在庫確認・見積は今すぐ フォームで依頼する 写真の添付もOK / 24時間受付

部分放電試験・部分放電測定とは何か|停電して課電する試験と、TEV法・UHF法・超音波法の違い、GISのpC管理値

・ 読了目安: 10分 ・ 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー)

毎月欠かさずTEV検出器を盤面にかざしてきた高圧設備がある。「異常なし」の記録がずっと続いていて、担当者もその数字を信じていた。ところが実際に絶縁劣化が進んでいたのは、盤の中ではなく、そこから伸びる高圧ケーブルの接続部だった。TEV検出器は正常に動作していたし、測定手順にも問題はなかったはずだ。ただ、その部分放電は金属製の筐体を持たないケーブル内部で起きていて、TEV検出器が拾う信号——筐体の継目やガスケットから漏れ出す電磁波——の経路には、そもそも乗っていなかった。

測定者に落ち度はない。TEV法は電磁波を拾う検査であり、電磁波が伝わる経路の外側で起きていることまでは原理的に検知できない。部分放電測定は、絶縁劣化をまだ壊れていないうちに見つけられる数少ない手段として注目されている一方で、「この検査さえしておけば安心」という単純な話ではない現実がある。

部分放電とは何か——絶縁破壊の「前駆現象」

部分放電(PD:Partial Discharge)は、2つの電極間の絶縁体に何らかの不純物や隙間が存在したとき、そこに局部的な絶縁破壊が生じて起こる放電現象と説明される。絶縁体の中にある気泡(ボイド)は、周囲の絶縁体本体より誘電率が低い。そのため電圧をかけると、ボイドにかかる電圧のほうが周囲より高くなり、結果的にボイドの中だけが先に耐えきれず短絡してしまう。これが部分放電の起きる仕組みだ。

厄介なのは、この放電が起きた瞬間に設備がただちに壊れるわけではない、という点だ。放電現象はまず絶縁体の内部にとどまり、外部への影響は現れない。しかし繰り返し放電が起きるたびに絶縁体は少しずつ損傷し、その損傷が育っていくことで、最終的には外部と直接接触してしまう場合がある。総研電気株式会社の解説でも、部分放電は絶縁破壊の前駆現象であると位置づけられている。つまり部分放電測定が狙っているのは、絶縁抵抗が目に見えて落ちるよりも前の、もっと早い段階の兆しだ。

放電の起き方も一様ではない。株式会社サンコーシヤの分類によれば、絶縁体内部のボイドで起きる「ボイド放電」は最終的に絶縁破壊・地絡につながる可能性があるとされる一方、ケーブル終端接続部の表面などで起きる「コロナ放電」は絶縁体内部そのものには関係しないとされ、リスクの大きさは放電の種類によって異なる。同じ「部分放電が検出された」という結果でも、その中身は一枚岩ではない。

検出方式ごとに「聞こえる音」が違う

ここから先が、この検査のいちばんわかりにくいところだと思う。部分放電を検知する方法は一つではなく、TEV法・HFCT法・超音波法(AE法)・UHF法という、原理も検出範囲も異なる複数の手法が併存している。

TEV法(過渡接地電圧法)は、部分放電が金属製の筐体を持つ開閉器やケーブルボックスの内部で発生した際、放射されたエネルギーが筐体内部の金属表面に誘導され、継目・ガスケット・排気口といった隙間から外部へ漏れ出す現象を捉える方法だ。閉塞配電盤の扉を開けなくても、盤面にセンサを当てるだけで検知できる手軽さが特徴で、実際の携帯型測定器(Megger PD SCAN)ではTEVセンサの帯域幅は2〜80MHzに設定されている。

HFCT法(高周波変流器法)は、接地線に流れる高周波電流を検出する方法で、主にケーブルの診断に使われる。同じ携帯型測定器ではHFCTセンサの帯域幅は100kHz〜20MHzとされ、TEV法とは別の周波数帯を担っている。冒頭のケースのように、放電が金属筐体の外——ケーブル自体の内部——で起きている場合、頼るべきはこちらの方式になる。

