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高圧ケーブル端末処理の施工方法ガイド|テープ巻き式・プレハブ式・熱収縮式・冷間収縮式の違いと使い分け

・ 読了目安: 9分 ・ 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー)

この記事の結論

高圧ケーブル端末処理の工法は、遮へい層の切断点に集中する電界を緩和するストレスコーンを、どう作るかで分かれる。テープ巻き式は現場でテープを巻いて作るため材料は安価だが熟練を要し、プレハブ式は工場で成形したゴムストレスコーンを差し込むため性能が安定し作業時間も短い。冷間収縮式は支持コアを抜いて常温で密着させ、熱収縮式はチューブを加熱して収縮させるため現場に熱源が要る。

見積書が2枚、机の上に並んでいる。どちらも同じ6600V CVTケーブルの端末処理3本分。ケーブルサイズも心数も、屋内・屋外の区分もそろっている。それなのに、金額には大きな開きがある。型番の並びを見比べても違いがわからず、備考欄まで目を落として初めて気づく。片方には「テープ巻き形」、もう片方には「プレハブ形」とだけ書かれていた。

この一行の違いが、なぜ金額を大きく動かすのか。答えを追っていくと、高圧ケーブルの端末処理には、ストレスコーンという同じ部品を「何で」「どうやって」作るかが違う、複数の施工方法が存在することに行き着く。JCAAの技術報告によれば、ストレスコーンはケーブルのしゃへい層(外部導電層)を切った点に集中する電気的ストレスを緩和するための円錐状の部分で、その出来不出来で端末部の特性が左右される。

この記事でわかること

  • 高圧ケーブル端末処理の4つの施工方法(テープ巻き式・プレハブ式・熱収縮式・冷間収縮式)の作り方の違い
  • 各工法で現場での加熱作業が必要かどうか
  • JCAA(日本電力ケーブル接続技術協会)による工法分類と、その特徴の整理
  • 3Mジャパン・古河電工パワーシステムズの資料に見る、6600V端末の工法
  • 発注・見積り依頼の際に伝えるべきこと

高圧ケーブル端末処理、4つの施工方法

高圧CVケーブルの終端接続部を規格化しているJCAAは、終端接続部を大きくテープ巻形・プレハブ形・がい管形の3系統に整理している(JCAA技術報告第2号による)。このうちがい管形は、汚損(ばい煙等)や塩害の影響を受ける所、または一般に22kV以上の屋内外終端に使われ、がい管の中に絶縁混和物を注入する構造だ。同報告は、テープ巻形・プレハブ形より高価で、絶縁混和物の注入直後は高温のためすぐに通電できないとしている。

この記事で比べるのは、テープ巻き式・プレハブ式に、収縮チューブを使う2つの工法を加えた4つである。支持コアを引き抜いて収縮させる冷間収縮式(メーカーの製品名では「常温収縮」)と、加熱して収縮させる熱収縮式は、1992年のJCAA技術報告の表には含まれていないが、現行の端末処理材ではゴム部材を常温で収縮させる製品が3Mジャパン・古河電工パワーシステムズから出ている。

テープ巻き式 — 現場で自在に作る、そのぶん熟練がいる

テープ巻き形は、ストレスコーンそのものを現場でテープを巻いて作る工法だ。絶縁テープを円錐状に巻き上げてストレスコーンの形を作り、その上に鉛テープまたは半導電性融着テープを巻いて仕上げる(JCAA技術報告第2号による)。

材料はテープと端子だけで済むため、材料費は他の工法より安価だとされている。ただしテープを巻いてストレスコーンという精密な形を作る以上、厚み・重なり・張力・円錐の角度を毎回そろえる技量が求められる。JCAA自身が「安価であるが、作業者の熟練を要する」と明記しているのは、この点だ。

プレハブ式 — 工場で成形された部品を差し込むだけ

プレハブ形は、ゴムストレスコーンを工場であらかじめ成形しておき、現場では規定寸法に加工したケーブル絶縁体の上に挿入するだけで完成させる工法だ(JCAA技術報告第2号による)。テープを巻いてストレスコーンの形を作る工程そのものが、工場でのゴム成形に置き換わっている。

JCAAはこの工法について「テープ巻形と比較すると性能の安定性、作業の簡便さおよび作業時間の短縮化などの点で優れている」「作業者の熟練度も従来に比較して大巾に少なくて良いようになった」と評価している。住電機器システムのプレハブ形端末処理材(アサヒニューパット)も、テープレス・ハンダレス・グリスレスの工法によって組立作業時間を大幅に短縮できるとしており、古河電工パワーシステムズの差込式製品も、テープ巻き・グリース塗布を省いた完全グリースレス設計をうたっている。工場成形品を挿入するという発想は、複数のメーカーが同じ方向で製品化を進めてきた工法だといえる。

