熱電対と測温抵抗体(RTD/Pt100)は、温度を電気信号に変える原理そのものが異なるセンサーで、熱電対は異種金属の接合部に生じる熱起電力を読み、測温抵抗体は白金線の電気抵抗が温度で変わる性質を読む。 常温域の精度を最優先するなら規格上の許容差が小さい測温抵抗体、測温抵抗体の使用温度範囲を超える高温域を測るなら熱電対を選ぶのが基本で、測定温度域と雰囲気の組み合わせで判断する。
熱電対と測温抵抗体の選び方 判断表
| 項目 | 熱電対 | 測温抵抗体(RTD/Pt100) |
|---|---|---|
| 規格の許容差(100℃) | K クラス1で±1.5℃ | クラスAで±0.35℃、クラスBで±0.80℃ |
| 規格の許容差(高温側) | K クラス1は375℃以上1000℃未満で±0.004|t|℃(900℃なら±3.6℃) | 高温域は規格の適用範囲外になる |
| 使用温度の上限(岡崎製作所の資料) | K熱電対は素線径3.2mmで常用限度1000℃、R熱電対は0.5mmで1400℃ | 高温用(H)は0〜600℃、常温用(N)は-30〜200℃ |
| 応答速度 | 感温部を細くできるほど速い | 保護管式は大きく応答が遅い。シース測温抵抗体は細く応答が速い(キーエンスの解説による) |
メーカー品番は林電工の取扱品種一覧で確認できる。
熱電対と測温抵抗体(RTD/Pt100)の違い
違いは測っている物理量にある。熱電対は2種類の異なる金属を接合し、両端の温度差で生じる熱起電力を読む。測温抵抗体(RTD)は白金線の電気抵抗が温度で変わる性質を読む。JEMIMA(日本電気計測器工業会)の解説にあるとおり、工業用熱電対はJIS C1602がB・R・S・K・E・J・T・N・Cの9種類を規定し、測温抵抗体はJIS C1604が0℃で100Ωの「Pt100」を規定している。
どちらが優れているかではなく、規格が精度を規定する幅と温度範囲が別物だという点に違いは集約される。次の2つの表は、その規定値をクラスごとに並べたものだ。
測温抵抗体(Pt100)の許容差——クラス別
| 許容差クラス | 許容差の式 | 0℃での許容差 | 100℃での許容差 | 200℃での許容差 |
|---|---|---|---|---|
| クラスAA | ±(0.1+0.0017|t|)℃ | ±0.10℃ | ±0.27℃ | ±0.44℃ |
| クラスA | ±(0.15+0.002|t|)℃ | ±0.15℃ | ±0.35℃ | ±0.55℃ |
| クラスB | ±(0.3+0.005|t|)℃ | ±0.30℃ | ±0.80℃ | ±1.30℃ |
| クラスC | ±(0.6+0.01|t|)℃ | ±0.60℃ | ±1.60℃ | ±2.60℃ |
前提: 式はJIS C1604が定める許容差(数値は林電工の技術資料で確認。クラスA・Bはキーエンス、山里産業の解説とも一致)。|t|は測定温度の絶対値(℃)で、0℃・100℃・200℃の欄はこの式に代入した計算値。各クラスには規格が定める適用温度範囲があるので、実際の適用可否は使用温度で確認する必要がある。表の値はセンサー素子側の許容差であり、実際の測定誤差にはこれに配線方式(後述の2線式・3線式・4線式)、変換器、受信計器の誤差が加算される。
熱電対の許容差——種類・クラス別
| 種類・クラス | 低温側の許容差 | 適用範囲 | 高温側の許容差 | 適用範囲 |
|---|---|---|---|---|
| K クラス1 | ±1.5℃ | -40℃以上375℃未満 | ±0.004|t|℃ | 375℃以上1000℃未満 |
| K クラス2 | ±2.5℃ | -40℃以上333℃未満 | ±0.0075|t|℃ | 333℃以上1200℃未満 |
| J クラス1 | ±1.5℃ | -40℃以上375℃未満 | ±0.004|t|℃ | 375℃以上750℃未満 |
| J クラス2 | ±2.5℃ | -40℃以上333℃未満 | ±0.0075|t|℃ | 333℃以上750℃未満 |
| T クラス1 | ±0.5℃ | -40℃以上125℃未満 | ±0.004|t|℃ | 125℃以上350℃未満 |
