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電線管の支持点間隔(サドル固定間隔)の基準|金属管2m・PF管1〜1.5mの理由と間隔を広げすぎるリスク

・ 読了目安: 11分 ・ 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー)

この記事の結論

電線管の支持(サドル固定)間隔は管の種類と施設場所で決まり、公共建築工事標準仕様書では金属管2m以下、PF管は隠ぺい1.5m以下・露出1m以下、硬質ビニル管1.5m以下、金属製可とう電線管1m以下とされる。CD管はコンクリート埋込み専用で、埋込み部はPF管とともに1m以下の間隔で鉄筋に結束する。電技解釈も合成樹脂管工事の支持点間を1.5m以下と定める。管の太さで間隔を広げてよいという規定はなく、管端や接続点の近くも固定する。

たとえば、改修工事の下見で天井点検口を開けると、照明回路のPF管がゆるやかに弧を描いている。サドルは確かに打たれている。ただ、間隔を目測すると、図面の指定よりも明らかに広い。前工程の担当者に聞くと、こんな答えが返ってくる——そんな場面を考えてみる。「間隔を少し広げれば、サドルの本数も施工の手間も減らせる。固定さえしてあれば問題ないはずだ」。

固定してあれば大丈夫——この感覚は、半分だけ正しい。電線管を造営材に支持すること自体は当然の前提で、電気設備の技術基準の解釈も、合成樹脂管工事については「管の支持点間の距離は1.5m以下」と間隔まで定めている(第158条)。ところが、その「留める間隔」そのものが、管の種類ごとに数値として設計されているという事実は、現場の感覚にまで十分に落とし込まれていないことが多い。間隔を無視して固定の数を減らしていけば、固定という行為そのものの意味が、少しずつ薄れていく。

サドルを1本減らせば、部材費と施工の手間がその分だけ確実に浮く。天井裏や壁の中に隠れてしまう部分であれば、竣工検査の目にも留まりにくい。「間隔を少し広げても、固定していることに変わりはない」という判断が生まれる背景には、こうした分かりやすい採算の理屈がある。問題は、その理屈が正しいのは「間隔にそもそも基準がない」場合に限られるという点だ。

なぜ支持点間隔に基準があるのか

電線管は、管そのものの自重だけで宙に浮いているわけではない。中には電線が通っており、その電線にも当然重量がある。細い電線を1本収めただけの管と、太いCVケーブルを何本も詰め込んだ管とでは、同じ支持間隔でもかかる荷重はまるで違う。加えて、合成樹脂製の管は温度変化によって伸び縮みする材料でもある。夏の直射日光にさらされる屋外露出配管と、空調の効いた天井裏に隠れた配管とでは、日々受ける温度差の幅がそもそも違う。

公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)は、硬質ビニル電線管(VE管)について、直線部が10mを超える場合は伸縮カップリングを設けるよう求めている。管が一体として長く伸びるほど、熱による伸縮量が無視できなくなるということだ。サドルによる固定は、この自重・電線重量・熱伸縮という3つの力に管がさらされ続けることを前提に、どこまでの間隔なら耐えられるかを管種ごとに逆算した数値だと考えると分かりやすい。

同仕様書は硬質ビニル管の支持について、「温度変化による伸縮性を考慮して締付ける」ことも求めている。管をきつく締め付けて動けない状態にすると、気温の変化で管が伸び縮みしたときに、固定点や接続部へ余計な力がかかるからだ。固定間隔と締め付け方は、伸縮をどこで逃がすかという設計の一部でもある。

管の種類による間隔の違い——金属管2m、樹脂管1〜1.5m

公共建築工事標準仕様書が定める支持間隔は、管の種類によってはっきりと段差がついている。

電線管の種類支持間隔の上限備考
金属管(薄鋼・厚鋼・ねじなし電線管等)2m以下管とボックス等の接続点・管端に近い箇所も固定
合成樹脂製可とう電線管(PF管)=隠ぺい配管1.5m以下管相互の接続点の両側、ボックス等との接続点、管端の近くでも固定。コンクリート埋込みは1m以下で鉄筋に結束
合成樹脂製可とう電線管(PF管)=露出配管1m以下隠ぺいより短い間隔が求められる
CD管(コンクリート埋込み専用)1m以下の間隔で鉄筋に結束仕様書2.3.2(1)
硬質ビニル電線管(VE管)1.5m以下温度変化による伸縮を考慮して締め付け、直線部10m超は伸縮カップリングを設置
金属製可とう電線管(プリカチューブ等)1m以下垂直配管で接触のおそれがない等の条件下は2m以下に緩和可

