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絶縁抵抗測定(メガー測定)の正しいやり方と数値の読み方|測定電圧の選び方から原因の切り分けまで

・ 読了目安: 11分 ・ 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー)

この記事の結論

低圧電路の絶縁抵抗は、電気設備技術基準の省令第58条で、使用電圧300V以下のうち対地電圧150V以下は0.1MΩ以上、それ以外の300V以下は0.2MΩ以上、300V超は0.4MΩ以上と定められている。停電できない電路は、解釈第14条により漏えい電流1mA以下でも可とされる。測定電圧は回路の電圧と接続中の機器で選び、測定前に短絡・開放で計器を確かめ、静電容量の大きい回路は指示の安定を待って読み、測定後は放電を確認する。

絶縁抵抗計の液晶に「0.15MΩ」と出た。基準は0.1MΩ以上だから、数字の上では合格である。ここで「よし、次」と進める人と、「この0.15はこの先どちらへ動くだろう」と一拍止まる人がいる。同じ測定器で同じ数字を読んでいるのに、そこから先の仕事の中身はまるで違ってくる。

絶縁抵抗値は、湿気でも下がる。経年劣化でも下がる。表面についた油汚れやほこりでも下がる。原因が違えば、対処も、次にいつ測り直すべきかも変わってくる。基準値の一覧を覚えているだけでは、この先を読めない。数字の向こう側にある「なぜ下がったか」まで手繰り寄せて初めて、絶縁抵抗測定は実務の道具になる。

測定電圧はなぜ125V・250V・500V・1000Vと分かれているのか

絶縁抵抗計には25V・50V・125V・250V・500V・1000Vといった複数の定格測定電圧を切り替えられる機種が多い。この使い分けには、対象回路の使用電圧に加えて、もう一つ見落とされがちな判断軸がある——回路に何が接続されたままになっているか、である。

JIS C 1302の考え方と実務慣行に基づくと、おおむね次のように使い分けられる。

測定電圧主な対象
25V/50V電話回線・弱電機器など、耐圧の低い機器を含む回路
125V100V系の低圧回路
250V200V系の低圧回路
500V600V以下の低圧配電路。とりわけ新設ケーブルの竣工検査
1000V600Vを超える高圧設備

ここで一つ、意外と知られていない区別がある。新設のケーブルは、まだ照明器具もコンセントプラグも制御基板も接続されていない。だからこそ500Vという比較的高い電圧をかけて、厳しめに絶縁性能を確認できる。ところが同じ「200V系だから」という理由だけで、すでにPLCや制御基板が生きたままつながっている既設回路に500Vや1000Vをかけてしまうと、絶縁性能ではなく電子部品のほうを壊しかねない。回路の使用電圧だけでなく、「今、その線の先に何がぶら下がっているか」までセットで見て初めて、正しい電圧を選べる。

電気設備技術基準が定める合格ライン

低圧電路の絶縁抵抗値は、電気設備に関する技術基準を定める省令第58条により、電線相互間・電線と大地との間で次の値以上と定められている。

使用電圧の区分対地電圧の区分絶縁抵抗値
300V以下150V以下0.1MΩ以上
300V以下150V超0.2MΩ以上
300V超(区分なし)0.4MΩ以上

区分は二段構えになっている。まず使用電圧が300Vを超えるかどうかで分かれ、超えれば一律0.4MΩ以上。使用電圧300V以下のときだけ、対地電圧150Vの境目で0.1と0.2に分かれる。対地電圧だけの3段階として覚えていると、使用電圧400V級(中性点接地なら対地電圧は約230V)に0.2MΩを当ててしまう。

区分を決めるのは線間電圧ではなく対地電圧である、という一点は、単相3線式のような中性線接地の回路で判定を誤りやすいポイントで、条文の細部まで含めた解説は絶縁抵抗測定の方法と基準値にまとめている。