超音波法(AE法)は、放電に伴って発生する音響信号(超音波)をマイクで拾う方法だ。同測定器のAEセンサー・フレキシブル超音波マイクの中心周波数は30・40・80kHzに設定されており、パラボラレシーバーを使えば設備に触れることなく離れた場所からもコロナ放電などを検知できる。三菱電機技報の解説によれば、この振動・超音波による検出方式は電磁波検出方式に比べて感度が劣るとされ、主な役割はガス絶縁開閉装置(GIS)内部を動き回る自由異物の検出用に移り変わってきたという。感度で劣る分、空気中を伝わる放電を離れた場所から拾えるという別の強みで補っている格好だ。

UHF法は、これらの中でもっとも高い感度を持つとされる方式だ。三菱電機技報によれば、検出する電磁波の周波数帯はUHF帯(500〜1,500MHz以上)まで引き上げられており、これはそれより低いVHF帯以下では外部ノイズが多く、ノイズの少ないUHF帯を使うことで検出精度を高めるという狙いによる。ただしUHF法は主にGIS内蔵の平面アンテナ型センサとして実装されており、既設のGISに後付けする場合も絶縁スペーサ部という特定の箇所へのセンサ取り付けが必要になる。つまりTEV法のように「盤面にセンサを当てるだけ」という手軽さは、UHF法には期待しにくい。感度の高さと導入のしやすさは、必ずしも両立しない。

検出方式と「部分放電試験」の一覧

下表のうち帯域・中心周波数・測定範囲は、携帯型部分放電検出装置 PD SCAN(Megger/JFEアドバンテック)のカタログ仕様に基づく実装値であり、方式そのものの理論上の限界ではない。UHF法の周波数帯だけは三菱電機技報の記載による。

検出方式拾う物理量周波数帯・測定範囲主な対象停電
TEV法(過渡接地電圧法)金属筐体の隙間から漏れ出す電磁波帯域幅 2〜80MHz/測定範囲 -10〜80dBmV金属閉鎖型の開閉器・ケーブルボックス・高圧配電盤不要(扉を開けず盤面に当てる)
HFCT法(高周波変流器法)接地線に流れる高周波電流帯域幅 100kHz〜20MHz/測定範囲 -10〜80dB/インピーダンス 50Ω高圧ケーブル不要
超音波法(AE法)放電に伴う音響信号中心周波数 30・40・80kHz/測定範囲 -10〜70dBµV空気中を伝わるコロナ放電・沿面放電。GIS内を挙動する自由異物不要(パラボラレシーバーなら非接触)
UHF法UHF帯の電磁波UHF帯 500〜1,500MHz 又はそれ以上GIS測定自体は活線。ただしGIS内蔵の平面アンテナ型センサが前提で、既設機には絶縁スペーサ部への外付けが要る
部分放電試験(課電試験)印加電圧ごとの放電電荷量・放電開始電圧・放電消滅電圧見掛け電荷(pC)で評価中国電気保安協会が高圧機器絶縁劣化試験の対象に挙げる発電機・電動機・変圧器・高圧ケーブルなど要(試験電圧を別途印加するため、設備を止めて行う)

最終行だけが性格の違うものだ。上の4方式は運転中の設備を外から診る検査だが、最終行は設備を止めて自分で電圧をかける試験で、得られる数値も判定の仕方も別物になる。次節で分けて説明する。

現場が一台で済ませない理由

こうした制約の違いを裏づけるように、実際の携帯型測定器は、単一のセンサだけで完結していない。前述のPD SCANは、キュービクルなど高圧配電盤だけを扱うなら標準セット(TEVのみ)、ケーブルも扱うならHFCTを追加したセット、より詳細な分析をしたいならフレキシブル超音波マイクとAEセンサーを追加したセット、屋外設備も扱うならパラボラレシーバーまで加えたセットという具合に、対象設備の広がりに応じてセンサー構成そのものが分かれている。一台のTEV検出器だけを買い足しておけば済む、という発想では、扱う設備の幅が広がった時点で足りなくなる。

