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単線結線図の読み方|複線図との違い・JIS C 0617の図記号・電材発注への活かし方

・ 読了目安: 9分 ・ 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー)

この記事の結論

単線結線図は、三相回路の複数本の電線を1本の線に圧縮し、電源側から負荷側へ開閉器・変圧器・保護継電器の並びを示す構成図で、配線の本数や太さは描かない。記号はIEC整合のJIS C 0617(系列1)に沿うが、古い図面はJIS C 0617の制定に伴い廃止された旧JIS C 0301:1990の系列2で描かれていることがあるので、先にどちらの体系かを見極める。発注では記号を機器名に置き換え、添えられた定格を拾い、電線のこう長や端子台の極数は仕様書と現地の銘板で補う。

新人の担当者に、改修予定の分電盤の単線結線図が1枚渡された。「これを見て、必要な電材を発注しておいて」。図面を広げてみると、四角と丸を組み合わせた記号が縦に並び、それを結ぶ線はどこまでいっても1本のままだ。実際の盤の中には、3本の電線が束になって走っているのを見たばかりだった。この1本の線は何を意味しているのか、記号の丸は何個の部品を指しているのか——手元の図面と、頭の中にある盤の映像が、うまく重ならない。

この戸惑いは、経験不足のせいというより、単線結線図という図面の性質そのものに理由がある。単線結線図は、情報を削った図面ではなく、情報を圧縮した図面だ。削った図面なら足りない部分を補えばいいだけだが、圧縮された図面は、どこがどう圧縮されているかを知らないと、正しく展開できない。まずはこの図面が何を圧縮し、何を圧縮していないのかを確認するところから始めたい。

単線結線図とは何か——3本の電線を1本の線にする理由

三相の回路には、通常3本(場合によっては中性線を加えた4本)の電線が必要になる。単線結線図は、この複数本の電線を1本の線に簡略化して描く図面だ。電源側から負荷側まで、開閉器・変圧器・保護継電器といった機器が、記号と1本の線でつながれた形で表現される。

この簡略化の目的は、系統全体の構成を一目で把握できるようにすることにある。受変電設備であれば、電力会社からの引込みがどの開閉器を経由し、どの変圧器で低圧に降圧され、どの分岐に分かれているか——という「全体の骨格」を、電線の本数という細部に気を取られずに追えるようにしている。設計段階の打ち合わせ、保守点検時の系統確認、工事の見積もり検討など、盤の中身を細かく知らない相手とも図面を共有できるのは、この簡略化があるからだ。

複線図との違いと使い分け——「俯瞰する図」と「配線する図」

単線結線図が省いた情報を、そのまま描き起こす図面が複線図だ。複線図は実際の配線本数どおりに電線を描き、どの端子とどの端子が具体的にどの電線でつながっているかを示す。器具の端子番号まで書き込まれることも多く、現場の配線作業者はこの図を見ながら1本ずつ電線を結んでいく。

単線結線図と複線図は、どちらが上位の図面というわけではなく、見る人と場面が違う。単線結線図は保安確認・設計協議・全体構成の把握に向き、複線図は実際の施工・結線作業に向く。単線結線図だけを見て「電線が1本しか描かれていないから、この回路は1本の電線で足りる」と読んでしまうのは、この図面の性質を取り違えた誤解だ。単線結線図は本数を表現する図ではなく、構成を表現する図であり、本数を知りたければ複線図か仕様書を見る番になる。

JIS C 0617に基づく主要な図記号

単線結線図に使われる記号は、電気用図記号を定めるJIS C 0617に沿っている。この規格は部ごとに分かれた規格群で、第1部が概説、第7部が開閉装置・制御装置・保護装置の図記号というように対象ごとに定められており、IEC規格への整合を図る形で1997年・1999年に制定された。日本の受変電設備の単線結線図では、記号のそばにVCB・LBSといった略号が書き添えられることが多い。よく見かける機器と略号を整理すると、次のようになる。

機器略号の例役割
高圧交流負荷開閉器(区分開閉器)PAS責任分界点の電柱上部に設置する区分用の開閉器。ZCT・地絡継電器と組み合わせたものが主流
断路器DS保守点検時に無電圧状態を作るための開閉器(負荷電流の開閉はしない)
真空遮断器VCB事故電流を遮断する主遮断装置。設備容量300kVA以上で使われることが多い
高圧交流負荷開閉器(盤内)LBS限流ヒューズ(PF)と組み合わせ、300kVA以下の設備の主遮断装置などに使われる
変圧器T(Tr)高圧を低圧に降圧する機器
変流器CT大きな電流を計器・保護継電器で扱える小電流(通常5A)に変換する
計器用変圧器(変成器)VT高電圧を計器・継電器で扱える電圧(通常110V)に変換する
零相変流器ZCT地絡電流を検出する
進相コンデンサSC力率を改善する
避雷器LA雷サージから設備を保護する
接地E大地との電気的な接続を示す

