候補問題No.13には、13問の中でここにしか出てこない器具がある。図記号は点滅器の黒丸●に傍記「A」を添えたもので、容量も添えて「A(3A)」と書かれた自動点滅器だ。暗くなると自動で照明を点ける、街路灯や玄関灯でおなじみのあれである。
この器具の端子は3つある。ここまでは、多くの人がすんなり受け入れる。ところが複線図を描き始めると、たいてい途中で鉛筆が止まる。
自動点滅器には、電源から来るVVFの2本(黒と白)がつながる。さらに屋外灯へ向かうVVRも2心(黒と白)ある。合わせて4本の電線が集まるのに、端子は3つしかない。どれか1つの端子には2本入るはずだ。それはどの端子で、どの2本なのか。
数え直しても合わない。3という数字が最初から間違っているようにすら見える。今は答えが出なくて当然で、読み終えるころには、この器具を数えるときに使う「単位」そのものが違っていたと分かるようになっている。
No.13に何が入っているか
公表された候補問題No.13の配線図には、次の要素が示されている。
- 電源:単相2線式(1φ2W)100V
- VVF 2.0-2C(電源側)。ほかに電線の種類の記載がないものはVVF 1.6(公表資料の注3)
- ランプレセプタクル(Rイ)と、それを入り切りする点滅器(イ)
- A(3A) =自動点滅器(傍記の「ロ」は、制御する屋外灯「ロ」との対応を示す。別の点滅器ではない)
- VVR 1.6-2C(自動点滅器から屋外灯ロへ)
- 屋外灯(ロ):施工省略
- 接地極付コンセントと、E 1.6(接地線)
- 接地極(ED):施工省略
公表資料の注記に「図記号は,原則としてJIS C 0303:2000に準拠している」「器具においては,端子台で代用する場合がある」とある。自動点滅器は端子台で代用される可能性がある器具の代表格で、その場合はどの端子が何に相当するかを示す結線図が試験問題に載る。
そして——「配線図,施工条件等の詳細については,試験問題に明記します」。端子の割り当て、電線の色、接続方法、施工省略の位置は、すべて当日の問題用紙で確定する。No.13は特に「端子番号の丸暗記」が効かない問題だと考えておきたい。
配線図そのものは試験センターの著作物にあたるためここには載せていない。公式PDFを開いて対応する図を見ながら読み進めてほしい。
自動点滅器は「スイッチ」ではない
自動点滅器は、周囲の明るさを検出して内部の接点を開閉する器具だ。暗くなると接点が閉じて負荷に電気が流れ、明るくなると開いて切れる。
ここが片切スイッチとの決定的な違いになる。片切スイッチは、人が指で接点を動かす。器具自身は電気を1ワットも使わない。だから電線は「切る線が入って、出る」の2本で足りる。
一方、自動点滅器は明るさを検出し、その結果で接点を動かすところまでを器具の中でやる。その動作のために、器具自身が電源を必要とする。電源は非接地側と接地側の2本セットでなければ成立しない。ここに、負荷へ送り出す1本が加わる。
自動点滅器の3端子は「入る2本+出る1本」ではなく、「器具を動かす電源2本+負荷へ送る1本」だ。
屋外灯の帰り線(接地側)も、自動点滅器の共通(接地側)端子に結ぶ。屋外灯へは別の電線が出ているのではなく、負荷端子から出る黒と、共通端子から出る白が、VVR 1.6-2Cの2心になって向かう。つまり共通端子には、電源から来る白と屋外灯へ向かう白の2本が入る。この端子は器具自身の電源の片側であり、同時に負荷の帰りの受け口でもある。
この見方に切り替えると、4本の電線が3つの端子に収まる理由が見える。1つの端子に入る電線が1本とは限らない。「スイッチだと思って数えた」ことが、鉛筆が止まった原因だった。
端子台で代用される場合、端子には番号が振られ、どれが電源側でどれが負荷側かは問題用紙の結線図に示される。この対応を暗記して臨むのは危険だ。試験センターの資料も、施工条件で結線図が示される場合について「結線図どおりに結線されていない」ものを欠陥の例として挙げている。覚えるべきは番号ではなく「電源2本+負荷1本」という役割の内訳で、その内訳さえ頭にあれば、当日どんな番号が振られていても読み替えられる。
複線図を起こす順序