検出した後の話も一様ではない。放電を検知しただけでは、それがコロナ放電なのか沿面放電なのか、あるいは絶縁破壊に直結しうる内部放電なのかまでは分からない。PD SCANでは放電レベルの大きさとパルスの数から自動診断を行い、PRPD(位相分解部分放電)という表示によって放電の種類とノイズとの分別を可能にしている。三菱電機技報が紹介するエキスパートシステムも同様に、放電の数・電荷量・発生位相とその変化傾向から、どのような部分放電が発生しているかの推定を行うという。数値が出た、で終わりではなく、その数値がどんな位相パターンを描いているかまで見て初めて、放置していい放電か、対応が要る放電かの判断がつく。

部分放電試験とは——電圧を印加して、放電開始電圧と放電電荷量を測る

ここまでのTEV法・HFCT法・超音波法・UHF法は、運転中の設備の外側から放電の痕跡を拾う検査だ。これに対して「部分放電試験」と呼ばれるものは、被測定物に交流電圧を徐々に印加し、放電そのものを発生させて測る課電試験を指すことが多い。中国電気保安協会は、発電機・電動機・変圧器・高圧ケーブルなどを対象とする高圧機器絶縁劣化試験の一項目として、被測定物に交流電圧を徐々に印加し、各印加電圧ごとの放電電荷量、放電開始電圧、放電消滅電圧及び最大放電電荷量を測定して劣化を判断する、と説明している。試験電圧を別途かける方式である以上、設備を運転したままでは行えない。同協会のページで「無停電で診断」と明記されているのは、これとは別項のケーブル活線診断のほうだ。

部分放電試験で測る4つの量

測定する量何を見ているか
放電開始電圧印加電圧を上げていったときに、部分放電が始まる電圧
放電消滅電圧印加電圧を下げていったときに、部分放電が止まる電圧
各印加電圧ごとの放電電荷量その電圧での放電の大きさ。見掛け電荷としてpC(ピコクーロン)で表す
最大放電電荷量測定中に観測された放電電荷量の最大値

運転電圧より低い電圧で放電が始まる、いったん始まった放電が電圧を下げてもなかなか止まらない——こうした形で、劣化の進み具合が電圧の数値として出てくる。PD SCANの自動診断が正常・注意・危険の3種類のアイコンで結果を返すのに対し、部分放電試験は電圧という連続した軸の上で劣化の位置を測れる。これが、停電させてまで課電する理由になっている。

何pCが基準になるのか——規格が求める値は下がり続けている

以下はいずれもガス絶縁開閉装置(GIS)の部分放電診断の文脈で示された値で、放電電荷量はIEC 60270による見掛け電荷(pC)として表される。キュービクル内の高圧機器にそのまま当てはめられる数値ではないので、適用する規格と対象機器を先に確認すること。

出典・規格示されている値
電気協同研究 第46巻第4号(1990年)掲載された検出事例から、50〜100pCの検出感度があれば十分と理解できる水準だった(三菱電機技報による要約)
JEC-2350(2005年)部分放電が雑音レベル以下であること。雑音レベルは10pC以下が望ましい
IEC 62271-2035pC
CIGRE報告(2013年)1〜2pCの放電現象を検出する必要性を提示

三菱電機技報は、部分放電の研究が進むにつれて管理推奨基準はより低い放電電荷量側に更新される傾向にあると述べ、部分放電診断の導入期の検出能力である50〜100pCは浮き電極放電だけを検出できる能力だったとしている。同誌によれば、JEC-2350(2005年)では、それまで参考試験とされていた部分放電試験が形式試験項目として規定された。GISの部分放電試験は、参考扱いの一項目から、製品の形式を確認するために必ず行う試験へと格上げされたことになる。