もう一つ、実務でこそ役に立つ規定がある。24時間稼働の設備や営業中の店舗など、そもそも停電させられない電路では、絶縁抵抗測定そのものが行えない。電気設備の技術基準の解釈第14条第1項第2号は、そうした場合に「使用電圧が加わった状態における漏えい電流が1mA以下であること」を代替基準として認めている。絶縁抵抗計が使えない現場で「測れないので確認できません」と答えるか、この代替ルートを知っていて別の測定器に持ち替えられるかは、そのまま引き受けられる仕事の幅の差になる。詳しい測定方法は漏れ電流の測定と1mAの原則を参照してほしい。

安全に、正しい数値を取るための手順

測定そのものは単純だが、手順を一つ飛ばすだけで数値の信頼性が崩れる。

  1. 絶縁抵抗計本体の電池残量を確認する
  2. リード線の先端同士を短絡し、0MΩ付近を示すか(ゼロ確認)、開放して無限大(OL)表示になるか(オープン確認)を確認する
  3. 対象回路のブレーカーを開放し、検電器で無電圧であることを確認する
  4. PLCや制御基板、インバータなど半導体を含む機器が接続されたままの負荷は、配線を外すか短絡処理をしてから試験電圧をかける
  5. L端子を電線(充電部)側、E端子を接地側に接続し、印加スイッチを入れる
  6. 長い幹線やコンデンサ成分を含む回路では、指示値が安定するまで待ってから数値を読み取る
  7. 数値とあわせて、測定日時・天候・気温・湿度も記録する
  8. 測定終了後は、放電の完了を表示で確認してからリード線を外す

このうち②のゼロ確認・オープン確認は、地味だが本体とリード線に断線や異常がないかを事前に把握するための工程で、これを飛ばすと、そもそも壊れた測定器やリード線で「合格」の数値を出し続けてしまう恐れがある。

⑥も見落とされやすい。電力ケーブルや進相コンデンサのように静電容量の大きい回路を測定すると、測定を開始した瞬間はコンデンサへの充電電流が流れるため、指示はほとんど短絡と同じ低い値からスタートする。これを見て「絶縁不良だ」と早合点してしまうのは、初心者に限らずベテランでも起きる誤読である。実際の絶縁状態を反映した値は、充電が済んで指示が安定したところに現れる。待ち時間は回路の規模で変わるため、十分に時間をかけて指示の安定を見届ける必要がある。

数値が低く出たとき——原因をどう切り分けるか

基準を下回る数値が出たとき、多くの人は「絶縁不良だ」の一言で片付けてしまう。しかし絶縁抵抗を下げる原因は、大きく三つに分かれ、それぞれ対処がまったく違う。

一つめは湿気である。梅雨時や結露の多い環境では、絶縁体の表面を水分が伝い、沿面リーク(表面を伝う微弱な漏れ電流)が起きる。これは絶縁体そのものが壊れているわけではないため、乾燥させれば数値は回復する。二つめは経年劣化で、ケーブル被覆のひび割れやモーター巻線の絶縁材の熱分解のように、絶縁体そのものが物理的・化学的に壊れている状態を指す。こちらは乾燥させても数値は戻らない。三つめは表面の汚れで、油分やほこりが絶縁体の表面に導電性の膜を作ってしまうケースだ。清掃すれば数値は回復する。

この三つを見分ける実務的な手順は、意外と単純である。対象を乾いた布で清掃し、再測定する。数値が回復すれば汚れが原因だった可能性が高い。清掃しても回復せず、しかし降雨後や高湿度の日にだけ数値が悪化するなら湿気の影響が疑わしい。清掃しても、天候にかかわらず低いままなら、内部の経年劣化を疑う段階に入る。さらに、開閉器や過電流遮断器で区切れる単位ごとに回路を分割して測定すれば、どの区間の数値が特に悪いかを絞り込め、原因の機器や配線にたどり着きやすくなる。

経年劣化については、もう一段踏み込んだ見方もできる。絶縁材の劣化速度は温度に強く依存し、「10℃2倍則」と呼ばれる経験則では、動作温度が10℃上がるごとに絶縁材の劣化速度がおよそ2倍になるとされる。長年高温にさらされ続けてきた配線や機器のほうが、同じ設置年数でも絶縁抵抗の下がり方が速い理由は、ここにある。一度の測定値だけでなく、前回・前々回からの下がり方の傾きを追うことが、突発的な絶縁破壊が起きる前に手を打つための、もっとも実務的な予兆管理になる。

