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技能試験 候補問題13問の攻略 ・ 11 / 13

候補問題No.11|ねじなし電線管(E19)

読み終えると、こうなる

『ねじは締めすぎるな』という基本と正反対に、頭が飛ぶまで締め切る一本を、迷わず見分けられるようになる

  • ねじなしボックスコネクタの止めねじだけ、頭がねじ切れるまで締める判断に切り替えられる
  • なお書きの「電気的に接続することは省略する」を読み取り、ボンド線を付けずに管の組み立てを仕上げられる。ボンド線を指示された課題では、反対側から線が出ているかを目で確認できる
  • 管とボックスの接続部分を目視して、隙間が残っていないかを判定できる
考えてみよう

ある受験者の作品が、採点でNo.11の欠陥と判定された。

見た目には非の打ちどころがない。IV線は管の中をきれいに通っている。管はボックスにぴったり付いていて、揺すっても外れない。絶縁ブッシングも入っている。ランプレセプタクルの輪作りも美しい。電線を1本も切らずに、この作品を欠陥にした原因がある。

しかも、その原因は「締め方が足りなかった」ではない。締めすぎていなかったことだ。

技能試験では「ねじを必要以上に強く締めないでください」「ねじの頭部をねじ切ってしまったものは欠陥です」と何度も注意される。それなのに、この作品は締めが弱くて落ちた。矛盾しているように見えるはずだ。今は答えが出なくて当然で、読み終えるころには、No.11で唯一「力を入れる向きが逆になるねじ」がどれか分かるようになっている。

No.11に何が入っているか

公表された候補問題No.11の配線図には、次の要素が示されている。

  • 電源:単相2線式(1φ2W)100V
  • VVF 2.0-2C(電源側の幹線)
  • ジョイントボックス(アウトレットボックス)
  • IV 1.6(E19)
  • ランプレセプタクル(Rロ)
  • 引掛シーリングローゼット(イ)
  • 点滅器(イ・ロ)。配線図ではイが引掛シーリングローゼット、ロがランプレセプタクルに対応する
  • コンセント(E19の先で点滅器イと並ぶ)

このうちNo.11を特徴づけるのが「IV 1.6(E19)」だ。E19=ねじなし電線管の19(呼び径)、その中を通す電線が絶縁電線IV1.6という意味になる。ケーブル(VVF)ではなく裸の絶縁電線を管に通す、金属管工事の区間がここにある。

そのほかの区間は、注記の「記載のない電線の種類は,VVF1.6とする」に従う。また「器具においては,端子台で代用する場合がある」ため、当日の材料表は必ず確認する。

そして——「配線図,施工条件等の詳細については,試験問題に明記します」。ねじなしボックスコネクタをボックスのどちら側に取り付けるか、電線の色をどうするかは、当日の施工条件で確定する。試験センターの資料も、施工条件の例として「ねじなしボックスコネクタは,ジョイントボックス側に取り付けること。」という指定を挙げている。ボンド線については、令和4年度上期から令和8年度上期までの実際の問題で、なお書きに「電気的に接続することは省略する」とあり、材料表も「接地用端子は省略」だった。ボンド線は支給されず、完成図にもない。

配線図そのものは試験センターの著作物にあたるためここには載せていない。公式PDFを開いて対応する図を見ながら読み進めてほしい。

複線図を起こす順序

管が出てくると難しく感じるが、回路そのものの考え方は他の問題と変わらない。管は電線の通り道であって、回路要素ではないからだ。

  1. 管の区間を「ただの電線数本」に読み替える。 E19の中を通るIV線の本数は、その先の点滅器イとコンセントが要求する本数で決まる。実際の問題では図に「IV 1.6×3(E19)」と本数が示され、解答例では黒(点滅器イとコンセントの非接地側)・白(コンセントのW端子)・赤(点滅器イから引掛シーリングローゼットへの戻り線)の3本を通す。管があること自体は複線図に影響しない。
  2. 接地側(白)を配る。 電源の接地側から、スイッチを経由せず、ランプレセプタクルの受金ねじ部・引掛シーリングローゼットの接地側極端子・コンセントのW端子へ直行させる。
  3. 非接地側(黒)を配る。 電源の非接地側から、点滅器イ・ロとコンセントへ。コンセントの黒は、点滅器イから黒のわたり線でとる例が試験センターの解答に示されている(結線方法にはほかにも正解がある)。
  4. 点滅器から各照明器具へ戻りの線を引く。 No.11は点滅器がイとロの2つあるので、戻りの線も2本になる。配線図ではイが引掛シーリングローゼット、ロがランプレセプタクルに対応する。どの線がイ、どの線がロかを図の上で色分けしておくと、管に通したあと迷わない。

