候補問題No.7の練習で、長い廊下を想定した3箇所点滅の回路を組んだ。4路スイッチを一方に倒すと、両端の3路スイッチはどちらを操作しても照明がきちんと点いたり消えたりする。ところが4路スイッチをもう一方に倒したとたん、両端の3路をどれだけ操作しても照明が点かなくなる。
4路スイッチの端子には4本の電線がすべて奥まで入っていて、引っ張っても抜けない。器具が壊れているようにも見えない。それなのに、なぜ4路を倒す向きによって、両端のスイッチが効かなくなるのか。
見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、原因を言い当てられるようになっている。
配線図に何が描かれているか
令和8年度の公表資料でNo.7の配線図に示されているのは、次の要素だ。
- 電源 1φ2W 100V と、そこから引き込む VVF 2.0-2C
- ランプレセプタクル(公表資料の注記に「Rは,ランプレセプタクルを示す」とある)
- 「施工省略」の表示
- 点滅器3個。左から傍記「3」「4」「3」で、いずれも「イ」
つまり両端が3路、中間が4路という、3箇所点滅の教科書どおりの並びだ。電線の種類が書かれていない部分はすべて VVF1.6 として扱う。
複線図を起こす順序
No.6の3路2個に、中間の4路が1個割り込む形になる。線を引く順序は次のとおりだ。
- 接地側(白)を電源から負荷へ直行させる。 点滅器は経由しない。
- 非接地側(黒)を、電源側の3路スイッチのコモン端子へ。
- 電源側の3路の残り2端子から、4路スイッチの一方の端子の組へ渡り線2本。
- 4路スイッチのもう一方の端子の組から、負荷側の3路の残り2端子へ渡り線2本。
- 負荷側の3路のコモンから、負荷(ランプレセプタクル)へ。
渡り線が合計4本になる。No.6では2本だったので、ジョイントボックス内の接続本数も一気に増える。複線図を描いた時点で「この接続箇所は何本か」を書き込んでおくと、リングスリーブのサイズ選択で手が止まらない。
この問題特有の難所
難所1:4路スイッチの端子の組み分け。 4路スイッチの端子には器具ごとに表示があり、どの2つが同じ組かはその表示で判断する。試験本番で初めて実物を見る状態にしないこと。
難所2:渡り線4本による接続本数の増加。 ジョイントボックス内で、電線の径と本数の組み合わせが No.6 より複雑になる。公表資料にはJIS C 2806に基づくリングスリーブと電線の組合せ表が載っており、たとえば1.6mm2本なら刻印「○」、1.6mm3〜4本なら「小」というように、スリーブのサイズと圧着マークの両方が決まる。複線図に本数を書き込んでおけば、圧着の段階で考え込まずに済む。
難所3:ランプレセプタクルの輪作り。 3路・4路の結線に気を取られると、輪作りの品質が落ちる。輪は右回り、重ね巻きしない、ねじの端から心線を5mm以上出さない、絶縁被覆を噛まない。ここは No.6 と共通の勘所だ。
踏みやすい欠陥項目
「欠陥の判断基準」から、No.7で特に該当しやすい項目を原文で引く。
- 3.誤接続,誤結線のもの … 4路の端子の組を外した結線、3路のコモンの取り違えはここに該当する。
- 6-1 リングスリーブ用圧着工具の使用方法等が適切でないもの/イ.リングスリーブの選択を誤ったもの(JIS C 2806準拠)/ロ.圧着マークが不適正のもの(JIS C 2806準拠)/ヘ.1箇所の接続に2個以上のリングスリーブを使用したもの
- 6-2 心線の端末処理が適切でないもの/イ.リングスリーブを上から目視して,接続する心線の先端が一本でも見えないもの
- 8-7 ランプレセプタクル又は露出形コンセント等の巻き付けによる結線部分の処理が適切でないもの/ロ.心線を左巻きにしたもの
- 8-9.心線が差込口から2mm以上露出したもの … 3路・4路スイッチはねじなし端子なので、ストリップゲージどおりに剥く。
- 11-4.取付枠に配線器具の位置を誤って取り付けたもの/ハ.配線器具が3個の場合に,中央に指定した器具以外を取り付けたもの
時間配分の目安
試験時間は全問題40分と公表されている。以下は目安の一例で、公表資料に定めがあるわけではない。
| 作業 | 目安 |
|---|---|
| 施工条件の読み込み・複線図 | 6分 |
| ケーブル切断と寸法取り | 5分 |
| ランプレセプタクルの輪作り・結線 | 6分 |
| 3路・4路スイッチ3個の結線 | 8分 |