金属管が2mまで許されている背景には、鋼製の管は自重や電線の重量を受けても形状を保ちやすい、という剛性の差があると考えられる。対照的に、PF管・CD管のような合成樹脂製の可とう管は、施工時に手で曲げられるほど柔らかい。柔らかいということは、それだけ支持点の間で自重に負けてたわみやすいということでもあり、PF管では隠ぺい場所は1.5m、露出場所はさらに厳しい1m以下という区分が置かれている。CD管は同仕様書でコンクリート埋込部分のみに使用するとされ(2.3.2(1))、埋込み部はPF管とともに1m以下の間隔で鉄筋に結束する。なお電気設備の技術基準の解釈は、合成樹脂管工事全体について支持点間1.5m以下を定めており、仕様書の露出1m以下はそれより厳しい施工基準にあたる。

太さによる間隔は本当に変わるのか

太い電線管ほど頑丈そうに見える。だから、太さが増すごとに支持間隔を広げてよいはずだ——現場でそう考えるのは自然な発想だが、公共建築工事標準仕様書が定める支持間隔の区分を見る限り、この発想は裏付けを持たない。間隔の基準は、管の呼び径(太さ)ではなく、管の種類(金属管かPF管かCD管か硬質ビニル管か可とう電線管か)と、施設場所(隠ぺいか露出か)によって区分されている。太さは、曲げ半径の緩和条件(呼び径22mmまたは25mm以下で構造上やむを得ない場合に曲げ半径を小さくできる、という別の基準)には関わってくるが、支持間隔そのものを太さで直接動かす規定はない。

ただし、これは「太さを無視してよい」という意味ではない。同じ支持間隔の上限であっても、太い管には太いケーブルが複数本収まっていることが多く、支持点1箇所あたりが受け止める重量は当然重くなる。基準の上限ぎりぎりまで間隔を広げてよいかどうかは、管の種類だけでなく、実際にその管が何を、何本収めているかという中身の重量まで含めて判断すべき話だ。太い管を基準の上限で固定して安心する前に、収容している電線の重量を一度思い出しておきたい。

発注段階の実務でも、この「太さでは変わらない」という点は効いてくる。例えば隠ぺい場所のPF管を10m配管する場合、支持間隔1.5m以下という基準を守るなら、両端の固定を含めて最低でも8箇所前後の固定点が必要になる計算だ。呼び径14でも呼び径36でも、この本数の考え方自体は変わらない。「太い管なら間隔を広げてよいはずだ」という思い込みでサドルの発注数を見積もると、太物の配管ほどサドルの本数を少なく見積もってしまい、後から追加発注が必要になる。

垂直配管と水平配管での違い

垂直な配管には、水平な配管とは別の力学が働く。ここで区別すべき仕組みが2つある。

1つは、管そのものをサドルで固定する間隔だ。公共建築工事標準仕様書では、金属製可とう電線管に限り、垂直に敷設し人が触れるおそれがない場合、あるいは施工上やむを得ない場合は、通常の1m以下から2m以下まで間隔を広げられるとされている。垂直配管は水平配管と違って自重が真下方向にかかるだけで、横方向のたわみを生みにくいという事情が背景にあるのだろう。ただしこの緩和は金属製可とう電線管という特定の管種に限った話であり、他の管種にまで一律に当てはまるものではない。

もう1つは、管の中を通る電線そのものの支持だ。同仕様書は、垂直に敷設する管路内の電線について、太さに応じてプルボックス内で支持する間隔を定めている。断面積38mm²以下なら30m以下、100mm²以下なら25m以下、150mm²以下なら20m以下、250mm²以下なら15m以下、250mm²を超えると12m以下という具合に、電線が太く重くなるほど支持間隔は短くなる。これは管を造営材に留めるサドルの話ではなく、垂直に立ち上がる長い管の中で、電線自身が自重で下にずり下がっていくのを、プルボックスの中で受け止めて防ぐための基準だ。管の外側を固定する間隔と、管の内側で電線を支える間隔——同じ「垂直配管」という場面に、性質の異なる2つの支持基準が重なっていることになる。

間隔を広げすぎるとどうなるか

支持間隔を基準より広げた状態を放置すると、まず現れるのはたわみだ。支持点と支持点の間で管が自重と電線の重量に負けて下に沈み、目に見える弧を描くようになる。これは多くの場合、いきなり破断や脱落に至るわけではなく、じわじわと進行する。