どれくらいの大きさの欠陥が、何pCの放電になるのか

三菱電機技報が2013年のCIGRE報告から引く表1「限界異物長と放電電荷量」は次のとおり(放電電荷量はIEC 60270による見掛け電荷)。

欠陥の種類限界異物長放電電荷量
金属異物(moving particle)3〜5mm2〜10pC
高圧導体上の突起(protrusion on HV conductor)約1mm1〜2pC
外被上の突起(protrusion on enclosure)4〜6mm2pC
絶縁物上の異物(particle on insulation)1〜2mm約0.5pC
ボイド(void)直径3〜4mm1〜2pC

ここでいう「限界異物長」は、その欠陥が問題になる大きさを指す。つまりどの行も等しく限界の条件なのに、そこで出てくる放電電荷量は約0.5pCから10pCまで20倍の開きがある。絶縁物の上に載った1〜2mmの異物は約0.5pCしか出さず、雑音レベルが10pC程度の測定系では雑音に埋もれてしまう。何pCまで見える系なのかが、そのまま「どの欠陥まで見つけられるのか」に直結する。管理推奨値の議論が1〜2pCまで下りてきた2013年のCIGRE報告に、この対応関係が併せて示されているのはそのためだ。

他の劣化診断とどう違うのか

このサイトでは、絶縁劣化を見つけるための検査として、赤外線サーモグラフィによる点検や直流漏れ電流法もすでに取り上げてきた。これらと部分放電測定は、そもそも見ている物理量が違う。サーモグラフィは接触抵抗の増大が生む「熱」を見る検査であり、直流漏れ電流法は絶縁体を通り抜ける「漏れ電流」の大きさと時間変化を見る検査だ。これに対して部分放電測定は、絶縁体の内部で瞬間的に起きている放電そのものが発する電磁波・電流・音を直接捉えようとする点で異なる。中国電気保安協会の資料でも、部分放電試験は直流漏れ電流試験・Tanδ試験・活線診断と並ぶ複数ある診断法の一つとして位置づけられている。どれか一つが万能な検査というわけではなく、漏れ電流としてまだ現れていない早期の予兆を拾いたいのか、すでに進行した劣化の程度を数値で把握したいのかによって、選ぶべき検査が変わってくる。

まとめ——測定方式の選定こそが診断の核心

部分放電は、絶縁破壊が起きるよりずっと手前の、微小な段階で検知できる可能性を持つ現象だ。しかしそれを「検知できる」のは、放電が起きている場所と、使う測定方式の検出経路が一致しているときに限られる。金属筐体の隙間から漏れる電磁波を拾うTEV法、接地線の電流を拾うHFCT法、空気中の音を拾う超音波法、GIS内蔵センサで高感度を狙うUHF法——それぞれが「聞こえる範囲」を持ち、その外側で起きていることには原理的に手が届かない。だからこそ現場の測定器は、対象設備に応じて複数のセンサーを組み合わせる構成になっている。冒頭のケーブル接続部の例のように、盤内は健全でも盤外のケーブルで放電が進んでいることは起こりうる。どの設備の、どの部位の放電を捉えたいのかを先に決めてから、検出方式を選ぶ順序が欠かせない。

高圧設備向けの絶縁抵抗計・測定器の調達については、松本電業株式会社の「電材サーチ」でお見積りのご相談を承っています。実際の部分放電診断業務そのものは電気保安協会や専門の診断業者が請け負っているケースが多く、自社で機器を保有するか外部の診断サービスを活用するかは、設備の重要度と点検頻度に応じてご検討いただくのがよいかと思います。

見積もり依頼をする →

よくある質問

部分放電試験とは何ですか?