| T クラス2 | ±1.0℃ | -40℃以上133℃未満 | ±0.0075|t|℃ | 133℃以上350℃未満 |
前提: JIS C1602が定める許容差(数値は林電工の技術資料で確認。K熱電対のクラス1 ±0.4%・クラス2 ±0.75%という%表記は理化工業の解説と同じ内容で、±0.004|t|・±0.0075|t| と同義)。表の温度は「許容差が規定される範囲」であって、空気中で連続使用できる限度(常用限度)とは別の指標。K熱電対なら100℃はクラス1で±1.5℃、900℃なら±0.004×900=±3.6℃になる。同じ100℃をPt100クラスAで測ると±0.35℃で、常温付近では測温抵抗体のほうが許容差は小さい。ただし測温抵抗体は岡崎製作所の資料で高温用(H)が0〜600℃、常温用(N)が-30〜200℃とされており、それより高い温度域は熱電対の領域になる。
熱電対の原理——ゼーベック効果という現象
熱電対の仕組みは、1821年にドイツの物理学者ゼーベックが発見した現象に由来する。2種類の異なる金属導体で閉回路を作り、両方の接合点に温度差を与えると、回路に起電力が生じる。この起電力の大きさと極性は、組み合わせた2種類の金属の材質と、両端の温度差だけで決まる。金属ごとに固有の「ゼーベック係数」という値があり、この係数の差が大きい金属の組み合わせほど、同じ温度差でも大きな起電力を生む。
熱電対の測温接点(先端の測定側)と基準接点(計器側)の間に温度差が生まれれば、そのまま起電力として温度が読み取れる——理屈だけを追うと単純明快に見える。ところがこの単純さは、あとで見るように配線側の落とし穴を生みやすい構造でもある。異種金属の組み合わせという原理そのものが、接続部の1か所を間違えるだけで測定全体を狂わせる弱点にもなるからだ。
測温抵抗体の原理——金属の抵抗は温度で変わる
測温抵抗体はまったく別の物理現象を利用する。金属の電気抵抗は温度が上がるほど増加するという性質があり、この抵抗値の変化から温度を逆算する仕組みだ。
数ある金属の中で測温抵抗体の素線に選ばれているのは、ほぼ白金(Pt)一択と言っていい。化学的に安定していて酸化しにくく、温度と抵抗値の関係が直線に近く扱いやすい。中でも0℃のときの抵抗値が100Ωになるよう作られた「Pt100」が、工業用途で圧倒的な主流になっている。JIS C1604はこのPt100を含む白金測温抵抗体の許容差を、クラスAA・クラスA・クラスB・クラスCの4段階で規定している。式はクラスAAが±(0.1+0.0017|t|)℃、クラスAが±(0.15+0.002|t|)℃、クラスBが±(0.3+0.005|t|)℃、クラスCが±(0.6+0.01|t|)℃で、|t|は測定温度の絶対値(℃)だ(数値は林電工の技術資料で確認)。0℃で見ればクラスAAが±0.1℃、クラスCが±0.6℃で6倍の開きがあり、この差が精度を求める計装現場では選定の分かれ目になる。なお2013年の改定では、使用温度範囲の区分に常温用「N」(-30〜200℃)が新設され、許容差が測温抵抗体と抵抗素子に分けて規定されるようになった(抵抗素子はさらに巻線形と薄膜形に分類。岡崎製作所の改定解説より)。
精度・使用温度・応答速度——並べてみると役割が違う
原理が違えば、得意分野も違う。実務上の勘所は、許容差・使用温度の上限・応答速度の項目に集約できる。
| 項目 | 熱電対 | 測温抵抗体(RTD/Pt100) |
|---|---|---|
| 規格の許容差(100℃) | K クラス1で±1.5℃ | クラスAで±0.35℃、クラスBで±0.80℃ |
| 規格の許容差(高温側) | K クラス1は375℃以上1000℃未満で±0.004|t|℃(900℃なら±3.6℃) | 高温域は規格の適用範囲外になる |
| 使用温度の上限(岡崎製作所の資料) | K熱電対は素線径3.2mmで常用限度1000℃、R熱電対は0.5mmで1400℃ | 高温用(H)は0〜600℃、常温用(N)は-30〜200℃ |
| 応答速度 | 感温部を細くできるほど速い | 保護管式は大きく応答が遅い。シース測温抵抗体は細く応答が速い(キーエンスの解説による) |
