている。「屈曲を5箇所設けた」「内側の曲げ半径を管内径の5倍にした」と書かれていれば、その選択肢は誤りと読める。
「4箇所以下」と「270度以下」は、1つの基準の2つの見方だ。直角(90度)の曲げは3箇所までで270度になり、4箇所目は入れられない。45度のような浅い曲げを混ぜれば、4箇所まで増やせる。
過去5回の金属管の問題は、消去法で解ける
令和6年度上期から令和8年度上期までの5回分で、金属管工事の施工方法そのものを問う問題は3回あった(令和6年度下期、令和7年度上期、令和8年度上期)。どれも、太さと本数の表を覚えていなくても答えが出る組立てだった。
| 出題の型 | 誤りの選択肢の決め手 |
|---|---|
| 薄鋼電線管どうしの接続に、種類の違う管をつなぐ部品(コンビネーションカップリング)を使った | 同じ種類の管どうしは、その管用のカップリングを使う。コンビネーションカップリングは、金属管と可とう電線管のように種類の違う管をつなぐ部品 |
| 内側の曲げ半径を、管内径の5倍にした | 6倍以上が必要 |
| 電線に屋外用ビニル絶縁電線(OW)を使った | 金属管工事に使えない |
| 長さ6mの金属管の接地を、乾燥した場所だからと省略した | 三相200V(対地電圧200V)なら、省略できるのは4m以下だけ |
太さと本数を述べた選択肢(細い管に太い電線を3本入れた、など)は、いずれも「適切」の側に置かれていた。そこで、まず部品の使い方、次にOW線・曲げ半径・接地の省略条件と、このページで確かめた判断基準から順に当てはめて、誤りを1つ見つければよい。太さと本数の表を引かなくても、過去5回はすべて解けた。ただし、将来の出題が同じ形とは限らない。
サドルを何m間隔で打つか — 1.5mと2mと、書かれていない数字
管を選んだら、次は建物に留める作業になる。ここでも管の材料が数字を決めている。
合成樹脂管工事の条文——第158条第3項第三号——はこう書いている。
管の支持点間の距離は1.5m以下とし、かつ、その支持点は、管端、管とボックスとの接続点及び管相互の接続点のそれぞれの近くの箇所に設けること。
1.5m以下。ケーブル工事の2m以下(第164条第1項第三号)とは別の数字だ。しかもこの条文は、間隔だけでなく支持点をどこに置くかまで指定している。管端、ボックスとの接続点、管相互の接続点——要するに継ぎ目のそばだ。
理由は、次のように考えると覚えやすい(条文が理由を述べているわけではない)。樹脂の管は、受け口に差し込んで接着剤で固めてあるだけだ。継ぎ目に曲げや引っ張りの力がかかり続ければ、いずれ抜けるか割れかねない。継ぎ目の近くを押さえておけば、力は支持点が受け止め、接着面には届きにくい。1.5mという間隔と「継ぎ目の近くに置く」という指定は、1つの目的を2つの角度から書いたもの、と見ると整理しやすい。
では金属管は何mか。条文を素直に探すと——見つからない。第159条は金属管工事そのものの条文で、管の厚さ(コンクリートに埋め込むものは1.2mm以上ほか)、端口のブッシング、D種接地の省略条件まで細かく定めているのに、支持点間の距離だけが書かれていない。第160条の金属可とう電線管工事も同じだ。現場で言われる「金属管は2m以下」という数字は、法令ではない。国土交通省の公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版の金属管配線の節(2.2.3(6))に「管の支持は、サドル、ハンガ等を使用し、その取付間隔は2m以下とする。また、管とボックス等との接続点及び管端に近い箇所を固定する」とあり。このページでは「公共工事の仕様書の数字」として扱う(内線規程の原文は確認できていない)。
| 工事の種類 | 支持点間の距離 | 出どころ |
|---|---|---|
| 合成樹脂管工事 | 1.5m以下(支持点は管端・管とボックスとの接続点・管相互の接続点の近く) | 電技解釈 第158条第3項第三号 |
