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電気に関する基礎理論 ・ 2 / 10

直列回路の合成抵抗

読み終えると、こうなる

豆電球が1個切れただけで飾り全体が消えた理由を、偶然ではなく必然として言い切れるようになる

  • 直列回路のどこか1点の電圧を聞かれたら、まず回路全体の電流を求めてからV=IRを当て、電源電圧をそのまま答える早合点を避けられる
  • 回路図にスイッチを見つけたら、閉じているか開いているかの状態どおりに線を描き直してから計算に入れる
  • 合成抵抗を求めたあと「各抵抗より大きいか」の一手で検算し、並列の式を混ぜた計算ミスに気づける
考えてみよう

実家の物置から、昔ながらの豆電球のイルミネーションを引っ張り出してきた。去年までは元気に光っていたはずなのに、コンセントに挿しても真っ暗のまま。

コードに沿って豆電球を1個ずつ見ていくと、フィラメントが切れているのはどうやら1個だけらしい。残りは見た目に何の異常もない。なのに、たった1個切れているだけで、なぜかイルミネーション全体が真っ暗になっている。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、その理由がその場で説明できるようになっている。

複数の抵抗を1本の道でつないだ「直列回路」では、電流の通り道が1本しかないため、合成抵抗は各抵抗の値をそのまま足し算するだけでよい。合成抵抗とは、いくつかの抵抗をまとめて1つの抵抗に置き換えたときの値のことだ。

R合成=R1+R2+R3+⋯R_{合成} = R_1 + R_2 + R_3 + \cdots

例題

10Ωと15Ωの抵抗を直列に接続したときの合成抵抗は何Ωか。

R合成=10+15=25ΩR_{合成} = 10 + 15 = 25\Omega
10Ω 15Ω a b 直列回路:aからbまで1本の道に、10Ωと15Ωが並んでいる。回路図の記号は、長方形が抵抗、黒丸が導線の分かれ目・つなぎ目、白丸が測る2つの端子(a・b)。試験の問題用紙でも抵抗は長方形で描かれる

直列は「道を継ぎ足していく」イメージなので、合成抵抗は必ず元の各抵抗より大きくなる。この方向性を覚えておけば、計算結果が明らかにおかしいときにすぐ気づける。

直列回路の電流の通り道は1本しかない。その1本道のどこか1か所でも抵抗が限りなく大きく(無限大に)なったらどうなるか——電流はもう、その先へ進めない。

電球のフィラメントが焼き切れるというのは、まさにこの状態だ。電気が通る細い金属線が途中で断たれ、そこだけ抵抗が事実上無限大になる。直列回路は1本道だから、抵抗値の合計がどれだけ大きくても小さくても関係なく、途中の1か所が無限大になった時点で回路全体がつながらなくなり、電流はゼロになる。他の電球のフィラメントがどれだけ健全でも、電流という「水」そのものが流れてこなければ光りようがない。

なお、最近のLEDイルミネーションでは、色ごとに必要な電圧が異なることもあり、直列ではなく並列に配線してそれぞれに抵抗をつける構成がよく使われている。並列であれば道は複数本になるので、1個が不点灯になっても他の道の電流には影響しにくい。同じ「電球の1個切れ」でも、回路のつなぎ方次第で結果はまったく違ってくる。

解き方の手順(電圧を聞かれたとき・スイッチがあるとき)

ある抵抗の両端の電圧を聞かれたときは、電源の電圧をそのまま答えない。電流を先に出してから、知りたい抵抗にだけ V=IRV=IR を当てる。

例題:90Vの電源に、10Ωと20Ωの抵抗が直列につながっている。20Ωの抵抗の両端の電圧は何Vか。

  1. 合成抵抗を出す。 10+20=30Ω10 + 20 = 30\Omega
  2. 回路全体の電流を出す。 I=90÷30=3AI = 90 \div 30 = 3\text{A}。直列なので、どちらの抵抗にも同じ3Aが流れる。
  3. 知りたい抵抗にだけ V=IRV=IR を当てる。 20Ωの両端は 3×20=60V3 \times 20 = 60\text{V}。

検算:10Ωの両端は 3×10=30V3 \times 10 = 30\text{V}。30V+60V=90Vで、電源の電圧に戻る。答えの60Vは電源の90Vより小さい。

スイッチが描かれているときは、計算の前に、スイッチの状態どおりに回路を描き直す。閉じたスイッチは抵抗0Ωの導線と同じで、開いたスイッチは線が切れているのと同じだ。ある抵抗にスイッチが並列に付いていて、それが閉じていれば、電流は抵抗を通らず導線の近道を通る。その抵抗は回路から消える。