たわみが進むと、管の内側では電線が管壁に押し付けられる格好になり、特に曲がり部分ではその圧力が集中しやすい。長期的には電線被覆への負担として蓄積していく。さらに、支持点が少ないということは、管が温度変化で伸び縮みするときにその力を逃がす場所が少ないということでもある。伸縮の力は、結局どこかに集中する。集中しやすいのは管相互やボックスとの接続部で、カップリングやコネクタの緩み・抜けにつながりうる。仕様書や電技解釈が、管端や接続点の近くにも支持点を設けるよう求めているのはこのためだと考えられる。

見た目の面でも、たわんだ電線管は施主や元請けの目に留まりやすい。機能上は当座問題がなくても、「この施工は大丈夫か」という疑念を招く要素になる。サドルの本数を減らして浮いた材料費・手間は、竣工検査でのやり直しや、数年後の増設工事での再固定という形で、結局どこかで払い戻すことになりやすい。

施工時の実務的な目安

  • 管とボックス・カップリングとの接続点、管端に近い箇所は、通常の支持間隔とは別に固定点を設ける(合成樹脂製可とう電線管工業会は、コンクリート埋設時の接続箇所付近を0.3m以下の間隔で結束するよう案内している)
  • 結束線を使う場合は0.9〜1.2mm程度のバインド線を選び、被覆のない硬い結束線で管を傷つけない
  • PF管は、隠ぺい場所(1.5m以下)と露出・展開した場所(1m以下)で基準が違うことを施工前に確認する。CD管はコンクリート埋込み専用で、露出や天井内の隠ぺい配管には使わない
  • 太い管・重いケーブルを収容する区間では、基準の上限ぎりぎりまで広げず、支持点を1つ増やす判断をする
  • 硬質ビニル管は温度変化による伸縮を考慮して締め付け、直線部が10mを超える場合は伸縮カップリングを使う(公共建築工事標準仕様書)

サドルの必要本数は、管の種類・施設場所ごとの支持間隔と配管長から見積もれます。電線管・サドルのお見積りは見積フォームからご依頼いただけます。

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よくある質問

電線管の支持間隔(サドルの固定間隔)の基準はどこで確認できますか?

内線規程(JEAC 8001)は有償の規格ですが、電気設備の技術基準の解釈(第158条、合成樹脂管工事は支持点間1.5m以下)、国土交通省の公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)、合成樹脂製可とう電線管工業会が公開しているQ&Aで確認できます。同仕様書では、金属管は2m以下、PF管は隠ぺい場所1.5m以下・露出(展開)場所1m以下(CD管はコンクリート埋込み専用で、1m以下の間隔で鉄筋に結束)、硬質ビニル管(VE管)は1.5m以下、金属製可とう電線管は1m以下(垂直配管等では2m以下に緩和可)とされています。

金属管とPF管で支持間隔が違うのはなぜですか?

管そのものの剛性(曲がりにくさ)の違いが背景にあると考えられます。金属管は自重や電線の重量を受けてもたわみにくく、公共建築工事標準仕様書でも2m以下という長めの間隔とされていますが、PF管のような合成樹脂製の可とう管は柔軟性が高い分、同じ間隔ではたわみやすく、PF管は隠ぺい場所でも1.5m以下、露出場所ではさらに短い1m以下という基準になっています(CD管はコンクリート埋込み専用です)。

太い電線管なら支持間隔を広げてもよいですか?

いいえ。公共建築工事標準仕様書の基準を見る限り、支持間隔は管の呼び径(太さ)ではなく、管の種類(金属管・PF管・CD管・硬質ビニル管・可とう電線管)と施設場所(隠ぺいか露出か)によって区分されています。太い管だから間隔を広げてよいという規定はありません。むしろ太い管ほど自重や収容する電線の重量が増えるため、実務では基準の上限ぎりぎりまで広げず、余裕を持って固定するのが安全側の判断です。

垂直に配管する場合は支持間隔を広げられますか?

管そのものの固定間隔について緩和があるのは金属製可とう電線管に限られ、垂直に敷設し人が触れるおそれがない場合や施工上やむを得ない場合に限って1m以下から2m以下まで広げられます。これとは別に、垂直な管路の中を通る電線自体は、太さに応じてプルボックス内で支持する間隔が定められています(電線の太さ38mm²以下で30m以下、250mm²超で12m以下など)。これは管の固定とは別の仕組みで、垂直な管の中で電線が自重で下にずり落ちるのを防ぐための基準です。

支持間隔を守らずに施工するとどうなりますか?

支持点と支持点の間で管が自重や電線の重量でたわみ、見た目に弧を描くようになります。たわみが進むと、電線が管の内壁に押し付けられて被覆に負担がかかったり、温度変化による伸縮を吸収しきれず接続部(カップリングやコネクタ)に力が集中したりするおそれがあります。竣工直後は問題が見えなくても、後の増設・点検で見つかることがあります。

電線管の支持間隔の確認や施工の相談はどこに依頼できますか?