見落としがちな測定ミスと注意点

測定手順そのものは知っていても、細部で数値の信頼性を落としてしまうケースがある。

一つは、安価なワニ口クリップの経年劣化である。クリップと電線の圧着部が甘いものや、腐食が進んだクリップは接触抵抗が増加し、測定のたびに数値がわずかに揺れる原因になる。リード線は消耗品として定期的に点検・交換する対象だと考えたほうがいい。

もう一つは、絶縁抵抗計そのものの精度である。測定器は経年で内部回路の精度がずれることがあり、竣工検査の記録や法定点検の報告書に使う数値である以上、校正を受けた機種で測定した数値かどうかが問われる場面がある。共立電気計器は校正の受付にあたって3種類の書類を有償で発行しており、その役割はそれぞれ違う——試験成績書は「その計測器が精度内かどうか」を作業用標準器で試験した結果の記録、校正証明書は「国家標準と作業用標準器とのつながり(トレーサビリティ)」の証明、校正系統図はその校正経路を示した体系図だ。現場の感覚では「動いているから大丈夫」で済ませがちだが、記録として提出する数値には、この3枚が分担している裏付けが要る。

インバータやモーターを含む回路では、周辺機器への配慮も欠かせない。インバータ単体を測定する際は、主回路端子に接続された配線をすべて外し、各端子を一括して短絡してから試験電圧をかける必要がある。一括短絡を省くと、インバータ内部部品に電気的ストレスが加わる場合があり、絶縁性能を確認するはずの測定が、逆に機器を傷める測定になりかねない。

そして、測定後の放電を確認せずにリード線を外す癖も、地味だが根の深いミスである。静電容量の大きい回路には測定電圧に近い電荷が残る。デジタル絶縁抵抗計の多くは自動放電機能を備えているが、その完了表示を待たずに次の作業へ移ってしまうと、せっかくの安全機構が働かないまま手を触れることになる。


絶縁抵抗計・測定用リード線の調達について

「竣工検査に使う500Vレンジ対応の絶縁抵抗計と、既設の制御盤点検用に低電圧レンジも切り替えられる機種の両方を手配したい」「摩耗したテストリードやワニ口クリップだけを交換用に急ぎ調達したい」「法定点検の記録に使うため、校正証明書付きの絶縁抵抗計が必要」——こうしたご相談は、電設資材専門商社・松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)の「電材サーチ」にお任せください。

日置電機(HIOKI)・共立電気計器(KYORITSU)の各種絶縁抵抗計から、検電器、接地抵抗計、交換用リード線まで、現場に必要な測定資材を一括でお見積り・調達いたします。

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よくある質問

絶縁抵抗計の測定電圧(125V/250V/500V/1000V)はどう選べばいいですか?

対象回路の使用電圧と、回路に半導体・電子機器が接続されているかどうかで選びます。実務ではJIS C 1302の考え方に基づき、100V系の回路には125V、200V系の回路には250Vを基本とし、新設ケーブルで機器がまだ接続されていない竣工検査時には500Vを使うのが一般的です。既設回路で電子基板やPLCなどが接続されたままの状態であれば、機器を損傷させないために250Vや125V、場合によっては25V・50Vまで電圧を下げて測定します。600Vを超える高圧設備には1000Vを使います。

対地電圧200Vの回路で絶縁抵抗値が0.25MΩでした。これは合格ですか?

電気設備に関する技術基準を定める省令第58条の基準では、使用電圧300V以下で対地電圧が150Vを超える区分は0.2MΩ以上なので、数値の上では基準を満たしています。ただし基準値ぎりぎりの数値は、経年劣化が進行している途中経過である可能性もあります。1回の測定で合否だけを見るのではなく、前回・前々回の測定値と比較し、下がる傾向が続いていないかを確認することが実務では重要です。

絶縁抵抗値が基準を下回った場合、まず何を確認すればいいですか?