被測定物に交流電圧を徐々に印加し、各印加電圧ごとの放電電荷量、放電開始電圧、放電消滅電圧及び最大放電電荷量を測定して絶縁劣化を判断する試験です(中国電気保安協会の説明)。同協会は、発電機・電動機・変圧器・高圧ケーブルなどを対象とする高圧機器絶縁劣化試験の一項目として、直流漏れ電流試験・tanδ試験と並べて挙げています。試験電圧を別途かける方式のため設備を運転したままでは行えず、運転中の設備を外から診るTEV法・超音波法などとは、段取りも得られる数値も違います。

部分放電試験の合否は何pCで判断するのですか?

対象設備と適用する規格によって違い、一律のpC値はありません。ガス絶縁開閉装置(GIS)については、JEC-2350(2005年)が「部分放電が雑音レベル以下であること、雑音レベルは10pC以下が望ましい」とし、IEC 62271-203は5pC、2013年のCIGRE報告は1〜2pCの検出の必要性を示しています(三菱電機技報 Vol.89 No.11)。同誌は、管理推奨基準がより低い放電電荷量側へ更新される傾向にあるとしています。いずれもGISの部分放電診断の文脈で示された値であり、キュービクル内の高圧機器にそのまま当てはめられる数値ではありません。

部分放電試験と部分放電測定は同じものですか?

現場では両方の言い方が混ざって使われており、呼び名だけでは区別できません。中国電気保安協会が「部分放電試験」として説明しているのは、被測定物に交流電圧を徐々に印加して放電開始電圧や放電電荷量を測る課電試験です。一方、TEV法・HFCT法・超音波法・UHF法のように運転中の設備を外から診る検査も、現場では「部分放電測定」「部分放電診断」などと呼ばれます。語で判断せず、(1)停電が必要か、(2)測るのは放電の有無とレベルか、それとも放電開始電圧・放電電荷量か——この2点を先に確認してください。見積や仕様書に「部分放電を見てほしい」とだけ書かれている場合、この2点が食い違うと作業計画がまるごと変わります。

部分放電測定さえしていれば、絶縁劣化は必ず見つかりますか?

いいえ、そうとは言い切れません。TEV法は金属製の筐体の隙間から漏れ出す電磁波を拾う検査であり、筐体を持たないケーブル内部の放電はHFCT法(接地線の電流を見る検査)のほうが向いています。逆にUHF法は非常に高い感度を持ちますが、主にGIS(ガス絶縁開閉装置)内蔵のセンサや絶縁スペーサ部への取り付けを前提としており、既設のキュービクルに単純に外付けできる検査ではありません。超音波法(AE法)は空気中を伝わるコロナ放電や沿面放電の検出には強い一方、電磁波検出方式に比べて感度が劣るとされています。対象設備と検知したい放電の種類に応じて検出方式を選ぶ、あるいは組み合わせる必要があります。

部分放電測定は停電させずにできますか?

TEV法・超音波法(AE法)は、いずれも設備を通電させたまま外側から検知する非破壊・非接触の検査として使われています。TEVセンサは閉塞配電盤の扉を開けることなく盤面に当てるだけで測定でき、超音波法もパラボラレシーバーを使えば設備に触れずに離れた場所から検知できます。停電を伴う直流漏れ電流試験などとは異なり、稼働を止めずに定期的な確認がしやすい点が、これらの検出方式が現場で使われる理由の一つです。

部分放電が検出されたら、その設備はすぐに壊れるのですか?

部分放電は絶縁破壊そのものではなく、その前駆現象として位置づけられています。放電は最初、絶縁体の内部にとどまっていて外部への影響はありませんが、繰り返されるうちに絶縁体の損傷が少しずつ成長し、最終的に外部と接触するに至ることがあるとされています。つまり検出された時点で即座に故障するわけではなく、まだ手を打てる段階である可能性が高いということです。ただし放電の種類(ボイド放電・コロナ放電・沿面放電など)によってリスクの大きさは異なるため、検出後は放電レベルや発生パターンから深刻度を見極める必要があります。

部分放電測定と、絶縁抵抗測定(メガー測定)や直流漏れ電流試験はどう違うのですか?