| 電線相互の接続(圧着・差込) | 10分 |
| 見直し | 5分 |
複線図に1分多く使ってでも、渡り線4本の行き先を確定させてから手を動かした方が速い。組み間違えて剥き直すと、その1本のために5分以上を失う。
施工条件は当日の問題用紙で確定する
公表資料は「配線図,施工条件等の詳細については,試験問題に明記します」としている。点滅器3個をどの取付枠にどの順で並べるか、渡り線に何色を使うか、どの接続箇所をリングスリーブにして、どこを差込形コネクタにするかは、当日の施工条件が決める。3箇所点滅の考え方だけを頭に入れて、配置と色は当日読む——この分け方が安全だ。
公式の標準解答で答え合わせ
令和8年度上期の第二種技能試験(2026年7月18日・19日実施)では、候補問題13問がすべて出題されました(試験センターの「問題と解答」ページの記載)。No.7 の問題と標準解答も、試験センターが公開しています。
- 候補No.7 の標準解答(PDF):完成作品の概念図、複線図、正解作品の例が載っています。
- 候補No.7 の試験問題(PDF):材料表と施工条件の原文です。
- 一覧は7月18日実施分と7月19日実施分のページにあります。No.7 の問題と標準解答は、両日で同じ内容でした(2026年10月7日確認)。
自分の作品を標準解答と見比べるときの着眼点を挙げます。公式の図や文章は転載せず、見る場所だけを自分の言葉でまとめています。括弧内の番号は、欠陥の判断基準の項目です。
- 3路スイッチ2個と4路スイッチ1個で、3か所のどのスイッチでも点滅できる回路です(施工条件2)。3路の「0」の端子には電源側または負荷側の電線、「1」と「3」には4路スイッチとの間の電線を結びます。4路スイッチ側の端子の組の通し方を、標準解答の複線図と見比べます(3)。標準解答には、複線図は正解の一例という公式の注記があります。
- ジョイントボックス(アウトレットボックス)は、施工条件で「打抜き済みの穴だけをすべて使用」と指定されていました。穴を足していないか、使わない穴を残していないか(12-2)。ゴムブッシング(19が3個、25が2個)が、ケーブルを通す穴すべてに、穴の径に合うものとして付いているか(12-4イ、12-4ロ)を見ます。
- 取付枠は、施工条件で4路スイッチ部分に使います。4路スイッチ1個が中央に付いているか(11-4イ)、3路スイッチに枠を使っていないか(11-1)を確認します。
- 接続方法は、A部分がリングスリーブ、B部分が差込形コネクタです(2-4)。2.0mmと1.6mmの電線が混ざるので、リングスリーブの選択と圧着マークも見ます(6-1イ、6-1ロ)。
- 3路・4路スイッチはねじなし端子です。差込口から心線が見えていないか(8-9)、引っ張って外れないか(8-8)を確認します。
見比べは目安です。実際の判定は試験センターが判断基準に基づいて行い、欠陥が1つでもあれば不合格です。全細目の確認には欠陥チェックシート(自己採点用)も使えます。令和9年度の候補問題は、例年1月に試験センターが公表しており(令和6〜8年度は1月26日・1月17日・1月16日)、令和8年度から変わる可能性があるので、公表後は公式の配線図で最新の内容を確認してください。
操作できる場所を、あとから増やす
4路スイッチの出番は、3箇所以上から1つの照明を操作したい場所だ。1階から3階まで続く階段、出入口が両側にある広い部屋、長い廊下の途中。両端に3路を置き、増やしたい箇所の数だけ4路を間に挟む——この一行を持っているだけで、「もう1箇所からも消せるようにしたい」という後付けの相談に、その場で答えを出せる。
4路スイッチの中身は、渡り線2本をそのまま通すか、たすきに入れ替えるかを切り替えているだけだ。だから何個直列に並べても、どれを倒しても照明の状態は反転する。3箇所でも5箇所でも同じ理屈で組める、というところにこの回路の設計としての気持ちよさがある。
今日試せることがある。3階建ての階段や大きな部屋のスイッチを数えて、同じ照明にいくつ付いているかを見てみるといい。3つ以上あれば、その壁の中には必ず4路が入っている。近年は無線式のスイッチで操作箇所を増やす方法も出てきたが、既存の回路が何をしているかを読めなければ、置き換えの判断もできない。原理を手で覚えておく価値はそこにある。
冒頭の「4路を倒す向きによって両端の3路が効かなくなる」現象の正体は何か。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。