分電盤のブレーカーを落として、これから配線作業に入ろうとしていた。分岐回路がいくつも並んだ分電盤で、目当ての回路のブレーカーを落としたつもりだった。
検電器を取り出す前に、先輩から「待て」と止められた。よく見ると、落としたのは隣の分岐回路のブレーカーだった。もしそのまま検電せずに電線に触れていたら、何が起きていたのか。
電気工事の現場では、電線を切る・剥く・曲げる・接続するために、それぞれ専用の工具が使われる。
- ペンチ・電工ナイフ・ワイヤーストリッパー: 電線の切断や被覆剥ぎに使う基本工具。ワイヤーストリッパーは電線サイズに合わせた溝で芯線を傷つけずに素早く剥ける。
- 圧着工具(リングスリーブ用/圧着端子用): グリップの色が用途の目印になる。JIS C 9711は、リングスリーブ用の工具の握り部分に黄色で色別表示をすること、そしてリングスリーブ用以外の工具には黄色やまぎらわしい色を使ってはならないことを定めている。つまり黄色は「リングスリーブ用の専用色」で、裸圧着端子用の工具はそれ以外の色(赤など)になる。電気技術者試験センターも技能試験の資料で「握り部分の色が黄色のものを使用すれば,圧着マークが刻印されます」と案内している。
電線まわりの工具はこれで足りるが、試験の工具問題の主戦場はもう1つある。管を敷く仕事の工具だ。名前だけ並べると迷子になるので、金属管工事で出てくる工具を、作業ごとに分けて見ていく。作業の順序は現場や管の種類で前後するので、ここでの並びは覚えやすくするための整理で、決まった手順ではない。
金属管工事の工具を、作業ごとにたどる
- 切る — 金切りのこやパイプカッタで、管を必要な長さに切断する
- 曲げる — パイプベンダに管を差し込み、力をかけて少しずつ曲げていく。建物の形に合わせた曲がりを、管の側に作る作業だ
- 整える — 切り口の内側には鋭いバリが残っている。クリックボール(先端工具を手で回すハンドル)にリーマを取り付けて、バリを削り取る。これを怠ると、通線のときに電線の被覆が切り口で傷つく
- 開ける — 管をボックスや盤につなぐには穴が要る。分電盤・プルボックスの鋼板にはノックアウトパンチャー、鉄板や各種合金板への丸穴あけにはホルソ(クリックボールにも電動ドリルにも取り付けられる)。木造の桟や板に管や電線を通すなら、クリックボールに羽根ぎりを付け替えて手で開ける
このほか、厚鋼・薄鋼電線管は、パイプバイスで管を固定して切断やねじ切りをし、管端にリード型ねじ切り器でねじを切る。管をカップリングにねじ込むときはパイプレンチで管をつかんで回す。ねじなし電線管は管端にねじを切らず、止めネジで接続するので、リード型ねじ切り器の出番はない。パイプレンチも、ねじ込む場面が無いため、ねじなし電線管で使う場面は確認できていない。パイプバイスは、ねじなし電線管でも管の固定に使う。
クリックボールが繰り返し登場したことに気づいただろうか。リーマも羽根ぎりもホルソも、それ自体は回転する刃にすぎない。回す動力を人の手で与えるのがクリックボール、電気で与えるのが電動ドリルで、「何を先端に付けるか」の組合せが試験でも問われる。工具メーカーの用途説明でも、ホルソは「クリックボールや電動ドリルの先端に取り付け」て使う工具とされている——電動ドリル専用ではない。
管の素材が変われば、握る工具も変わる
- ガストーチランプ: 硬質ポリ塩化ビニル電線管(VE管)を加熱して柔らかくし、曲げるために使う。金属管は力で曲げ、樹脂管は熱で曲げる
- プリカナイフ: 2種金属製可とう電線管(プリカチューブ)を切断する専用ナイフ
- 張線器: 架空線工事で、電線やメッセンジャワイヤのたるみを取るために使う
パイプベンダとガストーチランプは、どちらも「管を曲げる場面」の工具だ。写真問題で並んだとき、金属なら力、樹脂なら熱、と素材から引けば取り違えない。
「切る」に戻る — この1工程が、消去法の足場になる
作業のうち「切る」を、もう一度開く。曲げると同じで、切る道具も管の材料で分かれている。
| 切る対象 | 使う工具 |