ここで押さえておきたいのは、これらの記号がすべて同じ一枚岩の規格の産物ではないという点だ。IEC規格と整合するJIS C 0617(系列1)が1997年・1999年に制定され、これに伴って系列2を含む従来のJIS C 0301:1990は廃止された。ところが系列2は1949年から長く使われてきた記号であり、JEMAの技術資料が「保守及び増設など運用面で継続使用される」ことを理由に系列2の記号をまとめ直しているとおり、既存設備の図面では今も目にする。新しく設計される設備は系列1を使う方針だが、古い図面を読むときは、自分がいま見ている記号がどちらの系列に属しているかを先に見極めないと、似た形の記号を取り違えかねない。

単線結線図から必要な電材を読み取る手順

記号の意味が分かったら、次はそれを発注リストへ変換する番だ。手順はおおむね次の3段階になる。

  1. 記号を機器の種類に置き換える——記号と、そばに書き添えられた略号(VCB・LBS・T・CTなど)を手がかりに、図面上の記号をまず機器名に読み替える。略号がない古い図面では、系列1・系列2のどちらの記号かを先に確かめる。
  2. 記号に添えられた定格を拾う——多くの単線結線図では、記号のそばに電圧・電流・容量(kV、A、kVA等)の数値が注記されている。この数値が、後で型番を絞り込むための一次情報になる。
  3. 機器名と定格を発注リストの行に変換する——「VCB・定格電圧7.2kV・定格遮断電流12.5kA」のように、機器名と定格をセットで書き出せば、それがそのまま見積もり依頼の項目になる。機器の定格電圧は系統の公称電圧とは別の値で、三菱電機のVCBラインアップも定格電圧を3.6/7.2kVで表記している。図面に「6.6kV」とあるのが系統の電圧か機器の定格かを取り違えない。

この3段階を踏むと、単線結線図はただの構成図から、発注のための一次資料に変わる。ただし、この手順で拾えるのはあくまで記号と注記に表れている情報だけだという点は、次の節で改めて触れておきたい。

単線結線図に書かれない情報——圧縮された図面が背負わせる仕事

単線結線図が電線を1本に圧縮しているということは、電線の太さ・本数・こう長といった情報が、そもそもこの図面の担当範囲から外れているということでもある。加えて、端子台の極数、ケーブルの種類(CV・CVTなど)、盤の外形寸法、接地線の太さといった施工上の仕様も、単線結線図には現れないことが多い。これらは複線図や配線図、あるいは別紙の機器仕様書に書かれているのが通例で、単線結線図の記号だけを頼りに発注リストを完成させようとすると、どこかで情報が足りなくなる。

これは単線結線図の欠陥ではない。全体構成を一目で把握できるようにするために、あえて捨てた情報がある、という設計そのものだ。地図が縮尺を上げるほど個々の建物の形を省略していくのと同じで、単線結線図は「系統の骨格」という縮尺を選んだ結果として、電線の本数や太さという「建物の形」を描かない。読み手の側は、この図面が何を描き、何を描いていないかを理解した上で、描かれていない情報を複線図や仕様書、あるいは現地確認で埋めていく必要がある。単線結線図だけを見て発注リストを完成させようとする姿勢そのものが、この図面の性質と噛み合っていない。

図面が古い・現状と食い違う場合のリスク

もうひとつ厄介なのは、図面そのものが現状を正しく反映しているとは限らないという点だ。増設・改修が繰り返されてきた設備では、竣工図に更新が反映されないまま機器だけが入れ替わっていることが珍しくない。図面上は旧型のVCBのままなのに、現物はすでに後継機種に交換されている、といった状態は、老朽化した設備ほど起こりやすい。

先の系列1・系列2の話とも重なるが、図面が古いということは、記号の読み方だけでなく、記載されている機器・定格そのものの信頼性にも留保が要るということだ。図面の記号と注記だけを鵜呑みにして発注や工事計画を進めると、現地に届いた部材が現物と合わない、という事態を招きかねない。発注前には、可能な範囲で現地の銘板を確認し、図面上の型番・定格と現物が一致しているかを照合してから見積もりに進むのが安全な手順になる。

よくある質問

単線結線図と複線図、どちらが「正しい」図面ですか?

どちらも正しい図面ですが、役割が違います。単線結線図は3本(またはそれ以上)の電線を1本の線に簡略化して描き、系統全体の構成を俯瞰するための図です。複線図は実際の配線経路・本数をそのまま描く図で、現場の施工・結線作業に使います。単線結線図だけを見て「電線が1本足りない」と判断するのは誤りで、そもそも本数を表現する図ではありません。

単線結線図の記号は誰が見ても同じ意味になりますか?

同じ規格に沿っていれば同じ意味になりますが、注意が必要な例外があります。IEC規格に整合したJIS C 0617(系列1)が1997年・1999年に制定され、これに伴い系列2を含む旧JIS C 0301:1990が廃止されました。ただし系列2は1949年から使われてきた記号で、保守・増設が続く既存設備では現在も使われる場合があり、新たに設計施工する製品は極力系列1を使う方針が示されています(JEMA技術資料)。古い図面ほど、どちらの記号体系で描かれているかを先に確認する必要があります。

単線結線図だけで電材を発注できますか?

