候補問題No.5には、「20A 250V」と書き添えられた接地極付コンセントが登場する。家庭でおなじみの100V用コンセントとは、差込口の形からして違う。
そしてこのコンセントには、端子が3つある。2つは電気を送る端子だ。では3つ目は何か。——平常時、そこには電流がほとんど流れない。0.0何アンペアも流れない。ただ黙って、大地につながっているだけの端子だ。
電流が流れない端子に、わざわざ1本の電線を引く。しかも技能試験では、その1本を引き忘れた作品は、他がどれだけ美しく仕上がっていても「未完成」として扱われる。輪作りが完璧でも、寸法が寸分違わなくても、だ。
見当がつかなくて当然だ。読み終えるころには、なぜ「流れない線」がそこまで重く扱われるのかが分かる。
配線図そのものはここには載せない。公式PDFのNo.5を開いて読み進めてほしい。
図から読み取るもの
No.5 の配線図に描かれているのは、次の要素だ。
- 電源1:100V ——配線用遮断器(B)
- 電源2:200V ——漏電遮断器(BE)、注記「(対地電圧150V以下)」
- VVF 2.0-2C と VVF 2.0-3C
- ランプレセプタクル(図中の「R」)
- 20A 250V 接地極付コンセント
- D種接地工事の接地極
- イ・ロ の記号が振られた器具と、「施工省略」と書かれた部分
No.4 と同じく電源が2つあるが、No.5 の図には三相(3φ)の表記はない。200V側に「(対地電圧150V以下)」と添えられているのは、線間は200Vでも大地に対する電圧は150V以下だという意味だ。
複線図を起こす思考の順序
- 紙を分け、100V系統と200V系統を離して描く。
- 100V系統:接地側(白)を配線用遮断器のN端子へ、そこからランプレセプタクルの受金ねじ部などの接地側端子へ。非接地側(黒)は点滅器へ。点滅器から同じ文字の負荷へ戻り線。
- 200V系統:漏電遮断器の二次側から、接地極付コンセントの2つの電源極へ。色別は施工条件に従う。
- 接地線(緑)を別系統として描く。 コンセントの接地極の端子から接地極へ。
- ジョイントボックスを通る箇所を接続点としてまとめる。
- 施工省略部分は当日の施工条件の指示に従う。
接地極付コンセントの3つの端子
接地側極端子と接地極の端子は、名前が似ているだけの別物だ。 接地側極端子(N,W又は接地側と表示)は、平常時に電流が往復する回路の一部で、白を結ぶ。接地極の端子は回路の外にあり、緑の接地線を結ぶ。この2つを取り違えると、器具の外箱が回路の一部になってしまう。
端子の形式(ねじ締めか、ねじなしの差込式か)は支給される器具による。ねじ締めなら「8-1.心線をねじで締め付けていないもの」、ねじなしなら「8-9.心線が差込口から 2mm 以上露出したもの」で見られる。練習では実物を触って、どちらの基準で採点されるかを把握しておきたい。
踏みやすい欠陥項目
- 1.未完成のもの——接地線の結線忘れ、取付枠の取り付け忘れ。試験センターは「接地線を結線し忘れたものなどがこれに当たる」と明記している。
- 4.電線の色別,配線器具の極性が施工条件に相違したもの——接地側極端子への白、接地線への緑。
- 3.誤接続,誤結線のもの——100V系統と200V系統の取り違え、接地側極端子と接地極の取り違え。
- 11-1.取付枠を指定した箇所以外で使用したもの——施工条件の例として「埋込連用取付枠は,コンセント部分に使用すること」が挙げられている。
- 11-4.取付枠に配線器具の位置を誤って取り付けたもの(イ.配線器具が1個の場合に,中央以外に取り付けたもの/ロ.配線器具が2個の場合に,中央に取り付けたもの/ハ.配線器具が3個の場合に,中央に指定した器具以外を取り付けたもの)
- 8-7.ランプレセプタクル又は露出形コンセント等の巻き付けによる結線部分の処理が適切でないもの——輪作りは右巻き、3/4周超、ねじの端から5mm未満。
- 12-2.不要な工事,余分な工事又は用途外の工事を行ったもの——試験センターは例として「ランプレセプタクル等の取付用ビス穴から電線を通線したもの」「露出形コンセントの送り端子に電線を結線したもの」を挙げている。
時間配分の目安
試験時間は40分の予定。以下は練習用の目安であり、試験センターが示した配分ではない。
| 工程 | 目安 |
|---|---|
