候補問題No.2の図には、本文とは別に「(特記)」という囲みがあり、そこにこう書かれている——「確認表示灯(パイロットランプ)は,常時点灯とする」。
一方、同じ13問のNo.10にも確認表示灯が登場するが、そちらの特記は「同時点滅とする」だ。器具は同じパイロットランプ。つながる電線も、どちらの条件でも2本。増えも減りもしない。
それなのに、この2つを取り違えた作品は一発不合格になる。しかも厄介なことに、間違えてもランプ自体は光ってしまうことがある。動いているように見えるのに落ちる。
見当がつかなくて当然だ。読み終えるころには、特記の一行を見ただけで、2本の電線をどこへ持っていくかが即座に決まるようになっている。
配線図そのものはここには載せない。公式PDFのNo.2を開いて、図と特記の囲みを見ながら読み進めてほしい。
図から読み取るもの
No.2 の配線図に描かれているのは、次の要素だ。
- 電源:VVF 2.0-2C、1φ2W 100V
- ランプレセプタクル(図中の「R」)2個。右側の1個は「施工省略」の枠の中にある
- 確認表示灯(パイロットランプ)と点滅器(点滅器の黒丸の上に、別置の確認表示灯の白丸)
- コンセント2個(傍記なしの1口と、傍記「2」の2口)
- 「施工省略」と書かれた部分
- そして特記——「確認表示灯(パイロットランプ)は,常時点灯とする」
記載のない電線の種類は VVF1.6 だ。電線の色別、リングスリーブか差込形コネクタか、施工省略部分の扱いは、当日の試験問題の施工条件で確定する。
パイロットランプの3つの結線
確認表示灯の結線には3通りある。名前を覚えるのではなく、「点滅器の前か、後か、並列か」という位置で覚えるとぶれない。
- 常時点灯——パイロットランプを、電源の非接地側と接地側に直接つなぐ。点滅器を経由しない。だからスイッチをどちらに倒しても点いたままになる。廊下や階段の足元灯のように「そこにスイッチがあること」を夜も示し続ける使い方だ。
- 同時点滅——パイロットランプを負荷と並列にする。点滅器を通った先(二次側)と接地側の間に入れるので、負荷と同じタイミングで点いたり消えたりする。換気扇が回っているかどうかを離れた場所で確認するような使い方。
- 異時点滅——パイロットランプを点滅器と並列にする。スイッチを切ったときに点き、入れると消える。いわゆるほたるスイッチ。
だから複線図では、パイロットランプの端子を2つ描いておいて、片方には迷わず白を引き、もう片方の行き先だけを特記に従って決める。この順で描けば取り違えようがない。
複線図を起こす思考の順序
- 電源の接地側(白)を、ランプレセプタクルの受金ねじ部、パイロットランプの片側、およびコンセントの接地側極の端子へ引く。
- 電源の非接地側(黒)を、点滅器とコンセントの非接地側極の端子へ引く。常時点灯の場合は、ここからパイロットランプのもう一方の端子にも引く。
- 点滅器の残り端子から、同じ文字の負荷へ戻り線を引く。
- ジョイントボックス内で束ねる箇所を接続点にする。
- 施工省略部分は、当日の施工条件が指示する扱い(端末処理の有無)に従う。
パイロットランプ・点滅器・コンセントは同じ埋込連用取付枠にまとめて取り付けられることがある。この場合、枠の中の器具の並び順は当日の施工条件で指定されるので、練習で覚えた並びをそのまま再現しないこと。
踏みやすい欠陥項目
- 3.誤接続,誤結線のもの——常時点灯と同時点滅の取り違えは、まっすぐここに落ちる。試験センターも「電気回路が正しく構成されていない(例:スイッチを入れてもランプが点灯しない,あるいは短絡など)場合は誤接続となります」と書いている。
- 4.電線の色別,配線器具の極性が施工条件に相違したもの——「ランプレセプタクルの受金ねじ部の端子」に白を結ぶといった指定は施工条件で示される。
- 8-9.心線が差込口から 2mm 以上露出したもの——パイロットランプはねじなし端子。ストリップゲージどおりに剥けば露出しない。
- 8-8.電線を引っ張って外れるもの——差し込みが浅いと起きる。奥まで真っ直ぐ入れる。
- 11-4.取付枠に配線器具の位置を誤って取り付けたもの(イ.配線器具が1個の場合に,中央以外に取り付けたもの/ロ.配線器具が2個の場合に,中央に取り付けたもの/ハ.配線器具が3個の場合に,中央に指定した器具以外を取り付けたもの)——連用箇所がある問題で毎年取りこぼしが出る。
- 12-5.器具を破損させたもの——差し込みを間違えて抜こうとし、ドライバーでこじって器具を欠く事故が多い。試験中の材料交換には応じてもらえない。
時間配分の目安