記号と定格の書き込みまで揃っていれば発注リストの土台にはなりますが、それだけで完結しないことが多いです。電線の太さ・本数・こう長、端子台の極数、盤の外形寸法といった情報は単線結線図には描かれず、別途の仕様書・配線図・現地確認で補う必要があります。単線結線図はあくまで「何が、どの順で接続されているか」を示す地図であり、発注に必要な仕様の全部を1枚で背負っているわけではありません。

古い単線結線図と現状の設備が食い違っていたらどうすればいいですか?

図面上の記号・定格をそのまま信用して発注や工事計画を進めるのは危険です。増設・改修が繰り返された設備では、竣工図に反映されないまま機器が入れ替わっているケースが珍しくありません。発注前に現地で銘板を確認し、型番・定格が図面の記載と一致するかを照合してから見積もりに進むのが安全な手順です。

単線結線図から電材選定のご相談

単線結線図に描かれた記号と定格から、実際に発注すべき電材の型番まで落とし込む作業は、記号の意味だけでなく、現行品・後継品の情報とも突き合わせる必要があります。図面から拾った機器名・定格と、現地の銘板で確認した型番を添えて、見積もり依頼フォームから問い合わせできます。

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よくある質問

単線結線図と複線図、どちらが『正しい』図面ですか?

どちらも正しい図面ですが、役割が違います。単線結線図は3本(またはそれ以上)の電線を1本の線に簡略化して描き、系統全体の構成を俯瞰するための図です。複線図は実際の配線経路・本数をそのまま描く図で、現場の施工・結線作業に使います。単線結線図だけを見て『電線が1本足りない』と判断するのは誤りで、そもそも本数を表現する図ではありません。

単線結線図の記号は誰が見ても同じ意味になりますか?

同じ規格に沿っていれば同じ意味になりますが、注意が必要な例外があります。IEC規格に整合したJIS C 0617(系列1)が1997年・1999年に制定され、これに伴い系列2を含む旧JIS C 0301:1990が廃止されました。ただし系列2は1949年から使われてきた記号で、保守・増設が続く既存設備では現在も使われる場合があり、新たに設計施工する製品は極力系列1を使う方針が示されています(JEMA技術資料)。古い図面ほど、どちらの記号体系で描かれているかを先に確認する必要があります。

単線結線図だけで電材を発注できますか?

記号と定格の書き込みまで揃っていれば発注リストの土台にはなりますが、それだけで完結しないことが多いです。電線の太さ・本数・こう長、端子台の極数、盤の外形寸法といった情報は単線結線図には描かれず、別途の仕様書・配線図・現地確認で補う必要があります。単線結線図はあくまで『何が、どの順で接続されているか』を示す地図であり、発注に必要な仕様の全部を1枚で背負っているわけではありません。

古い単線結線図と現状の設備が食い違っていたらどうすればいいですか?

図面上の記号・定格をそのまま信用して発注や工事計画を進めるのは危険です。増設・改修が繰り返された設備では、竣工図に反映されないまま機器が入れ替わっているケースが珍しくありません。発注前に現地で銘板を確認し、型番・定格が図面の記載と一致するかを照合してから見積もりに進むのが安全な手順です。

単線結線図の読み方を相談しながら電材の見積もりを依頼できますか?

見積もり依頼フォームから問い合わせできます。単線結線図から拾った機器名・定格の一覧に加えて、現地の銘板で確認した型番、電線の太さ・こう長など図面に描かれていない情報を添えると、確認が進めやすくなります。

参考文献・出典

確認・変更の記録

出典照合日: (AIによる照合補助)

既存出典6件すべての到達と内容を確認し、2件を追加。JEMA JEM-TR 222でJIS C 0617シリーズの1997年・1999年制定と系列2を含むJIS C 0301:1990の廃止、系列2の1949年からの使用と保守・増設での継続使用、新規は極力系列1を確認。日本規格協会でJIS C 0617-1の履歴(1999制定・2011・2024改正)とJIS C 0617-7:2024の対象(開閉装置・制御装置・保護装置)、パラダイムで単線結線図の定義と略号一覧、電験超入門部でPAS・LBS(PF付き300kVA以下)・VCB(300kVA以上に多い)・DS・CT(通常5A)・VT(通常110V)等の役割、電匠NX・楽王で単線図と複線図の違い、三菱電機でVCBの定格電圧3.6/7.2kV表記を確認。従来本文の『第13部のアナログ素子』『IEC 60617第2版』『JIS C 0301は日本独自の記号体系(系列2)』『丸が重なった記号は変圧器、四角に斜線は開閉器』は出典で確認できず削除または出典どおりに修正し、発注例の『VCB・定格電圧6.6kV』は機器定格の表記(7.2kV)に修正。出典のない自社サービスの約束(図面PDFからの記号読み取り・型番選定の相談受付)は削除。6.6kV系統用機器を7.2kV定格とする対応関係は三菱電機の製品ページに明記がないため、本文では対応関係を断定せず、定格電圧が系統の公称電圧とは別の値である例として記述

個別設備の適合判定・技術者による承認を示すものではありません。

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