応答速度の項目にある「速い・遅い」は、感覚的な表現ではなく時定数という指標で定義されている。時定数とは、対象温度が急に変化したとき、センサーの指示値がその変化量の約63%に到達するまでにかかる時間のことだ(オムロンのFA用語辞典による定義)。感温部が小さく、保護管や周囲の熱容量が小さいほど、この時定数は短くなる。キーエンスの解説でも、保護管式測温抵抗体はサイズが大きく応答が遅い一方、シース測温抵抗体は細く空気層がないため応答が速いとされており、応答速度は方式そのものより感温部と保護管の太さで決まる面が大きい。
価格についても補足しておきたい。センサーの価格は方式だけでなく保護管・配線方式・素線径で変わるため、方式だけで一概には比べられない。判断の軸は、「0℃で約10倍、100℃で約4倍という許容差の差」に見合うだけの価値があるかどうかであって、単純に安い方を選べばよいという話ではない。
熱電対の種類の使い分け——K・J・T・Rは何が違うのか
熱電対には、組み合わせる金属によっていくつもの種類がある。JIS C1602が定める種類のうち、工業用でよく使われるのは次の通りだ。
- K熱電対: +脚がクロメル(ニッケル・クロム系合金)、-脚がアルメル(ニッケル・アルミニウム系合金)。JIS C1602のクラス1は-40℃以上375℃未満が±1.5℃、375℃以上1000℃未満が±0.004|t|℃、クラス2は-40℃以上333℃未満が±2.5℃、333℃以上1200℃未満が±0.0075|t|℃(林電工・理化工業の技術資料より)。常用限度・過熱使用限度は素線径で変わり、岡崎製作所の一覧では素線径0.65mmで650℃/850℃、3.2mmで1000℃/1200℃。酸化性雰囲気に強く、工業用として最も多く使われている。ただし還元性雰囲気には弱く、一酸化炭素や亜硫酸ガス、硫化水素などの雰囲気での使用は不適とされる(岡崎製作所の解説による)。
- J熱電対: +脚が鉄、-脚がコンスタンタン(銅・ニッケル系合金)。クラス1は-40℃以上375℃未満が±1.5℃、375℃以上750℃未満が±0.004|t|℃と、許容差が規定される上限がKより低い。常用限度・過熱使用限度は岡崎製作所の一覧で素線径0.65mmが400℃/500℃、2.3mmが550℃/750℃。還元性雰囲気に強い一方、酸化性雰囲気では+脚の鉄の酸化が早いため不適とされる(岡崎製作所の解説による)。
- T熱電対: +脚が純銅、-脚がコンスタンタン。クラス1は-40℃以上125℃未満が±0.5℃、125℃以上350℃未満が±0.004|t|℃で、この±0.5℃はK・J・E・Nのクラス1(±1.5℃)より小さい。常用限度・過熱使用限度は素線径0.65mmが200℃/250℃、1.6mmが300℃/350℃。300℃以下で高精度が得られ、とくに-200〜+100℃の低温用に向く(岡崎製作所の解説による)。
- R熱電対(貴金属系): 白金ロジウム13%と白金の組み合わせ。岡崎製作所の一覧では素線径0.5mmで常用限度1400℃・過熱使用限度1600℃とされ、卑金属系より高温域の測定に使われる。酸化性雰囲気では安定している一方、還元性雰囲気や金属蒸気中には極めて弱い傾向がある。
熱電対の使用温度の上限には「許容差が規定される温度範囲」と「常用限度・過熱使用限度」の2種類がある。前者はJISが精度を規定する範囲、後者は空気中で連続使用できる温度の限度で、後者は素線径によって変わる。K熱電対でも岡崎製作所の一覧では常用限度が0.65mmの650℃から3.2mmの1000℃まで幅があるので、カタログの数値は必ず該当する素線径のものを見たい。混同しやすいのが許容差クラスの上限で、クラス1が1000℃、クラス2が1200℃と表記されているのは測定できる温度の違いではなく、JISが精度を規定する範囲の違いだ。チノーの技術FAQでも、クラス1の1000℃以上はJISの規格外となるため精度は保証しないが温度の計測自体は可能である、と説明されている。
こう並べると、選び方の軸は結局「測定温度域」と「雰囲気」の掛け合わせに収束する。高温の酸化雰囲気ならK、還元性雰囲気や中温域ならJ、常温〜低温での精度を求めるならT、さらに高温を狙うならR、という順に選択肢が絞り込まれていく。K熱電対が工業用として最も多く使われているのは、素線径3.2mmで常用限度1000℃という範囲の広さと酸化性雰囲気への強さによるところが大きい。