| ケーブル工事 | 2m以下(接触防護措置を施した場所で垂直に取り付ける場合は6m以下、キャブタイヤケーブルは1m以下) | 電技解釈 第164条第1項第三号 |
| 金属管工事 | 解釈に規定なし(国交省の公共建築工事標準仕様書は2m以下) | 公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版 2.2.3(6) |
| 金属可とう電線管工事 | 解釈に規定なし | — |
覚え方は「1.5は樹脂、2はケーブル」と、数字を工事名とセットで持つこと。そのうえで「金属管の2mは法令の数字ではない」と一段落として置いておくと、条文の正誤を問う設問でも、サドルの数を数える材料拾いでも足を取られない。
図面の線が地面に潜ったら、管の名前が変わる
ここまでの管は、どれも建物の中か、壁の表面を走っていた。ところが配線図をたどると、引込柱の足元や屋外の分電盤から、線がそのまま地面の下へ潜っていくことがある。駐車場の外灯、離れた倉庫、集合住宅の共用部。架空で渡せない距離を、地面をくぐって運ぶ区間だ。
そこに現れる傍記が(FEP)である。波付硬質合成樹脂管——製造者によっては波付硬質ポリエチレン管とも呼ぶ——の記号で、カタログでの分類はそのまま「地中埋設管」。適合規格はJIS C 3653「電力用ケーブルの地中埋設の施工方法」で、VE管・PF管・CD管が屋内配線用の電線管であるのに対し、FEPは地中にケーブルを通すための管路材という、別系統の資材になっている。
外観はひと目で違う。表面が波打っていて、太い。この波が2つの仕事を同時にしている。1つは可とう性で、手で曲げられるから掘った溝のカーブにそのまま沿わせられる。もう1つは潰れにくさだ。上に土が載り、車が通る場所に埋める管には、条文が性能を要求している。
電線を収める管は、これに加わる車両その他の重量物の圧力に耐えるものであること。 ——電気設備の技術基準の解釈 第120条第2項第一号(管路式)
長さの単位も屋内の管とは桁が違う。未来工業のカタログでは、呼び30の製品が1把30mまたは50m巻。掘った溝に転がして延ばせば、継手を作らずに数十m先まで届く。継ぎ目が少ないほど、水が入る口も減る。
呼び方は樹脂系の仲間らしく内径基準だ。同じ寸法表で、呼び30の管内径は30mm、外径は41mm。呼び50なら内径50mm、外径66mm。VE管・PF管と同じ読み方がそのまま通じる。
| 管 | 主な居場所 | 呼びの基準 | 拠りどころ |
|---|---|---|---|
| VE管・PF管・CD管 | 屋内配線(露出・隠ぺい・コンクリート埋込) | 内径に近い値 | 合成樹脂管工事の管として条文が指定する、電気用品安全法の適用を受ける合成樹脂製の電線管(電技解釈 第158条第2項第一号) |
| FEP | 地中埋設(管路式の地中電線路) | 内径に近い値 | 製造者のカタログが示す適合規格:JIS C 3653 電力用ケーブルの地中埋設の施工方法 |
天井裏や壁の中の配管としてFEPが出てこないのは、用途の違いによる。屋内配線の合成樹脂管工事に使える管は、条文が「電気用品安全法の適用を受ける合成樹脂製の電線管」と指定している(第158条第2項第一号)。FEPがこの電線管に当たるのかどうかは、このページの資料では確認できていない。確かめられているのは、製造者のカタログがFEPを地中埋設用のケーブル保護管として扱い、JIS C 3653に適合するとしている点までだ。図面でFEPの3文字を見つけたら、そこは地面の下だと読んで差し支えない。
そして、その管の中を通るのはケーブルである。第120条第1項が「地中電線路は、電線にケーブルを使用し、かつ、管路式、暗きょ式又は直接埋設式により施設すること」と定めているので、管に収めたからといってIVのような絶縁電線を通すことはできない。中身の選び方は電線・ケーブルの種類と使い分けへ、コンクリート埋設の樹脂管とFEPの実務上の使い分けはコンクリート埋設PF管とFEP管の施工要領にまとめてある。
