リレーとは——「電気で電気のスイッチを押す」装置
壁のスイッチは指で押します。では、機械が自分でスイッチを押したいときはどうするか——そのために生まれたのがリレーです。
仕組みは驚くほど単純です。
- コイル(電磁石)に小さな電流を流す
- 電磁石が鉄片を引き寄せる
- 鉄片につながった接点がカチッと閉じ(開き)、別の回路が入る(切れる)
つまり「小さな電気で、別の大きな電気の入切を操作する」装置。PLCの出力信号(小さな電気)でモータの電磁接触器(大きな電気)を操作する、センサーの検出信号でランプとブザーを同時に鳴らす——制御盤の中の連携プレーは、ほぼすべてリレーの仕事です。
a接点・b接点・c接点——リレーの言葉を覚える
リレーの接点には3種類あり、回路図はこの記号だらけです。ここさえ覚えれば図面が読み始められます。
| 記号 | 名前 | 普段(コイルOFF) | 動作時(コイルON) | 使いどころ |
|---|---|---|---|---|
| a接点 | メーク接点 | 開いている | 閉じる | 「動作したらONにしたい」基本形 |
| b接点 | ブレーク接点 | 閉じている | 開く | 非常停止・安全系(断線でも安全側へ) |
| c接点 | 切替接点 | b側に接触 | a側に切替 | 1つで両方できる万能型 |
型番の「MY2」「MY4」の数字はc接点の組数です。MY2=2回路、MY4=4回路を同時に切り替えられます。
有名な「自己保持回路」——リレーが主役の代表作
押しボタンを離しても機械が動き続けるのはなぜか。answer: リレーが自分で自分のコイルに電気を送り続けるからです。
- 起動ボタン(a接点)を押す → リレーのコイルON
- リレーの接点が閉じ、その接点経由でもコイルに電気が流れる
- ボタンを離してもリレーは自分の接点で通電を保持(=自己保持)
- 停止ボタン(b接点)を押すと保持が切れて停止
この「記憶する」働きこそ、リレーが単なるスイッチでなく制御の部品と呼ばれる理由です。世のあらゆる「起動・停止ボタン」の裏で、この回路が動いています。
一段深い理解——コイルを切った瞬間に何が起きているか
リレーのコイルは、単なる電磁石ではなく「コイル(インダクタ)」でもあります。ここに、初心者が見落としがちな落とし穴が潜んでいます。
コイルに電流を流している状態から急にOFFにすると、コイルは「今まで流れていた電流を流し続けようとする」性質(自己誘導)によって、瞬間的にかなり高い電圧(逆起電圧)を発生させます。これがいわゆるコイルサージです。
問題は、このコイルをPLCのトランジスタ出力で直接駆動しているケースです。機械的な接点であれば多少の火花で済みますが、半導体であるトランジスタは逆起電圧に非常に弱く、対策なしで駆動すると出力素子が破壊されたり、装置が誤動作したりする原因になります(出典:オムロン電子部品サイト「リレーのコイルサージ対策について」)。
現場でこれを防ぐ方法は主に2つです。
- コイルにフライホイールダイオードを外付けする:コイルと並列に整流用ダイオードを逆方向に接続し、OFF時の逆起電流をダイオード経由で還流させて吸収する
- ダイオード内蔵タイプのリレーを選ぶ:型番にサージ吸収ダイオードが内蔵されたシリーズを選定すれば、外付け配線が不要になる
ただし②を選ぶ場合は要注意です。ダイオード内蔵タイプはコイルの極性(+/-)が決まっており、逆接続するとダイオードが破損してショートモードとなり、リレー自体が動作不能になります。「配線が楽だから」と内蔵タイプを安易に選ぶのではなく、コイル駆動源がトランジスタ出力かどうか、極性表示に従って配線できるかを確認したうえで選定するのが実務上のポイントです。逆に、PLCのリレー出力やスイッチで直接駆動する場合は、必ずしもサージ対策が必須ではありません(負荷側の要求に応じて判断します)。
【選定マップ】リレーを最短で決める
graph TD
Start([リレーを選びたい]) --> Q1{何を入切する?}
Q1 -->|信号・小負荷<br>PLC入出力・表示灯| MY[小形リレー<br>MY・G2R等]
Q1 -->|やや大きい負荷<br>ソレノイド・小型モータ| LY[パワーリレー<br>LY等]
Q1 -->|高頻度開閉・ヒータ| SSR[SSR<br>ソリッドステートリレー]
Q1 -->|三相モータ本体| MC[電磁接触器へ<br>リレーの守備範囲外]
MY --> Q2{接点はいくつ必要?}
Q2 -->|2回路| MY2[MY2+ソケット]
Q2 -->|4回路| MY4[MY4+ソケット]
MY2 --> Q3{コイル電圧は?}
MY4 --> Q3
Q3 -->|盤内標準| DC24[DC24V]
Q3 -->|AC制御回路| AC[AC100V/AC200V]
classDef main fill:#fef3c7,stroke:#b45309,stroke-width:2px,color:#78350f
classDef alt fill:#dbeafe,stroke:#1d4ed8,stroke-width:2px,color:#1e3a8a
classDef branch fill:#f8fafc,stroke:#94a3b8,color:#334155
class MY,MY2,MY4,DC24,AC main
class LY,SSR,MC alt
class Q1,Q2,Q3 branch
三相モータそのものの入切は電磁接触器(富士電機ガイド参照)の仕事です。リレーはその接触器のコイルを操作する側に回ります。
選定チェックリスト——この5つで型番が決まる
- 接点数: 同時に切り替えたい回路数(MY2/MY4)
- コイル電圧: 制御回路に合わせる。盤内はDC24Vが主流(指定漏れが最多の発注ミス)
- 接点容量: 入切する負荷の電圧・電流が接点定格に収まるか
- ソケット: 抜き差し交換のため原則セットで。接点数に対応した型番を選ぶ
- 表示・オプション: 動作表示灯付き(動いているか一目でわかる)が保守現場では人気
どう注文するか——失敗しない発注のしかた
例: 「MY2 DC24V を 20個、対応ソケットを 20個」
「(既設の写真から)このリレーと同じものを10個」
- 「リレー+コイル電圧+ソケット」の3点セットで伝えれば間違いがありません
- ソケット買い忘れは定番ミス。逆に交換用ならリレー本体のみでOK(ソケットは盤に残っています)
- 型番がわかれば型番検索から見積リストへ追加できます
リレーの購入・見積りについて
電設資材専門商社・松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)でお見積り・ご購入いただけます。オムロン・IDEC等の各社リレーを取り扱っています。
- Web: 見積フォーム(24時間受付)
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