試験時間は40分の予定。以下は練習用の目安であり、試験センターが示した配分ではない。
| 工程 | 目安 |
|---|---|
| 施工条件と特記の読み込み・複線図 | 6分 |
| 寸法出しとケーブル切断 | 5分 |
| はぎ取り | 6分 |
| 器具への結線(ランプレセプタクルの輪作り、連用器具の差込) | 11分 |
| 電線相互の接続 | 7分 |
| 見直し | 5分 |
No.2 では、複線図に1分多く使ってよい。特記を読み飛ばして手を動かし始めるより、パイロットランプの2本の行き先を紙の上で確定させてから始めたほうが、結局は速い。
見直しでは、パイロットランプの2本を指でたどって「白はどこから来たか」「もう1本はどこから来たか」を声に出さず確認する。ここだけで一発不合格を1つ潰せる。
公式の標準解答で答え合わせ
令和8年度上期の第二種技能試験(2026年7月18日・19日実施)では、候補問題13問がすべて出題されました(試験センターの「問題と解答」ページの記載)。No.2 の問題と標準解答も、試験センターが公開しています。
- 候補No.2 の標準解答(PDF):完成作品の概念図、複線図、正解作品の例が載っています。
- 候補No.2 の試験問題(PDF):材料表と施工条件の原文です。
- 一覧は7月18日実施分と7月19日実施分のページにあります。No.2 の問題と標準解答は、両日で同じ内容でした(2026年10月7日確認)。
自分の作品を標準解答と見比べるときの着眼点を挙げます。公式の図や文章は転載せず、見る場所だけを自分の言葉でまとめています。括弧内の番号は、欠陥の判断基準の項目です。
- パイロットランプは、施工条件で「常時点灯」と指定されていました。スイッチを切っても点灯する結線になっているか、複線図を指でたどって確かめます。同時点滅の結線にしてしまうと、回路が条件と違うので誤結線(3)に当たります。
- 施工条件では、取付枠はタンブラスイッチとパイロットランプの部分に使います。2個を同じ枠に付けるので、中央を空けているか(11-4ロ)、表裏が合っているか(11-2)を見ます。
- コンセントは、2口と連用の2個です。接地側極端子(W表示)に白線が入っているか、ランプレセプタクルの受金ねじ部に白線が入っているか(4)を確認します。
- スイッチ、パイロットランプ、コンセントはねじなし端子です。差込口から心線が見えていないか(8-9)、引っ張って外れないか(8-8)を見ます。差し間違えて抜くときに器具を欠かないことも大切です(12-5)。
- 接続方法は、A部分がリングスリーブ、B部分が差込形コネクタです(2-4)。
- スイッチ及びパイロットランプの結線方法には、他にも正解がある、という公式の注記が標準解答に付いています。標準解答と線の通し方が違っても、条件と回路に合っていれば誤りとは限りません。
見比べは目安です。実際の判定は試験センターが判断基準に基づいて行い、欠陥が1つでもあれば不合格です。全細目の確認には欠陥チェックシート(自己採点用)も使えます。令和9年度の候補問題は、例年1月に試験センターが公表しており(令和6〜8年度は1月26日・1月17日・1月16日)、令和8年度から変わる可能性があるので、公表後は公式の配線図で最新の内容を確認してください。
表示灯の三択を、依頼者に提案できるようになる
常時点灯・同時点滅・異時点滅の3つを結線できるというのは、相手の困りごとに合わせて表示灯を選べるということだ。夜中に廊下でスイッチの位置がわからないなら、スイッチの状態に関係なく光り続ける常時点灯。屋根裏や浴室の換気扇が回っているかを手元で知りたいなら、負荷と並列にする同時点滅。どれを提案するかの判断が、そのままこの2本の線の行き先を決める作業になる。
今夜、家じゅうの壁を回って「光っているスイッチ」を探してみるといい。照明を点けても消しても光りっぱなしのものがあれば、それが常時点灯だ。この記事で描いた複線図が、そのまま自宅の壁の中で働いている。
つなぎ間違えてもランプ自体は光ってしまう——だからこそ試験は動作ではなく結線そのものを見る。動いているように見えるのに設計とは違う、という状態がいちばん危ない、という考え方は電気の仕事のあらゆる場面に共通する。表示灯は、機器の状態を人に見せる最も素朴な装置だ。その役割はセンサや遠隔監視に形を変えても消えず、「何を人に知らせるか」を決める仕事として残っていく。
冒頭の「なぜ2本しかないのに合否が入れ替わるのか」——答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。