測温抵抗体の配線方式——2線式・3線式・4線式で何が変わるか
測温抵抗体を選ぶとき、種類の議論以上に見落とされやすいのが配線方式だ。測温抵抗体はセンサー自体の抵抗値を測って温度に変換する仕組みのため、センサーから変換器・記録計までをつなぐリード線の抵抗が、そのまま誤差の原因になりうる。
- 2線式: 構造がもっとも簡単で配線コストも安いが、キーエンスの解説にあるとおり導線抵抗値がそのまま抵抗値として加算されるため、あらかじめ導線抵抗値を調べて補正する必要がある。Pt100はR100/R0=1.3851、すなわち0〜100℃で平均約0.385Ω/℃の変化率なので(山里産業の規格解説の値から換算)、往復のリード線抵抗が1.0Ωあれば約2.6℃、0.5Ωでも約1.3℃が指示値に上乗せされる計算になる。センサーと変換器の距離が近い簡易測定向けの方式だ。
- 3線式: 抵抗素子の片側に2本、もう片側に1本のリード線を配し、3本の抵抗値が等しいという前提のもとで、ブリッジ回路の両辺に振り分けてリード線抵抗の影響を相殺する。工業計測用としてもっとも標準的に使われている方式である。
- 4線式: 電流を流す導線と電圧を検出する導線を完全に分離するため、原理上はリード線抵抗の影響をほぼ受けない。もっとも精度が求められる標準器や精密測定・校正用途で使われる。
ここで実務上つまずきやすいのが、「既設が2線式だったから」という理由だけで更新後も2線式を踏襲してしまうケースだ。往復1.0Ωで約2.6℃という誤差の大きさは、Pt100クラスBの許容差(0℃で±0.30℃)の8倍以上にあたる。配線距離が短い簡易的な監視用途であれば実害が出にくいこともあるが、プロセス制御や品質管理に直結する温度計測であれば、更新のタイミングで3線式以上への切り替えを検討する価値は十分にある。配線方式の違いは、センサー本体の性能表には現れてこない誤差要因であるだけに、見落とされやすい。
選定時の注意点——保護管・耐食性・応答時間
センサー本体の種類が決まっても、実際に測定対象へ挿し込む「保護管」の選定を誤ると、想定した性能は発揮されない。岡崎製作所の技術資料でも、保護管は測温箇所の使用温度・雰囲気・目的によって適した材料や形状を選ぶ必要があると解説されている。同社の保護管材料の一覧では、SUS304は耐熱・耐酸・耐アルカリに優れる一方で硫黄・還元ガスに弱く、27Cr鋼やコバルト基合金は硫黄ガスに強いとされており、雰囲気によって材料を使い分ける必要がある。
応答時間についても注意が要る。同じ種類の熱電対や測温抵抗体でも、保護管を太く頑丈にすればするほど、感温部と対象物との間の熱容量が増え、時定数は長くなる。「耐久性を重視して太い保護管を選んだら、温度変化への追従が遅くなった」という状況は、性能が劣化したのではなく、選定の段階で耐久性と応答速度がトレードオフの関係にあることを見落とした結果だ。急激な温度変化を監視したい制御ループに、頑丈さ優先の太い保護管を組み合わせるのは避けたい。
配線側の落とし穴も見ておきたい。熱電対は補償導線という専用のケーブルで計器まで接続するが、この補償導線には極性がある。岡崎製作所のFAQでは、極性を逆に接続すると、本来は無視できるはずの端子箱と受信計器の間の温度差が、そのまま測定誤差として現れると解説されている。夏場と冬場で室温差が大きくなる環境では、この誤差が10℃以上に達する例もあるという。指示値がおかしいと感じたとき、センサー本体の故障を疑う前に、まず配線の極性を確認する価値はここにある。
FAQ
Q. 熱電対と測温抵抗体の違いは何ですか?
A. 測っている物理量が違います。熱電対は2種類の異なる金属を接合し、両端の温度差で生じる熱起電力を読む方式で、JIS C1602がB・R・S・K・E・J・T・N・Cの9種類を規定しています。測温抵抗体(RTD)は白金線の電気抵抗が温度で変わる性質を読む方式で、JIS C1604が0℃で100ΩのPt100を規定しています。規格が定める許容差も別物で、Pt100クラスAは±(0.15+0.002|t|)℃(100℃なら±0.35℃)、K熱電対クラス1は375℃以上1000℃未満で±0.004|t|℃(900℃なら±3.6℃)です。常温から中温域の精度なら測温抵抗体、より高い温度域なら熱電対、という使い分けになります。
