第二種電気工事士の勉強を始めると、最初に身体に入るルールがある。白は接地側。ランプレセプタクルの受金ねじ部は白、コンセントの接地側極端子は白、配線用遮断器のN端子は白。何度も書かされ、反射になるまで刷り込まれる。
ところが候補問題No.4の配線図には、電源が2つある。1φ2W 100V と、3φ3W 200V だ。そしてこの作品の中には、白なのに接地側ではない電線が同居することになる。
その白を、刷り込まれた反射のまま結んだら何が起きるか。作業は完璧でも、そこで終わる。
見当がつかなくて当然だ。読み終えるころには、目の前の白い電線が「接地側の白」なのか「そうでない白」なのかを、一目で見分けられるようになっている。
配線図そのものはここには載せない。公式PDFのNo.4を開いて読み進めてほしい。
図から読み取るもの
No.4 の配線図に描かれているのは、次の要素だ。
- 電源1:1φ2W 100V ——配線用遮断器(B)
- 電源2:3φ3W 200V ——漏電遮断器(BE)
- VVF 2.0-2C と VVF 2.0-3C
- 電源表示灯(図中の「R」=ランプレセプタクル)
- 三相電動機(M)3φ200V
- D種接地工事の接地極
- 「施工省略」と書かれた部分
どの部分を施工省略とするか、遮断器や電動機を端子台で代用するか、電線をどの色にするかは、すべて当日の試験問題で確定する。公表資料の注4には「器具においては,端子台で代用する場合がある」とあり、出題方法には「配線図,施工条件等の詳細については,試験問題に明記します」とある。
2つの電源を混ぜないための描き方
複線図を起こすとき、No.4 では最初にやることが1つ増える。
紙を左右(または上下)に分け、100V系統と200V系統を物理的に離して描く。同じ紙の上で線が交差し始めた時点で、混線は起きる。
そのうえで、それぞれの系統を別々に完成させる。
100V系統(1φ2W)
- 電源の接地側(白)を、配線用遮断器の接地側極端子(N)へ。
- 遮断器の出口から、接地側は各負荷の接地側端子へ、非接地側は点滅器へ。
- 点滅器から同じ文字の負荷へ戻り線。
200V系統(3φ3W)
- 3本の電圧線(R・S・T)を、漏電遮断器の一次側へ。色は施工条件に従う。
- 遮断器の二次側から、電動機(またはその代用端子台)へ3本を引く。
- 接地線は別系統として、接地極へ。
三相の色別は、試験センターが施工条件の代表例として挙げているものが「R相に赤色,S相に白色,T相に黒色」だ。ただしこれは例であり、当日の施工条件が優先する。ここでも丸暗記は禁物で、問題用紙の色別指定を読んでから複線図に色を書き込む。
この問題特有の難所
器具代用の可能性が高い。 三相電動機や遮断器は端子台で代用されることがある。その場合、端子の割り当ては当日の説明図に示される。No.3 と同じく、説明図を複線図に書き写す手順を挟むこと。
遮断器への結線。 配線用遮断器は実物が支給される場合がある。実物はねじ締め端子で、心線をねじで締め付けたうえで、器具の端から心線が5mm以上出れば「8-3ハ」で欠陥だ。
電源表示灯。 ランプレセプタクルが電源表示灯として使われている。ランプレセプタクルである以上、輪作りの基準(右巻き、3/4周超、ねじの端から5mm未満、外装が台座の中に入っていること、カバーが締まること)はそのまま適用される。どの相・どの回路につなぐかは配線図と施工条件で確定する。
踏みやすい欠陥項目
- 3.誤接続,誤結線のもの——100V系統と200V系統の取り違え。試験センターは「電気回路が正しく構成されていない(例:スイッチを入れてもランプが点灯しない,あるいは短絡など)場合は誤接続となります」と書いている。
- 4.電線の色別,配線器具の極性が施工条件に相違したもの——相の色を1本ずらすとここ。
- 8-3ハ.配線用遮断器又は押しボタンスイッチ等の結線にあっては,器具の端から心線が 5mm 以上露出したもの
- 8-3ロ.端子台の低圧側の結線にあっては,端子台の端から心線が 5mm 以上露出したもの——電動機を端子台で代用した場合。
- 8-4.絶縁被覆を締め付けたもの
- 1.未完成のもの——接地線の結線忘れ。
- 6-1イ.リングスリーブの選択を誤ったもの——2.0mmと1.6mmが混在する問題ではスリーブの大きさと圧着マークを取り違えやすい。
時間配分の目安
試験時間は40分の予定。以下は練習用の目安であり、試験センターが示した配分ではない。
| 工程 | 目安 |
|---|---|