見ている物理量がそもそも違います。絶縁抵抗測定や直流漏れ電流試験は、電圧を印加したときに絶縁体を通り抜けて流れる漏れ電流の大きさや変化を測る検査です。これに対して部分放電測定は、絶縁体内部で瞬間的に起きている微小な放電そのものが発する電磁波・電流・音(超音波)を直接捉えようとする検査で、電気保安協会の資料でもこれらは別の診断項目として並列に扱われています。漏れ電流に現れるほど劣化が進む前の、より早い段階の予兆を捉えられる可能性がある点が部分放電測定の特徴ですが、その分、検出方式ごとの制約もより強く出ます。

あわせて読みたい

関連する部分放電試験・部分放電測定・TEV法・UHF法・超音波法・pC・放電開始電圧の品種・型番をお探しですか?
電材サーチでは、メーカー横断で目的の型番を素早く見つけ、そのまま見積もりを依頼できます。

よくある質問

部分放電試験とは何ですか?

被測定物に交流電圧を徐々に印加し、各印加電圧ごとの放電電荷量、放電開始電圧、放電消滅電圧及び最大放電電荷量を測定して絶縁劣化を判断する試験です(中国電気保安協会の説明)。同協会は、発電機・電動機・変圧器・高圧ケーブルなどを対象とする高圧機器絶縁劣化試験の一項目として、直流漏れ電流試験・tanδ試験と並べて挙げています。試験電圧を別途かける方式のため設備を運転したままでは行えず、運転中の設備を外から診るTEV法・超音波法などとは、段取りも得られる数値も違います。

部分放電試験の合否は何pCで判断するのですか?

対象設備と適用する規格によって違い、一律のpC値はありません。ガス絶縁開閉装置(GIS)については、JEC-2350(2005年)が「部分放電が雑音レベル以下であること、雑音レベルは10pC以下が望ましい」とし、IEC 62271-203は5pC、2013年のCIGRE報告は1〜2pCの検出の必要性を示しています(三菱電機技報 Vol.89 No.11)。同誌は、管理推奨基準がより低い放電電荷量側へ更新される傾向にあるとしています。いずれもGISの部分放電診断の文脈で示された値であり、キュービクル内の高圧機器にそのまま当てはめられる数値ではありません。

部分放電試験と部分放電測定は同じものですか?

現場では両方の言い方が混ざって使われており、呼び名だけでは区別できません。中国電気保安協会が「部分放電試験」として説明しているのは、被測定物に交流電圧を徐々に印加して放電開始電圧や放電電荷量を測る課電試験です。一方、TEV法・HFCT法・超音波法・UHF法のように運転中の設備を外から診る検査も、現場では「部分放電測定」「部分放電診断」などと呼ばれます。語で判断せず、(1)停電が必要か、(2)測るのは放電の有無とレベルか、それとも放電開始電圧・放電電荷量か——この2点を先に確認してください。見積や仕様書に「部分放電を見てほしい」とだけ書かれている場合、この2点が食い違うと作業計画がまるごと変わります。

部分放電測定さえしていれば、絶縁劣化は必ず見つかりますか?

いいえ、そうとは言い切れません。TEV法は金属製の筐体の隙間から漏れ出す電磁波を拾う検査であり、筐体を持たないケーブル内部の放電はHFCT法(接地線の電流を見る検査)のほうが向いています。逆にUHF法は非常に高い感度を持ちますが、主にGIS(ガス絶縁開閉装置)内蔵のセンサや絶縁スペーサ部への取り付けを前提としており、既設のキュービクルに単純に外付けできる検査ではありません。超音波法(AE法)は空気中を伝わるコロナ放電や沿面放電の検出には強い一方、電磁波検出方式に比べて感度が劣るとされています。対象設備と検知したい放電の種類に応じて検出方式を選ぶ、あるいは組み合わせる必要があります。

部分放電測定は停電させずにできますか?