Q. 熱電対と測温抵抗体(Pt100)では、どちらが精度が高いですか?
A. 規格の許容差で比べると、常温域では測温抵抗体のほうが小さくなります。0℃ではPt100クラスAが±0.15℃、K熱電対クラス1が±1.5℃で約10倍の差、100℃ではPt100クラスAが±(0.15+0.002×100)=±0.35℃、K熱電対クラス1が±1.5℃で約4倍の差です。ただし測温抵抗体は岡崎製作所の資料で高温用(H)が0〜600℃、常温用(N)が-30〜200℃とされており、それを超える高温域では熱電対しか選択肢が無くなります。精度の優劣は測定温度域とセットで判断するものだと考えてください。
Q. 熱電対のクラス1とクラス2は何が違いますか?
A. 許容差の大きさと、その許容差が規定される温度範囲が違います。K熱電対の場合、クラス1は-40℃以上375℃未満が±1.5℃、375℃以上1000℃未満が±0.004|t|℃。クラス2は-40℃以上333℃未満が±2.5℃、333℃以上1200℃未満が±0.0075|t|℃です。クラス1のほうが許容差は小さいのに上限が1000℃と低いのは、測れる温度の上限が低いという意味ではなく、JISが精度を規定する範囲の上限がそこまでだからです。チノーの技術FAQでも、クラス1の1000℃以上はJISの規格外となるため精度は保証しないが温度の計測自体は可能である、と説明されています。
Q. 熱電対と測温抵抗体、結局どちらを選べばいいですか?
A. 精度を最優先するなら測温抵抗体(RTD/Pt100)、測温抵抗体では届かない高温域を含む広い温度範囲なら熱電対が基本線です。キーエンスの解説でも、環境の温度測定には測温抵抗体、工業炉の温度測定には熱電対という使い分けが一般的とされています。熱電対は種類を選べばT熱電対の低温域(-200℃付近)からB熱電対の過熱使用限度1700℃まで対応します(岡崎製作所の一覧による)。両者は代替品ではなく、測定目的によって使い分ける別方式の機器だと考えるのが実務的です。
Q. K熱電対とJ熱電対、どちらを使えばよいですか?
A. 工業用の汎用温度計測ではK熱電対が広く使われています。岡崎製作所の一覧ではK熱電対の常用限度は素線径3.2mmで1000℃(過熱使用限度1200℃)で、酸化雰囲気に強い特性を持ちます。J熱電対は同2.3mmで常用限度550℃(過熱使用限度750℃)とKより低温域向けですが、還元性雰囲気でも使用できます。測定対象が高温の酸化性雰囲気ならK、還元性雰囲気や中温域で価格を抑えたいならJ、という使い分けが基本です。常用限度は素線径で変わるため、実際の選定では該当する素線径の値で確認してください。
Q. 測温抵抗体の配線を2線式から3線式に変えると何が変わりますか?
A. 配線抵抗による誤差が大きく減ります。キーエンスの解説にあるとおり、2線式は導線抵抗値がそのまま抵抗値として加算されるため補正が必要です。Pt100はR100/R0=1.3851、つまり0〜100℃で平均約0.385Ω/℃なので、往復のリード線抵抗が1.0Ωあれば約2.6℃、0.5Ωでも約1.3℃が指示値に上乗せされる計算になります。3線式は3本のリード線の抵抗が等しいという前提のもとで導線抵抗の影響を回避する方式で、工業計測用として最も広く使われています。より高い精度が必要な標準器・精密測定では、電流供給線と電圧検出線を完全に分離し導線抵抗の影響を完全に回避できる4線式が使われます。
Q. 熱電対の指示値がおかしいとき、まず何を疑うべきですか?
A. 配線の極性間違いをまず疑うべきです。熱電対や補償導線の極性を逆に接続すると、本来はほぼ無視できるはずの端子箱と受信計器の温度差が、そのまま測定誤差として現れます。岡崎製作所の技術資料では、夏や冬は温度差が大きくなるため10℃以上の誤差も生じうると説明されています。次に、断線や接続部の劣化、保護管内部での結露・腐食を確認する順序が実務的です。
温度センサーの調達について
熱電対・測温抵抗体は、測定温度域と雰囲気、必要な精度、配線方式まで含めて条件が揃って初めて正しい型番にたどり着く部品です。既設設備の更新であれば現物の型番確認が最優先です。新規に選定する場合は、測定対象の温度範囲と雰囲気、求める精度、設置場所までの配線距離を整理しておくと、型番を絞り込みやすくなります。電材サーチでは品種リストを作って見積もり依頼ができます。
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