| 施工条件・説明図の読み込みと複線図(2系統を分けて) | 8分 |
| 寸法出しとケーブル切断 | 5分 |
| はぎ取り | 6分 |
| 遮断器・端子台・ランプレセプタクルへの結線 | 11分 |
| 接地線と電線相互の接続 | 6分 |
| 見直し | 4分 |
読み込みと複線図に8分。13問の中でも多めに取ってよい問題だ。系統を取り違えたまま作り進めると、後半で気づいても40分では戻れない。
見直しでは、200V側の3本を色ごとに指でたどり、100V側の白が接地側の端子だけに行っていることを確認する。
公式の標準解答で答え合わせ
令和8年度上期の第二種技能試験(2026年7月18日・19日実施)では、候補問題13問がすべて出題されました(試験センターの「問題と解答」ページの記載)。No.4 の問題と標準解答も、試験センターが公開しています。
- 候補No.4 の標準解答(PDF):完成作品の概念図、複線図、正解作品の例が載っています。
- 候補No.4 の試験問題(PDF):材料表と施工条件の原文です。
- 一覧は7月18日実施分と7月19日実施分のページにあります。No.4 の問題と標準解答は、両日で同じ内容でした(2026年10月7日確認)。
自分の作品を標準解答と見比べるときの着眼点を挙げます。公式の図や文章は転載せず、見る場所だけを自分の言葉でまとめています。括弧内の番号は、欠陥の判断基準の項目です。
- 端子台(5極)が、配線用遮断器(2極1素子)と漏電遮断器(3極3素子)の代わりです。端子の読み方は図2にあります。施工条件では、配線用遮断器の記号Nの端子に白線、200V回路はR相に赤・S相に白・T相に黒と指定されていました(4)。色と端子の組が複線図どおりかを確認します。
- 三相電源のS相は接地されているものとし、電源表示灯はS相とT相の間に接続する、と施工条件に書かれていました。電源表示灯の接続先を、標準解答の複線図で確かめます(3)。
- 令和8年度上期の問題の材料表には、緑色の電線がありませんでした。三相電動機(M)と接地極(ED)は施工省略の範囲なので、接地線などを自分で足していないかを見ます(12-2)。
- AとBの接続方法の割り当ては、問題ごとに違います。この問題ではA部分が差込形コネクタ、B部分がリングスリーブでした(2-4)。前に練習した問題の記憶で決めず、条件文で確認します。
- リングスリーブは小だけが支給され、2.0mmと1.6mmの電線が混ざります。電線の組合せに合った選択と圧着マークになっているか(6-1イ、6-1ロ)を、組合せ表と照らして見ます。
- 取付枠にはスイッチとコンセントの2個が付きます。中央を空けているか(11-4ロ)を確認します。
- スイッチ及びコンセントの結線方法には、他にも正解がある、という公式の注記が標準解答に付いています。
見比べは目安です。実際の判定は試験センターが判断基準に基づいて行い、欠陥が1つでもあれば不合格です。全細目の確認には欠陥チェックシート(自己採点用)も使えます。令和9年度の候補問題は、例年1月に試験センターが公表しており(令和6〜8年度は1月26日・1月17日・1月16日)、令和8年度から変わる可能性があるので、公表後は公式の配線図で最新の内容を確認してください。
単相と三相が同居する現場に立つ
三相200Vが来ているのは、住宅よりも店舗や小さな工場だ。業務用エアコンの室外機、冷蔵ショーケース、ポンプ、コンプレッサ——動力と呼ばれるこれらは三相で回る。2つの電源が同居する図を混乱せずに読めるということは、そういう物件の依頼を断らずに済むということでもある。
三相には、単相にない面白さがある。R相・S相・T相のうち2本を入れ替えるだけで、つないだ電動機は逆に回る。ポンプなら水が出ない、コンプレッサなら圧が上がらない。「配線は合っているのに動かない」の正体がこれだ。だから200V側の色は、接地側かどうかではなく相の並びを示す記号として決められている。No.4 で白がS相を指すのは、その約束の一部にすぎない。
街に出たら、飲食店の裏手にある室外機の銘板を見てみるといい。「3φ200V」と書かれていれば、その壁の内側に No.4 と同じ形の回路がある。業務用機器の更新や省エネ化が進むかぎり、動力の仕事はなくならない。100Vだけで完結しない現場に手が届くかどうかは、この1問の読み分けから始まる。
冒頭の「白なのに接地側ではない電線」——答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。