|---|---|
| 金属管(厚鋼・薄鋼・ねじなし) | 金切りのこ、パイプカッタ |
| 硬質塩化ビニル電線管(VE管) | 合成樹脂管用カッタ(塩ビカッタ)。金切りのこでも切れる |
| 2種金属製可とう電線管(プリカチューブ) | プリカナイフ |
| 電線・ケーブル | ペンチ、ケーブルカッタ |
引っかかりやすいのはパイプカッタだ。「パイプ」は樹脂の管にも使う言葉なので、名前から樹脂管用と覚えてしまいやすい。だが工具メーカーの用途説明でも、パイプカッタは金属管を切断するのに使用する工具とされている。樹脂の管を切るのは、別に用意された合成樹脂管用カッタのほうだ。名前が似ているぶん、覚え違いに気づく機会がないまま本番まで来てしまう。
この対応関係が効いてくるのが、配線図の否定形の設問である。図の一区間を指して、その部分の工事で一般に使わないものはどれか、と写真4枚から選ばせる形式で、令和7年度上期の学科試験でも複数出ている。4枚のうち3枚は本当に使う工具だから、1枚ずつ吟味していくと全部それらしく見えてくる。
順序を逆にすると崩れる。
- 先に区間の工事を言い切る — ケーブル工事か、金属管工事か、合成樹脂管工事か、地中埋設か
- 4枚を「何を・どうする道具か」に置き換える — 切る対象の材料まで含めて言う
- その工事に登場しない材料を相手にしている1枚を落とす
たとえば、地中に波付硬質合成樹脂管(FEP)を埋めてケーブルを通す区間。ここで動くのはスコップ、ケーブルカッタ、通線のための呼び線挿入器あたりで、金属管は最初から出てこない。したがってパイプカッタ・パイプベンダ・リード型ねじ切り器・クリックボール+リーマといった金属管の道具は、まとめて圏外になる。逆に金属管の区間なら、ガストーチランプや合成樹脂管用カッタが場違いな1枚になる。工具を覚えるとは、名前と写真を結ぶことではなく、工具を管の材料に結び直すことだと言い換えてもいい。
工具と工事の対応表 — 用途・名称・使う工事の3点セット
工具の問題は、写真を見て用途や名前を選ぶ形と、工事や作業に使う(使わない)工具を選ぶ形に分かれる。令和6年度上期から令和8年度上期までの5回では、どの回にも、問13(作業・工事と工具の組合せ、または工具の用途)と問18(写真の工具の用途)がある。配線図の問題にも、図の区間の工事で「使用されないもの」を写真から選ばせる形がある。
どちらも、用途(何をどうする道具か)・名称・使う工事の3点を、1つのセットで持っていれば解ける。次の表は、そのセットを管の工事ごとに並べたものだ。
管を切る・整える・曲げる・つなぐ
| 工具 | 用途/使う工事 |
|---|---|
| 金切りのこ | 金属管を切断する。硬質ポリ塩化ビニル電線管(VE管)の切断にも使える 使う:金属管工事、合成樹脂管工事 |
| パイプカッタ | 金属管を切断する。名前に「パイプ」とあっても樹脂管用ではない 使う:金属管工事 使わない:合成樹脂管工事、FEPの地中埋設 |
| 合成樹脂管用カッタ(塩ビカッタ) | 硬質ポリ塩化ビニル電線管(VE管)を切断する 使う:合成樹脂管工事 使わない:金属管工事(金属管は切れない) |
| プリカナイフ | 2種金属製可とう電線管(プリカチューブ)を切断する 使う:金属可とう電線管工事 使わない:薄鋼電線管などの金属管の切断 |
| 面取器 | VE管を切断したあと、管端の内外を面取りする。VE管では切断 → 面取り → 接着の順に使う 使う:合成樹脂管工事 使わない:金属管工事(金属管の面取りはリーマ・やすり) |
| リーマ(クリックボールに付ける) | 金属管の切断面の内側に残ったバリを削り取る 使う:金属管工事 使わない:合成樹脂管工事、接地工事 |
| やすり | 金属管の切断面を面取りする 使う:金属管工事 |
| リード型ねじ切り器 | 金属管の管端にねじを切る。ねじ込みで接続する厚鋼・薄鋼電線管に使う 使う:厚鋼・薄鋼電線管の金属管工事 使わない:合成樹脂管工事、ねじなし電線管の区間(管端にねじを切らない) |