冷間収縮式(常温収縮式)— 加熱せずにゴムを縮めて密着させる

冷間収縮式は、プレハブ形と同じくゴム部材を使うが、取り付け方が異なる。あらかじめ内径を引き伸ばした状態で、螺旋状などの支持コアに巻きつけてあるゴムスリーブをケーブルに通し、コアを引き抜くと、ゴムが自身の弾性で常温のまま収縮してケーブルに密着する。3Mジャパンの高圧端末処理材(PST端末T6PSシリーズ)や、古河電工パワーシステムズの常温収縮式製品(アイヒットCS6)が、この方式を採用している。

この工法の利点として両社が挙げているのは、加熱工程そのものが要らないという点だ。3Mの製品説明では常温収縮・無半田接地クランプによる作業の簡便さやグリースレス作業が特長として並び、古河電工パワーシステムズも「常温収縮でラクラク施工」とうたっている。3Mジャパンのカタログには、別の接続工法(レジン注入式)の利点として「熱収縮やはんだ上げ工程がないため、火気、熱源を必要とせず、安全」という記載があり、逆に言えば熱収縮という工程には火気・熱源を要するという前提が、メーカー自身の説明の中にも表れている。

熱収縮式 — チューブを加熱して収縮させる

熱収縮式は、電界緩和用・絶縁保護用のチューブを、加熱してケーブルに密着させる工法だ(denki-study.comによる一般的な整理)。住友電工の技術論文によれば、熱収縮チューブは押出成形したチューブに電子線を照射して架橋し、加熱して広げたあと冷却して形を固定したもので、再び加熱すると広げる前の径まで収縮する。現場ではこのチューブをケーブルに通し、加熱して収縮させる。

冷間収縮式との違いは、この加熱工程の有無にある。加熱源を現場に持ち込む必要がある点が、作業環境を選ぶ条件になる。なお、今回確認した3Mジャパンの一覧表(ELE-243)では6600V端末の工法欄は常温収縮とプレハブ差込で、古河電工パワーシステムズも差込式と常温収縮式を掲載しており、熱収縮式の6600V端末はこの2社の資料には見当たらなかった。

4つの工法、何を軸に比べるか

ここまでを軸で整理すると、次のようになる。

工法ストレスコーンの作り方現場での加熱JCAA分類
テープ巻き式絶縁テープ・半導電性テープを現場で巻き重ねて成形不要テープ巻形
プレハブ式(差込式)工場成形のゴムストレスコーンを挿入不要プレハブ形(ゴムストレスコーン形/ゴムとう管形)
冷間収縮式(常温収縮式)引き伸ばしたゴムスリーブの支持コアを引き抜いて収縮・密着不要1992年の技術報告の表には無し(現行品は常温収縮工法として販売)
熱収縮式熱収縮チューブを加熱して収縮・密着必要1992年の技術報告の表には無し(解説記事では収縮チューブ形として整理)

こうして並べると、加熱を必要としないという一点で、テープ巻き式・プレハブ式・冷間収縮式の3つと、熱収縮式が分かれることが見えてくる。そして材料費と熟練度という軸で見ると、テープ巻き式は安価だが熟練を要し、プレハブ式・冷間収縮式は工場成形品を使う分、施工のばらつきを抑えやすい、という構図がJCAAの評価とメーカー各社の製品説明の双方から読み取れる。

もうひとつ見落とされがちな軸に、対応できるケーブルサイズの範囲がある。プレハブ式・冷間収縮式は工場成形のゴム部材を使う以上、型番ごとに適合する導体断面積の範囲があらかじめ決まっている。3Mジャパンの一覧表でも、6600V用の同系統製品の中で型番ごとに対応する導体サイズ(mm²)が細かく分かれている(同社のケーブル接続・端末処理材一覧表による)。現物のケーブルサイズに合う型番を選び間違えると、部材そのものが挿入できない。一方でテープ巻き式は工場成形のゴム部材を使わず、JCAA規格でもテープ巻形の屋内・屋外終端接続部(C4102・C4103)は600V~11kVという広い範囲を対象にしている。

現場でどう使い分けるか

この構図を踏まえると、使い分けの目安も見えてくる。ゴム部材の適合サイズ範囲に収まらない場合は、工場成形部品を使わないテープ巻き式が候補になるが、JCAAの評価どおり熟練を要する。逆に、標準的な6600V CVT・CVケーブルの新設工事や更新工事で、複数本をまとめて施工する場合は、性能のばらつきを抑えやすいプレハブ式・冷間収縮式が候補になる。