支持間隔の判断や施工方法は、設計図書・特記仕様書と施工管理者の指示に従ってください。電線管・サドルのお見積りは、電設資材専門商社の松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)の見積フォームからご依頼いただけます。管の種類・呼び径・数量をお知らせください。

参考文献・出典

  • 公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版(国土交通省大臣官房官庁営繕部、令和7年3月21日 国営設第184号) (第2編第2節2.2.3(5)(6)金属管の曲げ半径の緩和(管の太さ25mm以下)と支持間隔2m以下・接続点と管端近くの固定、表2.2.4垂直管路内の電線支持間隔(38mm²以下30m〜250mm²超12m)、第3節2.3.2(1)CD管はコンクリート埋込部分のみに使用、2.3.3(4)〜(6)PF管・CD管の曲げ半径の緩和(22mm以下)・隠ぺい1.5m以下・コンクリート埋込み1m以下で鉄筋に結束、2.3.4露出1m以下、第4節2.4.3(6)硬質ビニル管1.5m以下・温度変化による伸縮性を考慮して締め付ける・直線部10m超で伸縮カップリング、第5節2.5.3(3)金属製可とう電線管1m以下(垂直で人が触れるおそれのない場合等は2m以下)) 確認日: 2026-10-13
  • 電気設備の技術基準の解釈 第158条(合成樹脂管工事)(経済産業省) (第3項第三号:管の支持点間の距離は1.5m以下とし、支持点は管端、管とボックスとの接続点及び管相互の接続点のそれぞれの近くの箇所に設けること(合成樹脂製可とう管・CD管を含む合成樹脂管工事)。第七号:CD管は直接コンクリートに埋め込むか、専用の不燃性又は自消性のある難燃性の管又はダクトに収めて施設すること) 確認日: 2026-10-13
  • 合成樹脂製可とう電線管工業会「施工上の問題について」Q&A (Q3:露出の場合のサドル等の間隔(いんぺい場所1.5m以下・展開した場所1.0m以下)、埋設時の結束間隔(スラブ1.0m以下・接続箇所が近い場合0.3m以下、立ち上がり部分は必ず結束)、結束線は0.9〜1.2mmのバインド線を推奨し被覆なし結束線は管を損傷するおそれがあること) 確認日: 2026-10-13

確認・変更の記録

出典照合日: (AIによる照合補助)

出典3件に到達。公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版PDF本文で金属管2m以下・接続点と管端近くの固定・曲げ半径緩和25mm以下、表2.2.4(38mm²以下30m、100mm²以下25m、150mm²以下20m、250mm²以下15m、250mm²超12m)、PF管の隠ぺい1.5m以下・露出1m以下・埋込み1m以下で結束・曲げ半径緩和22mm以下、2.3.2(1)CD管はコンクリート埋込部分のみに使用、硬質ビニル管1.5m以下・伸縮性を考慮した締付け・直線部10m超で伸縮カップリング、金属製可とう電線管1m以下(条件付き2m以下)、電技解釈第158条第3項第三号の支持点間1.5m以下と支持点の位置・第七号のCD管の施設方法(直接コンクリート埋込み又は専用の管・ダクト)、合成樹脂製可とう電線管工業会Q&AのQ3(いんぺい1.5m・展開1.0m、埋設結束1.0m・接続箇所付近0.3m、0.9〜1.2mmバインド線)を確認。是正:(1)工業会の呼びかけとしていた『管を伸ばした状態で固定しない』は工業会Q&Aにも旧出典にも記載がなく削除し、仕様書の『温度変化による伸縮性を考慮して締付ける』(硬質ビニル管)に置換、(2)2003年作成で旧版の電技・内線規程に基づく第三者ページ(電気の森)を外し、現行の電技解釈第158条を追加、(3)『見た目の信頼性も差に表れている』『接続部の緩みの現れであることが少なくない』『数年後に発覚することが多い』など出典のない推測・一般化を削除または弱め、(4)冒頭の事例を想定例と明示、(5)サドル選定・必要数の提案という自社対応の記述を見積フォーム案内に変更、(6)CD管を隠ぺい1.5m以下・露出1m以下で支持するように読めた記述(answerFirst・description・表・FAQ・本文・チェックリスト)を、仕様書2.3.2(1)と電技解釈第158条第3項第七号に合わせてPF管の基準に改め、CD管はコンクリート埋込み専用・1m以下の間隔で鉄筋に結束と明記、(7)FAQのたわみによる被覆・接続部への影響を出典のない断定から『おそれがある』に弱めた

個別設備の適合判定・技術者による承認を示すものではありません。

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