120V 60Ω 20Ω スイッチ 開いている:60Ω+20Ω=80Ω 120V 60Ω 20Ω スイッチ 閉じている:20Ωが飛ばされ60Ωだけ 電池記号の120V電源に、60Ωと20Ωが直列で、20Ωにスイッチが並列に付いた回路。上は開いている状態で、電流は 120÷80=1.5A。下は閉じている状態で、黄色の近道を電流が通り、20Ωは消えて 120÷60=2A。抵抗が減るので電流は増える

検算の向きも決まっている。スイッチを閉じると抵抗が減るので、電流は必ず増える。

保護装置がわざわざ「1本道」に入っている理由

ブレーカーもヒューズもスイッチも、負荷と直列に入っている。1本道のどこか1か所が開けば全体が止まる——この性質は、電球にとっては故障だが、保護装置にとっては仕事そのものだ。合成抵抗が足し算だという知識の一歩先には、「危ないときに確実に止められる場所をどこに置くか」という設計の思想がある。

故障探しも同じ理屈で進む。電源からブレーカー、スイッチ、器具までは1本道なので、電源を切ったうえでテスタの導通レンジを区間ごとに当てていけば、切れている場所を機械的に絞り込める。今日なら、スイッチ付きの電源タップをコンセントから抜いて、スイッチのONとOFFで導通が変わることを確かめてみるといい。「スイッチとは、抵抗を無限大にしたり戻したりする部品だ」という感覚がつかめる。

この考え方は、これから増える設備でも変わらない。太陽光発電では、パネルを何枚も直列につないで電圧を積み上げた単位(ストリング)を作る。1本道である以上、1枚に影が落ちればその列全体の出力が落ちてしまう。だからパネルにはバイパスダイオードが組み込まれ、影になったセルを電流が迂回できるようにしてある。直列の弱点を正確に知っている人が、それを回避する部品を設計したわけだ。

冒頭のイルミネーションで何が起きていたのか、答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 合成抵抗ではなく「端子a-b間の電圧」を聞き、分圧を計算させる

    なぜ引っかかる直流回路の図を示して、特定の2点間の電圧を答えさせる問題が毎回のように出ている。直列回路では電源電圧がそのまま1つの抵抗にかかるわけではなく、抵抗の比で分け合う。合成抵抗の練習ばかりしていると、電源電圧の値をそのまま答えてしまう。

    見破り方まず回路全体の電流を求め、次に見たい抵抗にだけ V=IR を当てる。この二段構えなら分圧の公式を覚えていなくても必ず出せる。答えたあとに「その電圧は電源電圧より小さいか」を確かめると、取り違えはその場で分かる。

  2. スイッチを1つ描き入れ、閉じると抵抗が短絡されて計算から消えるようにしてある

    なぜ引っかかる回路図の一部にスイッチを描き入れ、それを閉じた状態での電圧や電流を答えさせる設問が繰り返し出題されている。抵抗と並列に置かれたスイッチを閉じると、その抵抗の両端が同電位になり、抵抗値がいくつであろうと回路から消える。スイッチを装飾だと思って読み飛ばすと、開いたままの回路を解いてしまう。

    見破り方スイッチの状態どおりに回路を描き直してから計算に入る。閉じたスイッチは1本の線、開いたスイッチは切れた跡。描き直しさえすれば、あとはいつもの足し算とオームの法則で終わる。

  3. 直列の問題の選択肢に、並列で計算した値を混ぜておく

    なぜ引っかかる5Ω・10Ω・15Ωを直列にした問題の選択肢には、正解の30Ωと並んで、並列として計算した約2.7Ωのような、各抵抗より小さい値が置かれている。直列と並列は式の形が似ているうえ、直前に並列を練習していると手が勝手に和分の積へ動く。

    見破り方直列なら答えは必ず一番大きい抵抗より大きく、並列なら必ず一番小さい抵抗より小さい。この向きの検算を1回はさむだけで、式を取り違えた答えは全部落ちる。

参考文献・出典

理解度チェック(7問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、7問で確認しよう。 内訳は基本4問・応用2問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 7 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 直列は電流の通り道が1本しかないので、合成抵抗は各抵抗を単純に足し算するだけ
  2. R合成 = R1 + R2 + R3 + …
  3. 直列は道を継ぎ足すだけなので、合成抵抗は必ず各抵抗より大きくなる
  4. 電球のフィラメントが切れる=その部分の抵抗が無限大になるということ。直列回路の1本道にこの箇所が1つでもできると、回路全体の電流が0になる
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