| パイプバイス | 切断やねじ切りのときに金属管を固定する 使う:金属管工事 |
| パイプレンチ | 金属管にカップリングなどを取り付けるときに、管をつかんで回す、保持する 使う:ねじ付きの金属管工事(厚鋼・薄鋼電線管) 使わない:合成樹脂管工事、ねじなし電線管(使う場面は確認できていない) |
| パイプベンダ | 金属管を、力をかけて曲げる 使う:金属管工事(ねじなし電線管を含む) 使わない:合成樹脂管工事 |
| ガストーチランプ(トーチランプ) | VE管などの樹脂管を炎で熱して柔らかくし、曲げる 使う:合成樹脂管工事 使わない:金属管工事(金属管はベンダで曲げる) |
| 呼び線挿入器(通線ワイヤ) | 管に電線を通す 使う:管を使うすべての工事(金属管・合成樹脂管・FEPなど) |
穴をあける・切る・引く
| 工具 | 用途/使う工事 |
|---|---|
| ノックアウトパンチャ | 金属製キャビネットや分電盤、プルボックスの鋼板に、電線管用の穴を打ち抜く 使う:金属製の箱への電線管の接続口 使わない:コンクリート壁の穴あけ |
| ホルソ | クリックボールや電動ドリルの先端に付け、鉄板や各種合金板に丸穴をあける 使う:ボックス・盤の鋼板の穴あけ 使わない:コンクリートの穴あけ |
| 羽根ぎり | 木材に穴をあける。クリックボールに付けて使う 使う:木造の天井板などに管や電線を通す穴 使わない:鉄板の穴あけ |
| ケーブルカッタ | 太いケーブルを切断する 使う:ケーブルの切断(FEPに通すCVケーブルなど) |
| 張線器 | 架空線(空中にかけ渡した電線)のたるみを調整する 使う:架空線の工事 |
| ディスクグラインダ | 円盤状の砥石を高速で回し、金属の切断・研削・バリ取りをする電動工具 使う:金属管・金属パイプなど鉄の切断、切り口の研削 使わない:管を曲げる作業(金属管の曲げはパイプベンダ。令和7年度下期 問13で、ねじなし電線管の曲げ加工の選択肢に出た) |
| ボルトクリッパ | てこの力で、棒鋼・硬銅線・より線などの線状や棒状の硬い材料を切断する。柄が長い 使う:太い線材やボルトの切断 使わない:金属線ぴ工事の専用工具ではない(令和7年度上期 問13で、金属線ぴ工事との組合せが誤りの選択肢に出た) |
「使用されないもの」を聞かれたら、先に区間の工事を言い切る。ねじなし電線管の区間なら、金属管の道具(切る・曲げる・バリを取る)は使うが、ねじを切る工程が無いのでリード型ねじ切り器は使わない。管をつかんで回すパイプレンチも、ねじなし電線管で使う場面は確認できていない。VE管の区間なら、左の列の道具はまとめて圏外になる。
検電器は、作業の前に必ず当てる
どれだけ工具を使いこなせても、通電しているかどうかを目で見ただけでは判断できない。検電を省略した瞬間、「たぶん大丈夫だろう」という思い込みが、そのまま感電事故につながる。
検電器は、回路に電圧がかかっているかどうかを、充電部に手を触れずに確認するための安全機器だ。方式は大きく2つある。ネオン発光式は、ネオン放電管に放電電圧以上の電圧が加わるとグロー放電する性質をそのまま使う。電池が要らず構造が簡単な反面、メーカーの説明によれば明るい場所では発光が確認しにくく、絶縁電線の被覆の上からの検電はできない。もう1つの電子回路式(音響発光式)は、電池と半導体の増幅回路を内蔵し、微弱な検出電流を増幅して表示灯を点灯させたり音に変換したりする。こちらは絶縁被覆の上からでも検電できる。どちらを使うにせよ、使用電圧範囲が合っているかを確かめ、既知の電源やチェッカーで検電器そのものが生きていることを確認してから当てる——というのがメーカーの示す手順だ。作業前の通電確認は感電災害防止の基本動作であり、検電を怠った作業は重大事故につながる。
被覆をはぐ工具は3つに分かれる — 写真で見分ける決め手
「電線をはぐ工具」とひとくくりにすると、写真の4択で必ず迷う。実際には、何をはぐかで道具が分かれている。
| 工具 | はぐもの | 外観の決め手 |