原因を湿気・経年劣化・表面の汚れのどれかに切り分けます。手順としては、まず測定対象を乾いた布で清掃し、再測定して数値が回復するかを見ます。回復すれば表面の汚れやほこりが原因、回復しないが天候(降雨後や高湿度時)に左右されるなら湿気の影響、清掃しても天候に関わらず低いままなら内部の絶縁劣化の可能性が高くなります。あわせて、開閉器や過電流遮断器で区切れる範囲ごとに回路を分割して測定し、数値が悪い区間を絞り込むことで、どの機器・どの配線が原因かを特定できます。

インバータやコンデンサを含む回路を測定するときの注意点は?

インバータ単体の絶縁抵抗測定では、主回路端子(R・S・T・U・V・W等)に接続された配線をすべて外し、各端子を一括して短絡してから試験電圧をかける必要があります。一括短絡をせずに試験電圧をかけると、インバータ内部部品に電気的ストレスが加わる場合があります(東芝産業機器システムFAQ)。また、電力ケーブルや進相コンデンサのように静電容量が大きい回路では、測定開始直後は充電電流の影響でほぼ短絡と同じ低い値を示すため、指示が安定するまで十分に待ってから数値を読み取る必要があります。

測定後、すぐにリード線を外して機器に触れてもいいですか?

いいえ。測定対象、特に長い電力ケーブルやコンデンサ成分を含む回路には、測定電圧に近い電荷が残留しています。放電せずに触れると感電の危険があります。多くのデジタル絶縁抵抗計には測定後に自動で放電する機能が付いているため、表示やランプで放電の完了を確認してからリード線を外し、機器に触れるようにします。

絶縁抵抗計自体の精度は気にしなくてもいいですか?

気にする必要があります。絶縁抵抗計も測定器である以上、経年で内部回路の精度がずれることがあります。特に竣工検査の記録や法定点検の報告書に使う数値は、校正を受けた絶縁抵抗計で測定したものであることが望まれます。共立電気計器の案内によれば、校正の受付にあたって試験成績書(精度内かどうかの試験結果の記録)・校正証明書(国家標準とのつながりの証明)・校正系統図(校正経路の体系図)の3種類が有償で発行されます。安価な測定器やリード線の先端クリップは接触不良・腐食による抵抗増加も起きやすいため、測定前のゼロ確認(リード線を短絡して0MΩ付近を示すか)と開放確認をそのつど行う習慣が、数値の信頼性を担保する最低限の作業になります。

絶縁抵抗計や測定用リード線はどこで調達できますか?

松本電業株式会社の「電材サーチ」でお見積り・ご購入いただけます。日置電機(HIOKI)や共立電気計器(KYORITSU)の校正証明書付きデジタル絶縁抵抗計、摩耗しやすいテストリードや交換用ワニ口クリップまで、現場で必要な測定資材を一括で手配できます。竣工検査用に500Vレンジが必要か、既設の電子機器を保護するため低電圧レンジが必要かなど、用途に応じた機種選定のご相談も承ります。

参考文献・出典

確認・変更の記録

出典照合日: (AIによる照合補助)

出典11件中10件に到達(e-Gov法令ページは法令API本文で確認)。省令第58条の0.1/0.2/0.4MΩの区分、解釈第14条第1項第2号の漏えい電流1mA以下、共立のJIS C 1302解説による測定電圧の使用例と短絡・開放の動作確認・放電、日本電気技術者協会の静電容量回路での充電電流と測定後放電、東芝FAQのインバータ主回路端子の一括短絡、共立の校正書類3種(有償)、10℃2倍則が一致。HIOKIサポート記事はアクセス制限(403)で未確認。東芝FAQに合わせ「故障の原因になる」を「電気的ストレスが加わる場合がある」に、出典にない「数秒から数十秒」の待ち時間を削った

個別設備の適合判定・技術者による承認を示すものではありません。

この内容は、第二種電気工事士ではこう問われる

対地電圧の区分ごとの基準値(0.1/0.2/0.4MΩ)と、停電できない電路のための代替基準(漏えい電流1mA以下)は、そのまま第二種電気工事士の学科試験の出題範囲です。本記事の実務的な数値の読み方は、条文の根拠と合わせて理解しておくと現場でも試験でも同じ土台で対応できます。

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