- 接地側(白)を先に配る。 電源の接地側から、ランプレセプタクルRイの受金ねじ部、コンセントのW端子、そして自動点滅器の端子2(共通)まで。屋外灯へ向かうVVRの白も、同じ端子2に入る。端子2には白が2本集まる(番号は令和8年度上期の図2の例で、当日の図2で確認する)。
- 非接地側(黒)を配る。 電源の非接地側から、点滅器イ・コンセントの非接地側の端子・自動点滅器の端子1(電源)へ。
- 負荷へ送る線を引く。 点滅器イのもう一方の端子から、同じ傍記のランプレセプタクルRイへ。自動点滅器の端子3からは、VVRの黒で屋外灯ロへ送る。屋外灯ロは施工省略なので、VVRの先は結線しない。
- 接地線(E 1.6)を引く。 接地極付コンセントの接地極の端子に、接地線E 1.6を結線する。もう一端の接地極(ED)は施工省略の枠の中なので施工しない。施工条件では緑色の指定が置かれるのが一般的。
自動点滅器を先に描こうとすると混乱しやすい。接地側から順に配るという他の問題と同じ手順を崩さず、その途中で「自動点滅器の端子2には、電源の白と屋外灯の白の2本が入る」と気づく形にすると、本数を取り違えにくい。
VVR 1.6-2Cの外装はぎ取り
No.13のもう一つの関門が、丸形のVVRケーブルだ。VVFのような平形ではなく、外装の中に絶縁電線と介在物(すき間を埋める詰め物)が入っている。
試験センターの資料は、VVRやEM-EEFについて「材質の特性上VVF用ストリッパでは適切に外装をはぎ取れないことがあり,心線を傷つける原因となります。このため,これらのケーブルを扱う際は,電工ナイフを用いるなど,ケーブルの種類に応じた適切な方法で作業を行うことが重要です」と明記している。
作業の要点は次のとおり。
- 外装は電工ナイフで、周囲をぐるりと浅く切って引き抜く。縦に深く切り込むと絶縁被覆まで届く
- 外装をはいだら、はみ出した介在物は絶縁被覆の付け根で切る。ただし引き抜いてはいけない
- 絶縁被覆のはぎ取りはストリッパでよい。外装だけがナイフの仕事になる
- 資料は「近年,カッターナイフでケガをされて,手当のために退出された方が増えていますので,カッターナイフの使用を自粛してください」とも注意している
踏みやすい欠陥項目
5-1.ケーブル外装を損傷したもの
- イ.ケーブルを折り曲げたときに絶縁被覆が露出するもの
- ロ.外装縦われが20mm以上のもの
- ハ.VVR,CVVの介在物が抜けたもの
ハはVVRを扱う問題でしか出てこない項目だ。介在物を引き抜いてしまう、あるいは外装をはぐ勢いで抜けてしまうことがあるので、はぎ取り後に必ず確認する。
5-2.絶縁被覆の損傷で,電線を折り曲げたときに心線が露出するもの(ただし,リングスリーブの下端から10mm以内の絶縁被覆の傷は欠陥としない)
8-3ロ.端子台の低圧側の結線にあっては,端子台の端から心線が5mm以上露出したもの
自動点滅器が端子台で代用された場合、この5mmが基準になる。
8-4.絶縁被覆を締め付けたもの
端子台の座金が絶縁被覆を噛み込んでいる状態。心線だけが座金に入るように、はぎ取り長さを合わせる。
3.誤接続,誤結線のもの
自動点滅器の端子を取り違えると、ここに該当する。電源端子と負荷端子を入れ替えると回路が成立しない。
4.電線の色別,配線器具の極性が施工条件に相違したもの
接地線の緑、ランプレセプタクルの受金ねじ部への白、コンセントの接地側極端子(Wと表示)への白、自動点滅器(端子台)の記号2の端子への白。No.13は色別の指定が多い問題になりやすい。
12-2.不要な工事,余分な工事又は用途外の工事を行ったもの
「露出形コンセントの送り端子に電線を結線したもの」が例として挙げられている。端子が余っているからといって使ってはいけない。
時間配分の目安
試験時間はすべての候補問題について40分(公表資料)。以下は練習時の配分例で、公式に定められたものではない。
| 経過 | やること |
|---|---|
| 〜3分 | 問題文と施工条件を読む。自動点滅器の結線図と端子の割り当てをここで必ず確認する |
| 〜9分 | 複線図を描く。自動点滅器の3線の内訳(電源2+負荷1)を図の上で明示する |
| 〜14分 | ケーブル切断。VVRの外装は電工ナイフで、落ち着いて剥く |
