リレーとは——「電気で電気のスイッチを押す」装置
壁のスイッチは指で押します。では、機械が自分でスイッチを押したいときはどうするか——そのために使われるのがリレーです。オムロンの技術解説では、リレーは「コイルに与えられる入力信号(電圧、電流)によりスイッチ(接点機構)の開閉を行うもの」と定義されています。
仕組みは単純です。
- コイル(電磁石)に電流を流す
- 電磁石が鉄片を引き寄せる
- 鉄片につながった接点が閉じ(開き)、別の回路が入る(切れる)
- コイルの電流を切ると、復帰ばねの力で鉄片と接点が元に戻る
つまり「小さな電気で、別の回路の入切を操作する」装置。PLCの出力信号で電磁接触器のコイルを操作する、センサーの検出信号でランプとブザーを同時に鳴らす——制御盤の中の信号の中継・組み合わせの多くをリレーが担います。
a接点・b接点・c接点——リレーの言葉を覚える
リレーの接点には3種類あり、回路図はこの記号だらけです。ここさえ覚えれば図面が読み始められます。
| 記号 | 名前 | 普段(コイルOFF) | 動作時(コイルON) | 使いどころ |
|---|---|---|---|---|
| a接点 | メーク接点(常時開路) | 開いている | 閉じる | 「動作したらONにしたい」基本形 |
| b接点 | ブレーク接点(常時閉路) | 閉じている | 開く | 非常停止・安全系(押されたとき・断線したときに回路が開く) |
| c接点 | トランスファ(切替)接点 | b側に接触 | a側に切替 | 1つで両方できる切替型 |
オムロンの小形リレー「MY」シリーズの型番の数字は極数(c接点の数)です。形MY2=2極(2c)、形MY4=4極(4c)で、それぞれ2回路・4回路を同時に切り替えられます。極数が増えると1接点あたりの定格は小さくなり、抵抗負荷の定格負荷はMY2(シングル接点)がAC220V 5A、MY4(シングル接点)がAC220V 3Aです(オムロン MY 定格/性能)。
有名な「自己保持回路」——リレー回路の基本形
押しボタンを離しても機械が動き続けるのはなぜか。リレーが自分の接点を通して自分のコイルに電気を送り続けるからです。
- 起動ボタン(a接点)を押す → リレーのコイルON
- リレーのa接点が閉じ、その接点経由でもコイルに電気が流れる
- ボタンを離してもリレーは自分の接点で通電を保持(=自己保持)
- 停止ボタン(b接点)を押すと保持が切れて停止
この「記憶する」働きが、リレーが単なるスイッチでなく制御の部品と呼ばれる理由です。起動・停止の押しボタン回路は、この形が基本になります。回路の組み方はリレーシーケンス回路の基礎で解説しています。
一段深い理解——コイルを切った瞬間に何が起きているか
リレーのコイルは、単なる電磁石ではなく「コイル(インダクタ)」でもあります。ここに、初心者が見落としがちな落とし穴が潜んでいます。
コイルに電流を流している状態から急にOFFにすると、コイルは「今まで流れていた電流を流し続けようとする」性質(自己誘導)によって、瞬間的に高い電圧(逆起電圧)を発生させます。これがいわゆるコイルサージです。
問題は、このコイルをPLCのトランジスタ出力などの半導体で駆動しているケースです。オムロンの注意事項では、コイルオフ時の逆起電圧は「半導体素子の破壊や装置の誤動作の原因」になるとして、コイル両端へのサージ吸収回路の付加か、サージ吸収回路を内蔵した機種の選定を求めています(出典:オムロン「リレー 共通の注意事項」2-2-5)。
現場でこれを防ぐ方法は主に2つです。
- コイルにサージ吸収素子を外付けする:DCコイルはコイルと並列にダイオードを逆方向に接続し、OFF時の逆起電流を還流させて吸収する方式が一般的。ACコイルはバリスタやCR素子を付ける(出典:リレーのコイルサージ対策について)
- サージ吸収回路内蔵タイプのリレーを選ぶ:MYシリーズにはコイルサージ吸収用ダイオード内蔵形(形MY2-D等、DCコイルのみ)とCR回路内蔵形(形MY2-CR等、ACコイルのみ)がある
どちらの方法でも、サージ吸収回路を付けるとリレーの復帰時間が長くなるため、実使用回路での確認が必要です。
また②のダイオード内蔵タイプはコイルの極性(+/-)が決まっており、極性を逆に接続すると、リレーの動作不良やダイオードの破壊の原因になり、回路短絡によって回路内の機器を破損するおそれもあります(出典:オムロン「リレー 共通の注意事項」2-2-12)。「配線が楽だから」と内蔵タイプを選ぶのではなく、コイル駆動源がトランジスタ出力かどうか、極性表示に従って配線できるかを確認したうえで選定するのが実務上のポイントです。PLCのリレー出力やスイッチ(有接点)で駆動する場合のサージ対策の要否は、駆動側機器のマニュアルの指定に従います。
【選定マップ】リレーを最短で決める
| 入切したいもの | 選ぶ機器 |
|---|---|
| 信号・小負荷(PLC入出力・表示灯) | ミニパワーリレー(MY・G2R-S等) |
| やや大きい負荷(ソレノイド・小型モータ) | パワー開閉向けの汎用リレー(LY等。LY2は抵抗負荷AC110V 10A) |
| 高頻度開閉(数秒間隔でON/OFFするヒータ等) | SSR(ソリッドステートリレー) |
| 三相モータ本体 | 電磁接触器へ(リレーの守備範囲外) |
ミニパワーリレー(MY)を選ぶ場合は、接点数(2回路ならMY2+ソケット、4回路ならMY4+ソケット)とコイル電圧(制御回路の電圧に合わせる。MYにはDC24V、AC100/110V、AC200/220Vなどの定格がある)もあわせて決めます。
三相モータそのものの入切は電磁接触器(富士電機ガイド参照)の仕事です。リレーはその接触器のコイルを操作する側に回ります。
選定チェックリスト——この5つで型番が決まる
- 接点数: 同時に切り替えたい回路数(MY2/MY4)
- コイル電圧: 制御回路の電圧に合わせる。同じMY2でもコイル電圧違いの品があるため、型番と一緒に必ず指定する
- 接点容量: 入切する負荷の電圧・電流が接点定格に収まるか(誘導負荷は抵抗負荷より定格が小さい。MY2シングル接点の誘導負荷はAC220V 2A)
- ソケット: 抜き差し交換のため原則セットで。接点数に対応した型番を選び、ソケットの定格通電電流も超えないようにする
- 表示・オプション: 動作表示灯付き(MYでは形MY2Nのように末尾に「N」)なら動作状態を目視で確認できる。トランジスタ駆動ならダイオード内蔵形(-D)も候補
どう注文するか——失敗しない発注のしかた
例:「MY2N DC24V を 20個、対応ソケットを 20個」
- 「リレー+コイル電圧+ソケット」の3点セットで伝えれば間違いがありません
- 新設時はソケットの買い忘れに注意。交換用ならリレー本体のみでOK(ソケットは盤に残っています)
- 型番がわかれば型番検索から見積リストへ追加できます
リレーの購入・見積りについて
電設資材専門商社・松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)の見積フォームから、リレーのお見積りをご依頼いただけます。
- Web: 見積フォーム(24時間受付)
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- KIV・IV・HIV電線完全ガイド(リレーまわりの配線)
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