複線図が描けたら、そこで初めて「この区間は管を通る」と印を付ける。管に通す本数が確定してから電線を切ると、切りすぎのやり直しが起きにくい。

金属管の組み立てと、部品の並び順

金属管工事で使う構成部品は、判断基準9-1に列挙されている——「金属管」「ねじなしボックスコネクタ」「ボックス」「ロックナット」「絶縁ブッシング」「ねじなし絶縁ブッシング」。この6語が、そのまま正しい位置に置かれているかの採点対象になる。

ねじなし電線管とボックスの接続(断面のイメージ) ← ボックスの外側 ボックスの内側 → ねじなし電線管(E19) 止めねじ(頭がねじ切れるまで締める) ねじなしボックスコネクタ ボックスの壁 ロックナット 絶縁ブッシング (ボックスの内側) コネクタの接地用端子 ボックスの接地用取付ねじ穴 ボンド線 破線のボンド線は、施工条件で指示されたときだけ付ける 外側から順に「管 → ねじなしボックスコネクタ → ボックスの壁 → ロックナット → 絶縁ブッシング」。絶縁ブッシングだけがボックスの内側に来る。破線のボンド線は実際のNo.11では省略されていた(自作の説明図)

手順にすると次のようになる。

  1. ねじなしボックスコネクタに管を差し込み、止めねじの頭部がねじ切れるまで締めて固定する
  2. コネクタのねじ部をボックスの穴に外側から通す
  3. ボックスの内側からロックナットをはめ、ウォータポンププライヤ等でしっかり締める
  4. ロックナットの内側に絶縁ブッシングをねじ込む
  5. 施工条件でボンド線が指示されている場合だけ、ボンド線をコネクタの接地用端子とボックスの接地用取付ねじ穴に取り付ける。なお書きに「電気的に接続することは省略する」とあれば、4までで管の組み立ては完了する

技能試験のねじは、原則として「締めすぎるな」。ねじ山をつぶしたり頭を切断したりすれば12-5「器具を破損させたもの」で欠陥になる。ところが、ねじなしボックスコネクタの止めねじだけは違う。頭が飛ぶのが正常な完了状態であり、頭が残っていることのほうが欠陥(9-3)だ。このねじは、規定の力で締まったときに頭がちぎれるように作られている。頭部が落ちて初めて「管が正しい力で固定された」という証明になる。

この1本だけ、力の入れ方の常識が逆になる。No.11で最も落としやすいのは、電線でも輪作りでもなく、この一点だ。

踏みやすい欠陥項目

金属管工事は、部品の入れ忘れ・締め忘れがそのまま欠陥になる分野だ。9-1から9-6まで、原文で確認しておきたい。ただし9-4〜9-6(ボンド線)は、施工条件でボンド線が指示されたときだけ見られる。まず押さえる優先順は、9-1〜9-3と、管を接続しない穴のゴムブッシング(12-4)だ。

9-1.構成部品(「金属管」,「ねじなしボックスコネクタ」,「ボックス」,「ロックナット」,「絶縁ブッシング」,「ねじなし絶縁ブッシング」)が正しい位置に使用されていないもの

ロックナットをボックスの外側に付けてしまう、絶縁ブッシングを管の側に付けてしまう、といった取り違えが該当する。

9-2.構成部品間の接続が適切でないもの

  • イ.「管」を引っ張って外れるもの
  • ロ.「絶縁ブッシング」が外れているもの
  • ハ.「管」と「ボックス」との接続部分を目視して隙間があるもの

「隙間があるもの」に許容寸法の記載はない。目視で見えれば欠陥だ。

9-3.「ねじなし絶縁ブッシング」又は「ねじなしボックスコネクタ」の止めねじをねじ切っていないもの

前述のとおり、No.11で最も踏みやすい欠陥。試験センターの資料でも「ロックナットなどをしっかり締め付けていたとしても,ねじなしボックスコネクタのねじをねじ切らないと欠陥となるので注意してください」と念押しされている。

9-4.ボンド工事を行っていない又は施工条件に相違してボンド線以外の電線で結線したもの

ボンド線を扱うかどうかは施工条件で示される。令和4年度上期から令和8年度上期までの実際の問題は、なお書きで省略されていた。指示があるのに省略すれば欠陥、指示された電線以外で代用しても欠陥になる。

