2階建て住宅の階段照明を、1階と2階どちらのスイッチからも点灯・消灯できるようにする「3路スイッチ」の配線を終えた。1階のスイッチを操作すると廊下灯は問題なく点滅する。ところが2階のスイッチをどれだけ操作しても、廊下灯はうんともすんとも反応しない。
配線図を何度見返しても、間違いは見当たらない。電源を切った状態でテスタ(回路計)を該当の端子に当ててみると、本来ならスイッチの「入」「切」に応じて導通あり・導通なしが切り替わるはずの区間が、スイッチをどちらに動かしても導通なしのままだった。
図面上は正しく見えるのに、なぜテスタは「通じていない」と示し続けるのか。このトピックを読み終えるころには、導通試験が何を調べる検査なのか理解できているはずだ。
導通試験は、回路計(テスタ)や導通チェッカーを使って、配線に断線がないか、誤配線(結線ミス)がないかを確認する試験だ。
- 抵抗レンジまたは導通確認用のブザーレンジを使い、配線の両端を当てて電気が通じているかを確認する
- 電源を必ず遮断した状態(停電状態)で行う。通電中に導通試験を行うと、テスタの故障や感電の原因になる
- スイッチの結線が正しいかどうかは、スイッチを「入」「切」それぞれの状態にしたときに、導通の有無が設計どおりに切り替わるかで確認できる
- コンセントでは、接地側(W表示)と非接地側(対地電圧側)が図面・器具の極性表示どおりに結線されているかの確認にも使われる
回路計が示す「導通あり」と「導通なし」。この2つの状態が、設計図どおりに切り替わるかどうかを確かめること——それが導通試験のすべてだ。絶縁抵抗測定や接地抵抗測定と違い、明確な数値基準があるわけではない。
配線図が正しく見えても、実際の結線を間違えていたり、途中で線が断線していたりすることは現場でしばしば起こる。目視だけでは分からないこうした問題を、テスタを当てるだけで見つけ出せるのが導通試験の役割だ。
アナログ式の回路計で、抵抗を測る手順
導通試験でも抵抗の測定でも、アナログ式の回路計の手順は同じだ。本番では「次のうち誤っているもの」の形で、この手順の1か所が書き換えられて出る。
- 電池が有効かを確認する。
- 抵抗(Ω)のレンジに切り替える。 測る相手の大まかな値が分かっていれば、倍率(×1、×10、×1kなど)を適切に選ぶ。
- 赤と黒のテストリードの先を短絡(くっつける)して、指針が0Ωを指すように調整する。 「0Ω調整」だ。リードを離した開放の状態では、抵抗は無限大(∞)になる。
- 被測定物にテストリードを当てて、指示値を読む。
- レンジに倍率表示があるときは、読んだ指示値に倍率を掛けて測定値とする。 ×10レンジで20Ωを指せば200Ωだ。割ると小さくなってしまい、誤りになる。
抵抗を測るときは、被測定物に電圧が加わっていない状態(停電)で行う。
回路計で測れるもの、測れないもの
回路計(テスタ)で測定できるのは、直流電圧・直流電流・交流電圧・抵抗だ。一部の機種は交流電流も測れる。ただし、漏れ電流の測定には使えない。漏れ電流は、クランプ式の漏れ電流計で測る(漏れ電流の測定)。「回路計」と「漏れ電流」の組合せは、測定器と用途の誤り選択の定番だ。
テスタ1本で、目に見えない断線を言い当てる
導通試験は、道具の敷居がいちばん低い検査だ。回路計(テスタ)は数千円から手に入り、抵抗レンジとブザーレンジさえ使えれば今日から練習できる。しかも練習台は身のまわりにいくらでもある。使っていない延長コード、断線が疑わしいイヤホン、切れているか分からないヒューズ、押しても反応しないスイッチ付きタップ。コンセントから抜いた状態で両端に当てれば、ブザーが鳴るか鳴らないかで答えが出る。
これを繰り返すと、原因の切り分けができるようになる。「照明が点かない」という同じ症状に対して、器具が悪いのか、配線が切れているのか、結線が違うのかを、推測ではなく試験結果で分けられる。家族から不調の相談を受けたときに、まず何を確かめるかを言える人は強い。
数値基準がないことを、物足りなく感じるかもしれない。だが導通試験が問うているのは「設計どおりか」であって、性能の良し悪しではない。図面のとおりに現実ができているかを、自分の手で確かめる作業だ。3路スイッチの渡り線1本の入れ違いは、目でいくら追っても見つからず、通電すれば「なぜか片方から消せない」という不可解な症状になって現れる。それがテスタを当てた瞬間に確定する。この気持ちよさは、道具を握った人にしか分からない。
冒頭の廊下灯で何が起きていたのか、答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。