| 施工条件の読み込みと複線図(接地線まで描き切る) | 7分 |
| 寸法出しとケーブル切断 | 5分 |
| はぎ取り | 6分 |
| コンセント・ランプレセプタクル・遮断器への結線 | 11分 |
| 接地線と電線相互の接続 | 6分 |
| 見直し | 5分 |
VVF 2.0-3C は硬く、3本を扱う分だけボックス内が混み合う。曲げ癖を先に取っておくと後半が楽になる。
見直しは、接地線を最初に見る。緑の1本が接地極の端子にきちんと締まっているか、ここだけは指で軽く引いて確認する。そのあとで色別、寸法、圧着マークの順に見ていく。
公式の標準解答で答え合わせ
令和8年度上期の第二種技能試験(2026年7月18日・19日実施)では、候補問題13問がすべて出題されました(試験センターの「問題と解答」ページの記載)。No.5 の問題と標準解答も、試験センターが公開しています。
- 候補No.5 の標準解答(PDF):完成作品の概念図、複線図、正解作品の例が載っています。
- 候補No.5 の試験問題(PDF):材料表と施工条件の原文です。
- 一覧は7月18日実施分と7月19日実施分のページにあります。No.5 の問題と標準解答は、両日で同じ内容でした(2026年10月7日確認)。
自分の作品を標準解答と見比べるときの着眼点を挙げます。公式の図や文章は転載せず、見る場所だけを自分の言葉でまとめています。括弧内の番号は、欠陥の判断基準の項目です。
- 端子台(5極)が、配線用遮断器、漏電遮断器(2極2素子)、接地端子の代わりです。施工条件では、配線用遮断器の記号Nの端子に白線、接地線は緑色と指定されていました(4)。100V回路と200V回路の端子の取り違えがないか(3)、接地端子(ET)に結ぶ緑の線の行き先が複線図どおりか、標準解答と見比べます。
- 取付枠には、タンブラスイッチ2個と連用コンセント1個の3個が付きます。施工条件は「ロのタンブラスイッチは取付枠の中央」でした(11-4ハ)。
- 接続方法は、4本の接続箇所が差込形コネクタ、その他の接続箇所がリングスリーブと指定されていました(2-4)。4本用の差込形コネクタは1個なので、4本をまとめる箇所はどこか、複線図から確認します。
- 2.0mmと1.6mmの電線が混ざるので、リングスリーブの選択と圧着マークを見ます(6-1イ、6-1ロ)。
- ランプレセプタクルの輪作りと、ケーブルを引込口から通しているか(8-5、8-6、8-7)を確認します。
- スイッチ及びコンセントの結線方法には、他にも正解がある、という公式の注記が標準解答に付いています。
見比べは目安です。実際の判定は試験センターが判断基準に基づいて行い、欠陥が1つでもあれば不合格です。全細目の確認には欠陥チェックシート(自己採点用)も使えます。令和9年度の候補問題は、例年1月に試験センターが公表しており(令和6〜8年度は1月26日・1月17日・1月16日)、令和8年度から変わる可能性があるので、公表後は公式の配線図で最新の内容を確認してください。
200Vのコンセントを1個増やす、という工事
20A 250V の接地極付コンセントは、身の回りでは大型のエアコンや業務用機器、そして電気自動車の普通充電に使われている。100V用とは刃受のかたちがまったく違い、200Vの器具しか差さらない。15Aと20A、100Vと250Vで穴の形が全部違うのは、形そのものを誤挿入の防止装置にしているからだ。知っておくと、コンセントの顔つきだけで何V何Aの回路かが読めるようになる。
この回路を組めるということは、「駐車場に充電用のコンセントを付けたい」「200Vのエアコンを入れたい」という相談に、分電盤から先を自分の手で作って応えられるということだ。接地極への1本まで含めて、3本引いてはじめて一つの工事になる。
今日できるのは、自宅のエアコンや洗濯機のコンセントを覗くことだ。刃受が縦2本の並びなら100V、かたちが違えば200V。接地極の丸穴やアース端子が付いているかも合わせて見ておくと、No.5 の図が急に現実の話になる。電気自動車も、蓄電池も、ヒートポンプ式の給湯も200Vが前提だ。この1問は、これから増える工事の入口そのものにあたる。
冒頭の「電流が流れない端子に、なぜ1本引くのか」——答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。