TEV法・超音波法(AE法)は、いずれも設備を通電させたまま外側から検知する非破壊・非接触の検査として使われています。TEVセンサは閉塞配電盤の扉を開けることなく盤面に当てるだけで測定でき、超音波法もパラボラレシーバーを使えば設備に触れずに離れた場所から検知できます。停電を伴う直流漏れ電流試験などとは異なり、稼働を止めずに定期的な確認がしやすい点が、これらの検出方式が現場で使われる理由の一つです。

部分放電が検出されたら、その設備はすぐに壊れるのですか?

部分放電は絶縁破壊そのものではなく、その前駆現象として位置づけられています。放電は最初、絶縁体の内部にとどまっていて外部への影響はありませんが、繰り返されるうちに絶縁体の損傷が少しずつ成長し、最終的に外部と接触するに至ることがあるとされています。つまり検出された時点で即座に故障するわけではなく、まだ手を打てる段階である可能性が高いということです。ただし放電の種類(ボイド放電・コロナ放電・沿面放電など)によってリスクの大きさは異なるため、検出後は放電レベルや発生パターンから深刻度を見極める必要があります。

部分放電測定と、絶縁抵抗測定(メガー測定)や直流漏れ電流試験はどう違うのですか?

見ている物理量がそもそも違います。絶縁抵抗測定や直流漏れ電流試験は、電圧を印加したときに絶縁体を通り抜けて流れる漏れ電流の大きさや変化を測る検査です。これに対して部分放電測定は、絶縁体内部で瞬間的に起きている微小な放電そのものが発する電磁波・電流・音(超音波)を直接捉えようとする検査で、電気保安協会の資料でもこれらは別の診断項目として並列に扱われています。漏れ電流に現れるほど劣化が進む前の、より早い段階の予兆を捉えられる可能性がある点が部分放電測定の特徴ですが、その分、検出方式ごとの制約もより強く出ます。