9-5.ボンド線のボックスへの取り付けが適切でないもの

  • イ.ボンド線を引っ張って外れるもの
  • ロ.巻き付けによる結線部分で,ボンド線をねじで締め付けていないもの
  • ハ.接地用取付ねじ穴以外に取り付けたもの

9-6.ボンド線のねじなしボックスコネクタの接地用端子への取り付けが適切でないもの

  • イ.ボンド線をねじで締め付けていないもの
  • ロ.ボンド線が他端から出ていないもの
  • ハ.ボンド線を正しい位置以外に取り付けたもの

ロの「他端から出ていないもの」は挿入不足のこと。端子を貫通させて反対側にボンド線の先端が顔を出している状態が正しい。

12-4.ゴムブッシングの使用が適切でないもの

管を接続しない側のボックスの穴には、ケーブルを通す際にゴムブッシングをはめる。イ「ゴムブッシングを使用していないもの」、ロ「ボックスの穴の径とゴムブッシングの大きさが相違しているもの」。管に気を取られてゴムブッシングを忘れる、というのがよくある取りこぼしだ。

時間配分の目安

試験時間はすべての候補問題について40分(公表資料)。以下は練習時の配分例で、公式に定められたものではない。

経過やること
〜2分問題文と施工条件を読む。特にねじなしボックスコネクタの取付位置と、なお書き・材料表の「省略」の文字に印を付ける
〜7分複線図を描く。管を通るIV線の本数と、イ・ロの戻り線の色をここで確定させる
〜13分管の組み立て(コネクタ→止めねじ→ボックス→ロックナット→絶縁ブッシング。ボンド線の指示があれば最後に追加)。先に片づける
〜18分ケーブル切断・外装はぎ取り・IV線の通線
〜30分ランプレセプタクルの輪作り、連用取付枠への器具取付
〜37分電線相互の接続
〜40分見直し。止めねじがねじ切れているか、絶縁ブッシングとゴムブッシングが入っているかを最初に確認

管の組み立てを後回しにすると、時間が押したときに絶縁ブッシングが飛ぶ(ボンド線を指示された課題ではボンド線も)。作業の前半で片づけて、残りを純粋な配線作業にしてしまうのが安全だ。

公式の標準解答で答え合わせ

令和8年度上期の第二種技能試験(2026年7月18日・19日実施)では、候補問題13問がすべて出題されました(試験センターの「問題と解答」ページの記載)。No.11 の問題と標準解答も、試験センターが公開しています。

自分の作品を標準解答と見比べるときの着眼点を挙げます。公式の図や文章は転載せず、見る場所だけを自分の言葉でまとめています。括弧内の番号は、欠陥の判断基準の項目です。

  • 令和8年度上期の問題では、金属管とジョイントボックスとを電気的に接続すること(ボンド工事)は施工条件で省略されていました。材料のねじなしボックスコネクタも、接地用端子は省略されたものです。ボンド線の項目(9-4から9-6)より、9-1から9-3を重点的に見ます。
  • ねじなしボックスコネクタはジョイントボックス側に付ける指定でした。管のもう一方の端には絶縁ブッシングが付いているか、ロックナットの位置が正しいか(9-1)、止めねじの頭がねじ切れているか(9-3)、管を引っ張って外れないか(9-2イ)、管とボックスの間に隙間がないか(9-2ハ)を確認します。
  • 管の中には、黒・白・赤の絶縁電線(IV 1.6)が通っているかも見ます。公式の資料も、課題で指定された電線が電線管に通っていることを求めています。
  • ジョイントボックスは、打抜き済みの穴だけをすべて使う指定でした(12-2)。管を接続しない穴(19mmが2か所、25mmが2か所)に、穴の径に合うゴムブッシングが付いているか(12-4イ、12-4ロ)を見ます。
  • 接続方法は、電源側電線(シース青色)との接続箇所がリングスリーブ、その他の接続箇所が差込形コネクタです(2-4)。
  • 取付枠は、施工条件でタンブラスイッチ(イ)及びコンセント部分に使います。2個なので中央を空けているか(11-4ロ)を見ます。
  • スイッチ及びコンセントの結線方法には、他にも正解がある、という公式の注記が標準解答に付いています。

見比べは目安です。実際の判定は試験センターが判断基準に基づいて行い、欠陥が1つでもあれば不合格です。全細目の確認には欠陥チェックシート(自己採点用)も使えます。令和9年度の候補問題は、例年1月に試験センターが公表しており(令和6〜8年度は1月26日・1月17日・1月16日)、令和8年度から変わる可能性があるので、公表後は公式の配線図で最新の内容を確認してください。