配線図の傍記の読み方 — 略号と数字
ここからは、FEPに限らず、配線図の傍記全般の読み方をまとめる(配線図の読み方そのものは別科目で扱う)。
数字だけの傍記は、薄鋼電線管
傍記にアルファベットが付かず、数字だけが書かれていることがある。(19) (25) のような形だ。
これは薄鋼電線管を表す。
理由は、JIS C 0303:2000 が管の種類を示す記号を表2にまとめており、そこに薄鋼電線管の記号が無いからだ。 E・PF・CD・F2・VE のように表2に記号を持つ管は必ずその記号を冠して書き、記号を持たない薄鋼電線管だけが 呼び径の数字のみになる。VE管は「VE16」とVEを冠するので、数字だけの傍記がVE管を指すことはない。
呼び径の基準は、前の節の表のとおり管によって違う。E19は外径19mm、VE16は内径16mmを指す。同じ「19」でも意味が違うので、「線種と施工方法の組合せ」を問う問題では、傍記の記号と管の名前が一致しているかをまず確かめ、記号が無ければ薄鋼電線管だと読む。
配線図の傍記は、管の種類の略号で書かれる
配線図では、どの管を使うかが線に添えた略号で示される。呼び径の数字とセットで書かれる。
| 傍記 | 管の種類 |
|---|---|
| E | ねじなし電線管(E19、E25…) |
| (記号なし・数字のみ) | 薄鋼電線管(19、25…。材料表では「C19」のようにCを付けて呼ぶが、図面の傍記に記号は付かない) |
| F2 | 2種金属製可とう電線管(プリカチューブ) |
| PF | 合成樹脂製可とう電線管(PF管) |
| CD | 合成樹脂製可とう電線管(CD管。オレンジ色。コンクリート直接埋込みか、専用の不燃性・自消性ダクト内に限る) |
| VE | 硬質塩化ビニル電線管 |
| HIVE | 耐衝撃性硬質塩化ビニル電線管 |
| FEP | 波付硬質合成樹脂管(地中埋設用) |
JIS C 0303:2000の傍記の記号表に、厚鋼電線管のG(G16など)は載っていない。Gは材料表での呼び方として使われる記号だ。
F2 は見落とされやすい。「金属可とう電線管」と言葉では覚えていても、 図面上の傍記が F2 だと結びつかない人が多い。F2は2種金属製可とう電線管(プリカチューブ)のことだ。 2種はどの場所でも使える。1種は展開した場所・点検できる隠ぺい場所の乾燥した場所だけ、と前の表のとおり場所が限られる。
覚え方は、アルファベットが管の材質・構造を、数字が呼び径を表すと分けること。 E19なら「ねじなし電線管の19」。F2だけは数字が種別(2種)を表すので、 そこだけ例外だと押さえておく。
街を歩くと、外壁の配管が読めるようになる
この使い分けを覚えると、身のまわりの建物の見え方が変わる。工場の外壁や立体駐車場の柱に走っている管を見上げて、金属の光沢とねじ山があれば金属管、灰色の硬い管ならVE管、クリーム色の蛇腹ならPF管と分かる。同時に、施工者が何を優先したのか——屋外か屋内か、露出か隠ぺいか、曲げが要るか、ぶつけられる場所か——まで読める。今日の帰り道、通り沿いの建物の壁を一度見上げてみるといい。
この読み方がそのまま仕事になるのが、後付けの工事だ。太陽光パネルやEV充電器のように、建物ができたあとから屋外へ配線を通す仕事では、壁を伝う露出配管が避けられない。そこでCD管を選べないことも、屋外の日射と雨に耐える管を選ぶことも、このトピックの延長線上にある。資材が色と形で厳密に分けられているのは暗記させるためではなく、天井裏で振り返った職人が一目で誤りに気づけるようにするためだ。選定の詳細は電線管・配線ダクトの種類と選び方にまとめてある。
冒頭の店舗でなぜやり直しになったのか、答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。