|---|---|---|
| 電工ナイフ | ケーブルの外装(シース)全般 | 折りたたみ式の刃と木や樹脂の柄。刃が1枚だけ |
| ワイヤーストリッパー | 電線1本の絶縁被覆 | 口の内側に、電線サイズごとの半円の溝が段違いに並ぶ |
| ケーブルストリッパー | ケーブルの外装 | 口が丸い穴になっていて、その内側に刃が仕込まれている |
見分けの軸は口の形だ。溝が何段も並んでいれば電線の被覆用(1.6mm用、2.0mm用…とサイズごとに溝がある)。丸い穴が1つ空いていれば、ケーブルの外装用。丸い穴なのは、VVRやCVのような丸形ケーブルをくわえて、ぐるりと一周させて切るためだ。平たいVVF用のストリッパは、外装用の長方形の穴と、芯線の被覆用の穴の両方を備えていて、1本の工具で外装はぎと芯線の被覆はぎができる(穴は別々で、握ってはぐ動作も外装用と芯線用で別々)。
写真1枚から「どのケーブルに使うか」を答える出題では、口の断面の形をケーブルの断面の形に重ねてみるのが早い。丸い口=丸いケーブル(VVR・CV)、平たい口=平たいケーブル(VVF)。溝が並ぶ口は、そもそもケーブルではなく電線1本を相手にしている。
近年よく写真に出るのが、自動式のワイヤーストリッパーだ。レバー式のグリップを握ると、片方の口が電線をつかみ、もう片方が被覆を切って引き抜く——という動きを1回の握りでやってしまう。柄が明るいオレンジや赤で目立ち、口の周りに複数の可動部品が見えるのが外観の特徴になる。相手にするのは電線1本やコードの絶縁被覆で、ケーブルの外装(シース)をはぐ道具ではない。
写真4択の選択肢は、しばしば「何をはぐ道具か」で並べられる——VVFの外装、VVRやCVの外装、電線・コードの絶縁被覆、というように。だから答えるべきは工具の商品名ではなく、その工具がどの層に触れるかだ。
- 溝が段違いに並ぶ口をもつストリッパ → 電線1本・コードの絶縁被覆
- 丸い口をもつストリッパ → 丸形ケーブル(VVR・CV)の外装
- 平たい口をもつストリッパ → 平形ケーブル(VVF)の外装(芯線の被覆をはぐ穴を別に備えた型もある)
- 折りたたみの刃1枚 → 電工ナイフ。ケーブルの外装全般に使えるが、絶縁被覆を傷めやすい
壁に取り付ける材料 — コンクリートにねじは効かない
管や器具を壁に留める場面では、壁の材質によって使う材料が変わる。ここは学科試験で「材料と工具の組合せ」として問われる。
木の下地であれば、木ねじをそのままねじ込めば効く。ところがコンクリートにねじをねじ込んでも、まったく効かない。コンクリートは削れるだけで、ねじ山を保持してくれないからだ。そこで先に振動ドリルで下穴を開け、そこへカールプラグ(樹脂製の筒)を打ち込む。プラグの中へねじをねじ込むと、プラグが押し広げられて穴の内壁に食い込み、そこで初めてねじが効く。ねじを効かせる相手を、コンクリートから樹脂のプラグにすり替えているわけだ。
組合せで押さえておくと、選択肢がほどける。
- コンクリート → 振動ドリルで下穴 → カールプラグ+ねじ → サドルで管を固定
- 金属板(分電盤・プルボックス) → ノックアウトパンチャー/ホルソで穴あけ
- 木造の桟・板 → クリックボール+羽根ぎり、または木ねじを直接
- ケーブルを木に留める → ステープル(管の固定には使わない)
サドルは管を留める金具、ステープルはケーブルを留める金具。この2つを入れ替えた選択肢が繰り返し出る。そして「コンクリート+木ねじだけ」という組合せは、下穴とプラグが抜けているので必ず誤り。
工具の写真は、この1点で割れる
用途は覚えていても、写真4枚から1枚を選ぶとなると別の力が要る。材料側と同じように、工具にも「決め手を1点だけ」の表を用意しておく。
| 工具 | 写真上の決め手(他の3つには無いもの) | 相手 |
|---|---|---|
| ホルソ | 円筒状ののこ刃+中心に立つセンタードリル1本。軸をクリックボールにも電動ドリルにも差せる | 鉄板・各種合金板(分電盤・ボックス)の丸穴 |