壁の外を電気が堂々と通る工事

金属管工事は、隠す配線ではなく見せる配線だ。工場や倉庫、駐車場、機械室、屋外の壁——ケーブルがむき出しでは傷つく場所で、電線を管の中に通して物理的に守る。ねじなし電線管(E19)は、その名のとおり管の端にねじを切らずに施工できるので、現場で寸法を出しながら組んでいける。No.11 が組めるということは、住宅の内側だけでなく、この「外を通す配線」の側にも立てるということだ。

止めねじの設計は、知ると少し感心する。頭がねじ切れるまで締めれば、そこで必ず必要な締め付けが入る。締め加減という職人の勘に頼らず、部品のかたちで品質を保証している。締めすぎを戒める他のねじと逆の扱いになるのは、そういう理由だ。ボンド線も同じ発想で、現場では、金属管は電気を通してしまうからこそ、確実に大地へつないでおく(技能試験では、この電気的な接続は省略される)。

今日できることは、駐車場や商業施設の壁を見上げて、管とボックスがどう並んでいるかを目で追うことだ。曲がり、分岐、器具の手前——現場の人がどういう順番で組んだかが全部見えてくる。屋外の太陽光や充電設備が増えるほど、外を通す配線の仕事は増えていく。

冒頭の「締めすぎていなかったせいで落ちた作品」の答え合わせは、理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 「ねじは締めすぎない」という正しい原則を、止めねじにも適用させる

    なぜ引っかかるランプレセプタクルや端子台のねじを締めすぎて頭を切断すれば12-5「器具を破損させたもの」になる。ところがねじなしボックスコネクタの止めねじだけは、頭部がねじ切れるまで締めなければ9-3の欠陥だ。同じ「ねじ」で扱いが正反対になる。

    見破り方作業前に、この課題で頭を飛ばすねじがどれか1本だけ決めておく。それ以外のねじは締めすぎない、と二分しておけば手が迷わない。

  2. 手応えの確かさを根拠に、目視の項目を素通りさせる

    なぜ引っかかるボンド線が指示された課題では、9-6でイ(ねじで締め付けていないもの)・ロ(他端から出ていないもの)・ハ(正しい位置以外に取り付けたもの)の3つが見られる。固く締まった手応えが得られればイは満たすが、ロとハは目で見ないと分からない。

    見破り方ボンド線が指示された課題でボンド線を留めたら、端子の反対側から線の先端が出ているかを見る。ただし実際のNo.11は、接地用端子付きのコネクタもボンド線も支給されず(なお書きで省略)、この項目はボンド線が指示されたときだけ問われる。

  3. ボンド線を指示された課題で、取付先を手の入りやすい穴へ誘導する

    なぜ引っかかるアウトレットボックスにはカバー取付用のビス穴もあり、そちらのほうが工具を差し込みやすいことがある。だが9-5ハは「接地用取付ねじ穴以外に取り付けたもの」を欠陥としており、ブッシングやロックナットで押さえて固定したものも同様だ。

    見破り方ボックスの穴を、接地用取付ねじ穴とそれ以外に分けて先に見分けておく。作業中に探すと、手の届く穴を選んでしまう。

参考文献・出典

理解度チェック(6問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、6問で確認しよう。 内訳は基本4問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 6 問正解

覚えておきたいポイント

  1. No.11の管路は「IV 1.6(E19)」。ねじなし電線管19に絶縁電線IV1.6を通す金属管工事で、電線相互の接続とは別に「管の組み立て」という作業が丸ごと増える
  2. ねじなしボックスコネクタの止めねじは、頭部がねじ切れるまで締める。ねじ切っていないと欠陥9-3。締めすぎを戒める他のねじとは逆の扱いになる
  3. 絶縁ブッシングはボックスの内側(ロックナットの内側)に取り付ける。外れていれば欠陥9-2ロ、位置を誤れば9-1
  4. ボンド線は、施工条件で指示されたときだけ取り付ける。令和4年度上期から令和8年度上期までの実際のNo.11は、なお書きに「電気的に接続することは省略する」とあり、接地用端子付きのコネクタもボンド線も支給されなかった。指示があるときの取付先は、コネクタの接地用端子とボックスの接地用取付ねじ穴で、誤ると9-5ハ・9-6ハ、他端から出ていないと9-6ロになる
  5. ねじなしボックスコネクタをボックスのどちら側に取り付けるかなど、部品の使用位置は当日の施工条件で指定される
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