火気の取り扱いに制限がある屋内やキュービクル内の作業では、加熱工程のない冷間収縮式・プレハブ式・テープ巻き式が扱いやすい。熱収縮式は、加熱作業ができる環境かどうかを先に確認する。いずれにせよ、どの工法を選ぶにしても、高圧(600Vを超え7,000V以下)の電気工作物である以上、選定・施工には電気主任技術者や専門施工業者との連携が前提になる点は変わらない。

発注時に伝えるべきこと

見積り・調達の場面では、ケーブルサイズ・心数・屋内外の別に加えて、希望する工法やメーカー・製品ラインまで具体的に伝えることが、冒頭のような「同じ条件のはずなのに金額が読めない」事態を避ける近道になる。工法によって対応できるケーブル外径の範囲や、屋外用・耐塩害用といった仕様の有無が異なるため、型番や工法名を指定しないまま発注すると、現場の技能や設置環境に合わない資材が届くことにもなりかねない。


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高圧ケーブル端末処理材の購入・見積りについて

高圧ケーブル端末処理材は、電設資材専門商社・松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)の見積フォームから見積を依頼できます。ケーブルサイズ・心数・屋内外の別・希望する工法(テープ巻き式/プレハブ式/熱収縮式/冷間収縮式)またはメーカー・製品名をお知らせください。

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よくある質問

高圧ケーブルの端末処理には主にどんな施工方法がありますか?

JCAA(日本電力ケーブル接続技術協会)の分類では、大きくテープ巻形・プレハブ形・がい管形の3系統に整理されています(JCAA技術報告第2号による)。このうちプレハブ形はゴムストレスコーンを差し込む方式です。1992年の同報告の分類には無いものの、現在は支持コアを引き抜いて常温のままゴムを収縮させる冷間収縮式(常温収縮式)の製品が3Mジャパン・古河電工パワーシステムズから出ており、チューブを加熱して収縮させる熱収縮式もあります。

テープ巻き式とプレハブ式はどちらが安く済みますか?

材料費だけを見ればテープ巻き式のほうが安価とされています(JCAA技術報告第2号による)。ただし同資料は、テープ巻き式は作業者の熟練を要し、プレハブ形は性能の安定性・作業の簡便さ・作業時間の短縮化で優れると整理しており、材料費の差を人件費や手直しリスクが相殺する場合もあります。どちらが総額で有利かは、施工者の習熟度や現場の本数によって変わります。

冷間収縮式と熱収縮式はどう違いますか?

どちらもゴムやポリマー製のチューブ・スリーブをケーブルに密着させて電界緩和層を作る点は共通ですが、密着のさせ方が異なります。冷間収縮式(常温収縮式)は、あらかじめ引き伸ばしてコア(支持材)で広げた状態のスリーブを、コアを引き抜くだけで常温のまま収縮させる方式で、現場での加熱を必要としません(3Mジャパン・古河電工パワーシステムズの製品説明による)。熱収縮式は、チューブを加熱して収縮させる方式で、熱源を扱う工程が入ります(住友電工の技術論文、3Mジャパンのカタログによる)。

発注時に工法まで指定する必要はありますか?

型番だけでなくケーブルサイズ・心数・屋内外の別に加えて、希望する工法(またはメーカー・製品ライン)を伝えることをおすすめします。同じ6600V CVTケーブルの端末処理でも工法によって適用できるケーブルサイズの範囲や、屋外用・耐塩害用といった仕様の有無が異なるため、工法を指定しないまま発注すると、現場の技能や環境に合わない資材が届くことがあります。

参考文献・出典

確認・変更の記録

出典照合日: (AIによる照合補助)

出典7件に到達(2026-10-13)。JCAA技術報告第2号はスキャンPDFのため画像で表1・3章・4章(ストレスコーン)を確認し、引用した3つの文言と規格番号を照合。3M ELE-243で6600V端末の工法(常温収縮・プレハブ差込)・無半田接地クランプ・グリースレス・適用導体サイズ、ELE-005で『熱収縮やはんだ上げ工程がないため、火気、熱源を必要とせ』ずの記載、古河電工パワーシステムズでTS6・CS6の記載、住電機器でテープレス・ハンダレス・グリスレスと作業時間短縮を確認。旧出典のFA Ubon(スズデンの販売サイト)は通販ドメインのため外し、熱収縮の原理は住友電工の技術論文に差し替えた。出典の無い『レイケム製品の流通』『熱収縮式は形状追従性で選ばれる』『古いケーブルにはテープ巻き式』の記述は削除・弱めた。

個別設備の適合判定・技術者による承認を示すものではありません。

この内容は、第一種電気工事士ではこう問われる

この記事で比較する4つの施工方法は、どれも同じ課題――遮へい層の切断点に生じる電界集中をどう緩和するか――への異なる解答にすぎない。その電界集中がなぜ起きるのかという原理を先に押さえておくと、なぜ工法によって作り方がここまで違うのかが腹落ちしやすくなる。

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