| ノックアウトパンチャ | 油圧または手動のシリンダーと、上下から挟むダイス。刃が円筒ではなく2枚1組 | 鋼板の穴あけ(打ち抜き) |
| リーマ | 円錐形(テーパー)の刃。クリックボールに付けて手で回す | 金属管切断面の内側のバリ |
| クリックボール | ハンドルがクランク形(Z字)に曲がった手回しの柄。先端のチャックに別の工具を差す。令和6年度上期 問18は、この形の写真から「リーマと組み合わせて、金属管の面取りに用いる」を選ばせた | リーマ・羽根ぎり・ホルソの駆動 |
| 金切りのこ | 細い弓形のフレームに薄い刃を張った形 | 金属管の切断 |
| パイプベンダ | 長い柄と、管を受ける半円形の溝を持つヘッド | 金属管を曲げる |
| 呼び線挿入器(通線器) | 円形のリールに巻かれた細長い線 | 管に電線を通す |
| プリカナイフ | 短く厚い刃と、可とう管を受ける形状 | 2種金属製可とう電線管の切断 |
| 合成樹脂管用カッタ(塩ビカッタ) | ラチェット付きのハンドルと、片刃が樹脂管をくわえ込む形の受け | VE管などの樹脂管の切断 |
「刃の形」と「何に取り付けるか」の2点で、たいていの4択は割れる。円筒の刃=ホルソ、円錐の刃=リーマ、弓形のフレーム=金切りのこ、リールに巻いた線=呼び線挿入器。
「この区間はどの工事か」を先に読むのも効く。「ねじなし電線管(E19)による金属管工事で使用しないもの」と問われたら、金属管を切る・曲げる・バリを取る・穴を開ける道具は○で、樹脂管用のカッタに加えて、リード型ねじ切り器も圏外になる。ねじなし電線管は管端にねじを切らずに接続する管で、ねじ切りが要るのは厚鋼・薄鋼電線管だ。実際に平成29年度上期(図の⑯がE19)と令和3年度上期午後(図の⑮がE31)では、ねじなし電線管の区間で「使用されることのないもの」の正解がリード型ねじ切り器だった。工具そのものより、その区間で使う材料から絞るほうが速い。
電磁開閉器の写真は、上下で名前が変わる
盤に付く機器では、電磁開閉器(MS)が写真4択に出る。これは電磁接触器(MC)とサーマルリレー(熱動継電器・THR)を組み合わせた1つの部品なので、「○で囲んだ部分の名称は」と部分を指されることがある。
- 上のブロック=電磁接触器(MC) — 主回路の端子が上下に並び、前面に補助接点や動作表示の窓
- 下のブロック=サーマルリレー(THR) — 電流整定のダイヤルとリセットボタンを持つ
設定するつまみがある側が保護(サーマルリレー)、無い側が開閉(電磁接触器)。 電磁接触器はコイルで接点を引きつけて入切するだけなので、電流値を設定する必要がない。
手元に買って試せる、数少ない分野
工具は、この試験範囲の中でほとんど唯一、今日買ってきて手で確かめられる対象だ。黄色と赤のグリップを並べて握ってみれば、圧着する対象が違うことは説明されるより早く体に入る。検電器も同じで、通電しているコンセントの差込口に当てると、片側では反応し、もう片側(接地側)では反応しない。テキストの上では「電圧側と接地側」という言葉でしかなかったものが、道具1本で目に見える現象に変わる。
検電の手順が繰り返し問われるのは、感電が「確認を省いた一瞬」に起きるからだ。ブレーカーを落としたという記憶や、電線の見た目は、通電の有無の証拠にならない。作業前に必ず検電する——という所作を身につけさせることが、この分野の出題の本当の目的といっていい。
そして良い工具は、作業速度と仕上がりを確実に変える。ワイヤーストリッパーを使えば被覆剥きの失敗が減り、リーマでバリを取れば通線した電線の被覆を傷めずに済む。近年は充電式の圧着工具や電動工具が普及し、力の要る作業ほど機械に置き換わってきている。どんな工具が実際に流通しているかは、サイト内の品種カテゴリからたどれる。
冒頭の分電盤で、検電をしないまま電線に触れかけていたらどうなっていたのか、答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。