参考文献・出典

  • TEV Sensor(岩崎テクニック合同会社) (TEV法の検出原理。部分放電がメタルクラッド型開閉器やケーブルボックス内で発生した際、放射エネルギーが筐体内部の金属表面に誘導され、継目・ガスケット・排気口などの隙間から外部へ漏れ出す現象を検知する仕組み)
  • 岩崎テクニック合同会社(PD測定装置の輸入・販売) (部分放電の定義(絶縁体中の不純物・隙間に生じる局部的な絶縁破壊)と、初期は絶縁体内部に留まっていた放電が繰り返されるうちに損傷が成長し、最終的に外部と接触するに至るという劣化の進行プロセス)
  • 高圧/特別高圧受変電設備の携帯型部分放電検出装置 PD SCAN(Megger/JFEアドバンテック株式会社) (PDF2ページの仕様表=TEV測定(測定範囲-10〜80dBmV、帯域幅2〜80MHz、分解能1dBmV、精度±1dBmV)、音響センサー(測定範囲-10〜70dBµV、分解能1dBµV、精度±1dBµV、中心周波数30・40・80kHz)、HFCTセンサー(測定範囲-10〜80dB、帯域幅100kHz〜20MHz、分解能1dB、精度±1dB/<±10%、インピーダンス50Ω)、保護等級IP54。同ページ特長欄の「1台で3種類(コロナ、沿面、内部)の部分放電測定が可能」。同ページのセット構成=セット1(高圧配電盤向けの標準セット)/セット2(HFCTを追加)/セット3(フレキシブル超音波マイク・AEセンサーを追加)/セット4(パラボラレシーバーを追加)。PDF1ページ=受変電設備の絶縁劣化を活線状態で診断すること、内蔵TEVセンサーは閉塞配電盤の扉を開けることなく検出できること、診断結果を放電レベルの大きさとパルス数から自動で計算し正常・注意・危険の3種類のアイコンで表示すること、PRPD(位相分解部分放電)により放電の種類(コロナ・沿面・内部)の特定とノイズとの分別を可能にすること)
  • GISへのセンサ技術適用-部分放電診断の最新技術-(三菱電機技報 Vol.89 No.11、2015年) (PDF2ページ(誌面52/通しページ(644))。UHF法の検出周波数帯(UHF帯500〜1,500MHz又はそれ以上)と、VHF帯以下は外部ノイズが多いためノイズの少ないUHF帯を使うという理由(注1)。振動を検出する加速度センサはAEセンサに置き換えられて高感度化されたが、電磁波検出方式と比較すると感度が劣るため、主にGIS内を挙動する自由異物の検出用に役割が変化したという位置づけ。管理値の推移=電気協同研究 第46巻第4号(1990年発行)の検出事例から50〜100pCの感度があれば十分と理解できるとする記述、JEC2350(2005年)で従来参考試験とされていた部分放電試験が形式試験項目として規定され、部分放電が雑音レベル以下であること・雑音レベルは10pC以下が望ましいとされたこと、CIGRE報告から採用されたIEC62271-203の5pC、2013年CIGRE報告(WG D1.03(TF09)TB No.525)の1〜2pCの必要性。表1「限界異物長と放電電荷量」(IEC60270による見掛け電荷)=moving particle 3〜5mmで2〜10pC、protrusion on HV conductor 約1mmで1〜2pC、protrusion on enclosure 4〜6mmで2pC、particle on insulation 1〜2mmで約0.5pC、void 直径3〜4mmで1〜2pC。図1=導入期の検出能力50〜100pCは浮き電極放電だけを検出できる能力であったこと。PDF3ページ(誌面53/通しページ(645))=既設GIS用の高感度外部型部分放電センサを絶縁スペーサ部に取り付け、内部型センサとほぼ同じ感度を示したこと(500〜1,500MHzの平均実効高さの評価))
  • 部分放電の定義と発生のしくみ(総研電気株式会社) (絶縁体中のボイド(気泡)は誘電率が本体より低いためボイドにかかる電圧が周囲より高くなり短絡(部分放電)が起きるという発生機構、および部分放電が絶縁破壊の前駆現象であるという位置づけ)
  • 3Dパターンと放電現象の種類(株式会社サンコーシヤ) (ボイド放電(内部放電、最終的に絶縁破壊・地絡に至る可能性あり)、コロナ放電(絶縁体内部に関係しない)、外部表面放電、フローティングポテンシャルなど、放電現象ごとにリスクの大きさが異なるという分類)
  • 高圧機器絶縁劣化試験、ケーブル劣化診断(直流漏れ電流試験/Tanδ試験/部分放電試験/ケーブル活線診断)(中国電気保安協会) (部分放電試験の定義=被測定物に交流電圧を徐々に印加し、各印加電圧ごとの放電電荷量、放電開始電圧、放電消滅電圧及び最大放電電荷量を測定し劣化を判断する。ページ冒頭で、発電機・電動機・変圧器・高圧ケーブルなどの絶縁劣化の診断を対象とすると明記。直流漏れ電流試験(直流を印加したときの漏れ電流の時間変化から吸湿・汚損・劣化の状態を判断)、tanδ試験(交流電圧を印加し、吸湿・汚損やボイドでの部分放電による誘電損を測定)と並ぶ高圧機器絶縁劣化試験の一項目としての位置づけ。同ページで「無停電で診断」と明記されているのはケーブル活線診断(CVケーブルの水トリー診断)だけであること)
型番不明でもOK

この記事の内容で、製品選定から相談できます

「部分放電試験・部分放電測定とは何か|停電して課電する試験と、TEV法・UHF法・超音波法の違い、GISのpC管理値」に関連する製品を、用途・仕様・写真からお探しします。リンク先には相談内容を入れた状態で用意するため、型番が分からなくてもそのまま進められます。 手書きメモや型番リストの写真・PDFでも依頼できます。

AIと状況を整理してから相談する

普段お使いのChatGPT・Gemini・Perplexity等に貼り付けられる質問文をコピーできます。 自分の状況を伝えて相談すると、最後に電材サーチへの見積依頼文もまとめてもらえます。