| 〜27分 | ランプレセプタクルの輪作り、端子台への結線、連用取付枠への器具取付、接地線の結線 |
| 〜36分 | 電線相互の接続 |
| 〜40分 | 見直し。端子台が結線図どおりか、介在物が抜けていないか、色別が施工条件どおりかを確認 |
No.13は読む時間を他の問題より1分多く取りたい。自動点滅器の結線図を読み違えたまま作業を始めると、40分では取り返せない。逆に、そこさえ正しく読めれば、あとは他の問題と同じ作業の積み重ねになる。
公式の標準解答で答え合わせ
令和8年度上期の第二種技能試験(2026年7月18日・19日実施)では、候補問題13問がすべて出題されました(試験センターの「問題と解答」ページの記載)。No.13 の問題と標準解答も、試験センターが公開しています。
- 候補No.13 の標準解答(PDF):完成作品の概念図、複線図、正解作品の例が載っています。
- 候補No.13 の試験問題(PDF):材料表と施工条件の原文です。
- 一覧は7月18日実施分と7月19日実施分のページにあります。No.13 の問題と標準解答は、両日で同じ内容でした(2026年10月7日確認)。
自分の作品を標準解答と見比べるときの着眼点を挙げます。公式の図や文章は転載せず、見る場所だけを自分の言葉でまとめています。括弧内の番号は、欠陥の判断基準の項目です。
- 屋外灯へ向かう VVR(丸形)1.6-2C は、VVF用ストリッパでは外装を適切に剥げないことがあると、試験センターが注意しているケーブルです。介在物が抜けていないか、外装の縦われが20mm以上ないか、心線に傷がないかを見ます(5-1ハ、5-1ロ、5-3)。
- 自動点滅器は端子台(3極)で代用され、端子の内部結線は問題の図2に示されます。施工条件では、記号2の端子に白色の電線を結ぶ指定でした(4)。VVRの2心がどの端子に入っているか、記号2の端子に結ぶ白線が何本あるかを、標準解答の複線図と見比べます(3)。
- 接地線は、施工条件で緑色と指定されていました。接地極付コンセントの接地極側の端子に結線しているか(1、4)を見ます。接地極(ED)は施工省略の範囲です。
- 取付枠は、施工条件でコンセント部分に使います。器具が1個なので、中央に付いているか(11-4イ)を見ます。
- 接続方法は、A部分がリングスリーブ、B部分が差込形コネクタです(2-4)。
- 端子台の低圧側の結線で、端子台の端から心線が5mm以上出ていないか(8-3ロ)、絶縁被覆を挟んでいないか(8-4)を見ます。
見比べは目安です。実際の判定は試験センターが判断基準に基づいて行い、欠陥が1つでもあれば不合格です。全細目の確認には欠陥チェックシート(自己採点用)も使えます。令和9年度の候補問題は、例年1月に試験センターが公表しており(令和6〜8年度は1月26日・1月17日・1月16日)、令和8年度から変わる可能性があるので、公表後は公式の配線図で最新の内容を確認してください。
日が暮れたら勝手に点く、を自分で作る
自動点滅器は、街路灯、駐車場の照明、玄関灯、看板照明といった「毎日決まって暗くなったら点けたい」場所で今も現役だ。人が操作しない、時計も要らない、明るさそのものを見て動く——この素朴な仕組みが、消し忘れと点け忘れをまとめて片づけてくれる。No.13 を組めるということは、外構の照明を依頼どおりに自動化できるということになる。
端子が3つある理由も、いったん腑に落ちると忘れない。片切スイッチは接点を開閉するだけだから自分では電気を使わないが、自動点滅器は明るさを見張り続けるために自分の電源が要る。だから電源2本と負荷への1本で3つになる。「器具自身が動くための電気」という視点は、センサ、タイマ、調光器など、これから扱う器具のほとんどに共通する。
夕方、近所の街路灯が点く瞬間を見てみるといい。灯具の頭に小さな部品が乗っていれば、それが自動点滅器だ。なお、第二種電気工事士の免状を取ったあと実務経験を3年積むと、電気工事業の登録に必要な主任電気工事士になれる。13問の最後にあるこの課題は、自分の名前で工事を請けるところまで続く道の、最初の一歩でもある。
冒頭の「どれか1つの端子には2本入るはずだ。それはどの端子で、どの2本なのか」の答え合わせは、理解度チェックの最後の問題でしてみよう。